同志社大学 全学部理系 | 2021年大学入試数学
●2021年度大学入試数学評価を書いていきます。今回は同志社大学(全学部理系)です。
いつもご覧いただきまして、ありがとうございます。 KATSUYAです^^いよいよ、2次試験シーズンがやってきました。すでにお馴染みになってきたかもしれませんが、やっていきます。
2021年 大学入試数学の評価を書いていきます。
2021年大学入試(私大)シリーズ。
同志社大学(全学部理系)です。
問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。
また☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。
また、解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。
※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。
したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。
同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい、という目安にしてください。
同志社大学(全学部理系)
(試験時間100分、4問、ハイブリッド型)
※ハイブリッド型とは、穴埋め型と記述式の混合型のことです。
1.全体総評~計算量が後半を中心に多め~
例年通り小問が多くあるので誘導が比較的親切な問題構成になってますが例年に比べて計算量が多く、時間内に終わらせるのはかなり厳しいでしょう。
今年も確率とBⅢ(ビーサン)出題で、数列が出題されています。
試験時間100分に対し、
標準回答時間は178分【162分】(←穴埋め考慮)
2020年:135分【121分】(←穴埋め考慮)
2019年は152分【137分】(←穴埋め考慮)
2018年は142分【126分】(穴埋め考慮)
2017年は166分【152分】(穴埋め考慮)
2016年は157分【133分】(穴埋め考慮)
2015年は120分【108分】(←穴埋め考慮)
2.合格ライン~60%取れるかどうか~
第1問(1)の確率は計算量がかなり多い。「ウ」まで取りたいが、エとオは結構キツイ。(2)はキー問題で、3問で止まるか、5問とれるか。
第2問から計算量は多め。全体の難易度を考えると、コツコツ計算するだけなので(2)までは最低でも、出来れば(3)の前半までは。
第3問も(3)までは典型パターンなので欲しい。(4)は発想力、計算力ともに必要なので飛ばしてもいいか。考えすぎると第4問に手がつかない。
第4問は残り時間でどこまで解けるか。(3)まではなんとか。時間があれば(4)もその勢いでいけるはず。(5)は厳しい。
難易度が高いというより、計算量が目立つので、時間との勝負です。このようなセットの場合は、考えすぎずに、手がつきそうなものをしっかり正答する方針に切り替えるしかないでしょう。55%ぐらいでしょうか。
3.各問の難易度
数学を解く上での原則は、緑色(この色)で表記しています。
☆第1問(1)・・・【確率】カードと確率(C、30分【20分】、Lv.2)
カードを3枚取り出してできる3ケタの整数に関する問題です。前半はパターンですが、後半は地道な調査が要求される上にカードの枚数が多いので計算もキツイ。
前半3つはいいでしょう。奇数かどうかは1の位で、3の倍数はケタの和で解決です。 条件付き確率は、分母が「奇数」、分子が「奇数かつ3の倍数」で計算しましょう。
後半は調査が多くなるので、まず「エ」から。地道にやると、同じカードが2枚あるときとそうでないときに分けますが、結構メンドウ。ですので、550が大体真ん中であることを考えて、対称性を生かすのが良かったと思います。
対称性から、549以下になる場合と、561以上になる場合は同じだけあります。この確率をxとします。。551~559になる確率さえ計算で出せば(=y)、2x+y=1となります。これでxも出ます。求めたい確率は551以上なので、x+yということになりますね^^ 550というあたりからも、出題者がこれを意図している可能性は高いかな、と。
実は「オ」も対称性を利用すると、「m>n」と「m<n」となる確率は同じだと分かります。従ってm=nになる確率さえ出せば同様に計算できます。これに気付かないと、「エ」「オ」ともにかなりキツイ調査になると思います。
※KATSUYAは16分で解いています。「エ」は最初調査しようとしてめんどいなぁと思ってたら思いつきいました。おかげで「オ」もその方針が思いつきました。メンドウやなぁと思うことは大事!!
☆第1問(2)・・・【複素数平面】正三角形の頂点(B、20分【12分】、Lv.2)
今年もここは複素数平面で、今年は正三角形の3頂点に関する複素数の式の値です。確率に比べるとやることは分かりやすい気がします。
原点が中心にある円周上にある3頂点なので、ωを使えば簡単に3頂点をα、αω、αω^2と表せます。あとは、ωが満たす②つの式ω^3=1、ω^2+ω+1=0を使えば、ω系統の問題は殆ど解決するはずです。
後半は素直に計算するだけです。-1+i=zとでもおいて計算していくと、zだけが残っていくことが分かります。
※KATSUYAは6分で解いています。正三角形ならωで表せばいけるかな。あとは原則に従って計算して終了。後半も、移動分しか影響しないハズとふんでコツコツ計算して終了。
☆第2問・・・【式と曲線】楕円上の接線・法線など(B、25分、Lv.2)
楕円絡みの図形総合問題です。ベクトルや三角関数の知識やらも使っていくことになります。最初の接線・法線を除くと数IIBの問題という感じではあります。
(1)は接線を求めるだけなのでいいでしょう。(2)の前半も計算するだけです。角度ですが、座標上で角度を聞かれた時は内積の利用かtanの加法定理の利用がいいでしょう。
(3)の前半のk^2の値までは、計算を正確に行えていれば出せます。最後の角度はちょっと発想力が必要。tanの値を出すことに気づけば√2+1と出ます。これが67.5°(22.5°系)の値だと知っていれば、倍角の公式をつかってー1にすればいいと分かります。 有名角以外の値も、演習を通して知っておくとメリットがありますね。
※KATSUYAは19分で解いています。計算はそこそこありますが、親切な誘導なので迷うことなく終了。最後は、cosの値から攻めようとしましたが、2重根号の中身をを見て、22.5°系かな?と思い、2重根号のないtanに切り替え。
☆第3問・・・【数列】特殊な漸化式(C、30分、Lv.2)
昨年同様に第3問は数列。やや複雑な関係式から、一般項を求める問題であるのも昨年と似ています。
(1)は計算しましょう。(2)(3)は誘導に従って計算するだけです。f(n)anのような項が含まれる場合は、(2)のような置き換えが多いです。
(4)からが少し難しめ。意味深な等式を利用するのはほぼ間違いないのでしょうが、これをどう利用するか。等式自体は恒等式なので、これ自体はいじっても先に進みません。まずは左辺を、bnに関する漸化式を使って変形できたかどうかです。これが第1関門。
それにより、左辺はn×bnに変形できます。あとはbnとsn-1の項に分けると、dnの式がどんな式かが分かります。ただしこのdnの計算がくせ者。(3)でanをどのように答えているかで、計算量が大きく変わります。「間違ってるのではないか」と思うような計算が途中で入りますが、dnはかなりきれいに出ます。
(5)は(4)がきれいに出れば行けると思います。n・bn=2sn-1なので、和が絡む漸化式ですので、nを1つずらした式と辺々を引くのが定石。(n+1)bn+1=(n+2)bnと出ます。添え字と数式の大小が入れ替わっている場合は、両辺を割ると定数列になる可能性が高いです。(4)が出来た人ならここまで来れるのではないかと。
※KATSUYAの解答時間は30分。(4)の等式の使い方を考え込んだことと、anの式の表し方で計算量が膨れました。途中で間違ってそうと思い、一度anを見直したことも時間ロスになってます。
☆第4問・・・【微積分総合+極限】極値、不定積分、不等式の証明、解の個数、極限など(C、50分、Lv.2)
第4問は、いつも通りの微積分総合です。同志社は数式に偏った出題が多いです。今年もあまりグラフ的な要素はありません。
(1)は微分して増減調べるだけですが、f'(x)の中にsinx+2xが出てくるので、この部分だけもう一度微分し、正になることを確認しましょう。微分して良く分からなかったら、もう一度微分するんでしたね。
(2)は不定積分の計算です。いっきにやるのではなく、項ごとに計算するといいと思います。
(3)は不等式の証明です。上に凸であることを利用し、3つのグラフを明示するのが最も早いと思います。上に凸を使いたくない場合は、左辺の証明は草原表が再び必要なので、意外とメンドウです。
(4)は中間値の定理の利用です。f(2nπ)は正なので、逆側が負であることを示せばOK。(3)が利用できますね。
(5)は時間があっても結構しんどいでしょう。「解pnから解pn+1は、ほぼ2nπ~2(n+1)」という考えから、この区間の積分をし、はみ出た部分はn→∞だと0になることを示せばOKですが、この発想に至るには、このタイプの問題を何回か経験してないとキツイですし、極限が0になることを示すのも結構難しいです。
※KATSUYAは31分で解いています。(4)までは計算はともかく、ほぼ詰まることなく行けましたが、やはり(5)でかなり手こずりました((5)だけでたぶん半分以上使ってました^^;)。
4.対策~数IIIの微積分は質の高い演習を~
微積分は必ず1題以上(1題+小問、or2題)の割合で出題され、中に極限が混じっています。実質、IIIはほぼ全分野から出題されると思った方がいいです(今年も複素数平面は登場しました)。残りは確率、ベクトル、数列であることが多いです。数学A、数学B、数学III という感じですね。
とにかく全体的に計算量が多いので、解答する途中で多少ややこしい計算が入ったとしても、折れずに答案を書きながら計算をしていく訓練をする必要があります。最近は質の高い問題が多く、入試標準演習の段階、高得点を狙うなら仕上げ段階にも手をつけたいです。
青チャートの例題は全て頭に入っていることは前提で、入試問題集に早くからあたりましょう。IIIの例題は、計算過程がメンドくさいものでもサクサク手が動くように、同じ問題を繰り返し演習しましょう。
以上です^^
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