慶應大学 薬学部 | 2018年大学入試数学

      2018/02/12

●2018年度大学入試数学評価を書いていきます。今回は慶応大学(薬学部)です。

いつもご覧いただきまして、ありがとうございます。 KATSUYAです^^いよいよ、2次試験シーズンがやってきました。すでにお馴染みになってきたかもしれませんが、やっていきます。
2018年 大学入試数学の評価を書いていきます。

入試シーズン中はコメントの返信が大幅に遅れることがあります。ご了承ください。



2018年大学入試(私大)シリーズ。

慶応大学(薬学部)です。

早慶が始まりました。ここからはさらに忙しくなりそうです^^;

問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。
また☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。

また、解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。
※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。

したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。


同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい、という目安にしてください。





慶応大学(薬学部)
(試験時間80分、3問、穴埋め型)

1.全体総評~大問構成が変化。2015年の易しさ以上に易化~

まず、2点大きな変更がありました。

1.穴埋めが桁指定ではなくなりました。

2.大問が4問から3問へ。第1問の小問の数が4つから8つに増えました。

難易度は、大幅に易化。2015年を底にして難易度が戻りつつありましたが、今年は2015年以上に易しくなっている印象です。計算量はそれなりにありますが、KO薬としてはかなり少なめ。上記の通り桁指定が消えた分、桁でミスを発見できなくなりましたが、答えの汚い数字が大幅に減ったのでプラマイゼロでしょう。

 

また、小問が倍に増えましたが、昨年と今年で小問にかかる時間(当サイト比較)としては以下の通りです。

2018年の第1問(小問8つ):73分【49分】

2017年の第1問(小問4つ):73分【46分】

なんと、ほとんど変わってません(私も驚きました^^;)。従って、実質大問が1つ減ったようなものですので、大幅易化なのは納得ですね。


試験時間80分に対し、
標準回答時間は106分【71分】(←穴埋め考慮) 穴埋めでは初の制限時間以下ではないでしょうか。

2017年は163分【110分】(←穴埋め考慮)

2016年は149分【97分】(←穴埋め考慮)

2015年は123分【82分】(←穴埋め考慮)

2.合格ライン

第1問:典型的な単問パターンが多め。15個中最低10個、理想は12個。差がつくのは(2)(5)(8)か。
第2問:大問にする必要があったか疑問なレベルのパターン問題。確実に確保。
第3問:キー問題。うまく融合されており、KOらしいです。最初でつまるとすべて落とすところも差がつきそう。

今年は、ボーダー70%超えでも全然おかしくないでしょう。

3.各問の難易度

第1問(1)・・・【空間ベクトル】両方に垂直なベクトル(A、 5分【3分】、Lv.1)

教科書例題レベルの問題。原則一発ですね。さすがにバカにしてませんかね。。。

 

Principle Piece B- 49

 垂直な単位ベクトル

 y=●x、z=▲x としてからx^2+y^2+z^2=1 へ

(拙著シリーズ(白) 数学B ベクトル p.61-62)

垂直条件から出来る2つの式で、文字を2つ減らします。残すのはどれでもOK。1文字にしてから大きさの式に代入しましょう。

 

☆第1問(2)・・・【整数+式と証明】整数解、二項係数(B、 15分【10分】、Lv.2)

整数解と2項定理を組み合わせた問題。設定のムリヤリ感はKO薬としては通常運転です。a,bの値は、後に書いてある条件をまず使います。この順番のちぐはぐ感も、通常運転(苦笑)。

 

整数解の基本は積の形にします。2乗の差なので、超典型的ですね^^

Principle Piece A-65

 整数解問題のアプローチ 積の形に導き、約数候補

(拙著シリーズ(白) 数学A 整数 p.45)

絞るための設定は2b<aということで、いくつかやってみるとわかりますが、「a+b」と「a-b」が近い値だと実現します。

後半はCkとCk-1 ということで、条件式は比です。2項係数は掛け算と割り算ばかりなので、こちらの原則を適用すればOK。

Principle Piece A-38

 確率の最大値は 「pn+1とpnの比」 に着目

(拙著シリーズ(白) 数学A 確率 p.27)

2項係数の式は確率の反復試行の式と似ていますし、比をとればゴソっと約分できますね^^

 

 

 

第1問(3)・・・【数列】等差数列とその和(A、6分【4分】、Lv.1)

なんだこれ、って感じの基本問題です。必要もなさそうですが一応コメントしますね^^;

等差数列は初項aと公差d(2文字)が決まれば決まります。2項与えてれば問題ないですね。

Principle Piece B-1

 等差数列は「初項」と「公差」が分かれば分かる

(拙著シリーズ(白) 数学B 数列 p.4)

しょぼい原則かもしれませんが、公式1つにしても、決定すべき文字が何個あるのか(a,d,nのうちa,dだけ)など、しっかり意識して欲しいという意味も込めています。

和は言葉で覚えましょう。n=5か始っていることと、項数が11なので、ひっかからないように。

Principle Piece B-2

 等差・等比の和は言葉で覚える

(拙著シリーズ(白) 数学B 数列 p.5)

 

第1問(4)・・・【対数関数+微分法】対数の3次式、置き換え(A、6分【4分】、Lv.1)

対数で置きかえるパターンの3次式。典型的な融合問題です。置き換えた「t」の範囲もわざわざ聞かれていますし、これは余裕でしょう。

最大値は極大値で確定。最小値はー1、3の両方を計算する必要があります。なお、極値付近の形状を知っているとー1のときだとすぐにわかります。

Principle Piece II-105 

 3次関数の特徴をおさえておく

(拙著シリーズ(白) 数学II 微分(1冊目) p.44)

 

☆第1問(5)・・・【2次関数】解の存在範囲(AB、12分【8分】、Lv.2)

2次関数の解の存在範囲の問題です。「すくなくとも1つ」のパターンは正攻法だと場合分けが多いので、こちらの原則のほうがいいでしょう。

Principle Piece I-34 

 文字定数入りの解の個数は定数分離で視覚化

(拙著シリーズ(白) 数学I 2次関数 p.48)

aが含まれている式がxの1次までなので、x^2+3=a(x+2) とすることで視覚化できますね。

 

 

第1問(6)・・・【三角比】空間図形と計量(AB、10分【7分】、Lv.1)

こちらもワークのB問題にありそうなパターン。AE=EDなので面積はEから垂線を下ろした高さで出せます。内接円の半径は面積媒介ですね^^

Principle Piece I-50 

 内接円絡みの問題では面積を媒介に

(拙著シリーズ(白) 数学I 三角比 p.32)

第1問(7)・・・【積分法】積分方程式(両端定数)(AB、9分【6分】、Lv.1)

こちらも超典型的なパターン。絶対値がついてたりした時期はどこへやら・・・。

xはインテグラルの前にだせますので、「∫f(t)dt」と「∫t・f(t)dt」を定数a、bと置きましょう。置いた分だけ方程式つくれますので、気にせずいくらでも置けます。

Principle Piece II-114 

 定積分は定数 「a」とおいてからa=・・・を解く

(拙著シリーズ(白) 数学II 積分 p.15-16)

 

第1問(8)・・・【三角関数】cos18°の値(B、10分【7分】、Lv.2)

最後は18°系統の三角関数の問題です。変な設定ですが、1辺のcos18°は2重根号なので、面積にしてそれを避けるための設定でしょう。

18°、36°系統がノーヒントということで、これは原則でしっかり手順まで把握していたかどうかがものを言うでしょう。

Principle Piece II-68 

 18°、36°系統の三角関数

 [1] 5θ=3θ+2θに分けて倍角、3倍角で処理

 [2] 親子の二等辺三角形を用いて相似利用

(拙著シリーズ(白) 数学II 三角関数 p.39)

 

 

 

第2問・・・【確率】条件付き確率(AB、12分【8分】、Lv.1)

第1問の易しさがそのまま踏襲された形の第2問。第1問の(9)でもいいんじゃなかってぐらい、典型的です。条件付き確率で、工場A、Bの不良品パターンと同じですね。

(1)はさすがに簡単すぎますね。問題数稼ぎでしょうか。

(2)は「感染している」×「感染判定がでる」+「感染していない」×「感染判定が出る」とやります。そして(3)は、このままこれを分子に、下線部分が分母です。

Principle Piece A-39 

 条件付き確率 分母は「とき」の前 分子はときの「前後」

(拙著シリーズ(白) 数学A 確率 p.32)

過程で分子も出ているという流れを把握していれば、ただの計算問題です。約分しきれるかどうかだけが勝負なのでは^^;

597/1596 で止めた人もいそうですが、まだ3で割れますよ~

 

☆第3問・・・【2次関数+式と証明+図形と式+微分法】2次関数の最大・最小、面積の最大値(B、21分【14分】、Lv.2)

いろいろ融合されていますが、設定も比較的スマートでかなり練られている大問です。

(1)は最初の条件を使います。「極値の差」とか書いてありますが、2次関数なので頂点だせばOK。式を求めればわかりますが、差は明らかに相加平均・相乗平均の関係が使える形が見えます。


 Principle Piece II-3 

 相加平均・相乗平均の関係の使えるタイミングを把握する

(拙著シリーズ 数学II 式と証明  p.19 一覧は省略)

(2)は後半の条件式も使って決定します。3次式になりますので、因数定理で。(3)は三角形の面積です。座標で、原点を含むので1/2|ad-bc|が早いです。絶対値がついていますが、0<t<1/2の範囲では外せます。あとは微分して増減で終了。


いろいろな分野が融合されていますが、手順1つ1つは基本的。基本に忠実に従えるかどうかですね。

 

4.対策~パターン問題を瞬時に見ぬき、素早く計算を~

出題分野ですが、数学Bは何らかの形で全部出る傾向にあるようです。数学IIも微積を筆頭に、ほぼ全分野にわたって出題があります。あとは場合の数・確率と整数が絡みます。

計算量が非常に多く、分量に無理のある年が多いですが、これを見ている志望者は、間違いなく計算練習をしてくるでしょう。レベル的には、原則習得には青チャートで十分でしょうが、レベルの高い重要例題でもすぐに方針が立つぐらいやり込んでおくべきです。大幅に易化していますが、対策は昨年までと変わらず、これは一貫しています。

最終段階は入試標準レベルまで欲しいですが、ここが第一志望の場合は、穴埋め形式のつもりでとにかく素早く計算し、途中式はともかく答えをかちっと合わせる練習をしましょう。

変な難問が出るわけではない(出ても捨てて問題なし)なので、A・II・Bを中心にまんべんなく量をこなしましょう。

量をこなす演習:じっくり演習=8:2ぐらいですね。

以上です^^

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■関連する拙著シリーズ■ 

※今年は小問が触れたことで、ほぼ全分野からの出題でした。

★ 数学Ⅰ 2次関数 (第1問(5))

★ 数学Ⅰ 三角比 (第1問(6))

★ 数学A 確率 (第2問)

★ 数学A 整数 (第1問(2))

★ 数学II 式と証明 (第1問(2)、第3問)

★ 数学II 複素数と方程式 (第3問)

★ 数学II 図形と式 (第3問)

★ 数学II 三角関数 (第1問(8))

★ 数学II 指数関数・対数関数 (第1問(4))

★ 数学II 微分 (第1問(4)、第3問)

★ 数学II 積分 (第1問(7))

★ 数学B ベクトル (第1問(1))

★ 数学B 数列 (第1問(3))

★ 計算0.9【IAIIB】 (計算サボリ練習帳です^^)

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