慶應大学 医学部 | 2021年大学入試数学

      2022/02/11

●2021年度大学入試数学評価を書いていきます。今回慶応大学(医学部)です。

いつもご覧いただきまして、ありがとうございます。 KATSUYAです^^いよいよ、2次試験シーズンがやってきました。すでにお馴染みになってきたかもしれませんが、やっていきます。
2021年 大学入試数学の評価を書いていきます。

入試シーズン中はコメントの返信が大幅に遅れることがあります。ご了承ください。

2021年大学入試(私大)シリーズ。
慶応大学(医学部)です。




問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。
また☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。

また、解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。
※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。

したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。


同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい、という目安にしてください。



慶応大学(医学部)
(試験時間100分、4問、ハイブリッド型)

1.全体総評~計算が煩雑でかなりキツイ~

昨年より難化です。全体的に計算量が非常に多め。やることは分かるが計算が厳しいタイプ、思いつけば進められるタイプに分かれ、逃げ道がほぼないセットです。

時間内解き切るのはほぼ無理で、進められそうな問題から手をつけていくしかありませんが、今年はどの問題も最初から計算量が多く、は例年に比べても点数の稼ぎにくいセットですね。



試験時間100分に対し、
標準回答時間は203分【123分】

2020年:177分【113分】(←穴埋め考慮)

2019年:164分【106分】

2018年:197分【124分】

2017年:185分【128分】

2016年:200分【125分】 

2015年:213分【115分】

2014年:165分

※本エントリーの【 】内は、慶応医学部受験者層のレベルを考慮していますので、その他の大学に比べて短めです。それでも、100分をオーバーしていますけど^^;

2.合格ライン(科目全体では60%)

第1問は10個ある。この小問が最も穏やか。全体を考えると、ここである程度稼ぎたい。それでも(2)はキー問題。

第2問はデータ分析からだが、式変形が発想寄りで一筋縄ではいかない問題。(4)は穴埋めなら知識で埋めたいところだが、知らないとたどり着くのはかなりキツイ。(1)どまりの人もいたのでは。

第3問はやることは分かるが計算がかなりキツイ。アポロニウスの円に気づかないと、ほぼ全滅。気づいても、文字が多すぎて計算も大変。時間との勝負。

第4問も計算タイプ。やることは分かるが、しょっぱなから計算がまあまあメンドウ。「あいえお」は比較的マシ。あとはまあまあ大変。

第1問で出来るだけ稼ぐ。第2問でダメならあきらめ、計算の第3問と第4問で必死に進めるしかない。半分でもそこまでビハインドにはならないのでは。

3.各問の難易度

☆第1問(1) 【平面ベクトル】単円周上の3点(B,18分【10分】、Lv.2)

平面ベクトルからで、xOA→+yOB→+ZOC→=0→タイプです。

この手の問題は、2項と1項に分けて2乗し、内積を出すのが最初の手順です。今回はBCを聞いていますので、OB→・OCが必要になります。OAだけ移項しましょう。

OPは交点ですが、PはOAとBCの交点です。Oが入っているので、実数倍条件を利用し、係数の和が1という流れがラクです。OP:PA=1:2なので、△ABC=△OBC×2で出せますね。

面積を出す手順も、本問の通りで、OAとOPの比を出して、(AとPが反対側のことの方が多いです)ABCがOBCの何倍かで計算をします。

 

 

※KATSUYAの解答時間は3:31です。

 

☆第1問(2) 【積分+極限】回転体の体積の極限(BC,25分【15分】、Lv.3)

回転体の体積を文字で表し、極限を求める問題。関数は単純ですが、文字定数が2つあるため計算は見た目ほど簡単ではありません。

体積を計算すると、指数にαが入ったり、多項式にαが入ったりします。このようなときは、交点x=tが満たす方程式を利用してそろえましょう。t^α=mtに変形できますので、指数のαは消せます。

これでm^2t^3でくくれることが分かりますが、ここで再度、tをきちんと解かないといけないところが、本問を難しくしています。mについているαの指数のところに着目することでどちらの極限も求めることができます。

※KATSUYAの解答時間は11:09です。αの扱いに結構迷った。式変形が少し巧妙で意外と差がつきそう。

第1問(3) 【複素数と方程式+整数】2次方程式の解条件(B,25分【13分】、Lv.2)

2次方程式の解条件に関する問題です。条件が3つあり、集合の個数を聞いています。3つとも条件を求め、満たす個数も計算する必要がありますので、意図的に時間のかかる問題になっていると思います。KO医の試験としてはありでしょう。

最初はただの判別式です。次は解の存在条件です。D=0のときのk=ー10,14は入りません。全体の201個から引く方がラクです。(全体は200個ではないので注意!)

「き」は実数解がともに2より大きい条件ですので、判別式、軸、端っこの値で判断するパターンですね。「く」はBの集合から「き」を引くだけです。

「け」「こ」は整数絡み。「け」は整数絡みです。解が整数の場合は、解と係数の関係を利用し、方程式の文字定数kを消去しましょう。αβ+α+β=35となります。ムリヤリ左辺を因数分解して、「積の形=定数」とします。αとβは整数で制限も特にないですから、36の約数の組み合わせを出せばOK(αとβが等しい時以外)ですね。

「こ」はメンドウですが、まず重解のk=ー10,14のときは当てはまります。あとは虚数解のときですが、ー9~13のときしかありませんので、これぐらいなら全調査も覚悟したいところです。全調査といっても、元の方程式に全部入れるのではなく、うまく調査したいところです。

虚部も整数になるには、判別式Dが平方数になることが必要です(奇数だと整数にならないので、十分ではありません)。判別式を平方完成すると、ー(kー2)^2+144となります。これで代入するとかなり楽。k=2のときはOKだとすぐにわかります。あとは対称性から、k-2=1~11(k=3~13)まで入れて計算するだけですね。

結局、重解のときの2つと、k=2のときを合わせて3つだけとなります。

※KATSUYAの解答時間は8:23です。最後の整数の調査がメンドウ。小問でこれをさせるとは。

☆第2問 【データ分析+数列】1~nの並べ替えと分散、相関係数(C、40分【25分】、Lv.3)

今年はデータ分析からで、1~nのデータが2つあるときの相関係数等に関する問題です。データ分析の単元でここまで難易度をあげてくるあたりがさすがといったところです。

(1)は1~nの平均値と分散です。分散は2乗の平均ー平均の2乗で計算するのがラク。

(2)は共分散に関する問題。共分散は一般的には偏差の積の平均ですが、分散のように他の求め方があります(教科書だと、分散だけ2通り書かれていますが^^;)。共分散=積の平均ー平均の積です。

1/nでくくると、積の合計ーn×(n+1)^2/4です。 nが奇数×2のとき、後者は4で割れませんので、整数ではありません。前者は整数ですので、0になることはありませんね。

(3)は難問で、一度経験してないとキツイでしょう。Σxiyiを、xi,yi,diを使って表すには、全部2乗して足し引きする必要があります。3辺a→、b→、b-a→の長さからベクトルの内積を出すときの感覚ですね。これで共分散sxyもnの式とdiだけで表せるので、相関係数も計算できます。

(4)は感覚的には、di=0のときに全部が右上がりに一直線上に並び、r=1となります。逆に(1,n)(2,n-1)・・・とすると、全部が右下がりの一直線上に並びますので、r=ー1となります。穴埋めなので、ほとんどの受験生がこれで正解したことだと思います。(データ分析の勉強がどこまで出来ているかにもよりますが、この知識は割と基本です)

きちんと記述でやるとなると、(とくに後者は)かなり難しいですが、結論ありきで、Di=xi+yiー(n+1)とおいて(3)の計算をもう一度やることになります。

(3)をきちんと書いてこれもきちんと書いたら、それだけで25分ぐらい持ってかれそうですね^^;

※KATSUYAの解答時間は19:10です。(3)さえ思いつけばという感じ。(4)はもちろん感覚で答えました。

第3問 【図形と式+2次曲線】軌跡の条件、2次曲線の焦点など(BC、40分【30分】、Lv.2)

数IIと数IIIの図形と式からで、軌跡の問題。最初から言い方が遠回しで、軌跡がただのアポロニウスの円であることに気づかないとほぼ全滅です。気づいても文字定数が多くて計算が大変なので、どこまで正確に解けたかが勝負。

(1)はQの座標がまだマシな方ですが、それでも定数だけでT、g、hと3文字も入っているので、円を平方完成するだけでも一苦労です。穴埋めなので、内分点と外分点を直径とする円で攻めるのもありです。

(2)はP(0,t)とでもおいてほぼ同じ計算をさせられます。tについての2次方程式が重解をもてばOK。g^4の項が消えるので、h^2でくくれることにまず気づきたい。先に条件を出そうとすると詰まりがちで、「おか」の形を見て、全部展開してyについての2次方程式を解いてから条件を出すのもありです。(√の中が0以上が条件と分かります)

(3)もP(t、0)でもう一回同じような計算をさせられます。問題文から、展開してOKなはずなので展開しましょう。式さえきれいに出れば、(1次の項がないので)焦点などは簡単に出ます。楕円の焦点はy軸上なので引っかからないように。係数の逆数が大きいほうに来ます。

※KATSUYAの感想:解答時間24:02。ただの文字計算練習^^;物理選択に有利な感じ。

第4問 【微分法(III)+図形と式】媒介変数表示の不等式条件、最大値など(C、50分【30分】、Lv.3)

最初に図形と式の計算をし、あとは微分法(III)の問題。カテナリー曲線に接する円の中心を求め、x座標、y座標の媒介変数表示についていろいろ条件を出す問題。

(1)の中心が出ないと全滅なので、ここをしっかり合わせたい。ベクトル的に、OP→+PQ→とするのが良かったと思います、PQベクトルは半径r、方向ベクトルはPにおける接線に垂直なので、これを利用しましょう。

次は不等式条件です。X(t)を微分しましょう。微分すると、「√r=カテナリーの式」となるとき、極小値を持つことが分かります。カテナリーの式は1以上の値を取るので、r>1のときは極小値があります。(tの値は汚いのでαとしても置いておきます)t=0で0,そこから減少して極小値なので、極小値は負です。

r≦1のときは単調増加と分かりますので、0以上になります。よって、r≦1です。極小値を取るときの値を出すと、√r-1という式が入ってきますので、ここからもr=1が境目であると(ちゃんと理解してなくても)推測したいところ。

Yの方の最大値も、微分して=0として出します。ここでも√r-1が出てきますので、r>1は正しいと思えます。こちらは不等式条件より楽かと思われます。

最後はただの計算です。計算するともとのカテナリーの式の2乗となります。Yの式にもカテナリーが入っているので、逆にカテナリーの式=sとでも置き換えて、sについての2次方程式で解き、YについてあらわせばOKです。この解のうち、大きいほうだけが答えになることを導くのはまあまあメンドウです。

感覚的には、「1より大きいほうのはずなので大きいほうのはず」ぐらいで答えていくしかないかと。

※KATSUYAの解答時間は20:16です。最後まで計算ばっかり。受験生はかなりキツイでのは。

4.対策~癖と計算力の多さに慣れる~

傾向、形式ともに癖の強いセットです。今年は出ませんでしたが、確率と漸化式は名物で、微積と極限もボリュームの大きいものが出ます。計算力、演習ともに必要です。
高校2年生の段階でも、典型パターンの7割が習得済みであることが望ましいです。センターは余裕で9割とれるようなレベルにいないと厳しいでしょう。本学受験生の高2で、数IIIにまだ手がついていない人は、いますぐ独習してください。そんなペースでは本学部の試験には耐えれません。教科書ガイドと青チャがあれば進められます。
高3に入ったら、もう入試問題演習に入りたいところです。夏以降はさらにレベル高めの入試演習、を行い、仕上げ段階まで行ってから過去問、といった感じでしょう。理工学部もレベルや出題内容(確率と漸化式はかなり似ています)、形式が似ているので、使えます。

量をこなす演習:じっくり演習=6:4ぐらいでしょう。3年生になったらできる限りじっくり演習したいです。2時間でも考え込んでしまってもOKです。ただし、あらゆる手段(計算がかかると分かっていても、それで押し通してみる!)で手を動かしてみることです。答えにたどり着かなくても、計算力は着実にUPしていきます。普段の練習から「これ計算するん?無理やろ~」と思ってあきらめるのはNGです。

以上です^^

 

 

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