東北大学 理系 | 2018年大学入試数学

      2018/03/04

●2018年度大学入試数学評価を書いていきます。今回は東北大学(理系)です。

いつもご覧いただきまして、ありがとうございます。 KATSUYAです^^いよいよ、2次試験シーズンがやってきました。すでにお馴染みになってきたかもしれませんが、やっていきます。
2018年 大学入試数学の評価を書いていきます。

入試シーズン中はコメントの返信が大幅に遅れることがあります。ご了承ください。

2018年大学入試シリーズ(国公立)シリーズ。
東北大学(理系)です。

問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。
また☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。





また、解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。

※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。

したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。


同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい、という目安にしてください。





東北大学(理系)
(試験時間150分、6問、記述式)

1.全体総評~後半を中心に計算量が非常に多く難化~

昨年比難化です。前半の2問は標準的で落とせませんが、後半は発想力、計算量がかなり問われます。数学IIIは第5問、第6問から出題。全体的には質量ともに厳し目のセットです。

なお、数学IIIは、3年連続で複素数平面、積分計算でした。



試験時間150分に対し、
標準回答時間は185分。

(過去8年平均時間:166.6分)

2017年:170分

2016年:135分
2015年:178分
2014年:185分
2013年:155分
2012年:170分
2011年:140分
2010年:200分

2.合格ライン

第1問はおさえたい。

第2問も全体のセットを考えると押さえたいが、キー問題でしょう。

第3問もキー問題。ほぼ同じ問題を経験していれば楽勝だが、整数問題は差がつく。

第4問は難しいと思います。(1)の変形を受け入れて(2)(3)に手をつける方法もあり。(2)は押さえたい。

第5問もキー問題。少し抽象的で難しいか。

第6問は斜め回転の典型パターンだが、誘導なし+計算量が非常に多いため、これもキー問題。

2、3、5、6、番から取りやすそうなところから手をつけ、出来れば2完+残りはつまみ食い。


3完+αでも数学では足を引っ張らないと思います。50%強ぐらいでしょうか。

3.各問の難易度

第1問・・・【2次関数+図形と式】2つの放物線の共有点条件、直線の通過領域(B,20分、Lv.2)

全体のセットを考えると、まず落とせない問題。

(1)は判別式Dに触れつつ、解の差は「切り取られる線分」と同じ考え方なので、実際に解を出して引けばOK。

(2)は直線の通過領域なので、こちらの原則になります。

Principle Piece II-60

 グラフの通過領域は解の存在範囲に帰着させる

(拙著シリーズ(白) 数学II 図形と式 p.64-65)

今回は、aに制限もないので、実数解条件のみで解決してしまいます。東北大にしては簡単です。

 

 

※KATSUYAの解答時間8分。(2)は直線ではなく線分にしたほうがむずかくてよかったのではと感じる。

 

第2問・・・【確率】カードの数字の和がn以上になる確率(B、25分、Lv.2)

カードに書かれた数字の和がn以上になる確率。前年は数えまくるタイプでしたが、今年は少し高度な考え方を必要とする問題です。

(1)は余裕なのでスルーでいいですね。p(n)で「nのn乗」って書いた人多そうですけど、ダメです。n回目は何をとってもいいので、「nのn-1乗」が分母になります。ひっかけの意図もありそうですね。

(2)(3)はほぼ同じ考え方の問題で、kのときを考えてΣをとるパターンです。期待値の問題でよく出ますが、ただの確率でも使えます。

Principle Piece A-44

 n絡みの問題 kとなる確率を出してΣを計算

(拙著シリーズ(白) 数学A 確率 p.44)

(2)なら、1回目がkのときに2回目がn-k~nまでのk+1枚が当てはまります。(3)なら、2回の合計がkになるとき((1、k-1)~(k-1、1)のk-1通り)のときに3回目はk+1枚が当てはまるということです。

Σをとって確率を出す問題は経験で差がでそうですね。

※KATSUYAの解答時間9分。パターンなのでただの計算問題ですね。

 

第3問・・・【整数】方程式の解(BC、30分、Lv.2)

方程式の整数解です、同じ問題をどこかで見たような気もしますが、本問は誘導もあるのでたどり着きやすいと思います。いきなり(3)であれば難易度はCDぐらいでしょう。

(1)はまず3^a>1からa>0確定、a>0なら3^a≧3なのでb≧1も確定。

(2)は、3^aを4で割った余りがaの偶奇で分かれるということです。指数なので合同式が分かりやすいですね。

Principle Piece A-65

 整数解問題のアプローチ  積の形を意識する

(拙著シリーズ(白) 数学A 整数 p.45-)

この(1)(2)が、(3)の大きな助けになっています。b=1のときはa=1はいいとして、b≧2で(2)を使います。aが偶数なので、3^a-1を2乗の差として因数分解できるところがポイント。常に積の形に出来ないか、と意識することが大事です。

Principle Piece A-60

 指数にn絡みの余り → 合同式を用いて「≡±1」を見つける

(拙著シリーズ(白) 数学A 整数 p.31)

因数は差が2しかありませんので、(2、4)でないと2以外の因数が入ってしまいますね。

※KATSUYAの解答時間8分。どこの問題かは忘れましたが、ほぼ同じ問題を解いた際の記憶がありました。

☆第4問・・・【三角関数】外接円と内接円の半径比の最大値(C、40分、Lv.3)

三角形の外接円、内接円の半径比の問題で、1/2以下となる事実は有名ですが、本格的に証明をしてくださいということで、(1)に事実が示されていることで、(2)(3)には手をつけられます。

「示せ」と書いてある問題では事実が示されているので、示せなくても、以降はそれを使って解答できるというメリットがあります。大学側もそれを見越しての出題でしょう。

(1)~(3)まで、三角関数の超絶?式変形能力が問われていますね。

(1)は、rの方を面積媒介で表すのですが、辺の長さは2Rsin2αなどと変えておくと、hの計算で「R」が消えて三角関数の式だけになります。ここまではたどり着いた人もいそうです。

ここからが本番。ワークや厚物参考書などでこんな証明問題を見たことはあるかと思います。

A+B+C=180°のとき、sinA+sinB+sinC=4cosA/2・cosB/2・cosC/2 を示せ。

本問は実はこれと同じですが、この事実を示すこと自体を自分で発見しなければいけないということで、難易度大幅UPですね^^; 出来た分数の式と、示すべき式を見て、”結論からお迎え”とチャートで呼ばれている手法を用いるわけですね。

(2)と(3)は、その最大値を求めることに帰着されます。(2)は1つ角度に値を入れれるので、実質1文字になりますので、なんとかなるかと思います。積→和でもできますし、一旦加法定理で展開すると2次の項ばかりなので、こちらの原則でもできます。

Principle Piece II-76

 sinθ cosθ を含む2次式は2θに統一して合成

(拙著シリーズ(白) 数学II 三角関数 p.53-54)

(3)はα+β+γ=90°しかわかりませんので、1文字にはできません。うまく不等式で評価していくしかないでしょう。有名な不等式なのでやり方自体を知っている人もいそうですが、かなりレベル高めの典型パターンです。

正答率、平均点はかなり低そうです。

※KATSUYAの解いた感想
平面ベクトルかな。内分点と交点か。メネラウスにお世話になった方がはやそう^^ (2)は最初迷う。線分の最大値?内積の情報ないけど、、、垂線引いてるし、内積を設定する必要がある?線分最大なら面積最大か!全体との比を出すことでその比を最大にしろということね。解答時間18分。

☆第5問・・・【複素数平面】方程式の解と係数の条件(C、35分、Lv.2)

3年連続で5番が複素数平面です。今年も抽象度が高く、手がつかなかった人も多いかもです。

(1)はzが実数解を持つということなので、そのままα=z+2/z・i とすれば実部と虚部に分かれていますので、xy平面のようにx=z、y=2/z としてzを消去するだけです。

(2)も、z=cosθ+isinθ とおくだけで、αをθの式で表すことができます。それをπ/4回転させるだけなので、実部、虚部ともにsin、cosの式で表せます。どちらにもsin、cosが入っているので戸惑ったかもしれませんが、実部はcosで、虚部はsinで合成すると見えます。

あるいは、sin、cosの連立とみなして、sinθ=●x+■y、cosθ=○x+□y としてsin^2θ+cos^2θ=1 に代入すればOK。

昨年に引き続き抽象度が高く、原則にあてはめにくい問題で難しかったですね。



※KATSUYAの
解答時間19分。(1)の方が実はちょっと考え、結局α=p+qiとおいて方程式に代入し、実部=0、虚部=0でやりました。

☆第6問・・・【積分法の応用】斜回転体の体積(BC、35分、Lv.2)

最後も2年連続で数学IIIの積分が6番で、IIIの微積系統はこの1問。

テーマは斜め回転体で、y=ーx 回転ということもあり、ひな形のパターンといえるぐらい典型問題ですが、東北大では出題が珍しいことと、ほぼノーヒントであること、さらにそもそも計算がかなり煩雑であることから、差がついたでしょう。

 

斜回転体については、こちらの原則さえ頭に入れておけば、求めるべき式を立てるところまでは部分点をしっかり稼げます。

Principle Piece III-80

 斜回転体の求め方 → ∫πh^2dL  hとLをxで表す

(拙著シリーズ(白) 数学III 積分法の応用  p.43 ※大意を変えずに表現は変更しています)


今回は放物線が横向きなので、xではなくy座標基準がいいと思います。y=ーx回転ですから、その方向に軸をとります。「原則の「L」とは、y=ーxをL軸とみなしているということです。」

放物線上の点(2-t^2、t)(←y座標が「t」のとき)からy=ーxに下ろした垂線の足の座標と原点との距離が「L」となります。また、その垂線の長さが「h」となり、これを半径とする円を、L軸方向に積分するわけです。

積分の式はh、Lだけで書けばシンプルですが、h、Lともに「t」の式に変わりますので、tに置換積分をするということです。

あとは計算をコツコツ合わせるだけです。もし時間が余っていれば、かさ形積分(分からない人は拙著など参考書をどうぞ)で検算するのもありです。ただし、今回は区間y:ー1~0とy:0~2で式が変わりますので注意。

※KATSUYAの解答時間24分。式までは原則通りなので作業だったのですが、計算結果がかさ型とあわず、少しロスしてしまいました。斜め回転の計算は、保険のためにかさ型積分も必須と言えそうですね。

4.対策

たまに非常に難しいセットになることが多いですが。例年は標準レベルの問題が出題されます。ひとひねり加えられたり、融合的なものが多いですが、やることは典型的なものが多いです。

頻出分野は微積分、確率、整数問題、図形です。計算量が多いものも出ますので、素早く確実に解けるようにしましょう。

パターン問題を習得したあと、入試問題の表現に数多く触れることが大事ですね。最終段階は入試標準レベルでも大丈夫ですが、不安な場合は仕上げ段階まで行いましょう。

東北大は単科長年タイプのものもありますので、過去問対策はこちらでもいいでしょう。

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