北海道大学 理系 | 2010年度大学入試数学

      2017/01/25

※注  ヒントを見ないでこの大学の入試を解きたい人は、解き終わってから見てください。ネタバレがあります。

 

大学入試シリーズ第35弾。

国公立シリーズ第10弾。

北海道大学 理系です。

 

問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。

 

難易度の目安です。

A…教科書の練習問題、青、黄チャートの基本例題レベル

B…教科書の章末問題、黄、青チャートの重要例題、章末A問題、および中堅大学入試問題レベル

C…チャートの章末B問題、難関大入試レベル

D…難関大入試でも難しい問題のレベル

E…超高校級の難問、試験場では即捨てるレベル

☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。

 

また、解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。

※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの「標準的な時間」です。

 

したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。

同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい という目安にしてください。

 

北海道大学(理系)数学

(試験時間120分)

 

1.全体総評~易化傾向続く~

去年と同じぐらいの難易度。ここ数年は若干易化傾向にありますが今年も踏襲されています。

難しいのは第3問?(3)ぐらいで、他はほぼパターン問題といえます。それでも方針を誤ったり、類題経験がないと考えこんでしまうようなレベルであることを考えると、これで十分試験となり得るといったとこでしょうか。

試験時間120分に対し、

目標解答合計時間は120分。量も適当ですし、試験としてはこれでいいのでしょう。

 

2.合格ライン

第1、5問は落ち着いて確実に抑えて、残り3問題のうち第2、4問のどっちかは完答し、

第3問は(2)まで出来ればOKだとおもいます。

第2、4問が両方完答出来ればもう御の字でしょう。

75%ぐらいでしょうか。

ただ、ここ数年で本大学受験者のレベルが低下していると思われます。もっと低くてもいいかもですが、余裕を持ってということで。

 

3.各大問の難易度

第1問・・・2次関数、積分(B、20分、Lv.2)

放物線の共通接線に関する問題と面積を求める問題。

共通接線は放物線関連の問題を難しくする上で便利な題材ですが、この程度であればパターン問題です。

放物線と接線は「接点が主役」の原則さえ守ればなんてことはない問題。

 

 ULTIMATE Principle Piece 

 「通る」よりも「接する」 → 接する問題では接点を置く

(拙著シリーズ(白) 図形と式 p.26-28)

 

なお、共通接線が引けるからといってaの値は決まりませんから、(1)、(2)はともにaが含まれます。

(aにいくつか数値を入れてみて、図を書いて見ましょう)

 

☆第2問・・・行列(AB、20分、Lv.2)

行列の2次方程式のパターン問題。チャートの重要例題にそのまんまありそうです。

数Cは演習がおろそかになりがちなので、意外に差がついたかもしれません。

(私も高校時代、数Cはチャートすらやってませんでした)

特記すべきことは(2)ぐらいですかね。

「ハミルトン・ケーリーの定理よりa+d=1、ad?bc=1」

と書いたら減点されます。

ハミルトン・ケーリーを適用するなら、

「a+d=1、ad?bc=1ならば条件式が成り立つ」

です。上の場合は逆の命題ですから、当然真とは限りません。

めんどくさくても、以下のように書かなければダメです。

‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐

ハミルトン・ケーリーの定理から、

AA-(a+d)A+(ad-bc)E=O

問題文の条件と合わせて、

AA-A+E=AA-(a+d)A+(ad-bc)E

だから、

(a+d-1)A=(ad-bc-1)E

と書いてA≠kEを示して、(背理法で楽勝)

初めてa+d=1、ad?bc=1に限ることが示せます。

一度やっておけば間違えることはないでしょうから、これを機会に頭にいれてしまいましょう。

‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐

第3問・・・数列、極限(C、35分、Lv.2)

(1)、(2)は与えられた漸化式から出す。誘導もあるので、ここはそれに従うだけ。ルートやら条件式の添え字を間違えないようにしましょう。

(3)の極限は「示せ」なのが救いですが、「求めよ」だとさらに難易度が上がってます。

自分が使える公式にあてはめる為にどんな変形をすればいいのか、ひたすら試すのが1番いいです。

しかし、やみくもではなく極限の公式が使える形をゴールにするという意識のもとでやってみましょう。

高校数学で習う三角関数がらみの極限の公式など限られてますし、そんなに軸はぶれないと思いますが、試験場では後回しが正解です。

本セット、ダントツの最難問でした。

 

第4問・・・微積分総合(B、25分、Lv.2)

絶対値付き関数を積分し、その結果得られた関数について微分して調べる問題。

絶対値付き関数の積分は第1問の共通接線同様に、便利な題材。難関大でもまだ生き長らえています。こちらの原則でさくっと片付けてしまいましょう。

Principle Piece II-115

 絶対値付き定積分関数 中身=0と両端の大小で場合分け

(拙著シリーズ(白) 数学II 積分法 pp.17-21)

(2)を間違うと(3)も出来ないですし、なかなか差がついた問題かもしれません。

なお、(3)は極「大」値をとることを示せですから、f'(1/2)=0だけではダメで、前後の符号の変化も必要です。

よって、もう一回微分する必要があります。

 

第5問・・・確率(B、20分、Lv.2)

くじ引きの問題。当たる確率はABCみんな2/102なのは有名ですが、(2)のようになる確率は、先に引く方がちょこぉっとだけお得なのですね。題材としては興味深いです。

計算さぼって全員1/3と書いたひともいるのでは?(Bは当たってますけどね(笑))

(1)が誘導になってますし、計算は落ち着いてやれば出来ますから、ここは抑えましょう。

 

4.対策~標準問題を主に、理系的な問題演習も~

ここ数年はBレベルの問題が主として出ますが、難易度が戻ったときに青ざめるという状況は笑えませんので、Cレベルの問題も演習しておきましょう。

チャートの重要例題数研の入試問題集(理系)を中心に、対策しておきましょう。入試標準演習段階までで、過去問に接続すれば良いと思います。

 

演習量比率 B:C=7:3で大丈夫かと思われます。

以上です。

 

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(記事の引越し・改善中のため外部サイト(姉妹サイト)と行き来するかもしれません。すみません。)

 

■関連する拙著シリーズ■

★ 数学II 積分法 (第1問)

★ 数学B  数列 (第3問)

★ 数学A 確率 (第5問)

★ 数学III 積分法の応用 (第4問)

 

★ 計算0.9 (計算練習帳です^^)

 

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