同志社大学 全学部文系 | 2020年大学入試数学
2020/02/08
●2020年度大学入試数学評価を書いていきます。今回は同志社大学(全学部文系)です。
2020年大学入試(私大)シリーズ。
同志社大学(全学部文系)です。
問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。
また☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。
解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。
※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。
したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。
同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい、という目安にしてください。
同志社大学(全学部文系)
(試験時間75分、3問、ハイブリッド型)
※ハイブリッド型とは、穴埋め型と記述式の混合型のことです。
1.全体総評~ここ最近では最も穏やかなのでは~
易化です。ここ数年では計算量もかなり減り、最も穏やかなセットではないでしょうか。
第2問は整数と数列が絡んでいますが、題材としてはかなりやさしめです。第3問の微積は文字が絡む計算をしますが、典型的な部分の面積なので本学受験者なら演習ずみでしょう。全体としては難易度が下がったと思います。
試験時間75分に対し、
標準解答時間は80分【64分】(←穴埋め考慮) 今年は久しぶりに余裕がありそうです。
2019年は90分【75分】(←穴埋め考慮)
2018年は103分【90分】(←穴埋め考慮)
2017年は113分【98分】(←穴埋め考慮)
2016年は110分【91分】(←穴埋め考慮)
2015年は101分【85分】(←穴埋め考慮)
2.合格ライン
第1問がキー問題。今回はここが最難問だと思います。(1)の微分はひねりが多い。(2)も計算は思ったよりずっと多いでしょう。
第2問は今年は易しめ。しっかり確保したいところ。
第3問はもキー問題。文字が絡む面積ですが、典型的な部分の面積で同志社文系では3年連続ですし、対策済みを期待したいところですが、、、
第2問は確保し、第1問と第3問で1完以上分ぐらいはしっかり確保したい。今年は70%は欲しいところです。
3.各問の難易度
☆第1問(1)・・・【微分】関数方程式、極値から3次関数の決定(B、20分【12分】、Lv2)
一見すると何の問題なのかよく分かりませんが、3次関数の係数決定の問題です。
最初の関数方程式で決まるのは3次の係数と2次の係数までで、1次の係数や定数項は後半の条件で決めていくという流れです。
最初の関数方程式は、数列的には第2階差数列のような形をしていますので、第1階差数列的な関数F(x)を導入すると、その階差F(x)-F(x-1)が6x-2と分かります。また、階差を取るだびに次数は1下がるので、元の関数f(x)は2次上がって3次となります。順番的には、「ウ」を出せば分かることです。
階差をとると定数項部分が消える関係で決定できないので、F(x)は定数項が、f(x)はそれに伴って1次の係数や定数項が未知数となってきます。この未知数(a,b)を、極値条件で決めます。
x=2で「極値を取る」ことと、x=2で「-24を取る」ことの2つを条件式にしましょう。
☆第1問(2)・・・【確率】くじ引き、確率の最大値(BC、20分【12分】、Lv.2)
くじ引き型の確率ですが、思ったより骨の折れる確率です。しょっぱなからまあまあ計算させられます。同志社の確率は理系、文系ともに常にあなどれないレベルで出題される傾向にあります。
教科書にあるようなタイプであれば5/10×4/9×・・・のような1つずらしの分数の掛け算で解決しますが、本問はこの考え方ではかなり厳しいです。並べ替えの考え方がいいかと思います。
当たり(あ)が5つ、はずれ(は)5つの10個「あああああははははは」の並べ替えと考えます。全252通りのうち、最初は。2個めの「あ」が何番目にある場合が一番多いかです。確率ベースでなく、場合の数ベースがいいかと。
{あ1個、はn-2個}、あ、{あ3個、は7-n個}という並びになります。{ }内は並べ替え可能なので、この場合の数は(n-1)×6(10-n)(9-n)(8-n)となります。これの最大値となります。(原則的にはP(n)とP(n+1)の比と1との大小比較で求めていくことになりますが、n=2~7なので、代入して求めた方が速いと思います。5個めの「あ」も同様に計算しましょう。
後半もこの考えかたがいいかと思います。「ク」は、くじびきは順番関係ないので、全員1/2です。「ケコ」は、先ほどと同じ様に考えればOK。nに具体的に数が入っているので、こちらのほうがラクだと思います。
くじ引きを並べ替えで考えるやり方は、どこかで演習したことがないと発想としては難しいですね。
※KATSUYAは合計12分で解いています。第1問は難しいですが、それでも普段よりはマシになっているかも。昨年がここで16分かかってるので。
☆第2問・・・【数列+整数】約数の個数と総和、数列の和(AB、15分、Lv.1)
今年も第2問は整数+数列ですが、難易度は「超易化」といってもいいでしょう。
平方数であれば約数の個数が奇数であるというのは、ある程度の量をこなしている人であれば自然と身に付いている知識(のはず!)です。中学入試でもこの性質を利用した問題はよく見かけます。
(1)(2)は公式通りです。(2)では等比の公式にあてはめましょう。
(3)(4)あたりで先ほどの平方数が絡むのですが、約数の個数が奇数→(a+1)(b+1)・・・など積が奇数→因数が全て奇数→a,b,・・・・は全て偶数という流れです。(4)は(3)から直ちに結論付けるのはちょっと飛躍がありますので、ある程度きちんど議論したほうがいいでしょう。
(5)は2乗の和を計算するだけです。年号絡みでは、45×45=2025は基本知識です。しばらく使えます(笑)
※KATSUYAの解答時間は7分です。えらい簡単やな。平方数になることはさすがに知っているのでは?かなり難易度下がったかな。ほぼ作業のように書いて終了。
第3問・・・【微積分総合】円周上の点から放物線に引いた2接線と面積の最大値(B、25分、Lv.2)
単位円上の点から放物線に2接線を引く問題。放物線と接線が絡むのはこれで3年連続です。ですので、本問のレベルでも同志社文系受験者は対策済みを期待したいところです。
(1)は放物線の下側にあるということでもいいような気もしますが、どうせ(2)で接線が(cosθ、sinθ)を通るという式を立てますので、(1)から立てておけばいいのでしょうね。
接する問題では、まず接点を置くことが大原則です。また、接線の本数は、解の個数に帰着させましょう。
(2)では、(1)で立てた式の2解がq、rになることを利用します。面積は放物線と接線が絡むので、こちらの原則をおもいっきり使えます。3年連続のままなので、掲載しておきます。
あとはr-qを、解と係数の関係を利用して三角関数に変えましょう。こちらもよくあるパターンです。最後は、三角関数の部分を最大にすればOK。平方完成すればOKですね。
※KATSUYAの解答時間は12分です。この面積計算は結果が分かっているだけに、答案を書くのは本当にただの作業になってしまいますね。
4.対策~数学Bを中心にまんべんなく対策を~
分野はまんべんなく、幅広くです。あまり絞らないほうがいいでしょう。微積を筆頭に、数B、確率(場合の数が多い?)は割と出ます。問題のレベルは標準~応用といったところですが、文系だからといって舐めていると痛い目に合うタイプの問題です。パターン問題が単問で解けるレベルでは少し足りません。融合された模試タイプの問題に対応できるようになっておきましょう。
文系ですが、きちんと点数を確保したいのであれば、入試標準演習の段階までやったほうがいいでしょう。入試問題を通して、難しいタイプのものを、誘導できざんで解いていく練習をする必要があります。
量をこなす演習:じっくり演習=8:2ぐらいですね。
以上です^^
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