東京慈恵会医科大学 | 2019年大学入試数学
●2019年度大学入試数学評価を書いていきます。今回は東京慈恵会医科大学です。
いつもご覧いただきまして、ありがとうございます。 KATSUYAです^^いよいよ、2次試験シーズンがやってきました。すでにお馴染みになってきたかもしれませんが、やっていきます。
2019年 大学入試数学の評価を書いていきます。
2019年大学入試(私大)シリーズ。
東京慈恵会医科大学です。
問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。
また☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。
また、解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。
※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。
したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。
同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい、という目安にしてください。
東京慈恵会医科大学
(試験時間90分、4問、ハイブリッド型)
※ハイブリッド型とは、穴埋め型と記述式の混合型のことです。
1.全体総評~質、量ともに穏やかに~
今年は易化し、2017年度並みの難易度になっています。2番以降の問題で方針が立ちにくい問題が少なく、2番を除いてはそこまでの計算も強いられないので、時間的にはまあまあ手がついたと思われます。ここ数年では最も穏やかです。
試験時間90分に対し、
標準回答時間は102分【94分】(←穴埋め考慮)
2018年は132【122分】
2017年は104分【96分】
2016年は114分【106分】
2.合格ライン
第1問はキー問題とふんでいます。(1)は過不足が起きやすく、(2)も意外と差がつきそう。
第2問は計算量は多めだが、慈恵会としては普通。方針は立ちやすいので面積まではかっちり合わせて、極限も出来れば。
第3問は領域問題。接するときは整数ではない点に注意が必要だが、本学受験者なら取れるはず。
第4問はキー問題。直線(しかも一部)上の点の反転なので、軌跡の式、その範囲に注意を払えるか。
今年は70%ぐらいないと不安かもしれません。
3.各問の難易度
☆第1問(1)・・・【確率】点の移動(AB、15分【10分】、Lv.2)
地道に数えるパターンの問題ですが、ルールが少し遠回り。結局、x+yが1増えるか1減るかの議論なので、それが上なのか右なのかはあまり関係ありません。x+yの値の変化だけに着目すれば数えやすかったと思われます。
このあたりは、私大医学部ならではの問題です。
☆第1問(2)・・・【三角比】重心、垂線(AB、7分【4分】、Lv.1)
この位置には三角比がくることが多いですが、やはりひとひねりはいっています。重心から垂線をおろした場合の位置Hの場所を特定する問題ですが、Aからも垂線AKを下ろせれば、相似が見えます。BKを出すには、BK=xとおいて中学生のやり方で3平方を駆使するか、cosBを出してBK=ABcosBとします。
こちらも、ワークやチャートにはなく、意外と気づきにくいかもしれません。重心が絡む場合は、中点や1:2を利用することを優先的に考えましょう。
※KATSUYAは計8分で終えています。(1)は慎重に調べ上げ、(2)はすぐに思いついて1分程度ですんでいます。
☆第2問・・・【微積分総合(グラフ)】凹凸、概形、2曲線が接する、面積、極限(B、30分、Lv.2)
微積分総合問題です。計算はありますが、慈恵会としてはマシな方ではないかと思われます。
(1)は2回微分するだけです。概形を書くには、極限を取って漸近線も調べておきましょう。
(2)はお決まりのパターンです。2曲線が接するなら、yの値も、y’の値も同じになります。(ULTIMATE Principle Piece ) 接点のx座標pを追加し、式を2つ立ててpとbを消去します。(aは残してOK)
(3)は面積計算です。C2からC1を引くことになりますが、C1の式の積分はポイントになるでしょうか。まず帯分数的に(3-4/e^x+1)に変形した方がいいでしょう。 後半は、e^x=tと置換すれば部分分数分解の形にできます。e^xが分母に絡むときには、この方法がうまくいくことが多いです。
面積が出れば極限は出ます。テクニカルな変形は必要なく、loga /aが出る部分だけそのように変形すれば、4log2だけが残ると分かります。
※KATSUYAは21分で終えています。迷うところはありませんが、p、bが汚いので見直したりと(結局あってた)、計算で結構時間かかりました。
☆第3問・・・【図形と式】領域における最大、最小(BC、25分、Lv.2)
放物線と直線で囲まれた部分の領域内におけるy-xの最大値を求める問題。
典型的な領域の最大・最小の問題です。曲線があるので、端点や接点が候補になります。(Principle Piece II-59 数学II 図形と式 p59-60)
接線の傾きが、y-x=kとおいたときの直線の傾き1になるようなx座標を求めておき、この接点と端点(交点)が一致するときを境目に場合分けをしましょう。
注意するのは、接するときは整数ではないので、格子点になっていないことです。なので、それに最も近いところを探せばOKです。ここで細かい議論が必要になりますが、注意するのはここだけです。
※KATSUYAは16分で終えています。ここまでで、慈恵会にしてはラクな印象。
第4問・・・【複素数平面】反転と軌跡(BC、25分、Lv.2)
最後は複素数平面です。正三角形の周上を動く点Pについて、反転させたQの軌跡を求めます。
反転の問題の原則は、実数倍でPとQの関係を表し、長さの条件の式に代入することです。座標でも、ベクトルでも、複素数平面でも同じ考え方になります。(Principle Piece II-55 数学II 図形と式 p49-50)(1)はこの原則で解決します。
(2)は反転を利用した軌跡です。w=・・・の式をz=・・・に直してzの式に代入するのが一般的な解き方です。(Principle Piece III-114 数学III 複素数平面 p55-56)
もちろんこれでも出来ます(z=1/wバー)が、直線の式をzの式に出来て(z+zバー=1)、さらにそのうちの一部(線分)である条件(arg(z)がーπ/3~π/3)を正しく表せないと、wの軌跡のうちどこが条件を満たすかが分からなくなります。
直線の変換で、かつ範囲が限定されている場合は、x、yで表していく方が無難ですね。
線分ACを例にとります。w=x+yi(座標で(x、y))とし、z=●+▲iの式で表します。zは線分C上なので、●=1/2、ー√3/2≦▲≦√3/2 にあてはめれば、x、yの条件式になります。あとは120°ずつ回転させればOK。扇形+六角形になりますね。
※KATSUYAは17分で終えています。最後までそんなに苦労せずに終わった感じ。今年は易化確定かな。
4.対策~質の高い問題も積極的に。数Bと数IIIの重点演習を~
今年は穏やかな難易度に戻りましたが、2018年のレベルを基準にしておきたいです。計算力も必要で、普段から計算に対しては全力で取り組んでください。方針が立たずに迷っているとタイムオーバーなので、典型問題はすぐに手がうごくように。
分野ですが、第1問がIA、第2問以降はBIIIという印象です(今年はIIから出ました)。数列は極限と混じって出ますし、体積の問題などで空間もよく出ます。なのでベクトルは自在に使えるようにしたほうがいいです。
青チャートの例題などはすぐに方針が思いつくまでやり込みましょう。その後は、同じ医学部系の過去問で演習を積むといいです。杏林大学医学部なども、時間的な厳しさが割と似ていますので、使えます^^
多少煩雑だな、と思ってもひるむ前に手が動いていくのが理想です。
量をこなす演習:じっくり演習=7:3→6:4ぐらいですね。
以上です^^
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■関連する拙著シリーズ■
★ 数学A 確率 (第1問(1))
★ 数学I 三角比 (第1問(2))
★ 数学II 図形と式 (第3問)
★ 数学III 極限 (第2問)
★ 数学III 微分法の応用 (第2問)
★ 数学III 積分法 (第2問)
★ 数学III 複素数平面 (第4問)
★ 計算0.9 【IAIIB】 (計算サボり練習帳です^^)