慶應大学 経済学部 | 2018年大学入試数学

   

●2018年度大学入試数学評価を書いていきます。今回は慶応大学(経済学部A方式)です。 

いつもご覧いただきまして、ありがとうございます。 KATSUYAです^^いよいよ、2次試験シーズンがやってきました。すでにお馴染みになってきたかもしれませんが、やっていきます。
2018年 大学入試数学の評価を書いていきます。

入試シーズン中はコメントの返信が大幅に遅れることがあります。ご了承ください。


2018年大学入試(私大)シリーズ。

慶応大学(経済学部A方式)です。




問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。
また☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。


また、解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。
※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。

したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。


同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい、という目安にしてください。





慶応大学(経済学部A方式)
(試験時間80分、6問、ハイブリッド型)

1.全体総評~難化傾向に歯止めかからず~

2016年、2017年の難易度をそのまま踏襲しています。記述3問を含む6問という設定は、80分という制限時間にはあまりにもアンバランスで、試験時間内におえることはほぼ不可能でしょう。5番のベクトルは2016年に匹敵する難易度で、室的にも理系でも厳しいようなセットです。




試験時間80分に対し、
標準回答時間は165分【141分】(←穴埋め考慮)

はっきり言って多すぎです。80分では解ききれません。私も今年はギリギリ間に合い、2017年、2016年は80分を超えてしまいました。


2017年:160分【133分】(←穴埋め考慮)

2016年:170分【147分】(←穴埋め考慮)

2015年:130分【103分】(←穴埋め考慮)

2.合格ライン

(全科目得点率では、60%強です)

第1問は今年はラクここは落とせない。
第2問は無理に融合させられてやりにくいが、全体を考えるとワンミスぐらいで凌ぎたい。
第3問はキー問題。典型的なパターンだが、文字のため計算が煩雑。計算力勝負。
第4問は(1)(2)を確保。(3)はキー問題。発想力次第な部分あり。
第5問はかなり本格的な空間ベクトルで厳しい。(1)だけもらって諦めたほうがいい。
第6問は時間はかかるが、原則が使えるパターン。残り時間との勝負。早めに手をつければ出来る。


採点のルール上、最初の3問には時間がある程度必要。後半で先に第6問を押さえ、残り時間で第4、5問を取れるだけ取ればなんとか6割ぐらいになるか。



第1問・・・【図形と式】円と直線の共有点、弦など(AB、15分【10分】、Lv.1)

円と直線の問題です。昨年も似たような感じですが、今年の方が簡単。

(1)はいいでしょう。とっとと円の中心と半径を出しておきましょう。(2)は判別式でもよし、dとrの関係でもよしです。

(3)は、実はどちらも∠QPRの情報がわかります。最初は90°ですので、弦の長さが簡単に出せますから、そこから距離dに持っていけばいいわけです。後半は直接角度があるので、弦の長さは出せます。2乗のままでいいみたいなので、そのまま処理しましょう。 15°、75°系統の三角比を知っていれば、2乗しない状態で弦はすぐ出ます。

Principle Piece II-49

 弦の長さはとrと三平方

(拙著シリーズ(白) 数学II 図形と方程式 p.42-44)

 

15°、75°系統の三角比を知っていれば、2乗しない状態で弦はすぐ出ます。 KO経済は15°、75°系統が好きなようです。

第2問・・・【積分+確率】カードと関数、定積分計算(AB、25分【18分】、Lv.1)

かなりムリヤリ合わさっていますが、ただの確率の問題です。

とりあえず4種類の関数について、f(1)と定積分を計算しておけば、積分は用済みです。条件付き確率はこちらの原則ですね。

Principle Piece A-39

 条件付き確率の計算 分母は「とき」の手前 分子は「とき」の前後

(拙著シリーズ(白) 数学A 確率 p.32)

(2)以降のほうがラクかと。x=0とx=2を代入して、両方とも大小関係が一致する関数どうしとなります。

(3)も前半は取り出したものを戻すだけなので(2)とほとんど同じ。後半ですが、4つの関数のトーナメント(4C2=6組について、0≦x≦2についての様子を調べる)を全てやる必要はありません。実は前半がヒントで、x=0、x=2の両方で大きくないとだめなので、考える組み合わせは2通りでOK。

うまく時短したかったですね。

 

☆第3問・・・【数列】漸化式、等差×等比の和(B、35分【23分】、Lv.2)

パターンの漸化式や和の計算ですが、文字が多く煩雑な計算のある数列です。

まずはSn絡みの漸化式を原則で紐解きましょう。

 

Principle Piece B-17

 Snとanの漸化式 1つずらして辺々引く

(拙著シリーズ(白) 数学B 数列 p.38-39)

出来た漸化式は指数を含みます。

 Principle Piece B-13

 指数型漸化式 両辺をn+1乗で割る

(拙著シリーズ(白) 数学B 数列 p.32)

今回は割ると等差数列になります。問題文にもあります。漸化式をたくさん演習してる人は、逆にここから、穴埋め(32)=1 と分かっちゃいます。

和は等差×等比で計算してもいいですが、最初のSnの式に入れるのがいいでしょう。

(2)は、2次式×(等比)となります。こちらの原則を用いましょう。

 Principle Piece B-6

 n次式×等比数列 n回、S-公比Sを考える

(拙著シリーズ(白) 数学B 数列 p.20-22)

2回階差をとれば、2次式は定数項になりますので、等比数列の和となります。ただし本問は、1次式×等比数列の和として出てますので、TnーrTnを考えれば、Snがどこかに現れるはずです。その誘導になっています。

(3)の計算はメンドウですが、n=1,2ぐらいを入れて、a1、a1+a2と一致することで検算できますので、なんとか合わせたいですね。


第4問・・・【指数関数・対数関数】指数方程式、指数関数計算(B、20分、Lv.2)

指数関数・対数関数ですが、(1)の方程式は適度に複雑になっており、よく思いついたな、という形をしています。

対数方程式の基本はこちらの2つの原則のどちらを使うか、判断することです。

 Principle Piece II-88

 対数方程式1 足し算なら底をそろえて1つにまとめる

(拙著シリーズ(白) 数学II 指数関数・対数関数 p.20-22)

 Principle Piece II-89

 対数方程式2 掛け算なら対数を置き換える

(拙著シリーズ(白) 数学II 指数関数・対数関数 p.20-22)

今回は原則88の方になりますね。出来た式で、2^x=t とでも置きかえるとtの3次式に整理できます。

(2)はただの計算です。(3)のヒントにして欲しかったのかもしれませんが、あまりヒントにはなっていないと思います。

その(3)ですが、発想力も必要かと思います。例えば、f(α+β)の項を出すには、f(α)f(β)、g(α)g(β)などの積を計算しないと、符号を含めて一致しません。そこで余計な項に着目すると、符号だけ違ったので、足せばOKだったわけですね。

☆第5問・・・【空間ベクトル】円錐に2点で接する球(CD、40分、Lv.3)

本セット最難で、理工の空間ベクトルよりも点数になりにくい難易度です。円錐の軸が斜めであることから、非常にイメージしにくくなっています。原則が極端に使いづらくなるような設定で、受験生としては「だったら解かない」の姿勢で飛ばしてもOKな問題でしょう。これを解けなくでもディスアドバンテージには全くなりません。

(1)はいいと思います。球面上の点だと考えにくいので、中心との距離±r で最大・最小を出すんでしたね。

(2)からはかなり難しいと思います。このようなときこと、どこまで根本的な原則に戻れるかです。

まず、円錐と球ですから、こちらの原則で断面図を書くところからです。

 Principle Piece I-53

 球を含む立体では、球の中心を通る平面で切断

(拙著シリーズ(白) 数学I 三角比 p.40)

円錐の底面の中心と、球の中心を通る平面で切ると、円と二等辺三角形になります。底辺と、もう1辺で接するような状況の図になるわけです。底辺の垂直二等分線が「直線 l」となります。

(1)の際に、最小となる座標(Hとする)も分かるので、AHがわかり、OPとAHが平行なので、長さを調節すればOPの成分も出せます。Qは難しいです。成分は3つなので、条件を3つ探します。こちらの考え方です。根本に立ち返ります。

 ULTIMATE Principle Piece

 条件式1つにつき、文字は1つ減る

OQ=1であること、AQ⊥OQ であることまでは気づきます。最後は、切断した平面上にあるということです。従って、まず平面上の条件で、どれか2つベクトルを使います。OAとOH、OAとOPとかがよさそうですね。これの係数で2文字設定し、残りの2条件で連立すればOKでした。

最後は円錐の体積となりますが、底面の半径を出すことがメインになります。断面の二等辺三角形を「直線 l」で2分割し、三平方の定理で出す方法が早そうです。

なかなかない題材で、(2)以降がかなり厳しいですね。

 

☆第6問・・・【複素数と方程式+微分法】関数の決定、接線の本数(B、30分、Lv.2)

最後は微分法からです。今年は積分なしでした。最初に関数を決定するための問題があります。ここをミスると全滅なので、(1)に細心の注意が必要なパターンです。

最初は、同じF(x)が xP(x)=(x-1)Q(x) となるので、P(x)=(x-1)A(x)、Q(x)=xA(x) と置けると考えればOK。(3x=5yのとき、3と5が互いに素なので、x=5k、y=3k と書くのと同じ要領です。)

Aが定数項、1次、2次・・・と増やして言って、次数が低いものを採用すればOK。A(x)は1次で、F(x)は3次ですね。

 

(2)はただの接線なのでスルー。(3)は接線の本数なので、こちらの原則を用います。

Principle Piece II-109

 接線の本数は接点をおいて解の個数へ帰着

(拙著シリーズ(白) 数学II 微分法(2冊目) p8-10)

3次関数の解の個数は定数分離が基本ですが、s、tの2文字あるとそれは出来ませんので、より一般的な方法を用いることになります。

Principle Piece II-106

 f(x)=0の解の個数は、f'(x)=0の判別式と極値の積で決まる

(拙著シリーズ(白) 数学II 微分法(2冊目) p8-10)

f’(x)=0の解が2個ないときは(D≦0のときは)、f(x)は単調なので解1個です。2個あるときは、極値があります。その片方が0であれば、x軸と1つは接する、1つは交わることになりますので、2個あります。

なお、条件式は元の関数そのものと、変曲点における接線の方程式が出るはずです。拙著シリーズの微分法(数II)で研究題を解いている人にとっては、接線1本、2本、3本で全部領域化する練習をしていますので、視覚的にも知っていれば余裕のサービス問題でしたね^^

4.対策~IIB中心に、計算力上げつつパターン問題を素早く解く練習を~

分野としてはIIB+確率、という感じ。確率は今年は出ていませんが、これらの分野の重点的な演習をしましょう。

図形問題は融合が多く、図形的な考察が途中で必要な問題も多いので、単なる数式処理で出来るものではなく、総合的な図形問題に触れておきましょう。青チャートできちんと演習を積んでおけば、大丈夫です。有名なパターン問題はそのまま自分のものにいしていきましょう。

レベル的には入試標準レベルの演習まで行い、過去問に接続すればいいと思います。

量をこなす演習:じっくり演習=8:2ぐらいで、直前には7:3にしたいですね。

以上です^^

■他年度の、本大学の入試数学■

>> 2010年度

>> 2015年度

>> 2016年度

>> 2017年度



■関連する拙著シリーズ■

★ 数学A 確率 (第2問)

★ 数学II 複素数と方程式 (第6問)

★ 数学II 図形と式 (第1問)

★ 数学II 指数関数・対数関数 (第4問)

★ 数学II 微分 (第2問)

★ 数学II 積分 (第2問)

★ 数学B ベクトル (第5問)

★ 数学B 数列 (第3問)

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