東京大学 理系 | 2017年大学入試数学
2022/05/29
●2017年度大学入試数学評価を書いていきます。今回東京大学(理系)です。
いつもご覧いただきまして、ありがとうございます。 KATSUYAです^^いよいよ、2次試験シーズンがやってきました。すでにお馴染みになってきたかもしれませんが、やっていきます。
2017年 大学入試数学の評価を書いていきます。
入試シーズン中は、コメントの返信が大幅に遅れることがあります。ご了承ください。未返信のものがこちらで分かるように一時的に承認しておりませんが、返信とともに承認いたします。
2017年大学入試(国公立)シリーズ。
東京大学(理系)です。
やっぱり最初はここですね^^
問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。
また☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。
また、解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。
※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。
したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。
同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい、という目安にしてください。
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Principle Pieceシリーズの販売を再開しました^^ 原則習得のための参考書です。
YouTube開設しました。 個人的に紹介したい大学入試数学を中心に解法や発想を動画にしてみようと思います。
東京大学(理系)
(試験時間150分、6問、記述式)
1.全体総評~計算量も少なく、ハイレベルな発想もほぼ不要で易化~
今年は明らかに易化しました。最後の第6問はいつもどおり比較的難しい空間+体積の問題がありましたが、それ以外がいたって標準的な問題が多く、まあまあな演習量で処理できてしまう問題ばかりで、数学が得意な人には不利な試験だったかもしれません。なお、昨年は6問中4問が数学IIIでしたが、今年は逆に2問だけ。
試験時間150分に対し、
標準回答時間は165分。
2016年:205分
2015年:215分
2014年:205分
2013年:205分
2012年:205分
2011年:195分
2010年:200分
ここ2010年以来で最も簡単と言えますね。
2.合格ライン
第1問はただの三角関数と2次関数で軸分け。
第2問の確率も普段に比べるとかなりラクで抑えたい。
第3問の複素数平面はキー問題。直線ではなく「線分上」という処理をどうするか。
第4問は文理共通の整数+数列。理系なら抑えたいが、(4)は発想力も必要。
第5問はただの重解条件のオンパレードで、計算が少し複雑なだけ。抑えたい。
第6問は唯一難しい問題で、これはこれで差がつきにくい。完答は難しい。
第1問~第5問がとれ、第6問が微妙、という人がほとんどなのではないでしょうか。あまり得意でない人でも、5割取れてしまいますので、65%ぐらいは最低でも欲しい。
理Ⅲはこれなら5完しておかないとマズイかも。
3.各問の難易度
第1問・・・【三角関数+2次関数】倍角、3倍角、最小値条件(B,20分、Lv.1)
一見複雑そうに見えますが、ただの三角関数と2次関数の融合です。
(1)でg(θ)の分子が因数分解できることに気づけないとお手上げに近いですが、本学の理系受験者であればさすがに大丈夫でしょう。なお、3倍角は証明なしでも減点されないと思います。
(2)では、2次関数の軸分けの問題に帰着できますので、場合わけです。下に凸で最小値なので、3パターンですね。本学受験者には、余計なお世話と言われそうな原則です。
(拙著シリーズ(白) 数学I 2次関数 p.29)
なお、g(θ)は端っこが定義されていないので、軸が定義域内に入っていないと最小値がありません。この点に注意しておけば大丈夫だったはずです。引っかかった人もいるかと思いますが、g(θ)の約分がポイントのなずはので、それによる大幅な減点はないかと思われます。
※KATSUYAの解いた感想
式、ごついけどlimもついてないし、数学IIIではなさそう?cosを置き換えて割るんか。g(θ)は分母がcosθーcos0やから、因数分解できそうやな。分子に因数定理と組立除法を使って割る。OK^^ (2)ただの軸分け。文系用だわ。 解答時間11分。
第2問・・・【確率】ランダムウォーク、反復試行(点の移動)(B、25分、Lv.2)
今年も、漸化式等を用いない確率でしたが、昨年よりもさらに簡単だと思われます。「n」絡みでもなく、6秒後を聞いているので、地道に調査しつつ規則をつかむ方法でもいけましたね。
(1)、(2)ともに6秒後なので、6秒後にどこにいるかを最初に表しておくとよかったと思います。それぞれの方向の移動をa,b,c,d回とでも置けば見通しがよいです。
(拙著シリーズ(白) 数学A 確率 p.21)
(1)は結局、a+c=3、b+d=3となります。これらは独立なので、上または右に3回、それ以外で3回とすれば2種類の反復試行として扱えますが、4種類として全調査してもたいしたことはありません。
(2)も、a=cかつb=dとなります。合わせて6回なので、a+b=3が加わります。これも反復試行で行けます。ちょっと簡単すぎますね。
※KATSUYAの解いた感想
確率、確率と。えーと、6秒後ばっかりやから漸化式ではないな。移動の仕方は・・・単純^^; 昨年出来悪かったんかな。なんか簡単すぎる気がする。どっちも6秒後やから、a,b,c,dで先に座標だすかな。(1)、(2)ともに条件式を出し、満たす組み合わせを考える。(1)はまとめて反復試行可能。(2)は地道に調査。2の累乗を知ってれば計算もほとんど不要。解答時間14分。今年は後がムズイ??
第3問・・・【複素数平面】軌跡、反転(B、25分、Lv.2)
反転を題材とした問題です。(1)をうまく利用すれば(2)がかなりすんなり行けますが、利用に気づかないと「線分」という部分での処理に迷うところです。なお、今年の早稲田理工にこれより2段階ぐらい難しい反転の類題があります。
反転に限らず、変換にともなう軌跡はこちらの原則で処理できます。本問は式も単純なので、気づくでしょう。
(拙著シリーズ(白) 数学III 複素数平面 p.55-56)
垂直二等分線の式は、「2点からの距離が等しい」は大丈夫ですね。これは教科書レベルです。(2)は、問題の線分が0と-1の垂直二等分線であることを利用すると、α=ー1を代入すれば(1)の結果を使えます。
線分上については、それ以外の直線上だと|z|>1なので、線分上では「|z|≦1」としておけばよかったですね。
(1)の利用に気づかない場合は単純にw=x+yiとおいて数学IIの軌跡の問題として解くことになりますが、やはり線分上の処理には上記を用いるのが早いでしょう。
※KATSUYAの解いた感想
複素数平面は、、、あまり数値が入っていないな。数値が入ってない問題、今年多い気がする。(1)は垂直二等分線なのでそのまま式にし、原則にしたがって終了。(2)は(1)が使えそうで、すぐに円周は出せる。「線分上」の処理は・・・絶対値の調査でいけるな。解答時間13分。んー、今年は取りやすい問題が続くな。
第4問・・・【数列+整数】3項間漸化式、数学的帰納法、最大公約数(BC、25分、Lv.2)
東大の頻出分野である整数問題です。数列と絡んでいることも東大の特徴ですが、今年は結構ラクに解けてしまいまそうです。pの値をまともに使うのは(1)ぐらいですね。
(1)はいいでしょう。a_2=18です。14にした人、いませんよね。対称式っぽいですが、a_1は後ろがマイナスなので気をつけましょう。
(2)は、帰納法(オトトイ法)などでよくやる展開ですので、これも比較的すんなりできると思います。
(3)は帰納法を使うまでもないような気もしますが、わざわざ(3)にしてあるので、一応きちんとやっておいたほうがいいでしょう。メインは(4)なので、あんまり減点されないと思いますが。
帰納法を用いることに気づかない人は、本学受験者ではいないですよね。数列もありますし。
(拙著シリーズ(白) 数学B 数列 p.50-57)
(4)は発想力、というか一度でもこのような見方をしたことがないと難しいかもしれませんが、(2)の式を変形するとa_n+1=4a_n+a_n-1 となります。これを、「a_n+1をanで割ると商が4で余りがa_n-1」と見れれば、こちらの勝ちです。、ユークリッドの互除法で、結局a_2とa_1の最大公約数と分かります。
※KATSUYAの解いた感想
整数問題かな。最後に最大公約数ってあるし。p=2+√5はたぶんあんまり使わないと思われる。(1)はまともに出す。(2)からはpのまま行けるな。(3)これに帰納法使う?大げさかな。でもわざわざあるんなら、一応やっておくか。(4)は上記のように見て終了。最後は経験ないと思いつかいないか。でも東大にしてはかなり簡単。解答時間7分。
第5問・・・【微分法or図形と式+2次関数】2放物線の共通接線(B、25分、Lv.2)
y軸が軸の放物線と、x軸が軸の放物線。数学IIIの式と曲線でも絡むのかと思いきや、ただの重解条件のオンパレードで連立するだけで、文字の処理に慣れていれば適当に進めても解けてしまいそうです。
(1)は、y=ax+bが両方の放物線と連立して重解になるという式を立てればOK。a,b,kの3文字に対して2つ式がありますから、aを残せということです。数学の基本中の基本の考え方こそ、常に大事です。
(2)はa=2とのことなので、kが出せます。このkを代入して、今度はa,bの連立方程式を解きます。なお、aは2以外にもあるはずなので、a=2は最初に代入しないように。まずkを決めることで放物線を決定すれば、共通接線は全て決まるはずです。
a=2が解に入ることが分かっているので、aだけの式にしたほうが検算しやすいですね^^ 上記の究極原則さえ分かっていれば、いつの間にか終わっていそうな問題でした。
※KATSUYAの解いた感想
ん?横の放物線もあるから数IIIかな。いや、違うわ。ただの重解問題だわ。(1)式立てるだけだよな。3文字あって2つだからaで表せるしな。これでOKでしょ。(2)はa=2なのでkが来まる。aは他にもあるから、kだけ代入してa,bの連立。a=2が解にならず、見直すと(1)でミスしてた。こっからやり直しか。まあ仕方がないな。もう一度計算しなおし、a=2が出たので安心。ロスして解答時間22分。
第6問・・・【積分法の応用】空間座標、条件を満たす線分の通過領域の体積(C、45分、Lv.2)
本セット最難問、というか今年はこれ以外は取れて、これだけ取れない、というぐらい難易度に差があります。
(1)はQの位置も分かりやすく、Pも簡単に分かりますので、いいでしょう。(2)は難しかったでしょうか。OQが変わるたびにPの場所も変わり、OQという回転軸も変わりますが、そもそもQが「x軸回転」するということですので、x軸断面を考えるとうまくいったと思います。
(1)におけるOPの領域は円錐面です。Qの回転に伴ってこの円錐面もx軸回転させたものが求める立体になりますが、その立体のx=tにおける断面は、こちらの原則を使うべきでしたね。
(拙著シリーズ(白) 数学III 積分法の応用 p.46)
本問はz軸回転ではないのでは?と言われそうですが、拙著にはこれがどのようなタイプの回転体の時か、きちんと書いてありますので、そちらを参照してください。長いのでそう名付けているだけです。
先に円錐面を切断します。円錐面をx、y、zの式で表すことについては、東大理系受験者であればできる必要があります。2013年にほぼ同じ考え方をする(そう考えなくてもできますが、別解研究をしていれば必ず出会う)回転体がありましたので。
これをx=tで切れば、あとは積分するだけです。断面はドーナツ型になります。拙著をお持ちの場合は、ドーナツ型の断面の求積はお手ものものですね。
※KATSUYAの解いた感想
なんかずっと簡単やったな。今年。ちょっと最後ぐらいは骨があるやつを。。。空間+体積やからこれは考えれそう。(1)はさくっと終了。(2)は、結構むずそう。まずはOPがどんな感じでどこを動くのかざっくり想像し、考える。(1)のときのOPがこうやってz軸回転してこれは円錐面やな。で、Qが動くとどうなる?Qは結局x軸回転やから、この円錐面がx軸回転するのか!なるほど、じゃあ先に切断。x=tでの円錐面の切断式を出すために、円錐面をx、y、zで。前も東大であったな、これ。やっぱ似たの出すよなー、などと思いながら断面積を出し、積分して終了。解答時間30分。
4.対策
頻出分野は確率、整数、微積。東大は複素数平面が昔好きだったので、今後はこれに仲間入りするでしょうから、6問中4問は分野が確定していると思えば、他の大学より勉強しやすいです。ただし、原則習得はもちろんのこと、入試演習も数多くこなしつつ、質の高い問題演習は解説や別解の研究もして、本質的な理解と幅広い視点を養うことが求められます。
なお、今年はここ数年ではかなり簡単な方なので、今年レベルでの対策は少々危険です。早い段階で解かなくてもいいので数年分見て、難易度(到達しなければならないレベル)を肌で感じておきましょう。
お尋ね者の大学なので、対策本もばっちりあります。単科長年タイプは25年分、全科目タイプでも7年分です。
東大の数学は良問が多く、解法研究の格好の的にされていますので、他にもたくさん本があります。
量をこなす演習:じっくり演習=6:4ぐらいでしょう。
以上です^^
■他年度の、本大学の入試数学■
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YouTube開設しました。 個人的に紹介したい大学入試数学を中心に解法や発想を動画にしてみようと思います。