大阪公立大学 文系数学 講評| 2023年度大学入試数学

      2024/04/18

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●2023年度大学入試数学評価を書いていきます。今回は大阪公立大学(文系)です。

いつもご覧いただきまして、ありがとうございます。 KATSUYAです^^いよいよ、2次試験シーズンがやってきました。すでにお馴染みになってきたかもしれませんが、やっていきます。
2023年 大学入試数学の評価を書いていきます。

2023年大学入試(国公立)シリーズ。
大阪公立大学(文系)です。

問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。
また☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。


解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。
※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。

したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。
同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい、という目安にしてください。

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大阪公立大学 文系
(全4問、90分、記述式)

1.全体総評~厳しかった初年よりさらに取りにくい~

微難化です。昨年の(大阪公立大学として)最初の文系数学は厳しめでしたが、今年も難易度は継続で、文系数学としては厳しく、どれも完答しにくい問題です。昨年よりも点数に結びつきにくかったと思います。

どの問題も見た瞬間に「このタイプね」と分かるような典型問題ではなく、2つのシコウ(思考試行)力、そして発想力も要する問題ばかりでした。原則がそのまま適用できるものが少なめで、文系の皆さんには結構ツライセットですね。

分野的には数Aの確率と整数+数B、後半が数IIの図形と方程式で、積分からの出題がありませんでした。

試験時間90分に対し、標準回答時間は115分。方針に詰まってしまうと時間が来てしまいます。

2.合格ライン

第1問は本セットの中では一番マシですが、(2)が取れないと(3)もミスるので差はつきそう。
第2問は整数に関する証明問題。誘導が刻んであるので取りやすいかも。(4)は差がつくかも。
第3問の図形からの問題ですが、実験さえすれば取れる。(3)は理系的な考え方が必要で差がつくかも。
第4問は難しめ。場合分けには気づくかもだが、全体的に作業量が多いので、時間的にも厳しいか。

どの問題も適度に差がつきます。どの大問も小問を取れるだけ取り、可能ならどれかを完答したい。1完3半ぐらいならボーダーでしょう。50%強ぐらいでしょうか。

3.各問の難易度

☆第1問【確率+微分法】赤玉と白玉、n絡みの確率と最大値(B,25分、Lv.1)

赤玉と白玉を規則に従って出す問題です。設定はシンプルですが、n絡みの確率が入るので理系の問題っぽくて文系には難しいかもです。

(1)は押さえたい。たった6通りなので全部書き出し、慎重に確率を計算しましょう。なお、RRWWとWWRRなど、場所を完全に入れ替えたものは確率が等しいことを利用すると3通りまで減ります。

なお、定義されてないですがα=0,1のときに入れてみて、意味的に合ってるかどうかで検算できます。α=1のときは同じ色が4つ出るのでゼロ、α=0のときは絶対に交互に出るので確率は1です。

(2)は(1)で様子をつかんでほしかったのか分かりませんが、n絡みです。白が端っこにいるか、途中にいるかで分けることに気づけば楽です。結局、色が変わるタイミングが何回あるかだけで確率は決まることに気づけば勝ち。

(3)は(2)が出来ればn=4を代入するだけです。αの4次式になりますので、微分して増減表を書いて終わりですね。

※KATSUYAの解答時間は13:28です。昨年は1番はマシやったけど、今年は1番からまあまあ差が付きそう。

☆第2問【整数+数列】数列の項が整数・奇数であることの証明(BC、25分、Lv.2)

2つの数列について、それが整数であることなどを証明する問題です。小問で刻んであるので、ある程度のところまでは取れると思います。

(1)は計算するだけです。

(2)は分子の5^●-1の部分が、A^2ーB^2の因数分解に帰着出来れば勝ちです。

(3)は帰納法でもいいし、a_1が整数であることと、n≧2でa_n=a_1×b_1×・・・×b_n-1 であることを利用するのもありです。 bnは、a_nの「階差数列のかけ算バージョン」だと思えば分かりやすいと思います。

(4)は、bnが奇数であることに帰着されます。分子が偶数なことは(2)でも使いましたが、それが4では割れないことを言えばOK。5^●の形なので、合同式が思い浮かべば勝ち確です。

累乗の余りときたら、合同式が思いつくようにしておきたいところですね。今回は常に余り1なので簡単ですね。

 Principle Piece 

 n乗の余りは合同式で「≡±1」を探す

(詳細は拙著シリーズ 数学A 整数 p.29 参照)

帰納法は本問のように、n絡みの問題では有効なのでおさえておきましょう。

 Principle Piece 

 帰納法は [1] nに関する証明 [2] 結果が分かる(推測可能)時に有効

(詳細は拙著シリーズ 数学B・C 数列 p.66 参照)

※KATSUYAの解答時間は13:19です。発想寄りなので気づけば一番これがラクかな。でも(4)は差が付きそう。

☆第3問【図形と方程式】点の対称移動(B、30分、Lv.2)

ある点をひたすら点や直線に関して対称移動していく問題です。どんどん実験して移動させていけば出来る問題ですが、こちらもパッと見ではややこしそうに見えるため、出来は悪いでしょう。

(1)(2)は、先に問題文に従ってP6まで一気に移動させるのがいいでしょう。図をある程度大きく書き、最初2つぐらいだけ、移動後の角度tについてちゃんと記述しておけばいいと思います。

  • 直線に関する対称移動 → 2つの角度の平均が直線とx軸のなす角、
  • 原点対称 → πだけずらす。

一般的な上の操作に気づければ勝ち確定。あとは角度が0~2πにおさまるようにずらし方を調整すればOK。

(3)はP0~P6の移動の仕方と、P6~P12の移動の仕方が同じだと見抜ければほぼ明らかですが、ちょっと理系チックな発想ですね。

※KATSUAの解答時間は13:52です。ただ実験するだけやな。文章が長いだけで見掛け倒し感が強い。

☆第4問【図形と方程式】線分上の点との距離の最小値(BC、35分、Lv.2)

前問に引き続き図形と方程式から。線分との距離の最小値で、設定は単純ですが場合分けがあるため、計算量は多めです。

(1)はいい実験だと思います。直線との距離の最小値であれば垂線になりますが、垂線の足が線分OA上に微妙にないので、APが最小値になります。

(2)は(1)で実験したものを一般化します。垂線の足が線分OA上にあればそれがd(P)となります。OAに垂直で、Oを通る直線とAを通る直線の間にあればOK。その外にあれば、OPかAPが最小になります。

なお、私は図形的にアプローチしましたが、単純にOA上の点Q(t,3t)などとおいて、PQ^2の最小値を考えてもOKです。こう考えると、(2)が2次関数の最大最小の軸分け問題に帰着されます。

(3)はb→a^2として(2)を書き直して、それぞれの場合でd(P)=√10を解くだけです。(2)さえ出来れば、使う原則もたいしてなく、ただの作業に近いですが計算量が多め。AP=√10のときは3次方程式になるので、因数定理で候補を探しましょう。約数候補で絞るんでしたね。

 Principle Piece 

 因数定理の代入候補は ±(定数項の約数)/(最高次の約数)

(詳細は拙著シリーズ 数学II 複素数と方程式 p.24 参照)

※KATSUYAの解答時間22:52。(2)の答案が結構メンドウやった。ネットの解答見ると2次関数の軸分けでやってるものが多い。図形的なアプローチの方が思い浮かびやすかったけど、どうなんやろ?

4.対策

レベル的には7帝大レベルに近く。同じ大阪の阪大文系と比べても大きく劣らないと思います(年によっては阪大の方が簡単)。分野は数IIが中心ですが、ⅠAの手法も当然使います。小問で刻まれてはいるものの、つながりがなかったりもするので、やりにくさもあります。式変形をしながら、前問とは独立しているのか、どこかで使えそうな式が見えるか、常に意識する必要があります。計算量も文系としてはしんどいものがありますので、計算は怠らずに行いましょう。

原則習得タイプの問題集で早めに手法を一通りマスターし、次の入試基礎演習の段階まで終えたら、融合問題を多く解く演習をしましょう。医学部なら、仕上げレベルまでやったほうがいいかもしれません。

なお、拙著『Principle Piece』シリーズであれば「原則習得」「入試基礎演習」の両方の段階を兼ねていますので、この後にもう入試標準演習の問題集に接続可能です^^

量をこなす演習:じっくり演習=7:3でOK。

以上です^^

■関連する拙著『Principle Pieceシリーズ』(リニューアル版!)

数学A Chapter1~確率~ (第1問)

数学A Chapter3~整数~ (第2問)

数学II Chapter1~式と証明~ (第2問)

数学II Chapter4~図形と方程式~ (第3問、第4問)

数学B・C Chapter1~数列~ (第2問)

 

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