共通テスト 数学II・B【2023年】は易化した!?難易度、傾向、時間配分など
2024/01/13
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このエントリーでは、2023年に行われた共通テストの数学II・BをKATSUYAが解き、その感想や各問題の難易度などをアップしていきます。
【評価指標】
1.難易度 A(易)~E(難)
2.解答するまでの標準的な時間
です。これら2点から、各問題ごとにコメントしていきたいと思います。
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この試験の解説動画もUPします。私が実際に解いた紙を元にして思考プロセスもお伝えします。
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共通テスト 数学Ⅱ・B(60分)
1.全体評価(難易度)~変化なしか微易化~
2022年はIAとともに難化しましたが、こちらは昨年とそこまで大きく難易度は変わらないと思われます。IAの難化に比べれば、IIBの難化は健全でしたので、去年、今年あたりの難易度を例年並みにしていくのかなと思います。
第1問[1]は三角関数不等式の問題。後半はさらっと和積公式が書かれており、不等式計算も少し繁雑なので、うまくやらないと時間をかなり持っていかれます。
第1問[2]は指数・対数ですが、ここは昨年より大幅に易化です。昨年、出来が悪かったものと思われます。
第2問[1]が微分。直円柱の体積の最大値で、共テ対策だけでは触れなさそうな題材を持ってきましたね。3次関数の性質を熟知しているとかなり素早く解答できますので、貯金できる人はかなりできます。
第2問[2]が積分ですが、かなり文章の設定が長く、グラフの見た目に圧倒された人もいそうですね。数値計算も少しありますので、差はつきそう。昨年より難しいと思います。
第4問の数列も、これまた共テ対策では触れなさそうな複利の問題からでした。漸化式も絡み、数値も小数が最後までつきまとうので、時間は持っていかれるかもです。昨年比では変化なしかと。
第5問は空間ベクトルからで、後半からあまり具体的な数値が入っていないため、かなり答えにくかったのではないでしょうか。こちらは昨年より難しいと思われます。
※例年通り、統計(今年は第3問)については省略しています。
※共通テスト(2023年度数II・B)をどうやって解いたかを、Youtube動画で紹介しています。参考にしてみてください。
2.各大問の難易度
※緑色の表記は、数学を解く上で必要な原則を表しています。
☆第1問[1] (三角関数:三角不等式、B、15分【10分】)
8割難易度・・・普通 満点難易度・・・やや難
今年は三角関数単体からの出題で、三角不等式です。後半は結構ややこしかったのではないかと思います。昨年よりは難しいでしょう。
(1)は具体的に値を比較するだけです。角度によって大小は変わるという例です。
(2)は正確に大小関係を決めていきます。sin2xは融通が利かないので、倍角で変形するしかないでしょう。
(詳細は拙著シリーズ 数学II 三角関数 p.53 参照)
倍角で変形するとsinxでくくれます。あとは両方正か両方負になるときなので、単位円をさっと書いて答えましょう。
(3)はsin3xとsin4xの比較。和積の公式が与えられています。和積を使うのは初めてですかね。αとβでわざわざ書かれていますが、結局xに直すので、和積の公式を知っている人からすると③の式は逆にジャマかもです。sin4x-sin3xを直接公式で直した方が早いでしょう。
④または⑤ということですが、sinx/2の角度の範囲から考えて⑤の方は成り立ちませんので、④だけ考えます。④も、sinx/2>0は常に成り立ちます。結局、cos7/2x>0だけを解けばOK。角度7/2xは1周+270°回りますので、その範囲でcosが正になる部分を慎重に探しましょう。
最後の(4)はうまく流れに乗らないと厳しいと思います。sin3x>sin4xは(3)と不等号が逆なので、(3)で答えた範囲の補集合になります。
sin4x>sin2xは、(2)の結果をうまく使います。(2)の最後の4行の部分で、x→2xに変えるとxの範囲も一致しますし、(4)の(中辺)>(右辺)となります。従って、範囲も(2)の答えでx→2xとしたものです。なので、(2)の範囲を全部半分にすればOKです。
これに気づかないともう一度解きなおすハメになるので、時間を持っていかれると思われますが、上の変形も簡単に思いつくものではないので、最後は難しめでした。
最後は共通部分を取りましょう。
KATSUYAの解答時間 5:31 昨年の倍かかってる。
第1問[2] (指数・対数関数:対数値、無理数・有理数、A、7分【5分】)
8割難易度・・・易 満点難易度・・・易
指数・対数は、対数値が有理数になるか無理数になるかの考察。穴埋めなので非常に基本的な問題で、ここは満点狙い。
(1)は対数の「キホンのキ」レベルの問題。さすがに大丈夫かと。
(2)は対数の単純計算です。なお、log_3 9=2です。去年も書きましたが、これを「3」と言う人、受験生でもまあまあ見かけます。心当たりがある人は気を付けてください。後半は有理すと仮定して分母を払ってlogを除くだけです。奇数=偶数となって矛盾です。
最後も簡単でしたね。a,bの奇偶の違いでii)のような矛盾が起こることは見えやすいと思います。
KATSUYAの解答時間1:16 今年は指数対数はカンタン。
☆第2問[1](微分法:円錐に内接する直円柱の体積、AB、9分【6分】)
8割難易度・・・やや易 満点難易度・・・やや易
今年のの微積は[1][2]に分かれました。微分法からは図形量の最大値の問題です。2次対策をしていれば頻出パターンですね。
最初は3次関数の極値を求める問題です。微分して求めましょう。後半ですが、直角三角形の相似が見えないとVの式がうまらず、点を落とすので、意外と差がついたと思われます。9:15=9-x:高さ に気づけばあとは楽勝。x^2(9-x)の部分で(1)の結果が使えますので、微分しなくてもx=2/3k=6で最大と分かりますね。
KATSUYAの解答時間1:57 共テになってから微分は結構ラクなことが多い。
☆第2問[2](積分法:積分値が一定値を超えるときのxの値、B、12分【8分】)
8割難易度・・・やや難 満点難易度・・・やや難 (←最後2問が難しめなので、同じ難易度)
今年の積分法はかなり目新しい問題で、文章量も多く、やりにくかったと感じた人も多いかもしれません。難易度自体は普通だと思います。
最初の2つはただの積分計算です。前半は台形の面積として検算するとより確実です。2つとも3点。最後の2問も3点なのがちょっと・・・^^;
(2)は1ページ半にわたる説明がありますが、気温のグラフを直線近似することと、開花時期の設定さえ読めば解けます。うまく読むのをさぼりたいところ。直線近似の式が最初に出た式なわけです。どこまで積分すると面積が400を超えるかを聞いているだけですね。こちらも直線の積分なので、台形の面積として出してもOK。私はそうしました。
数値大きめですがキレイに因数分解出来て、x=50と出ます。
最後は、x=30を境目に関数を変えます。ページ下部の言っていることが分からないと、最後2つは難しいかもしれません。
0~30までの積分値は180です。30~40までの積分値は115と与えられています。40日までの積分値は295です。
ここで、2次関数の方は30以上では単調増加で(これも書いてあるので受け入れます。平方完成すれば分かります)、正の値を取ります。従って、定積分を面積で考えると、30~40の積分値(115)よりも40~50の積分値の方が大きいということです。
このことから、0~50まで積分すると、結果は180+115+115より大=410より大 となります。従って、40と50の間で、積分値が400になることがあるということです。
KATSUYAの解答時間4:44 積分でこんな文章長いの初めてかな。計算はそんなに多くない。
第4問 (数列:年利と利息計算、漸化式、等比数列の和、B、18分【12分】)
8割難易度・・・普通 満点難易度・・・やや難
去年、数列の文章題が長くていろいろと言われていましたが、今年も負けず劣らず長めで、5ページ構成です。こちらは、去年私が数列で書いた文章です。
「共通テストの流れから考えても、今後はこのような構成になる可能性の方が高いと思います。」
要するに、「これぐらいはめんどくさがらずに読みなさい」ということですね。個人的には同感です。
題材は年利に関するものです。教科書の研究とかにもかいてあったりする項目ですが、共テで出るとは思ってなかったですね。
文章が長い分、かなり分かりやすく書かれていますので、最初のページの参考図を元にすれば(1)は答えられるでしょう。漸化式は4型ですので、特性方程式でcを求めるパターンですね。今回は一般項までは聞いてません。
(2)は直接求めようという方針。こちらも長いけど、その分丁寧です。nなのかn-1なのかは落ち着いて考えましょう。こちらも最初のページのn=2,3あたりで確かめればミスは防げるはず。
最初の10万円の利息付と、定期的に預金するp万円の利息付の合計とみなせます。p万円の方が等比数列の和になりますので、等比数列の公式にあてはめます。こちらもnなのかn-1なのか注意しましょう。n=1とかを入れて、a1=10+pになるかどうかで簡単に確かめられます。
(2)は式が複雑そうに見えますが、見かけほどしんどくはないです。10年目の終わりなので、1.01×a_10となることに気をつけましょう。あとは前のページで出したa_nの式にn=10を入れて、pについて解くだけです。
(3)は(2)をスルーしても実は出来ます。最初の預金額が10→13になるだけなので、a_nの式の第1項の分の10→13に代わるだけです。最後でしたが、(2)より全然カンタンでしたね。
こういう問題のときもあるので、途中で詰まっても最後まで見ましょう。
KATSUYAの解答時間8:23 これまでセンターでは出ないだろうと思われていたものも、共通では出てくると思った方がよさそうですね。
☆第5問(空間ベクトル:四面体、垂直条件など、B、24分【16分】)
8割難易度・・・やや難 満点難易度・・・難
ベクトルは昨年は平面ベクトルで、今年は空間ベクトルでした。今のところ、共テの3年間は空間→平面→空間と交互に来ています。題材は四面体ですが、後半は具体的な数値がなく、イメージがつかみにくかったかもしれません。最後2つはかなり難しいと思います。
(1)は落とせません。中点の公式となす角のcosの公式を聞いているだけですね。
(2)は具体的に数値を入れていきます。内積は①を使えば出ます。「キ」も、ベクトルで90°と言えば内積0です。問題文の流れから、始点はAに合わせて、AP→・PD→=0を変形していきましょう。
(3)ですが、ここでは(2)の数値引き継がないので注意。AMを2倍に伸ばしたところをQとするという設定だけが生きています。なので、ここからは最後まで抽象的な式変形が続いて、難易度が上がります。
最初はPA→・PQ→=0を、またAを始点にして書き換えましょう。AQ→=2AM→=AB→+AC→です。(1)の結果は特別な設定をしていないので、(3)でも使えます。これで「ク」は出せますし、内積の定義式にあてはめれば「ケ」も出ます。
後半はさらに難易度が上がります。最初の「コ」は内積の定義式にあてはめるだけなので行けるでしょう。その後が問題です。「ケ」と「コ」が同時に当てはまるときに何が言えるかということですが、これは式をいじくっても出るわけではなく、図形的な考察が必要です。「ケ」の等式の項にAB’やAC’の長さが現れていることに気づかないと、図形的な考察もままならなく、勘で答えた人も多かったでしょう。
「サ」が埋まれば、「シ」は行けるかと思います。k=1のときはB’もC’もAPの中点になりますので、△APCも△APBも2等辺三角形と分かりますが、合同である必要はないです。
KATSUYAの解答時間11:53 後半は抽象的で結構難しいな。IIBは全体的にはそこまで変わらないのでは。
関連リンク
※共通テスト(2023年度数II・B)をどうやって解いたかを、Youtube動画で紹介しています。参考にしてみてください。
3.対策~文章を読み解き、式にする力も必要~
共通テストの主旨から考えると「知識だけで解ける問題」よりも「知識を使って考察する問題」が主になってくると思います。
去年や今年の数列、あるいは今年の積分の問題のように、文章題から自分で式を立てていくようなタイプは今後も継続でしょう。「長い」と批判してても出るものは出ますので、過去問や模試の問題集で長い文章を読み解く練習をしておきましょう。
また、難易度的には、これまでのセンター対策のみでは対応できないものが目につきます。センターしか使わないとしても、チャートの例題ぐらいは一通り解けるようにしておく必要があるでしょう。
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※2023年1月16日時点で販売中のもののみ掲載しています。今後全単元販売予定。
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