慶應大学 理工学部|2021年大学入試数学

      2022/02/07

●2021年大学入試数学評価を書いていきます。今回は慶応大学(理工学部)です。

いつもご覧いただきまして、ありがとうございます。 KATSUYAです^^いよいよ、2次試験シーズンがやってきました。すでにお馴染みになってきたかもしれませんが、やっていきます。
2021年 大学入試数学の評価を書いていきます。

2021年大学入試(私大)シリーズ。

慶応大学(理工学部)です。





問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。
また☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。


また、解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。
※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。

したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。


同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい、という目安にしてください。




慶応大学(理工学部)
(試験時間120分、5問、ハイブリッド型)

1.全体総評~例年よりは計算量が少なく手もつけやすい~

2019年に大幅に易化したときよりは多いですが、量的にはマシな方の印象です。ただし、量で押し切れるというよりは発想が必要なものが多いので、思いつけばそこまで計算量はないけれども、思いつくまでの時間に左右されそうなセットです。

5問中2,3問が数IIIで、あとはAとBがメインです。確率+BIII(ビーサン)出題ですね。



試験時間120分に対し、
標準回答時間は175分【136分】(←穴埋め考慮)

2020年:173分【120分】(←穴埋め考慮)

2019年:154分【112分】(←穴埋め考慮)

2018年:222分【158分】(←穴埋め考慮)

2017年:200分【135分】(←穴埋め考慮)

2016年:183分【134分】(穴埋め考慮)

2015年:186分【139分】(←穴埋め考慮)

2014年:156分、2013年:180分 

2.合格ライン

第1問はアイウエは確保。オカはキー問題

第2問は方針次第で計算が膨れるが、計算さえすれば解ける問題なので押さえたい所。記述以外はとりたい。

第3問は確率なのでキー問題。前半3つは取りたいが、後半2つは難しめ。

第4問は(1)の記述はパターンなのでおさえたい。(2)は差がつくか。(2)ができないと(3)ができず、ここはキツイかも。

第5問は多少繁雑だが、計算ごり押しで何とかなるはずなので、時間さえあれば最後までたどり着ける。

 

第3問、第4問あたりで思いつかないなら第5問へ行って時間を使えたかどうか。全体で記述込みで25個中15個以上ぐらいで、60%ぐらいでしょうか。

 

3.各問の難易度

☆第1問・・・【微分法(III)+図形と式+2次関数】傾きの最大・最小、方程式の解の個数など(B、30分【20分】、Lv.2)

関数+図形の総合問題という感じです。定数tの入った直線の傾きや、直線の通過領域、それと放物線の共有点条件など、いろいろ聞いてきます。

最初は定点です。tの値によらず→tについて整理しましょう。

(2)は傾きですが、分数関数になるので微分して最大、最小を求めましょう。解の個数はグラフを書いて視覚化。t→±∞の様子も調べることに注意。a=2も答えになります。

(3)まず通過領域ですが、直線であることと、通る点と傾きの最大値、最小値まで出していますので、そこから簡単に出すことができます。これと放物線が共有点を持つ条件です。境界線である2直線に放物線が接するときのkの値を出し、あとは変化させたら放物線がどのように動くかを考えれば、その値を用いて範囲を特定できます。

※記述だと書くの難しいですね^^;

 

 

※KATSUYAはの解答時間は15:12です。分数関数の微分でケアレスミスして手間取った。

☆第2問・・・【複素数(平面)】高次式の値と条件、割った余り(BC、30分【20分】、Lv.2)

複素数からで、高次式の値や、割った余りを聞いています。数IIIの複素数平面の知識でもできますし、数IIの複素数の知識だけでもできます。私は複素数平面でやりましたので、そちらで書いていきます。

 

(1)の前半はド・モアブルの定理で計算するだけ。α+1、α+2はともに絶対値が1ですので、偏角だけ計算すればOK。後半の記述ですが、α+3の絶対値が√3なので、t=2は確定、あとは偏角を計算して2nπ(偏角は一般角なので注意が必要)とすればOK。

(2)の最初は、商も聞いているので割り算してもいいと思いますが、多項式の割り算の原則通りに、P=BQ+Rの形に表して、αを代入して先に余りを出してもいいでしょう。余りが出たら、引き算して割ればOK。

2021乗も、ほぼ同様にP=BQ+Rの形にすればできます。

複素数平面を用いると、同じようなことをやらされるだけと感じますね。

 

 

※KATSUYAの解答時間は13:07です。

 

☆第3問・・・【確率+極限】サイコロ、条件付確率、期待値の極限など(C、40分【26分】、Lv.3)

最近のKO理工の確率は穏やかでしたが、今年はKO理工らしい難易度だと思います。

(1)は調べて計算するだけです。5以上の目=〇とし、×〇〇、〇×〇だけですね。

 

(2)は条件付き確率です。文章ではなく記号なので、素直に公式にあてはめます。分母はB2の確率、分子はB2かつAの確率です。B2かつAということは、最低でも4回は試行しています。4回で終わる場合と5回で終わる場合を慎重に数えましょう。

(3)は(2)を数えている間に気づくことが想定されていると思われます。(その意味で(2)が用意されているのは非常に絶妙だと思います)

まず、条件付確率が1であるというのは、Bkがが起きるならAが必ず起きているという意味になりますが、いまいちイメージがつかめないと思います。自然数n、kの問題はとにかく小さい数字で実験してください。

 

例えば、5未満が2回出ているとすれば、必ず5以上が2回連続で出て終わっているという意味です。

5未満が2回出てるのに5以上が連続せず終わることはないってことで、MAXで〇×〇×〇の5回です。このように、〇か始まり交互に繰り返される時が、最も回数を稼げるときです。これを超えれば必ず〇が2回続くことになります。

 

これを一般化してみます。2n+1回のときは、〇×〇・・・×〇(〇がn+1個、×がn個)のときが、ギリギリ条件付き確率を1にできないときです。よって、×がこれより1つでも少なければOKですね。

(4)は(3)から、最後に〇〇と出て終わる場合になります。これを利用すると、あとは連続しないように〇と×を配置するやり方になります。

〇の個数も変わりますのでΣ絡みの確率になります。Σの中に配置の仕方を表す二項係数が入るので、二項定理の式になると考えられれば、この問題は勝ちでしょう。

なお、ここでも、小さい数字で試してみるのが良かったと思います。穴埋めなら規則性を予測できれば答えられます。

最後は期待値の極限ですが、等差×等比の形になっているので、部分和をSー公比Sで出しましょう。極限を取る方が、不要な項を切り捨てられるので計算はラクです。

 

※KATSUYAの解答時間は20:52です。最後は規則性を小さい数字で試して見つけました。

 

☆第4問・・・【微積分総合(不等式)】不等式の証明、成立条件、定積分と不等式、極限値、区分求積(BC、40分【26分】、Lv.2)

数IIIの微積分総合からで、いろいろ聞いてきます。KO理工としてはマシな方だと思われますが、それでも数IIIの演習量が少ない現役生などにとっては十分難しいです。

(1)は不等式の証明なので、差をとって微分ですね。導関数は0以上が言えますので、元の関数の単調性に持っていけます。e^x≧1+x+1/2x^2の証明のときなどに使う典型手法です。(何ゆーてんの?と思った方は、参考書や問題集で復習しましょう)

 

(2)は不等式の成立条件です。x=0のときは成り立つので、xで割って定数分離するのがラクかと思われます。定数分離した左辺を微分しますが、分子はまだ複雑な形をしています。

微分してもよくわからないときは、もう一回微分ですね。もう一度微分すると負となるので、導関数の分子は単調減少でこれにより導関数も負と言えますので、元の関数も単調減少と言えます。元の関数はx=0では定義されないので、極限で出さなければいけないのがちょっと難しいです。

私は、左辺のグラフも右辺のグラフも原点を通ることから、左辺のグラフのx=0における接線の傾きとして出しました。

(3)は被積分関数が明らかに積分できなさそうな形をしていることと、極限なので、不等式で評価して挟み撃ちであることを予想したいところ。不等式で評価する際には、積分できるような式で挟まなければいけません。

ここで、(1)と(2)の不等式が出てくることになります。a=b=1/2、x→txとして評価すればいい事になります。

aを1/2tとおいても不等式は成り立ちますが、それだと左辺と右辺で積分値が変わってしまうので、今回は不適切です。左辺と右辺でt→0としたときに、値が変わるような式変形では挟み撃ちができません。

最後はあきらかに区分求積です。今回は式からしても分かりやすいですが、1/nをΣの前に出し、Σの中はk/nを作るを意識することがコツです。

 

 

KATSUYAの解答時間は17:53です。挟み撃ちのときにあてはめ間違えたのでやり直しでロス。

 

☆第5問・・・【図形と式+三角関数+ベクトル】ベクトルの分解、長さの最大値、軌跡(BC、35分【24分】、Lv.2)

最後は図形総合で、ベクトルの成分計算がメインですが、三角関数やら軌跡もまじっています。

垂直な2方向を基本ベクトルとして、(1,1)や(ー3,1)を表すことになります。成分が三角関数で、係数にも三角関数が入るので、少々繁雑になりますが、基本はただの連立方程式です。

(1)はn→の大きさが(-sinθ、cosθ)であることを利用し、ベクトルの分解をするだけですので、連立方程式です。

a,bに置き換える意味はよく分かりませんが、a^2+b^2=1であることを忘れないように注意しましょう。(そのままの方が忘れないのでわかりやすいと思います^^;)

(2)は(1)が出来れば、そのままtの係数がPQの長さになります(nベクトルの大きさが1より)。sinθ、cosθの1次式なので、合成ですね。

(3)に行く前に、(-3,1)についても同様にベクトルの分解(連立方程式)をします。Qの座標はsu→だけで、Sの座標も連立した出したときのu→成分だけです。

QとSが出れば内分点Tの座標も出せます。sinθ、cosθの2次式の部分は、半角で2θの1次式にあげましょう。次数と角度はトレードオフです(次数を半分にすれば角度は2倍になる)。あとは媒介変数表示利用ですね。

最後の(4)は分解が正しくできていれば簡単で、こちらも計算するとsinθ、cosθの2次の項だけになりますので、半角で2θの1次式にし、2θで合成しましょう。2θなら1周期分ありますので、最大値も簡単に出せます。

 

 

※KATSUYAの解答時間は13:34です。連立さえできれば、ただの計算問題の集まりですね。

4.対策~質の高い演習に加え、計算力の強化を~

標準問題を素早く解くには、入試の頻出パターンをなるべく早い段階で習得する必要があります。青チャートIAIIBは高2中に出来ればマスターし、入試基礎演習レベルまではある程度こなしたい。分野的には、「微積分」に加え、最近影を潜めていますが「確率と漸化式」も要注意。確率については、今年のようにシグマ計算をさせて出すものも、KO理工ではよく見ます。

また、IIIの方も教科書やワークの学習は高2中に、高3の夏までにはチャートが一通り終了していないと、このレベルに対応できません。受験者層を考えると、高2までにIIIを終えている高校も多くあります。学校の進度が遅いような場合は、自分でやりましょう。教科書ガイドと青チャートがあれば進められます。

また、青チャートのようなものが終わったら、早めに入試演習に入りましょう。本学部の数学で点数をしっかり取るには、最終段階としては仕上げレベルまで必要です。こちらを解く際にも、本番の穴埋めのようにスピードを上げて解きましょう。

計算量が多い問題もよく出ます。多少拙いやり方で計算量が増えても、ゴリ押しする能力も必要です。

量をこなす演習:じっくり演習=7:3ぐらいですね。

以上です^^

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