大阪大学 理系 | 2018年大学入試数学

      2018/03/01

●2018年度大学入試数学評価を書いていきます。今回は大阪大学(理系)です。

いつもご覧いただきまして、ありがとうございます。 KATSUYAです^^いよいよ、2次試験シーズンがやってきました。すでにお馴染みになってきたかもしれませんが、やっていきます。
2018年 大学入試数学の評価を書いていきます。

入試シーズン中は、コメントの返信が大幅に遅れることがあります。ご了承ください。

2018年大学入試(国公立)シリーズ。
大阪大学(理系)です。

問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。
また☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。


また、解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。

※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。

したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。


同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい、という目安にしてください。





大阪大学(理系)
(試験時間150分、5問、記述式)

1.全体総評~処理量が多いセットでやや難化~

やや難化です。昨年に比べると難易の差は問題ごとにはあまりないですが、どれもそれなりの処理量を求められており、全体としてはかなり時間のかかるセットの印象です。

数IIIは第1問、第3問の2問で、残りは確率、空間ベクトル、方程式です。バランスはかなり取れていると思われます。


試験時間150分に対し、
標準回答時間は165分。

2017年:150分

2016年:160分
2015年:165分
2014年:140分
2013年:145分
2012年:135分
2011年:170分
2010年:135分

だいたい制限時間前後ですので、阪大理系数学は適量と言えます。

2.合格ライン

第1問はうまく流れに乗っておさえたい。
第2問はキー問題。(2)をおさえられるか。
第3問もキー問題。(2)の証明と(3)の計算処理で差がでそう。
第4問は(1)(2)までは押さえる。(3)は図形的考察も必要で、ちょっと難しい。
第5問もキー問題。(1)は阪大理系なら押さえたい。(2)の方が差がつくか。



第1問と第4問(1)(2)を確保。(30点ぐらい)第2,3,5問で合わせて1完半以上(30点以上)は欲しい。全部(1)だけだと厳しいかも。60%強ぐらいでしょうか。


3.各問の難易度

☆第1問・・・【微分法の応用+極限】不等式の証明、取りうる値の範囲(BC,30分、Lv.2)

数IIIからの出題です。(2)はx→0での極限の利用に気づきたいです。

(1)は典型的な不等式の証明です。差をとって微分すればOK。

Principle Piece III-39

 不等式は差をとって微分する

(拙著シリーズ(白)数学III 微分法の応用 p.44-47)

片方は微分した分子がx+2-2√1+x などと出ます。符号が不明な場合は、これが0になるときを出してみればOK。重解x=0となり、接していることが分かります。

 

(2)でも、まずは微分です。微分した式には(1)の不等式を2乗したものが出てきますので、利用できます。単調減少が分かりますので、あとは∞と+0での極限です。∞のときはいいとして、+0のときは(1)の不等式の逆数で利用すると、はさみうちが使えます。

(1)を繰り返しうまく使えたかどうかがカギですね。

 

※KATSUYAの解答時間18分。

 

☆第2問・・・【複素数と方程式】相反式の性質と実数解条件(BC、35分、Lv.2)

相反方程式を題材とした問題で、良問です。

あるので差が付いたと思われます。

(1)は。f(c)=0ならばf(1/c)=0を示せばOKです。係数が対称なので、両辺をc^4で割るだけで示せます。c>0については、背理法です。c≦0だと全項が0以上になり、最後の1があるので0になりませんね。

(2)は、4次方程式で解と係数の関係(係数比較)を用いることになります。1次の項を比較すれば、(1)で相加・相乗が見え見えですね^^

Principle Piece II-8

 相加平均・相乗平均の関係が使える式の把握

(拙著シリーズ(白)数学II 複素数と方程式 p.19 具体式は割愛)

(3)は難しく見えますが、未知数はbだけですので、普段通り相反方程式として解いてみればすぐに出来ましたが、どうでしょうか。真ん中の次数で割ってx+1/x=t とおけばOKです。 t≧2なので、2以上の解(重解OK)が2つあるようにすればOKです。解の存在範囲でもいいですし、bだけ移項して定数分離でもOKです。

Principle Piece I-31

 文字定数入りの解の個数は定数分離で視覚化

(拙著シリーズ(白)数学II 複素数と方程式 p.19 具体式は割愛)

※KATSUYAの解答時間18分。(3)は素直に相反方程式に持っていけば、もう少し早く解けたかな。

第3問・・・【微積分総合】媒介変数表示曲線の上下関係、面積(BC、30分、Lv.2)

微積分総合です。媒介変数曲線なので両方微分してx、yの変化表を作ればいいのですが、どちらも同じ「t」の値で最大値をとるため、その点でどのように曲線が変化するのか(上下関係)を(2)で考察することになります。

(1)は変化表を書くだけなので大丈夫ですね。

(2)がヤマになります。まずはx1とx2の満たす関係式を用意しておきます。角度で直接は出せませんが、sinx1とsinx2の関係式として出せます。g(x2)^2-g(x1)^2 の計算ですが、sinx1、sinx2だけになるように、2乗の項はsinに相互関係は寄せていきつつ、関係式を用いれば、かなり綺麗になります。

 Principle Piece II-64

 sin、cosの2乗は乗り換え可能

(拙著シリーズ(白)数学II 三角関数 p.17-18)


(3)は(2)によって上下関係がわかりますので、面積も求められます。媒介変数表示のときは、積分方法や「x」の動く方向などに気をつけて、符号を間違えないように。

 Principle Piece III-71

 媒介変数表示の面積は「y」「dx」の符号を変えて計算

(拙著シリーズ(白)数学III 積分法の応用 p.12)

被積分関数はかなり次数があがっていますので、半角などで次数を下げましょう。

 Principle Piece III-50

 三角関数の積分は半角、積→和で次数を1次に下げてから

(拙著シリーズ(白)数学III 積分法の応用 p.14-16)

※概形は、t=π/2でとんがったような形になりますが、別にまるーく書いても上下関係があっていれば問題ありませんし、減点されません。

※KATSUYAの解答時間25分。(2)の式変形に少し手間どう+(3)で計算ミスし、面積が負になったので計算し直しでロス。

 

第4問・・・【空間ベクトル】正八面体の切断面の面積の最大値(BC、40分、Lv.2)

文理共通の空間ベクトルですが、理系でも(3)まで行くのは骨の折れる問題です。

(1)は、PQとRSが平行であることさえ示せればOKです。もし思いつかなければ、PR=aPS+bPQになるようなa,bの存在を示せばOKですが、文字が多いので、こちらだと結構メンドウでたどり着かなかった人もいるか。

(2)は長さの最小値なので、成分出して2乗します。2変数2次なので1文字ずつ平方完成します。

 Principle Piece I-28

 2変数の2次関数は1文字ずつ平方完成

(拙著シリーズ(白)数学III 積分法の応用 p.31)

ただ、sについて平方完成すると定数項しかのこりませんので、s+tの値しか特定できず、s、tまでは特定されないです。それを特定するのが(3)という流れまで見れば、(2)の結果は納得です。

その(3)ですが、切り口がイメージできないとさすがに厳しいです。切り口は6角形ですが、台形2つに分かれること、さらにその高さの比がs:tになることまで見抜ければ面積の計算までいけます。ルートも入って煩雑ですので、結構難しいかもしれません。

 

※KATSUYAの解答時間23分。(3)の切り口は結構考えました。高さがs:tになることは自明ではなさそうなので、LMとBCDEの交点を出すことで一応証明までしたが、これが一番時間かかる。

 

☆第5問・・・【確率】確率と漸化式、連勝せずに勝つ確率(BC、30分、Lv.2)

最後は確率です。(1)と(2)はほぼ別の問題で、どちらもまあまあ骨があります。

(1)は確率と漸化式の典型的タイプで、こちらの原則です。今回はこれ1つで十分です。

Principle Piece A-41

 n回目とn+1回目を詳しく見る

(拙著シリーズ(白) 数学A 確率 p.39-43)

(2)の方がメンドウかもしれません。Bが連勝しないということなので、「BA」という並びがどこに入るかを考えることになります。先頭に入る場合だけ様子が異なるので、注意。p、q、1-pなどの確率がどのぐらい入るのかを調べる必要があるので、慎重にやらないと間違えます。

 

※KATSUYAの解答時間20分。(1)の方が7分ぐらいでやっぱり簡単。

 

4.対策

阪大は良問ぞろいです。融合型が多く、分野はまんべんなく出ます。中でも確率、整数、微積は頻出なので、重点演習が必要。昔の傾向からすると、複素数平面は東大や京大に比べると頻度は少ないかもしれませんが、出てないわけではないので油断はできません。

阪大は微積で空間図形のことが多いので、空間図形の演習も必要です。図形的な感覚よりも、数式処理で考察できることを重視しましょう。感覚だけでは、積分計算に持ち込めませんので。

原則の習得は早めに終わらせ、早い段階で入試演習へ移行したいところです。阪大数学は下記のように単科長年タイプの本もありますので、傾向つかむ上でも早めに購入しておきましょう。本格的にやるのは秋以降でもOK。先に入試標準レベルまでは最低限行い、できれば仕上げ段階まで行いたいところです。

 

 

量をこなす演習:じっくり演習=7:3ぐらいでしょう。

以上です^^

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■関連する拙著シリーズ■

★ 数学A 確率 (第5問)

★ 数学II 複素数と方程式 (第2問)

★ 数学B ベクトル (第4問)

 

★ 数学III 微分法の応用 (第1問)

★ 数学III 積分法 (第3問)

★ 数学III 積分法の応用 (第3問)

★ 計算0.9【IAIIB】 (計算練習帳です^^)

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