東京大学 理系 数学 | 2016年大学入試数学

      2022/05/29

●2016年度大学入試数学評価を書いていきます。今回東京大学(理系)です。

いつもご覧いただきまして、ありがとうございます。 KATSUYAです^^いよいよ、2次試験シーズンがやってきました。すでにお馴染みになってきたかもしれませんが、やっていきます。
2016年 大学入試数学の評価を書いていきます。


2016年大学入試(国公立)シリーズ、第1弾。

東京大学(理系)です。

やっぱり最初はここですね^^

問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。
また☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。



また、解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。

※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。

したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。


同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい、という目安にしてください。

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YouTube開設しました。 個人的に紹介したい大学入試数学を中心に解法や発想を動画にしてみようと思います。





東京大学(理系)
(試験時間150分、6問、記述式)

 

1.全体総評~数学IIIの割合が高いが、手はつけやすい~

昨年並みです。昨年よりも途中までは手が付けやすそうな問題が多いです。小問がある問題もない問題も、方針を謝る可能性は低く、部分点が稼げそうです。逆に、完答するには第6問をはじめかなりの実力が必要で、「どれもそこそこ手をつける」ことで6割を稼ぎにいけそうです。なお、6問中4問が数学IIIでした。あとは整数と確率。



試験時間150分に対し、
標準回答時間は205分。
2015年:215分
2014年:205分
2013年:205分
2012年:205分
2011年:195分
2010年:200分

ここ5、6年は安定して難易度が高いままですね^^;

 

2.合格ライン

第1問はキー問題。ただの微分だが、極限を考えないと出来ない点に注意。
第2問の確率もキー問題。漸化式で解くわけではないので、そこに執着するとアウト。なお、KO薬学部とネタが全く同じなことは特筆すべき点か。
第3問は最も完答できそうな問題。他を考えると、ここは欲しい。
第4問の複素数平面もキー問題。典型問題ではないが、難しいわけではないので、差が付くと思われます。
第5問の整数は細かい評価が必要。(3)だけ別枠だが、それに気づかず諦めるパターンか。
第6問はきつい。時間的にも、完答は難しい。

第3問+第1、2、4、5問で合計2、5完分あればなんとかなりそう。


60%ぐらいでしょうか。理Ⅲはキー問題を2問おさえたい。70%弱ぐらい。

3.各問の難易度

第1問・・・【微分法の応用】不等式の証明(BC,30分、Lv2)

ただの不等式の証明で、やることも差をとって微分ですが、今回は中辺が「e」という定数なので、微分するとすぐなくなりますけどね^^;

 

Principle Piece III-40

不等式は差をとって微分

(拙著シリーズ(白) 数学III 微分法の応用 p.44-47)


また、今回は「関数の関数乗」なので、微分する際には対数微分法で行います。

 

Principle Piece III-25

対数微分法は次の時に使う
[1] 関数の関数乗
[2] 次数の大きい分数式

(拙著シリーズ(白) 数学III 微分法 p.20-21)


また、どちらの不等式も、1度微分しただけではlogと正式が残ります。そのようなときは、もういっちょ微分しましょう。

Principle Piece III-39

微分しても分からなければもう一度微分

(拙著シリーズ(白) 数学III 微分法の応用 p.41-42)


2階微分は正負が決まりますので、1階微分の単超性が分かります。今回はこれと、∞の極限、あるいはゼロの極限を合わせることで、1階微分が正か負かを決めます。さらに最後も、極限を合わせる必要があります。

「単調増加で∞の極限がeなら、eより小さい」といった具合です。少し捻りがありますね。

※KATSUYAの解いた感想
eの定義が極限ということもあるので、極限と合わせることはなんとなく察しがついた。前半は単調増加+∞でe、後半は単調減少+∞でe、って感じのはず。2階微分し、お決まりの流れで終了。単調で上に有界なら、それ未満って、高校数学でありやっけ?ま、意味からしてOKやろ^^ 解答時間20分。

第2問・・・【確率】3つ巴戦の確率、条件付き確率(B、35分、Lv.2)

今年の確率は、漸化式を用いない方法で、確率の超基本である「分からなければ試してみる」という地道な調査を行えたかどうかで出来がわかれる問題です。

ULTIMATE Principle Piece 

n絡みで分からなければ小さい数字で試す

なお、今年のKO薬学部でもまったく同じネタの問題がありました。ほんブログで見ていた人は、かなりお得だったかもしれません。ネタが同じなので考え方も全く同じで、従って(1)と(2)の前半まではスラスラ行けてしまいます。

(1)では、Aが勝つための「勝ち、負け、待機」の配列は、実はかなり固定されるということで、nが3の倍数のときには勝てません。従って、3で割った余りで分けるか、あるいはAが勝つための配列を書けばOKです。

(2)の「3m」という設定からしても明らかにその意図があります。4、7、・・・3m-1回目で勝つ場合(1回目は入れちゃダメ!)と、2、5、8、・・・3m-2回目で勝つ場合に分けて計算します。最後の相手がBなのは、実は上の場合のみ全てですので、条件付き確率としては大したことはありません。それに気づくかどうかのほうを見ているのでしょう。

※KATSUYAの解いた感想
ん・・・?あ、えー!どっかで見たわ。KOやったかな。完全に同じ。確かあんとき、、、3つおきにあった気がするから、3で分けるほうがいいな。配列はほぼ覚えており、さくっと計算できてしまった。(2)はBが対戦相手になるときを考えるだけか。4回目と5回目で試すと、対戦相手が固定されていくことに気づき、こちらもさくっと計算して終了。解答時間16分。KO受けた人(見た人)、超有利やん。

第3問・・・【微分法の応用】面積の最小値(B、30分、Lv.2)

本セットでは最もすんなり行く問題です。空間における直線上の点ですから、もちろんベクトルで攻めます。「1-t、t」と置くパターンですね^^

R1~R3の座標は文字「a」が残りますが、楽に求められます。この三角形は直角三角形ですので、実は面積も簡単に出せます。R3がR1,R2よりも左にあることは断っておきましょう。

面積は単純に微分して終了です。ちょっと次数大きいですが、東大理系ならこれぐらいはスラスラいきたい。


※KATSUYAの解いた感想
空間ベクトルか。ベクトルなんとなく出そうな気がしたけど^^; 直線と平面の交点なので、1-t、tでおいてz=0でtを出す。これ3回もやるのね。座標3つだす。ただの直角三角形やんけ^^; 面積出して微分して終了。てか、また微分?しかも分数関数。第1問とやること似すぎ。ちょっとバランス悪いな。解答時間19分。

第4問・・・【複素数平面】鋭角三角形になる条件(B、25分、Lv.2)

新課程から出ました、複素数平面です。昔も東大は複素数平面を好んで出していたので、本単元は要注意です。今回は東大としては穏やかで、標準的。

ただ、典型的な手法を使うというよりは、図形的な意味とあわせて捉えるか、いっそのことx+yiとおいて座標的に計算するかの2択だと思います。要するに、複素数平面の問題とは言い難いタイプ、ということです^^;

どちらかの手法を取ったと思いますので、途中まででも部分点は入りやすそうですね。

複素数で攻めるなら、1-z/z^2-zなどの偏角の絶対値がπ/2未満⇔(実部が正)を用いますが、結局x+yiと途中で置き換えるほうが速いと気づきます^^;

 

※KATSUYAの解いた感想
お、複素数平面来た^^ でもなんか数字ほとんどないな。条件的には、偏角でせめて見るか。ーz、1+zの実部が0以上はすぐ。残りは1+z/zの実部・・・x+yiでおいたほうが速いなこりゃ^^;どうせ図示するんやし。最初から全部おき、実部条件で領域を出して終了。解答時間14分。

第5問・・・【整数】10進小数と不等式評価、無理数と有理数(C、35分、Lv.2)

東大恒例の整数問題ですが、今年は若干趣向が異なるようで、手がつけにくいです。最初は整数問題というより、0.・・・・(=qとする)とかいう長ったらしい式が0~1の間ということさえおさえておけば、簡単に評価できてしまいます。その勢いで、(2)もできますが、(2)は2pqが整数とは限りませんので、要注意です。

また、(3)はまったく別問題です。ただ単に、存在したとすると、0.・・・がちょうど「0」になってしまう、ということを示すだけでOKです。存在したとき、√sは有理数ですので、例の「√2は無理数であること示せ」系の問題であることに気づけば、背理法が思い浮かびやすいです。

Principle Piece I-10

無理数の証明は有理数と仮定して矛盾をちびく方法で

(拙著シリーズ(白) 数学I 数と方程式 p.20)


※KATSUYAの解いた感想
なんか、俺のあまり好きじゃないタイプの整数問題。とりあえず(1)を始める。√nだけ残して2乗するか。(k+1/k)タイプの2乗が出てきてこの+2の部分だけがきいていると思われるので、そのことをつらつら書いて終了。その流れで(2)は読めた。差が1以上あるって言えばいいな^^(3)は最初(2)を使おうとするが、まったく思い浮かばないので単独でやってみたらあっさり終了。解答時間24分。

第6問・・・【積分法の応用】空間座標、条件を満たす線分の通過領域の体積(CD、50分、Lv.2)

本セット最難問です。昨年度は見た目からしてゴツイですが、今年は見た目に惑わされて中身はゴツく、やり始めて詰まった人が結構いそうです。コンコイドの回転体とか呼ばれているものですが、その名のとおりKが回転体であることに気づかないと厳しいです。

その上で、xz平面だけで考え、CB上の点(x、z)が満たす不等式を導かなければいけませんが、ここは発想力と図形的考察の両方が必要で、かなり試行錯誤しないとたどり着かないと思います。

z=・・・で表したくなりますが、これだ泥沼で、x=・・・・の方が表しやすいです。z軸回転なので、そこは考えが及んで欲しいところ。

最後の積分自体はそこまで難しくありません。なお、私は試行錯誤した結果、極方程式がラクなことに気づきました。Cを極、z軸を始線にするという、非常にトリッキーな設定ですが、うまく行きます^^(K塾さんも別解で紹介していました。)

積分には、三角関数が大量発生しますが、第2置換積分が出来る形になっていますので、割とラクです。

 

Principle Piece III-51

(cosの式)・sin なら第2置換積分の利用

(拙著シリーズ(白) 数学III 積分法の応用  p.14-16)

 

※KATSUYAの解いた感想
また数III?数III多くないか今年^^; うーん、線分系ならアステロイド類似系かな、と思いながら同じやり方で進めるが、線分の範囲が汚すぎて断念。こりゃだめだ。他の方法を考える。(10分以上経過)ん?まてよ、Cは絶対通るし、θ設定したら簡単に長さ出せるってことは、極方程式いけるんじゃないか?Cを極でやってみて、ドンピシャはまり、一気に積分計算。三角の次数高いな^^;でも第2置換がこれまたドンピシャはまる。極方程式に気づかなかったら、危なかった。解答時間34分。

4.対策

下のリンク(過去のエントリー)をご覧下さい。非常に質の高い問題ですが、確率、整数、微積はほぼ確実なので、実は対策が取りやすい大学でもあります。複素数平面が今後はこれに仲間入りするでしょうから、6問中4問は分野が確定していると思えば、他の大学より勉強しやすいです。ただし、質の高い勉強が必要。

量をこなす演習:じっくり演習=6:4ぐらいでしょう。

以上です^^

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■関連する拙著シリーズ■

★ 数学Ⅰ 数と方程式 (第5問)

 

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