大阪大学 理系 | 2016年大学入試数学
2017/02/24
●2016年度大学入試数学評価を書いていきます。今回は大阪大学(理系)です。
いつもご覧いただきまして、ありがとうございます。 KATSUYAです^^いよいよ、2次試験シーズンがやってきました。すでにお馴染みになってきたかもしれませんが、やっていきます。
2016年 大学入試数学の評価を書いていきます。
2016年大学入試(国公立)シリーズ。
大阪大学(理系)です。
問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。
また☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。
また、解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。
※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。
したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。
同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい、という目安にしてください。
大阪大学(理系)
(試験時間150分、5問、記述式)
1.全体総評
難易度は、昨年とほぼ変化なしか、微易化。完答できるところと、まあまあ取れそうなところに分かれており、全滅になる大問がない分。点数は稼げそうなセットです。微積総合の第3問は易しめで、典型題材も見られました。整数は難しいです。
試験時間150分に対し、
標準回答時間は160分。
2015年:165分
2014年:140分
2013年:145分
2012年:135分
2011年:170分
2010年:135分
だいたい制限時間前後ですので、阪大理系数学は適量と言えます。
2.合格ライン
第1問は文理共通。理系なら規則に気づいてしっかり確保したい。
第2問はキー問題。予選決勝法を迷わず使えて、かつただしく微分計算できたか。
第3問もキー問題。単純な微積総合だが、放物線と円なので差がつきそう。
第4問は難。(1)、(2)は食らいつきたいところだが、(3)は厳しい。
第5問は典型題材なので、ミスなく確保したい。
キー問題片方と第4問の(1)、(2)の勝負になりそうですね。65%ぐらいでしょうか。
3.各問の難易度
☆第1問・・・【数列+確率+三角関数】三角関数、関数列、数列の和、サイコロの目(B,30分、Lv2)
三角関数を題材とした関数列の和に、サイコロの目の確率を加えた融合問題です。確率の導入に多少の無理を感じますが、調査してみないと分かりづらい部分などもあり、うまく融合されています。
(1)で具体的に作業して気づかせて、(2)で予測+帰納法で証明といったところでしょう。三角関数なので、周期性があることにも気づけば、これもできます。
(拙著シリーズ(白) 数学B 数列 p.50-57)
(3)は(2)の帰納法の結果を応用できます。サイコロ2個なので、全調査が早いでしょう。
(拙著シリーズ(白) 数学A 集合と場合の数 p.17-20)
※KATSUYAの解いた感想
なんか約束のふくざつな関数。1/a+1/bってなんだ?(1)は実際に5までやるだけか。ここで規則を発見できればいいわけやな。おし、なんとなくわかったから(2)で帰納法で証明。周期12に気づく。(3)は(2)と同様に、でいいかな。サイコロ2個なら迷わず書き出し。解答時間18分。
☆第2問・・・【微分法】多変数関数の最大値・最小値(B、30分、Lv.2)
多変数関数の最大値・最小値が題材になっていますが、(1)があることで難易度が下がっています。これがなければ、Cでしょう。
まず(1)は、単純に1文字消去で微分して増減調査でいけます。なお、相加・相乗を用いてもできます。メインは(2)で、いわゆる予選決勝法です。x+y=c と固定したときの関数は、少なくとも(1)の結果のときより小さい(予選を通過させる)ということです。ここで、1-4/3zが負であることに気づかないと、(1)では最小なのに、(2)では最大である意味とリンクしないです。一旦符号をひっくり返してもいいですね^^
(1)がなくてもできるようになれば、この手の問題はこわくないです。本問では(2)がいきなり出ても、x+y=cのときの最小値をまず求めるべき。x、yについては対称だからです。
多変数関数に限らず、図形上で2点が動く場合など、分野をまたいで適用できる原則ですね^^
※KATSUYAの解いた感想
問題を両方見て、予選決勝法と確信。(1)は1文字消去で微分。(2)はなんで最大値か、リンクせず。1-4/3zの符号に気づいて、やはり(1)の利用を確信。さすがにそうだよな^^; x+y=cで固定し、z=1-cにして予選通過させて微分。なんか今年、分数関数の微分ばっかりやっているきがする。東大の第1問とか。適度に計算練習になるんよな、これ。解答時間19分。
☆第3問・・・【微積分総合】円と放物線の接点、回転体の体積(B、25分、Lv.2)
今年の積分はこの第3問ですが、ここ数年ではかなり穏やかな積分で、関数自体はただの整式です。(1)のa、b、rを出すほうがメインでしょう。
放物線と円が接するというのは、どちらも(a、b)を通るということと、接線における傾きも等しいということです。
(拙著シリーズ(白)数学III 微分法の応用 p.39~44)
本問では(1)において、その結果がbであることまで与えられていますので、式は3つできます。円のような陰関数の場合は、a,bを代入した式を作りましょう。(2)は(1)が出来れば、丁寧に計算するだけです。回転体なので、2乗すれば円の式も簡単になります^^
※KATSUYAの解いた感想
お、今年の微積総合は割とラクそう^^ 円と放物線だと難しいか、、、いやそうでもないな。原則に従ってaだけにする。まともに3次方程式になるのはいやなので、単調性を述べる+a=1/2なら当たったので(笑)、「これだけ」と言い切って(1)終了。(2)はただの計算。 解答時間13分。
☆第4問・・・【整数】逆数の和、小数部分(D、50分、Lv.3)
整数の論証問題で、(1)、(2)はなんとか手が付くと思いますが、(3)はかなり難しく、試験場では捨て問です。
逆数の和とAnをかけたとき、さらに2^Nを書けることで、全て整数になることはちょっとした考察でわかります。1/2^Nだけは奇数で、あとは偶数になることが分かれば、本問はとけますね^^
(2)は(1)を利用しますが、mが20と互いに素であるとは限りません(偶数かもしれません)ので、N=2と決めるけるのは早計です。(1)を利用して言えることは、N≦2が必要条件であることです。これに、S3だと2を超えないことをあわせて、n=4、5、6、7で絞ります。絞ったら全調査するのが整数の基本ですね^^
(拙著シリーズ(白) 数学A 整数 p.47-48)
(3)は難。何か方法があるわけでもなく、基本的に計算をしていきます。出すのは少数部分なので、確実に整数になるものは全て無視です。ですので、1/奇数は除けます。1/偶数の10個を足し、さらに奇数を全てかけ算したときに、分母(2^N=16)で割ったあまりが分かれば、それが少数部分となります。
まともにかけ算すると天文学的数字になるので、合同式を利用してどんどん小さくしていきましょう。しかし、A20S20とは、ちょっと数字が大きいですね^^;
※KATSUYAの解いた感想
整数問題。(1)をやっていて、数年前にどっかでみたような・・・^^;思い出せんな。まいいや、あとで調べよう。(2)は(1)利用やけど、m偶数かもしれんから、N≦2のみか。n=1~7。多いな。3までだと1超えないからパスして残りを調査。結局m奇数なのね。(3)は最初、何か方法を考えようとするが、うまい方法が見つからない。てか、20個中10個は無視可能やから、10個ぐらいなら通分ガンバると決めて計算。計算過程で、16の合同式利用で済むことに気づく。なるほどな^^ でもちょっと数字でかくないか^^; A12・S12ぐらいでいいような気がするけど。解答時間26分。
第5問・・・【平面図形+ベクトル+極限】正五角形の面積と無限級数(B、25分、Lv.2)
最後の問題で、分野もかなりまたがっていますが、本セットでは最も手のつけやすい問題です。正五角形については、親子の三角形(36、36、72)を作ることで長さの比が作れます。阪大理系受験者でこれを知らない人はいないと思いますので、これはスラスラいけたでしょう。
普段は、18°、36°系の三角関数の求積のための原則として紹介しています。
(拙著シリーズ(白) 数学II 三角関数 p.38)
今回は(1)からして、明らかに[2]のパターンを使うとわかります。内項の積=外項の積の状態です。(2)は、ベクトルをたどるだけです。BE+ECがいいでしょう。
(3)では、yを実際にxで表しておいたほうがいいです。また、求める1辺の長さは、x+x-y (両側から測って全体を引くと、かぶった分が残る)が最も楽ですが、思い浮かばなければ、もう一度(1)と同じことを、サイズを変えてやってもでます。
(4)はだたの無限等比級数ですね。S1で割るというのは、最初の値は必要ないということです。親切ですね^^
※KATSUYAの解いた感想
最後に典型問題きたな。これが一番簡単やろ。今年の阪大は難易がはっきりしている気がする。有名な親子の三角形なので、コツコツ書き続けて終了。解答時間15分。
4.対策
阪大は良問ぞろいです。融合型が多く、分野はまんべんなく出ます。中でも確率、整数、微積は頻出なので、重点演習が必要。昔の傾向からすると、複素数平面は東大や京大に比べると頻度は少ないかもしれませんが、出てないわけではないので油断はできません。
阪大は微積で空間図形のことが多いので、空間図形の演習も必要です。図形的な感覚よりも、数式処理で考察できることを重視しましょう。感覚だけでは、積分計算に持ち込めませんので。
原則の習得は早めに終わらせ、早い段階で入試演習へ移行したいところです。阪大数学は単科長年タイプの本もありますので、傾向つかむ上でも早めに購入しておきましょう。本格的にやるのは秋以降でもOK。先に入試標準レベルまでは最低限行い、できれば仕上げ段階まで行いたいところです。
量をこなす演習:じっくり演習=7:3ぐらいでしょう。
以上です^^
■他年度の、本大学の入試数学■
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■関連する拙著シリーズ■
★ 数学A 集合と場合の数 (第1問)
★ 数学A 確率 (第1問)
★ 数学A 整数 (第4問)
★ 数学A 平面図形 (第5問)
★ 数学II 式と証明 (第2問)
★ 数学II 図形と式 (第3問)
★ 数学II 三角関数 (第1問)
★ 数学II 微分 (第3問)
★ 数学B ベクトル (第5問)
★ 数学B 数列 (第1問)
★ 数学III 極限 (第5問)
★ 数学III 微分法の応用 (第2問)
★ 数学III 積分法の応用 (第3問)
★ 計算0.9【IAIIB】 (計算練習帳です^^)