関西学院大学 文系(全学日程2/1) | 2018年大学入試数学
●2018年度大学入試数学評価を書いていきます。今回は関西学院大学(全学日程文系:2/1)です。
いよいよ、2次試験シーズンがやってきました。すでにお馴染みになってきたかもしれませんが、やっていきます。
2018年 大学入試数学の評価を書いていきます。
2018年大学入試(私大)シリーズ
関西学院大学(全学日程文系:2/1)です。
問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。
☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。
また、解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。
※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。
したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。
同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい、という目安にしてください。
関西学院大学(全学部日程:文系)(2月1日実施)
(試験時間60分、3問、ハイブリッド型)
※ハイブリッド型・・・記述式と穴埋め式が混合しているもの。
1.全体総評~分野が4年連続でほぼ固定。例年よりはラクか~
全体的な構成が4年連続でほぼ一致です。第1問は2次関数と確率、第2問は数学II(微積以外)と数B(今年は数列)、第3問が微積です。
量的には、ここ数年増加傾向でしたが、反動で一気に落ち着いたように思います。
試験時間60分に対し、
標準回答時間は77分【60分】
2016年は94分【74分】(←穴埋め考慮)
2016年は88分【67分】(←穴埋め考慮)
2015年は82分【59分】(←穴埋め考慮)
2.合格ライン
第1問はキー問題。穴埋めとはいえ、意外とかかる。下手すると半分になりかねないが、7つ欲しい。
第2問は例年に比べると計算量が少なく、典型的。8割確保したい。
第3問は時間との勝負。(1)~(3)まで取り、(4)で滑り込めれば安心か。
65%~70%ぐらいで、例年より少し高め。
3.各問の難易度
第1問(1)・・・【2次関数】絶対値付き2次方程式・不等式、解の個数(AB、18分【12分】、Lv2)
4年連続、2次関数からの出題。今年は少しメンドウです。最初の絶対値付き2次関数ですが、(x-1)が因数として共通なので、場合分けの境目はx=1.4の2つだけです。
(拙著シリーズ(白) 数学I 数と式 p.12-13)
中身の符号は、適当な値を入れることでも判断可能です。穴埋めなので効率よく。
全部で3つに分かれますが、全体の流れを考えるとグラフが必要です。先にグラフをかけば、f(x)=8となる部分がどの辺か想像がつきますね。
=kの解の個数は、グラフを書いて視覚化しましょう。
(拙著シリーズ(白) 数学I 2次関数 p.48)
最後ですが、x>5/2 の意味は、頂点をはさんで対称な部分を除外するための条件です。それより右で探すとなると、x=4でグラフが変わります。xとx+1ではグラフが異なることを利用して求めます。
☆第1問(2)・・・【確率】サイコロ2個、和、確率の最大値、最小値(B、20分【13分】、Lv.2)
こちらも、3年連続でここに確率。そして4年のうち3年がサイコロです。毎年、この原則がここに記載されてますね^^;
(拙著シリーズ(白) 数学A 集合と場合の数 p.20)
和が3、11になる場合は対角線で4通りありますので、確率は1/9と分かります。それを繰り返すので、反復試行のパターンとなります。あたり1/9、はずれ8/9などと整理しておきましょう。
(拙著シリーズ(白) 数学A 確率 p.18-19)
p(3)、p(4)はいいでしょう。その後の流れは、確率の最大値を求める流れですので、こちらのパターンとなります。
(拙著シリーズ(白) 数学A 確率 p.27)
比をとると、指数の部分はほとんど約分されます。掛け算や割り算の組み合わせだけで出来ている式は、約分が期待できますので比をとるわけですね^^
※KATSUYAは計8分で終了しています。理系よりメンドウな気が・・・
☆第2問(1)・・・【図形と式】3点が一直線上、重心、面積(A、10分【7分】、Lv.1)
今年の数IIは図形と式からです。ここはあまり分野を固定してこないようですが、数IIから出題されるのは固定のようです。
全体を通して、特にコメントすることはないです。面積はベクトルの成分としてAB、APを考えたほうが公式に当てはめやすいと思います。
第2問(2)・・・【複素数と方程式+数列】余り、漸化式(B、12分【8分】、Lv.2)
この位置には数Bが固定のようで、ベクトルの方が若干多めですが、今年は数列でした。まずは割ったあまりの話から。あまりを聞いているときは、因数定理の利用が基本です。その際、公式の丸暗記ではなく、A=BQ+Rの形を書くことです。
(拙著シリーズ(白) 数学II 複素数と方程式 pp.28-29)
すると、1次式で割った時と同じように、x=1を代入することで「キ」が分かります。次の漸化式については、A=BQ+Rの形のまま、両辺に(x+1)をかけます。BQ(x+1)にしてもBで割り切れますから、R(x+1)を再びBで割って、余りを出せば漸化式がつくれます。
出来た漸化式は、指数型の形をしています。
(拙著シリーズ(白) 数学B 数列 pp.34-35)
p、qなどの詳細は割愛しますが、今回はどちらも2ですので、2^{n+1}で割る以外に選択肢がなく、これで割ることで問題文通りのc_nに関する漸化式が作れ、等差数列になることも見えますね。
なお、a_nを直接出すこともできます(積の微分法の知識が必要)ので、検算に利用しましょう。
※KATSUYAは計6分で解いています。
第3問・・・【微積分】3次関数の極値、接線、面積(B、25分、Lv.2)
最後は4年連続で微積分の分野から出題。内容もほぼいつもどおりですが、今年は(4)の除けば、計算量は少なめかと思われます。
(1)は「x=1で極値3をとる」ですが、「極値をとる」「3をとる」という2つの情報が隠れていますのでお忘れなく。
(拙著シリーズ(白) 数学II 微分 pp.20-21)
a,bはこの式を立てるだけで出ますが、記述式なので、出たa,bに対して、f(x)がx=1で極値を取ることは確認しておきましょう。(確認なしだとちょっと引かれるかと)
(2)は接線出すだけなのでノーコメント。(3)では、放物線も接しているということで、一番楽なのはx=pの重解条件に持ち込むことでしょう。3x^2+17x+c-(5x-4)=3(x-p)^2 が恒等式になるようにすればOKです。
最後は面積。2次関数、3次関数ともに接線絡みの面積ということで、拙著シリーズ読者は原則のオンパレードで「いただき^^」といったところでしょうが、この計算テクを知らずにまともにやると時間を持って行かれます。
放物線と3次関数はx=0で交わることはすぐに確認できますので。x=ー2~0、0~2です。
ー2~0では、放物線と接線絡みの公式です。本学に限らず頻出ですので、文系の学生さんでも確実に使えるように。
(拙著シリーズ(白) 数学II 積分 pp.34-37)
また、3次関数と接線についても、3次関数ー接線=ー(x-2)^2・(x-3) となることは、定数項を見れば分かります。
積分するときは、(x-2)^2(x-3)=(x-2)^2(x-2-1) とみなして積分するんでしたね。
※KATSUYAは12分で解いています。最後はがっつり計算でラクをさせていただきました^^
4.対策~固定化された分野を重点的に~
まずは、出題分野がここ3年固定です。2次関数、確率(サイコロ系)、ベクトルor数列、微積(3次関数、面積)+数学IIのどれか、という感じです。これらの分野を重点的に行いましょう。
難易度的には、センター試験に少し毛が生えた程度だと言っていいと思います。特別な難問を演習する必要はなく、レベル的には黄色チャートを繰り返すことでも十分対応できるでしょう。青チャートだと逆にお釣りがもらえますね^^
穴埋め問題に対応できるために、最低限の答案量で計算する練習もしておくことも重要です。
量をこなす演習:じっくり演習=9:1ぐらいですね^^
以上です。
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■関連する拙著シリーズ■
★ 数学Ⅰ 2次関数 (第1問(1))
★ 数学A 確率 (第1問(2))
★ 数学II 図形と式 (第2問(1))
★ 数学II 複素数と方程式 (第2問(2))
★ 数学B 数列 (第2問(2))
★ 数学II 微分 (第3問)
★ 数学II 積分 (第3問)
★ 計算0.9 【IAIIB】 (計算サボり練習帳です^^)