同志社大学 全学部理系 数学 講評| 2024年大学入試数学
2024/02/08
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●2024年度大学入試数学評価を書いていきます。今回は同志社大学(全学部理系)です。
2024年大学入試(私大)シリーズ。
同志社大学(全学部理系)です。
問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。
また☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。
また、解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。
※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。
したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。
同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい、という目安にしてください。
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同志社大学(全学部理系)
(試験時間100分、4問、ハイブリッド型)
※ハイブリッド型とは、穴埋め型と記述式の混合型のことです。
1.全体総評~量に歯止めはかかるが、ほぼ同じ~
2021年から量が高止まり傾向ですが、ちょろっとだけマシになったかな、という印象です。といっても100分の前ではあまり変わらないと思います^^;
いつも通りの分野、構成でした。第1問は確率と複素数平面、第2問以降は誘導が比較的親切な問題構成ですが、その分やることも多いですし、計算量も多いです。時間内に終わらせるのはかなり厳しいでしょう。120分にしてほしいですね。
分野としては今年も確率+BⅢ(ビーサン)出題です。(ベクトルは数Cですが)
試験時間100分に対し、標準回答時間は155分【141分】(←穴埋め考慮)
2023年:170分【154分】(←穴埋め考慮)
2022年:170分【155分】(←穴埋め考慮)
2021年:178分【162分】(←穴埋め考慮)
2020年:135分【121分】(←穴埋め考慮)
2019年:152分【137分】(←穴埋め考慮)
2018年:142分【126分】(穴埋め考慮)
2017年:166分【152分】(穴埋め考慮)
2016年:157分【133分】(穴埋め考慮)
2015年:120分【108分】(←穴埋め考慮)
2.合格ライン~最初の小問が意外と合否を分けるかも~
第1問(1)は漸化式かと思いきや見掛け倒し。ただ最後は類題経験ないとキツイ。東大で過去に出題あり。それを空欄にしてくる同志社の数学。エまで確保しよう。
第1問(2)は複素数平面で軌跡。問題はパターンだが、文字計算がちょっとメンドウでキー問題。中心が正確に出せれば全部正解できるが、ミスると4つ落とすことに。
第2問は記述の中ではラク。(3)までは確実に抑えたい。(4)はキー問題。意味を考えると簡単にわかるが・・・
第3問は見た目から嫌な感じの座標計算だが、刻まれているのでなんとか食らいつきたい。(3)のOHまで出せれば(4)まで行ける。(5)は難しめ+分かってもメンドウなのでいったん後回しか。
第4問は残った時間でどこまで出来るか。(3)まではただの計算。(4)(5)は時間的にもキツイかと。
第4問後半は捨てるとして、第1問(1)、第2問である程度おさえる。第3問も(4)までなんとか。となるとやっぱり複素数平面がカギを握りそう。60%ぐらいでしょうか。
3.各問の難易度
数学を解く上での原則は、緑色(この色)で表記しています。
☆第1問(1)・・・【確率+数列】サイコロの目の積(BC、20分【13分】、Lv.2)
今年もここは確率でした。設定からして漸化式系かと思いきや見かけ倒しでした。
n回投げた目の積を4で割った余りの問題ですが、要は奇数か2の倍数かを聞いているだけです。奇数は楽勝ですし、2の倍数は2の素因数が1つだけ入っているように数えましょう。
拙著シリーズ『Principle Piece~集合と場合の数~』にも、目の積が4の倍数になる問題は掲載されています。パターン問題です。
ただ、最後は難しくCレベルです。同志社理系の1番は、かなり難しいものも空欄に平気でしてきますので、物によっては飛ばしてください。
類題がなんと2003年の東大理系で出ています。ちなみに大問の最後です。これよりはマシですが、一度でも見たことがないと意外と厳しめでしょう。初見なら飛ばすのが吉。
感覚的には、log の中はほぼ(1/2)^n に近いよってことです。多項式nよりも分母にある指数2^nの方が影響力が強いので。それをうまく、与えられた極限と結びつけることになりますので、記述だと迷うところですが、穴埋めなら経験と感覚があれば行けます。
黒のグラフがy= (1-a_n)、赤のグラフがy=1/2^nになります。(nは実数にしてます) nが小さい間は確かに多項式nの項の影響がありますが、n=7ぐらいでほとんどなくなっていますよね。
※KATSUYAの解答時間は4:39です。ここは軽くなった。最後穴埋めにするんかい^^; 知ってたら感覚で解けるけど、知らんかったらかなりキツイ。
☆第1問(2)・・・【複素数平面】アポロニウスの円(B、20分【13分】、Lv.2)
今年で、5年連続でここに複素数平面です。昨年は三角形の形状でパターン問題。今年はアポロニウスの円になる軌跡の問題でパターン問題です。ただし、今年の方が計算はメンドウ。
アポロニウスの円になるタイプでは、こちらの式変形の手順をおさえていれば問題なく出来ます。
(拙著シリーズ 数学III 複素数平面 p.42)
文字tが入っていますが、原則は変わりません。最近、このタイプは文字入りが多いですね。阪大理系にもあったと思います。
まず円にならないときですが、整理してzzバーの項がないときです。それ以外の場合はコツコツ整理するしかないですが、中心しか聞いていないので、うまく計算を途中でやめてしまえば時短になったと思います。最後までバカ正直に計算する必要は今回はありません。
中心が正確に計算で切ればあとは解けるでしょう。tanθはtと3t-2の比、絶対値もtの分数式になりますので、分子分母を影響力のあるt^2で割れば出せますね。
(拙著シリーズ 数学III 極限 p.4)
※KATSUYAの解答時間は7:27。こっちは去年よりメンドウ。中心が合わないと全滅に近い。
☆第2問・・・【ベクトル】傍心のベクトル、面積比(B、25分、Lv.2)
今年はここにベクトルです。だいたい第2問か第3問のどっちかがベクトル。今回は傍心が題材です。同志社理系受験者ならパターンだと思いたい。
傍心は角の二等分線が関わりますので、用いる原則は内心の位置ベクトルを求めるときと同じになります。
(拙著シリーズ 数学B・C 平面ベクトル p.43)
(1)(2)がまさにこれです。かなり親切な誘導ですね。
(3)は交点の位置ベクトルです。t,uっておかれてますが逆にやりにくいので、気にせず原則に従います。(1)(2)を利用し、実数倍で設定してOP=pOC、MP=qMDなどおきましょう。(全部ベクトルです)
(拙著シリーズ 数学B・C 平面ベクトル p.39)
後者はMPなので注意、OM足してOPにして、両者の係数を比較すれば出ますね。
(4)は意外と気づきにくい?OAが共通なので高さの比になりますが、それはbベクトルの係数の比そのものになりますよね。その説明をどうするかですが、思いつかなければ「2/3倍なので」って書いておけばいいでしょう。何も書かないよりはマシ。
※KATSUYAの解答時間は15:41です。これは楽かな。同志社理系にしては計算も少ない。(4)は、私は等積変形でPをOB上まで持ってきて説明しました。(講評動画参照)
☆第3問・・・【図形と方程式+微積分】直線と平面の交点の軌跡(BC、40分、Lv.2)
放物線外の点から引いた接線や接点からいろいろ点を作り、軌跡や通過領域を求める問題。用いる計算はすべて数Ⅱで、学Ⅱの総合問題という感じです。最後は難しめ。
本問も誘導によって刻まれているのである程度は勧められます。(1)はPを通る接線を出すための準備ですが、こちらの原則そのものですね。
(拙著シリーズ 数学II 微分法 p.38)
(2)はそれが点Pを通ることを利用し、sの2次方程式が作れます。その解が接点α、βとなりますので、解と係数の関係。
(3)のLMの式ですが、交点はキタナイので最初はα、βで計算していく(これも原則)と対称式しか出てきませんので、(2)がほぼそのまま使えます。
(拙著シリーズ 数学II 積分法 p.55 ※これは面積計算のときの原則ですが、ここでも使えます)
LMの式が出れば、OHの長さは点と直線の距離公式です。一定値になります。
(4)は(3)のOHまでありつければ、一緒にごちそうさま出来ます。p=±1/3のときのOHの傾きも簡単に分かりますね。
(5)は、OH⊥LMであることから、LMが(4)の軌跡(円)に接するように動くことに気づくことが最初のポイント。これにより、どのような領域を動くかが分かります。後は面積ですが、各種座標の計算だったりと、計算量はかなり多め。答えも汚いので、不安も残ります。(※領域などは講評動画を見てください。)
めちゃ難しいわけではないですが、実質捨て問に近いです。制限時間を考えると、領域の図まで説明して終わるのが最も効率的かと。
※KATSUYAの解答時間は31:03です。実はほぼ最初に計算をミスり、OHがキレイに出ず「これ軌跡出すの無理やろ^^;」ってなり、見直してました。Pのx座標が4pなのにpでやってました。これはやってはいけないミスですね。かなりロスしてしまいました。22,3分ぐらいで行けた気がする。
☆第4問・・・【積分法(数式)】定積分と不等式、数列の和の評価など(C、45分、Lv.2)
今年の最後は、積分法(数式系)からです。だいたい微分か積分のどちらかが出ます。積分だと数式系が多いかな。
(1)は角度が整数×π になればいいので、立方数を入れましょうってことです。
(2)もただの計算。後半は角度全体をtとおいて置換積分すれば前半の形が使えます。ちょっと計算はメンドウですが、問題文に整理された形も書かれているので、この形にならなければ間違っています。検算に使えますね。
(3)は下の用いてよい不等式がヒントというか、ほぼこれを使って終わりです。この式に∫をつけて、k=1,2、・・・として足すだけです。定積分と不等式でよく出てくる典型的なパターンですね。真ん中はf(2)から始まりますが、f(1)=0なので1から始めてもOKですね。そこは一言書いておきましょう。
(4)からは難しめ。(1)の条件があるので10^3~30^3のどれかです。あとは(3)をどう使うかですが、cos(mπ)が偶奇で1、-1と変わることに着目して、偶奇で分けることに気づけば大きく近づけます。
(3)の式で(2)の値を入れてみて、偶数のときは不等式の右辺が負、奇数のときは左辺が正になることが予想できれば勝ちです。かなり大雑把に評価しても大丈夫です。これにより、偶数の3乗だけが答えと分かります。
(5)は(4)を踏まえますが、意外と難しいと思います。Snは(4)の考察から、(偶数)^3のとき負、次の(奇数)^3のとき正まで言えています。あとはその間で、f(x)が常に正であることを利用すると、Snの単調性が言えて、一度だけ0をまたぐことが分かるわけですね。
制限時間的にもかなり厳しいので(3)まで出来ればOKでしょう。(4)(5)は制限時間が長くても難しめです。
※KATSUYAの解答時間は36:55です。マジでギリギリ。相変わらず同志社理系はキツイ。120分にしてほしい。
4.対策~数IIIの微積分は質の高い演習を~
微積分は必ず1題以上(1題+小問、or2題)の割合で出題され、中に極限が混じっています。実質、IIIはほぼ全分野から出題されると思った方がいいです(今年も複素数平面は登場しました)。残りは確率、ベクトル、数列であることが多いです。数学A、数学B、数学III という感じですね。
とにかく全体的に計算量が多いので、解答する途中で多少ややこしい計算が入ったとしても、折れずに答案を書きながら計算をしていく訓練をする必要があります。
段階としては、青チャートなどでまずは原則をマスターし、次に入試基礎演習レベルの問題に取り組みましょう。
その後、入試標準演習の段階に入ります。最近は難しめなので、高得点を狙うなら仕上げ段階にも手をつけたいです。
拙著「Principle Pieceシリーズ」は「原則習得」「入試基礎演習」の両方の段階を一気に学習できますので、この後に入試標準演習に入れます。
数学IIIは、計算過程がメンドくさいものでもサクサク手が動くように、メンドウかつ頻出のパターンは繰り返し手を動かしておきましょう。
量:質=7:3 → 入試近くなったら4:6ぐらいがいいでしょう。
以上です^^
■関連する拙著『Principle Pieceシリーズ』(リニューアル版!)■
数学A Chapter1~集合と場合の数~ (第1問(1))
数学A Chapter2~確率~ (第1問(1))
数学A Chapter3~整数~ (第3問)
数学II Chapter3~図形と式~ (第3問)
数学B・C Chapter1~数列~ (第1問(1))(確率と漸化式も多めに収録!!)
数学B・C Chapter3B~空間ベクトル~ (第3問)
数学B・C Chapter4~複素数平面~ (第1問(2))
数学III Chapter4~微分法2~ (第4問)
数学III Chapter6~積分法(グラフ編)~ (第6問)
すでに原則習得系の参考書(チャート、フォーカスなど)を持っている方にはこちらがおススメ!!
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■他年度の、本大学の入試数学■
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