慶應大学 薬学部 | 2016年大学入試数学

      2017/02/05

●2016年度大学入試数学評価を書いていきます。今回は慶応大学(薬学部)です。

いつもご覧いただきまして、ありがとうございます。 KATSUYAです^^いよいよ、2次試験シーズンがやってきました。すでにお馴染みになってきたかもしれませんが、やっていきます。
2016年 大学入試数学の評価を書いていきます。


2016年大学入試(私大)シリーズ。

慶応大学(薬学部)です。

早慶が始まりました。ここからはさらに忙しくなりそうです^^;

問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。
また☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。

また、解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。
※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。

したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。


同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい、という目安にしてください。





慶応大学(薬学部)
(試験時間80分、4問、穴埋め型)

 

1.全体総評

昨年より、微難化です。年々計算量が減り、煩雑さもかなり落ち着いてきましたが、今年は少しリバウンド。1番の小問が大問より意外と手こずるので、うまく時間配分が必要なセット。特記すべき事項として、微分が2つもあるのに、積分が出ませんでした。


試験時間80分に対し、
標準回答時間は149分【97分】(←穴埋め考慮)
2015年は123分【82分】(←穴埋め考慮)

2.合格ライン

第1問:まずは(2)と(3)を確保。時間をかけたのなら、片方はとらないとツライ。
第2問:今回のセットを考えると、絶対欲しい。
第3問:ただの計算なので、落ち着いて確保したい。
第4問:キー問題。残り時間との兼ね合い。(1)は最低確保。


65%ぐらいでしょうか。

3.各問の難易度

第1問(1)・・・【複素数と方程式、整数】、余り(1次+1次→2次)、解から決定する(B 25分【16分】、Lv2)

複素数と方程式に、少し整数が絡んだ問題です。遠まわしな表現が多く、しょっぱなから出鼻をくじかれた受験生も多かったかもしれません。一旦どばしてもよかったかも、です。

最初はいいでしょう。教科書にでもよくある問題です^^

Principle Piece II-19

余り決定の問題は因数定理の活用を考える

(拙著シリーズ(白) 数学II 複素数と方程式 p.27~28)


ii)はa,bの条件を読み取れたかどうか。実は、a,bは方程式と関係なく決めることができます。2a+bが連続2整数の積なので、1×2、2×3、、、、など、ということです。a-bがなるべく小さくなるには、b=2は決定でしょう。あとは、aをどこまで大きくできるか、です^^


これに気づけば、9+2iが解であるとわかりますので、こちらの原則を用います^^

Principle Piece II-24

高次方程式の解の情報に関する問題
[1] 共役複素数が解であることを利用する
[2] 3次方程式の解と係数の関係も活用

(拙著シリーズ(白) 数学II 複素数と方程式 p.33)

 

9+2i、9-2i、および実数解「p」の3解について解と係数の関係を活用すれば、出ますね^^

※KATSUYAの解いた感想
最初は楽勝。a,bの条件はなんだ?方程式の条件も合わせないとダメ?とりあえず方程式を立てるが、設定した文字に対して方程式が少ない。じゃあa,bは後半の条件だけで決めろ、と。もうちょっとましな表現はなかったんだろうか。解答時間9分。

☆第1問(2)・・・【2次関数+微分】、放物線の対称移動、3次関数の最大・最小の応用(B 20分【13分】、Lv.2)

2次関数と3次関数の融合。2次関数は、点に関する対称移動をしろ、ということです。明確に教科書に書かれているわけではない対称移動を聴いてくるあたりが、さすがです^^;

(a,b)に関して対称移動するなら、2b-y=f(2a-x)となります。拙著シリーズ「2次関数」をご覧になっていれば、楽勝です^^

ここが出れば、あとはどうってことありません。2つの放物線の交点もきれいになるので、QRSの座標をkで表せばOK。というより、底辺と高さがkで出ればOKです。高さは「3-k」なので注意。k-3ではありません。

定義域に適する極値が1つしかありませんので、ここが極大かつ最大でしょう。増減表は穴埋めなら不要です。シュッと3次関数の形かいて、極値の場所を見ればすぐにわかります^^


※KATSUYAの解いた感想
(1)よりだいぶ簡単やねんけど^^;対称移動は楽勝。交点出すときれい^^よしよし。高さは引いたやつ。交点出すときに使った式が使える^^。微分して極値見てグラフおおざっぱに書いて終了。解答時間4分。

第1問(3)・・・【三角関数】三角関数の最大・最小(B、12分【8分】、Lv.2)

単純な三角関数ですが、「y軸の正の部分を始線として」というのが、意地悪なひっかけです。試験場での受験生の精神状態を考えると、私としてはとてもこんな設定には出来ません^^;

すなわち、θ1やθ2にπ/2をたさないと、普段用いている三角関数の式には出来ません。 π/2ーθ、などの三角関数は丸覚えではなく、円を書いて考えるようにしましょう。すぐにわかります^^
(拙著シリーズ「三角関数」では、この種の公式や加法定理の練習帳もついてますから、これは儲けもんです^^)

最後はただの2次関数です。


※KATSUYAの解いた感想
なんでy軸が始線?完全にひっかけ^^; 簡単すぎるから、ひっかけて差をつけようとした?だとしたらちょっと粗悪な問題。解答時間3分。

第1問(4)・・・【ベクトル】内心ベクトル、方程式から位置決定、長さなど(BC、25分【16分】、Lv.2)

第1問の中では最難問といえます。内心の位置が問題文の条件を満たすためには、係数がどのような比であればよいか、という問題。逆に、いわゆるLv3(別に知らなくても導けばいい有名事実)の知識があれば、l、m、nが直角三角形の辺の比であることはすぐにわかります。すると斜辺が17だとわかれば、8:15:17だと分かるため、ほとんど計算は不要です。

内心の接点と頂点間の距離については、x+y、y+z、z+xの方程式ですね^^

Principle Piece A-84

内接円の接点との長さはx,y,zの3連立

(拙著シリーズ(白) 数学A 平面図形 p.40-41)

 

直角三角形の場合、接点の頂点の距離の1つが半径となりますので、a,b,rとおいています。

次からが問題。内心の位置ベクトルOPをOA,OBで出し、条件式も基点をOに合わせて、係数を比較するのが良かったと思います。

内心のベクトルは次のようにして出しましょう^^

Principle Piece B-39

内心の位置ベクトル
→辺の長さの比を2回活用

(拙著シリーズ(白) 数学II 複素数と方程式 p.36~38)

ただs、a,b,r,l,m,nと文字が多いので、少し時間がかかる問題だったと思います。有名事実を利用して、なかなか遠まわしに設定してきますね。

※KATSUYAの解いた感想
最初楽勝。後半は、内心の位置ベクトルの場合、この条件式なら係数は辺の比のはずやから8:15:17かな。知ってたモン勝ちでしょ。結果知ってるのにわざわざ出してられんわ^^;a,b,rは3連立で出し、終了。解答時間1分。

第2問・・・【微分】3次関数の接線、最大値、方程式解の個数(AB、20分【14分】、Lv.2)

本学にしては簡単な微分の問題です。先ほども微分がありましたので、若干範囲が偏っています^^;

最初は問題文に従って条件式を作りますが、4次方程式となります。因数定理を使いますが、がむしゃらに入れないように。候補があります。知ってますよね^^

Principle Piece II-18

因数定理の代入候補は 「定数項の約数」÷「最高次の係数の約数」

(拙著シリーズ(白) 数学II 複素数と方程式 p.27)


解答欄からしても、「a」は1桁で、正の整数だとわかります^^ であれば、1か2か3か6しかありません。これぐらいは頑張りましょう。

aが出れば楽勝です。(2)は微分して増減を調べ、(3)はcを定数分離して視覚化、です^^

Principle Piece II-103

解の個数を調べるなら、定数分離

(拙著シリーズ(白) 数学II 微分(2冊目) p.4~5)

 


※KATSUYAの解いた感想
KO薬って、もっと難しかったような気がするけど、なんか最近簡単やな。数値も4、5年前に比べたら全然楽勝。てか、微分ばっかり。積分がまったくない^^; 解答時間6分。

第3問・・・【数列】等比数列、対称式の値(B、22分【14分】、Lv.2)

等比数列に関する標準的な問題です。等比数列の知識しか使いません(笑)。ただし、数値が複雑(というか煩雑)で、久しぶりにKO薬らしい設定です。それでも、最後の答えは割ときれいになるように設定されている分、昔に比べると随分マシ。

等比数列は、「初項」と「公比」がわかれば決まります^^ これを文字でおいて、問題文から式を立てましょう。

Principle Piece B-3

等比数列は初項と公比が分かればわかる

(拙著シリーズ(白) 数学B 数列 p.9)


後半の条件だけでr_aが、それと前半で初項a_1が出ます。どちらも同じなので、一般項は(公比)^n です。r_a、r_bは、いわゆる「共役無理数」なので「いまから対称式の計算、いくで~」と言っているようなもんですね^^

Principle Piece I-16

●+√▲、●-√▲は和と積を出して対称式へ

(拙著シリーズ(白) 数学I 数と方程式 p.30)
(新版、旧版で記載ページ、番号が異なる場合があります)

(2)は、x^4-y^4の因数分解を利用、(3)はx^8+y^8を対称式で表せばOKです^^

xy=1なので、x^8+y^8=(x^4+y^4)^2-2
={(x^2+y^2)^2-2}^2-2 です。からくりが見抜ければ、たいして計算はしんどくありません。

※KATSUYAの解いた感想
ちょっとKO薬っぽい感じの数値。r_bをだし間違えて、c4が綺麗になるイメージがわかないので、やり直し。共役無理数になるんか^^ じゃあ対称式で計算すればいいやん。(3)も簡単やな。解答時間9分。

第4問・・・【確率】連続で勝つ確率(B、25分【16分】、Lv.2)

確率の問題です。設定は不自然ではないですが、計算では考えづらいタイプなので、コツコツ調べ上げていくしかないでしょう。例えば、負けたらつぎは試合に参加していないなど、セットで並べられるところがあるはずです。

勝つ=○、負ける=×、不参加=△で私は調べましたが、×△×と書いたら、そこで相手が優勝していることにだけは注意。幸い、ケタが合わなくて気づきましたが^^; 注意力の問われる確率の問題ですね。

最初は、5回目で優勝しているので、うしろ3回は、△○○確定です。△の前は×ですから、結局「?×△○○」です。?は○でないと次に試合ができませんので、並びは確定ですね^^

6回目でのCの優勝も、先ほどのことを考えると、「△?×△○○」でないとだめです。?も○でないとダメですね。最初の△は、A,Bどちらが勝ってもよいことに注意。


(2)は、A,Bの勝つ確率は確実に対称ですから、Aだけ調べればOKです。「○○」「○×△○○」「×△○○」しかありません。Bはこれと同じ。また、6回で勝負が決まらない確率は1式で出せます(最初はどっちでもOK。あとは、直前に勝ったった人が負けるから1/2)ので、Cは余事象で出せますね^^

(3)は一見大物に見えますが、「○○」「○×△○○」「○×△○×△○○」、、、、となるので、3つずつ試合数が増えていくだけですから、ただの等比数列の和です^^


※KATSUYAの解いた感想

最後はまあ確率やな。設定はシンプルやけど、意外と計算ではでなさそうなので、調査を覚悟。こんな設定、意外とないな。(2)で「×△×△○○」を入れてしまい、Cが勝つ確率のケタが合わない。あれ、なんで^^;(5分ほどロス) あ、そうか、復帰して負けたら、相手が連勝しとるわ^^; 除いて訂正。最後は大物かと思いきや、よくよく考えると等比数列の和で終了。あっけないな。解答時間14分。

4.対策~パターン問題を瞬時に見ぬき、素早く計算を~

計算量が非常に多く、分量に無理のある年が多いですが、これを見ている志望者は、間違いなく計算練習をしてくるでしょう。レベル的には、原則習得には青チャートで十分でしょうが、レベルの高い重要例題でもすぐに方針が立つぐらいやり込んでおくべきです。

最終段階は入試標準レベルまで欲しいですが、ここが第一志望の場合は、穴埋め形式のつもりでとにかく素早く計算し、途中式はともかく答えをかちっと合わせる練習をしましょう。

変な難問が出るわけではない(出ても捨てて問題なし)なので、毎年確実な微積、確率を中心に、まんべんなく量をこなしていきましょう。

量をこなす演習:じっくり演習=8:2ぐらいですね。

以上です^^

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■関連する拙著シリーズ■

★ 数学Ⅰ 数と方程式 (第3問)

★ 数学Ⅰ 2次関数 (第1問(2))

★ 数学A 確率 (第4問)

★ 数学A 整数 (第1問(1))

★ 数学II 複素数と方程式 (第1問(1)、第2問)

★ 数学II 三角関数 (第1問(3))

★ 数学II 微分 (第1問(2)、第2問)

★ 数学B ベクトル (第1問(4))

★ 数学B 数列 (第3問)

★ 計算0.9【IAIIB】 (計算練習帳です^^)

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