センター試験 数学II・B【2018年】の難易度、傾向は?
2018年に行われたセンター試験の数学II・BをKATSUYAが解き、その感想や各問題の難易度などをアップしていきます。
【評価指標】
1.難易度 A(易)~E(難)
2.パターンレベル
Lv.1(習得していて当たり前)
Lv.2(習得していないと、差をつけられる可能性がある)
Lv.3(習得していなくてもしょうがない)
3.解答するまでの標準的な時間
です。これら3点から、各問題ごとにコメントしていきたいと思います。
センター試験数学Ⅱ・B(60分)
1.全体評価(難易度)~出来が大きく分かれそうな設問が多い~
ここ最近ワースト5に入る難易度が多く、2017年は脱却しましたが、今年は何とも言えない感じ。出来る人はどれも最後までとれそうです(満点難易度の高い問題がない)が、誘導が読み取れないとガバっと落とします。
第1問の三角、指数・対数は変な設問もなく、ここはラク。第2問は2つに分かれました。後半は化粧しているだけだが、無駄に設定が長く正体を見抜きにくい。第3問の数列は後半の式が複雑で、例や選択肢をうまく利用できたか。計算量も多め。第4問のベクトルは文字が多く、流れがみにくい。計算は文字のせいで煩雑(多くはない)。第5問の確率は通常運転。確率は2年連続で信頼区間の幅の問題。
特に第2問の分裂は新傾向と言えそうです。
※KATSUYA個人の見解に基づくものです。予備校の見解にひっぱられないように、ブログ掲載時点では予備校の見解を見ておりません。
■目標解答時間・・・76分 【52分】←穴埋め形式なら
(昨年解答時間・・・77分 【53分】←穴埋め形式なら)
時間的には昨年よりかからないように見えますが、読み取れずにあたふたしているともっとかかると思います。
KATSUYAは35分で終了しています(第4問まで)。第2問[2]で読み違いをし、今年も時間ロスです。
2.各大問の難易度
第1問[1] (三角関数:弧度法、三角方程式、加法定理、合成、例年比やや易、AB、8分【6分】)
今年の三角は最初が弧度法の定義などで基本的です。後半は三角方程式で、誘導に従って変形していくパターンです。やりやすいと思います。
教科書レベルのことをしっかり理解できているかどうか、盲点をついてきた弧度法の定義。できなかった人は「なんでこんなの出すんだ」といいたくて仕方ないかもしれませんが、私個人としては「こんな基本的なことも知らずにテクニックだけ身につけるなんて100年早い」と返す刀で斬らせていただきたいと思います。基本は大事です! 1点で良かったと思いましょう。
後半の方程式は典型パターン。36°と6°という、変な角度が入っていますが、「差が30°」であることを見やすくするために、xに変形しています。 一度加法定理で展開し、合成し直すパターンで、ワークによってはB問題あたりに記載があるようなパターン問題です。
(拙著シリーズ(白) 数学II 三角関数 p.43-44)
最後はx-π/3のとりうる範囲に気をつけましょう。満たすのは150°ですね。
※分数がみにくいので、度数表記にしています。
※満点難易度は例年比やや易でしょう。
KATSUYAの感想
しょっぱなは盲点になるか。変換はさすがに舐めているような気がする。後半はパターン。展開してから合成ね。θの範囲を45~90と勘違いし、形にあわず。あれ^^; 90~180に気づく。36足して60引くから、66~156。150°のほうね。明らかに度数法の方がやりやすいパターン。(1)の流れで変換しろってこと? ロスして解答時間3分。
第1問[2] (指数・対数関数、対数不等式、実数解条件、例年比易、B、6分【4分】)
今年の対数は昨年の図形との融合に比べるとかなり易しく、例年と比べても易しめ。対数の範囲が2年連続で聞かれました。出来が悪かったから差がつくと踏んでいるのでしょうか。
最初は「3」を底とするとあるので、誘導に従いましょう。logの掛け算があるなら、置き換えます。ここは誘導過多で差がつかないですね。
(拙著シリーズ(白) 数学II 積分 pp.34-37)
次はcを代入して解きます。因数分解も簡単ですね。真数条件は「テ」に入ります。当然0です。そして真数条件を満たしていれば、対数は全ての実数を取れます。去年も出ましたが、今年も聞いてきました。
実数全体なので、不等式が常に成り立つには、D≦0の出番です。急に数Iの知識効いてきますね^^;
(拙著シリーズ(白) 数学I 2次関数 pp.38)
※満点難易度は例年比やや易だと思います。
KATSUYAの感想
指数・対数は昨年よりだいぶラク。誘導にも書いてあるし、ちょっとやさしすぎ?。対数範囲は2年連続か。最後は数Iの2時不等式聞いてくるのか。全体的にはかなりラク。解答時間2分。
第2問(微積分:放物線と直線の接する条件、面積、極値、3次方程式と3次関数の符号、積分方程式、例年比並、B、24分【16分】)
今年の微積分は[1][2]に分裂しましたが、同じ微積なのでここでまとめます。
前半はいつもどおり微積総合です。グラフはあまり必要無さそうで、聞かれたことを素直にやるだけ。後半は題材的には新しいですが、ワークにある積分方程式を解くだけのパターンであることに気づけるかどうかです。
(1)最初は、放物線と直線の接する条件です。2つのグラフが接する条件は。こちらの原則がいいでしょう。数IIや数IIIの微積で幅広く使える原則ですね^^
一方が曲線でなくてもOK。直線なら、微分したら定数になるだけです。p、q、rから2式で2文字消去し、pだけにしましょう。文字式の処理は、こちらの考え方が基本。どれを消すのか、よく考えましょう。
(2)の前半の面積Sは接線絡みの積分です。準公式ではありますが、この積分はこれで2年連続の出題となりますので、こちらの原則でしっかりと計算をサボりたいですね^^
(拙著シリーズ(白) 数学II 積分 pp.34-37)
Tはただの台形ですので、台形の公式で出しましょう。
U=S-Tからは微分問題で、言われた通りやるだけです。U=0となる値は微分ではなく、3次方程式です。v=1が解になると気づけば因数分解は易しいです。次の「ソ」は、2次不等式を習ったときのようにグラフを書けば、正か負か分かるはず。
そのグラフからも、最小値は極値の2のときと分かります。増減表まで書いていると時間がかかりますので、ここは時短で。
後半は話が変わります。f(x)が具体的ではないところが気持ち悪いですが、よくよく読んでいけば、ただの積分方程式の問題だと気づけるハズです。気づけないとアウトでしょう。二等辺三角形の面積は高さを三平方で出せばOK。無駄に計算量増やされます。結局
∫(1~t) ーf(x)dx=面積
ということですよね(ただしf(x)≦0 なのでマイナスが入ることに注意)。これでいつもの積分方程式のパターンです。上端に「t」があるので微分しましょう。
(拙著シリーズ(白) 数学II 積分 p.23)
今回は[2]の手順すら不要で、[1]だけやれば出ます。
※上位層なら[2]もなんなく解いてくるでしょう。むしろ普段より計算は少ない気がします。満点難易度は並とします。
KATSUYAの感想
最初は普段通りっぽいかな。接する条件は原則通り。(2)の最初は、お、接線絡みやからまた原則使える。結構原則使えるな^^ あとは言われた通りにつらつら計算。U=0は微分じゃないな。3次方程式か。S-Tの計算でv=1の因数が見えたので因数分解はラク。後半は、、なんだ?話変わったかな?[2]って書いてあるわ。2問構成か。題材は積分方程式やけど、遠まわしに頑張って設定した感じ。右辺も二等辺三角形の面積にしてきたか。逆にこれだと厳しいのでは。解答時間13分。後半でf(x)の符号を読み違えてケタあわず、ロス。
第3問 (数列:等差・等比数列と和、複雑な数列の階差数列と一般項、例年比やや難、B、18分【12分】)
ここ数年数列は難しい題材が多めです。今年は前半は典型的でしたが、後半は数列も複雑で、階差の選択肢を間違えるとそこで終了。正解しても計算は多いです。
最初は、等差と等比がどのようにして決まるのか、しっかり理解しておくことがポイント。何を未知数とおくかです。
(Principle Piece 数学B 数列 p.4)
(Principle Piece 数学B 数列 p.4)
最初は初項を公差を文字でおき、2つの条件で連立すればOK。等比についても同様。等比については辺々割れば「r」だけに出来ます。和の計算はいいでしょう。
(3)の式は比較的複雑です。階差数列dnが選べるかどうか。書いてある式を利用して、c3-c2をやってみると分かったと思います。例を利用するのは大事です。
これに従ってdnを計算し、あとは階差から一般項に戻す公式です。最後まで解くにはかなり時間がかかりますので、スピード勝負となりそうです。
※上位層にとっては、ただ計算量が多いだけなので、全然解いてくるでしょう。満点難易度は並としておきます。
KATSUYAの感想
条件2つやからaとdで連立。和も出す。等比も同じネタか。また連立してa消去。意外とここで差つく?(解けなかったら0点やけど・・・) (3)はパッと見ややこい。階差をとると選択肢のどれかになると。c3-c2やれば予想つくだろうと踏んで、例を利用してOK。dnを計算。これの和をとってcnも終了。途中細かいミスがちょいちょい。桁数で訂正。数列やから計算は多いな。解答時間9分。
第4問(平面ベクトル:三角形内部の交点、内積、内分比、長さ、B、昨年比やや難、20分【14分】)
2年連続で平面ベクトル。三角形に直線2本引いて交点作ってるだけなのですが、始点がいつもと違うことや、文字が多いことなどで、取り組みづらいセットです。
(1)は舐めていますが、これがとても重要。拙著では原則で載せているぐらい、大事にしているポイントがあります。
(拙著シリーズ(白) 数学B ベクトル p.34~35)
今回は始点をFにする必要があるため、「始点を合わせて後ろから前を引く」操作が必要です。ベクトルでは、この操作を徹底的に意識しましょう。2乗計算はいいでしょう。
(2)は内分点の公式で瞬殺です。(3)からは誘導が読み取りにくいです。FDは(2)より、pベクトルとqベクトルで表すことが出来ますが、同時にrベクトルの実数倍でもあります。これを比較してくれ、ということです。④も同様で、FEをまず内分点の公式で表し、右辺と比較してくれ、ということです。FEは自分で内分点の公式を作らせるので、ここで振り落とされると6点しかなく、かなり厳しいです。
点をベクトルで表すときは、どことどこの交点なのかを意識し、そこからどんな式が立てられるのかを見極めることです。基本的には、下記2つのどちらかのはずです。今回は下の方が元になっています。
(拙著シリーズ(白) 数学B ベクトル p.34~35)
(拙著シリーズ(白) 数学B ベクトル p.34~35)
逆に④が出せれば、係数比較でs、tまで出せますので、一気に+8点。BE=FE-FBで始点を合わせてさっきのs、tを代入すれば簡単に2乗できますので、さらに+3点。最後の内積は文字式の割り算が入るので、因数分解に気づければ御の字です。
最後なので時間もない中で文字も多く、焦っていると流れも見えにくく、振り落とされた可能性もありそうです。
※上位層はこの程度の流れであれば読み取るのはたやすいはずなので、満点難易度は並とします。出来が大きく分かれそうですね。
KATSUYAの感想
今年はも平面か。始点、そこかい。3つベクトル設定するのか。あとで1つ消すんやろな。最初は舐めすぎ^^; (2)までさくっと終了。(3)は実数倍は設定されているから、内分点の方を式にして比較。さらにqベクトルで比較の流れやな。ちょっと読み取りづらいかも。ん?別にどれも消さないのか。最後まできてしまった。BEは始点合わせる。FEはpベクトルの「t」倍なので、tも代入。 最後の内積は方程式がちょっとメンドウ。ケタ数的には1次式で約分出来る可能性が高いかな。できたから合ってるやろ^^ 8分
3.対策~教科書の基礎事項にも目を配る~
レベル的には、教科書の章末問題レベルです。そのレベルの問題を、いかに素早く解くかがカギになってきます。
2次で数学がいる人は、特に意識する必要はありません。2次の対策がそのままセンターの勉強になってます。過去問や模試などで、形式になれることだけしておくといいでしょう。
■関連するPrinciple Piece■
(第1問[1] 対応)