慶應大学 経済学部 | 2021年大学入試数学

      2022/02/16

●2021年度大学入試数学評価を書いていきます。今回は慶応大学(経済学部A方式)です。 

いつもご覧いただきまして、ありがとうございます。 KATSUYAです^^いよいよ、2次試験シーズンがやってきました。すでにお馴染みになってきたかもしれませんが、やっていきます。
2021年 大学入試数学の評価を書いていきます。


2021年大学入試(私大)シリーズ。

慶応大学(経済学部A方式)です。




問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。
また☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。


また、解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。
※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。

したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。


同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい、という目安にしてください。





慶応大学(経済学部A方式)
(試験時間80分、6問、ハイブリッド型)

1.全体総評~最難レベルのまま高止まり~

2020年は過去一の難易度と思われるセットでしたが、この難易度のまま今年も来ました。かなりキツイセットです。

穴埋めの前半もマシなのは第3問ぐらいで、第1問や第2問は理系で出しても十分試験になります。後半の記述も第5問の空間ベクトルをはじめ、一ひねりも二ひねりもある問題です。全体的に数値も繁雑で、質量ともに最高レベルです。

※社会の難易度は分かりかねますが、これでは数学選択者がいなくなるのでは・・・?




試験時間80分に対し、
標準回答時間は185分【154分】(←穴埋め考慮)今年もかなり厳しめ。

2020年:195分【169分】(←穴埋め考慮)

2019年:128分【108分】(←穴埋め考慮)

2018年:165分【141分】(←穴埋め考慮)

2017年:160分【133分】(←穴埋め考慮)

2016年:170分【147分】(←穴埋め考慮)

2015年:130分【103分】(←穴埋め考慮)

2.合格ライン

第1問から計算量が膨れます。キー問題。(1)(2)は押さえたい。(3)(4)は独立しているので、片方だけでも合わせたい。
第2問の確率もキー問題。穴埋めのおかげでn=6が分かりやすくなっているので、気づけば最後まである程度行ける。
第3問の数列は前半の中では誘導が丁寧なので、まだマシ。(2)の穴埋め(44)までは行けるか。あとは変形が思いつくかどうか。

第4問は記述式の中ではマシな方。ここを取らないと厳しい。それでも決して簡単ではなく、細かい数値計算も必要。
第5問も時間的にも(2)まで取れればOKでし
ょう。(3)は図形のイメージも沸いていないと厳しい。
第6問はKO経済の十八番なので、大雑把でもいいので減点覚悟で最後まで行きたい。


採点のルール上、最初の3問には時間がある程度必要。第1問~第3問で6割ぐらい取りたい。残り時間がかなりキツイが、第4問(2)まで→第6問全部→第5問(1)をつまみ食い→第4問の最後 これでも時間いっぱいいっぱいなのではないかと。


数学については55%ぐらい取れればいい方ではないでしょうか・・・

 

☆第1問 【図形と式】2つの円に外接する円(B、35分【24分】、Lv.2)

昨年は不規則で第1問は整数でしたが、また図形と式に戻りました。今年は2円に外接する円で、受験生が苦手な部分だと思われます。計算量も多く、初っ端からしんどい。

(1)は直感で答えることになるのでしょうが、半径の最小値は、中心がx軸上にあるときです。2つの円周上の距離の最小値を考えると、2円中心間を結ぶ線分上に中心があるときに半径も最小になります。円周上の点との距離を考えるときは、中心を考えるのが定石です。

(2)は、とりあえず2円に外接する条件を式にします。距離=半径の和です。2式できますので、問題文からrを消去してaとbの関係式を作ることになりますが、途中計算は結構大変です。係数も大きめ。

なお、数IIIの知識があれば、双曲線と分かります。(2点(0,0),(7,0)からの距離の差が1)

(3)は(2)が計算できていればたどり着けます(計算はメンドウですが)。x=ー3に接するならr=a+3です。(2)のrの消去の仕方次第では、これでaはすぐ出せますので、bも出せます。

(4)は(3)と独立ですので、(3)ができなくても解けます。(4)は直交なので、ベクトルの内積的に計算するのが最も早かったと思います。(もちろん、(0,0)と(7,0)を直径とする円周上としても全く同じ)これで(2)の関係式と連立しましょう。

 

※KATSUYAの解答時間は14:14です。円が絡むと計算がメンドウで、途中ミスもあってロスが激しかったでです。

第2問 【確率】サイコロの目の和(B、30分【20分】、Lv.2)

昨年に引き続き、第2問は確率からで、題材もサイコロの目の和です。ただし今年は設定がまあまあメンドウ(問題自体は実はそんなに難しくない)。最初は何を言っているのかよくわからなかった受験生もいたのではないでしょうか。

例えば、こんな感じです。

1が連続して6回出る→次の7回目で3が出る。→あと3回投げて、5,5,6が出る。全部で11回分の目の合計

よって得点は、1×6+3+5+5+6=25点となります。

(1)は49点となる確率を求める問題。この設定だけで決まるのかと思いたくなりますが、問題文からnの値が決まるそうですし、後半の方で投げる回数が15回とか書いてありますので、nは最大値の6だろうと直感で分かれば、第2問は勝てます。

いくつか試してみれば、n=6でないと49になることは厳しいことが分かります。自然数n絡みは、とにかく実験してください。

n=6なら、1以外の目が7回出せますので、MAX=42です。49-42=7なので、1は7回、8回、9回のどれかで場合分けですね。

条件付確率は、分母=「とき」の手前、分子は「とき」の前後です。問題文は「~という条件の下で」とありますが、これを「~のときに」と読み替えましょう。

(2)以降は(1)が出来れば出来ると思います。1が9回で次が5か6,1が8回で次が6です。14回以下はこれの余事象で、また条件付確率の計算をします。

(3)は(2)の条件付確率で、分母は10回とも1である場合がなくなるだけです。これはただの問題数稼ぎにも見えますが^^;

※KATSUYAの解答時間は12:09です。変なルールやけど、n=6に決まるところあたりはうまく設定されている。

 

☆第3問 【数列】漸化式(B、30分【20分】、Lv.2)

今年も第3問は数列で、漸化式から。今年の漸化式は比較的わかりやすいパターンで、前半の穴埋めの中では計算穏やかなので、ここは取りたいです。

(1)は具体的に最初の方の項を出す問題。nに何を代入するかも与えられているので、素直に従って解きたいですね。

(2)から漸化式の変形です。Sn絡みの漸化式なので、nを1つずらして辺々を引くのが鉄則です(問題文の通りです。)すると左辺からもanが出ますので、あとは式変形するだけです。左辺、右辺ともに係数は因数分解できます。

後半は差がつくか。f(n)an型の漸化式は、両辺に何かを掛けたり割ったりすることで定数列ができます。anの添え字nと、係数をよくにらめっこして決めます。添え字の大小と、係数の大小が一致している場合は、掛け算です。

例: (n+2)an=(nー1)a_n-1 とかの場合は、係数も左辺が、添え字も左辺が大きいので、両辺に何かを掛けることでうまくいくはずです。n+2とn-1を埋めるような(n+1)nをかけます。

今回も、係数の間を埋めるn、n-1を掛けるといいでしょう。するとn(n-1)(n-2)anが定数列と分かります。ここまでくればanも、最初の漸化式でSnも出せます。

最後のSn>59は、整理するとn(n-1)>120となります。数列のこの手の2次不等式は、だいたい同じ数字をかけて120ぐらいになる数字の見当をつけて求めるんでしたね。群数列などでもよく使う手法です。

※KATSUYAの解答時間は10:53です。最初の項を求めるのが一番メンドウ^^;

第4問 【指数対数+数列】対数方程式、数列の和、桁数(B、25分、Lv.2)

今年は第4問に指数対数が戻ってきました(空間ベクトルも第5問へ戻る)。対数方程式ですが、5^kみたいな数字も入っており、結構面倒。最後の桁数計算も、緻密な評価の算数計算がメンドウ。

(1)は左辺は引き算になってますが、移項して右辺の足し算にするのがいいでしょう。k-1はlogに直して、logの足し算はまとめて1項にしましょう。変な2次不等式ですが、うまく因数分解できます。(←できないと(2)に進めませんので、できると信じて進めます)

(2)は(1)ができれば、個数を求めるだけです。5の累乗は奇数なので、スタートは5^k-1+2、終わりは5^k-2です。不等号が入っていないので注意。和も等比数列の和を計算するだけです。

(3)は桁数の問題。5^n-1の評価ですが、ー1ぐらいでは繰り下がりは一切起こらないので、無視してOK(そのことは答案に書く必要はあります)。

なので5^nの評価になりますので、対数表示です。log2が不等式評価なので、計算がさらにメンドウです。log2が不等式評価だと、左辺、右辺についてさらに評価が必要なので、算数計算が4回必要となります。ここは無駄に時間を持ってかれますね。

多少細かい部分が雑になっても、最後の答えを出しておくのが良かったかもしれません。

※KATSUYAの解答時間は12:19です。最後、log2=0.301にしてくたらばええのに^^;

☆第5問 【空間ベクトル】平面上の交点、球に接する条件など(BC、35分、Lv.3)

第5問は空間ベクトルで、こちらも定位置に戻ってきました。平面上の交点Pのベクトル表示や、球面に線が接する条件などを聞いてきます。KO経済の空間ベクトルはいつも難易度が高めで、理系の演習用にも十分使える問題が多いです。

(1)から意外と詰まる可能性が高いですが、OB→=OA→+AB→として計算すれば、OA^2と分かります。内積の定義ですね。ここで詰まると全滅なので、あきらめた受験生もいるかもしれません。

なお、垂直が絡む場合は、内積の定義を考えてもいけます。OA→・OB→=OA×OBcosBOA=OA×OAとなります。直角三角形の三角比を活用するとうまくいきます。

(2)ですが、メインの話はABC上なので、とりあえずA始点でsAB→+tAC→としてからあとでO始点に変えましょう。

垂直二等分線や垂線の交点でも直角三角形が見えますので、先ほどの内積の考え方が使えます。ABと直線l、ACと直線mの交点をL、mとでもすれば、条件式は

AP→・AK→=AK^2=a^2、AP→・AL→=AL^2=(2a)^2

です。これを式して、s、tの連立です。あとはO始点にして後ろから前を引けば、α、β、γが全部出ますね。

(3)は、球面が絡んでいますが、球面をまともに書こうとしてはいけません。円の時と同様、球面でも大事なのは中心です。中心を含む断面図を描きましょう。式A,O,Q,Pを含む平面がいいと思います。接点Tとすると、QAP∽QTOで、1:2:√3の直角三角形が見えますね。

APが決まれば、出れば、(2)でAB→、AC→で表しているので、2乗すればaも出せます。最後の点Rですが、PとABに関して線対称な位置にあるだけなので、APRだけを書けば面積も出せます。

式だけで攻めようとするとかなりキツく、図形的な性質もしっかり把握しないと求めにくいのは、KO経済の空間ベクトルの特徴です。

※KATSUYAの解答時間は18:26です。

☆第6問・・・【微積分】3次関数の接線と他の交点(B、25分、Lv.2)

最後は今年も微積分からです。今年も、3次関数のグラフの特徴とも言える部分を知っていると見通しのよい問題です。KO経済はこの3次関数のグラフの特徴に関する問題がかなり好きです。(3年連続で、3次関数は(x-●)(x-■)^2の形を題材にしています。)

題材は毎年に通っていますが、本問のように具体的な関数が与えられていないパターンも頻出です。

(1)は文章は長いですが、αで接してβで交わるので、G(x)=0はαが2重解、βが解になるということです。m(x)も接線の式なので、G'(x)を計算してβを代入するだけですね。積の微分は与えられていますが、KO経済を受けるなら必須でしょう。

(2)は実際にF'(●)やF(●)で表して、F’(β)(x-β)+F(β)が残ればOK。l_α(x)は直線なので、微分したら傾きは常に一定であることがポイント。残りの交点は、F(x)=l_α(x)+m(x)を解くだけ。(1)G(x)=m(x)となり、因数分解も簡単です。

(3)は面積で、3次関数の接線との面積は頻出です。こちらも問題文に与えられていますが、12分の4乗公式は知っておきましょう。

 

※KATSUYAの解答時間は9:59です。今年はギリギリ終わったか。昨年終わらんかったから、ちょっとマシってことかな。

4.対策~IIB中心に、計算力上げつつパターン問題を素早く解く練習を~

分野はある程度固定で、前半が図形と式、確率、数列、後半が指数対数か三角、空間ベクトル、微積分です。特に後半は結構固定のことが多いですね。

図形問題は融合が多く、図形的な考察が途中で必要な問題も多いので、単なる数式処理で出来るものではなく、総合的な図形問題に触れておきましょう。青チャートできちんと演習を積んでおけば、大丈夫です。有名なパターン問題はそのまま自分のものにいしていきましょう。

レベル的には入試標準レベルの演習まで行い、過去問を多めに演習しましょう。

量をこなす演習:じっくり演習=8:2ぐらいで、直前には7:3(今年レベルなら6:4)にしたいですね。

以上です^^

 

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