九州大学 理系 | 2018年度大学入試数学

   

●2017年度大学入試数学評価を書いていきます。今回は九州大学(理系)です。

いつもご覧いただきまして、ありがとうございます。 KATSUYAです^^いよいよ、2次試験シーズンがやってきました。すでにお馴染みになってきたかもしれませんが、やっていきます。
2018年 大学入試数学の評価を書いていきます。

入試シーズン中、コメントの返信が大幅に遅れることがあります。ご了承ください。

 

2018年大学入試(国公立)シリーズ。
九州大学(理系)です。

問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。
また☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。





また、解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。

※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。

したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。


同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい、という目安にしてください。





九州大学(理系)
(試験時間150分、5問、記述式)

1.全体総評~難化傾向続く。後半が難し目~

今年の九大は昨年の難化を引き継いだ格好ですが、これが例年の九大です。前半は言われたことをコツコツ計算、確率は単純に量が膨らみ、後半は長めの論証といった感じで、標準回答時間的にはちょうどですが、ここ最近で対策をしていると多く感じたかもしれません。数IIIが5問中3問あることも原因でしょう。



試験時間150分に対し、
標準回答時間は155分。

(過去8年平均:140分)

2017年:145分

2016年:130分
2015年:140分
2014年:150分
2013年:135分
2012年:160分
2011年:130分
2010年:125分

今年は適量です。これが例年並みと思っておいた方がいいでしょう。

2.合格ライン

第1問は双曲線が絡む問題で、対策が薄いところを狙われた格好になると差がつきそう。

第2問は軌跡と積分の融合。コツコツ計算して(3)まで合わせたい。

第3問は確率と漸化式だが、そうでないものも混じっている。九大理系受験者ならおさえたい。

第4問はキー問題。(1)と(2)はおさえたいが、(3)はまあまあ長い答案に。

第5問は複素数平面で本セットダントツ最難問。誘導もゼロなので方針が立ちにくい。残りに時間をかけたい。

第1、2、3、4問勝負になるかと思うので、逆に時間はたっぷりのはず。3完分ぐらい取って60%にしたい。第4問の(3)と、第1問が分かれ目か。




3.各問の難易度

☆第1問・・・【式と曲線+空間+図形】定点と双曲線上の動点を結ぶ線分(B,20分、Lv.2)

難易度に迷いましたが、そこまで式と曲線のネタが入っているわけでもなく、やることも比較的明白だと思うので、Bとしました。

空間上での線分と平面の交点ですので、ベクトルの利用が見えます。1-k、kの係数で設定しつつ、x=dになるようにkを決めるだけです。

それよりも、双曲線上の点をどうおくかですが、楕円と同じように媒介変数表示でいくとすっきりしそうです。気づいたでしょうか。

Principle Piece III-86

 楕円絡みはパラメータ表示が有効

(拙著シリーズ(白) 数学III 式と曲線 p.32)

それは楕円の原則だろ、とツッコまれそうですが、同じ2次曲線と考えれば、同じ考え方に発想が行って欲しいところです。双曲線のパラメータ表示は九大理系受験者であれば、覚えてるはず。。。果たして。

すると交点の軌跡にはsin、cosしか残りませんので、円だと分かります。θの範囲には気をつけましょう。上半分だけですね。

なお、パラメータ表示をしなくても解き進めることは、もちろんできます。Kさんは普通に文字で、Yさんはパラメータ表示ですね~。

※KATSUYAの解答時間7分。パラメータ表示でさくっと終了。思ったより簡単でした。

 

☆第2問・・・【図形と式+式と曲線+積分法の応用】軌跡、回転体の体積(B、35分、Lv.2)

第1問に引き続き、軌跡の問題です。

そして、使う知識も同じ(1番でパラメータ使ったので)。円周上なのでパラメータ表示します。ちょっと偏ってますね^^;

(1)、(2)はともにこのパラメータ表示で一瞬で解決です。面積は楕円と円。楕円の面積πabは使ってもいいかと。メインは(3)なので。

(3)は(1)の楕円と(2)の円の間の部分をy軸回転する問題です。円や楕円は、どっちに回転してもあんまり変わりありませんが、円のほうは中心が回転軸からずれているので、上側、下側と式を分けておきましょう。

 

Principle Piece III-77

 ずれた円の回転体 f+(x)とf-(x) に分けておく

(拙著シリーズ(白) 数学III 積分法の応用 p.36 プラスを上側、マイナスを下側の意味で用いています)

円や楕円自体は簡単で(2)までは正解者多数と考えると、積分計算は慎重にやってしっかり合わせて差を付けたい。

 

※KATSUYAの解答時間20分。最後は慎重にやり、2回見直しました。

第3問・・・【確率+数列】カードの数字の積を4で割った余り(B、25分、Lv.2)

確率と漸化式からの出題です。あまり難しくないと判断したのか、余り0、1、2、3の場合全部答えてね、という量だけ膨らんだ問題です。

あまりが0の場合はいいでしょう。積が4の倍数になるということなので、余事象です。

Principle Piece A-31

 目の積が●の倍数 → 余事象を考える

(拙著シリーズ(白) 数学A 確率 p.14-15)

4の倍数でない場合は、「全部奇数」か「1枚だけ2、あと奇数」のときです。そして後者がそのまま4で割って2余る場合となります。これで2つ完了。

残りは余り1と3の場合で、ここに漸化式を用いるといいでしょう。こちらの原則だけで済みますので、これは余裕ですよね。

Principle Piece A-41

 n回目とn+1回目を詳しく見る

(拙著シリーズ(白) 数学A 確率 p.39-43)

漸化式をつくると、同じ式になることがわかります。さらに最初も同じなので、1余る確率と3余る確率は等しいということです。漸化式を解きに行くというよりは、帰納的に等しいことを示した形になります。

※KATSUYAの解答時間9分。個人的には、ちょっと物足りない確率と漸化式のパターンでした。

☆第4問・・・【整数+複素数と方程式】方程式の整数解、有理数解について(C、30分、Lv.3)

今年の整数は方程式の有理数解のパターンからです。確率と漸化式のパターンの問題ですが、普段とちょっと違うタイプで、少し慎重になる必要があります。

(1)は正直、なんのためにあるのかちょっと分かりかねましたが、点数稼ぎとしてもらっておきましょう。(1)の結果ではなく、その途中で示すことになる「3の倍数でない整数の平方は3で割ると1余る」性質は使えます。

(2)は、整数解mがあるとすると、その整数解が1かー1しかないとわかります。mでくくって定数項だけ移項する常套手段ですね。(拙著は原則化されていないな。改善の余地あり。)

正の解はないので、a^2=2b^2+1 まで持ってこれます。先ほどの余りの事実で不合理が導けます。

Principle Piece A-58

 等式の絡む整数問題 余りの等式で不合理を導く

(拙著シリーズ(白) 数学A 整数 p.28-29

(3)は有理数解ということなので、有理数を設定しましょう。

 Principle Piece A-76

 有理数解は有理数を設定 「互いに素」を忘れずに

(拙著シリーズ(白) 数学A 整数 p.65-66)

これで方程式に代入すると、まずは分母=2がすぐにわかります。こちらも、端っこの項だけ移項してくくる手法です。そのあと、逆端を移項すると分子=ー1もわかります。

あとはa,bの整数解問題です。掛け算の形にすればOK。

 Principle Piece A-63

 整数解問題のアプローチ 積の形にして約数候補

(拙著シリーズ(白) 数学A 整数 p.45-)

 

※KATSUYAの解答時間17分。(3)は比較的答案量が多いが、手順がきっちり把握できていればただの作業です。

☆第5問・・・【複素数平面】複素数方程式を満たす複素数を表す(D、50分、Lv.MAX)

最後に複素数平面から難問を持ってきました(絶対値記号が入っているので、複素数「平面」です)。抽象度が高く、受験生が非常に苦手とするタイプの問題です(私も苦手なので、言えた立場ではないです・・・)。

さらに、求めたい「z」以外に、定数の複素数「α」まで登場します。これがさらに方針を立ちづらくしています。これといった決まった解き方もないので、総合的に難問確定です。

ポイントとしては、|z|が実数であるということです。zやzバーなどとは質が異なります。|z|は一旦定数の実数だと思い込んで、複素数zバーに関する1次式だとみなすと、少し見えてきます。

「zバー=実数倍×αi」とできますので、実数=k とおきつつ、今一度方程式に突っ込むと因数分解ができます。ここまで持ってこれると、あとは進められます。


※KATSUYAの解答時間32分。 やはり最初は方針立たず。因数分解もそのままでは無理。成分でおいたりするが、zの解はαで表さないといけないので、無理と判断。

 

 

4.対策

頻出分野は、微積分、確率、整数です。今年も全て出ています。融合されていることが多いため、バランスが取れた出題と言えます。また、複素数平面も2年連続です。5問中4問が分野確定に近いです。

これらの頻出分野の対策をしっかりしていれば、合格点は望めそうです。青チャートレベルの例題はしっかりマスターしましょう。公式の証明がたまに出ますので、基本から隅々まで見ておきましょう。

入試標準レベルまでこなしたら、過去問演習を行いましょう。九大の問題は独特な印象を受けますので、過去問を多く演習して、自分の中で傾向を掴んでいきましょう。単科長年タイプのものが効果的です。

量をこなす演習:じっくり演習=7:3ぐらいでしょう。

以上です^^

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■関連する拙著シリーズ■

★ 数学A 確率 (第3問)

★ 数学A 整数 (第4問)

★ 数学B ベクトル (第1問)

★ 数学B 数列 (第3問)

★ 数学III 式と曲線 (第2問)

★ 数学III 積分法の応用 (第2問)

★ 数学III 複素数平面 (第5問)

5番は2年連続で複素数平面。

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