【後期】九州大学 理系| 2018年度大学入試数学

      2018/03/21

●2018年度大学入試数学評価を書いていきます。今回は九州大学(理系)【後期】です。

いつもご覧いただきまして、ありがとうございます。 KATSUYAです^^
2018年 大学入試数学の評価を書いていきます。

入試シーズン中は、コメントの返信が大幅に遅れることがあります。ご了承ください。

 

2018年大学入試(国公立)シリーズ。
九州大学(理系)【後期】です。



問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、
典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。
また☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。



また、解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。
※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。

したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。


同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい、という目安にしてください。





九州大学(理系)【後期】
(試験時間120分、5問、記述式)

1.全体総評~数IIIを中心に計算量の多い問題が並ぶ~

昨年より微難化。最後は数IIIの割合が昨年は2問と少なかったですが、今年は4問が数IIIの絡むセットで、それに伴い計算量も増えました。

計算量は多いですが、誘導小問のおかげで手を付けやすい問題も多めなので、そこまで点数の取れないセットではありません。


試験時間120分に対し、
標準回答時間は145分。

2017年:140分
2016年:160分
2015年:125分
2014年:150分

2.合格ライン

1番は典型的な定積分の問題。(4)(5)あたりで差が出るか。

2番は丁寧に解けばいけるはず。取りたい。

3番は(3)が出来ないと(4)が出来ないので、ここは差がつきそう。

4番はちょっと抽象的で難しいかも。

5番は計算量が多め。(2)までは取りたい。(3)の計算が合わせられれば御の字。部分点は欲しい。

 

2番はおさえて、1、3、5番で完答出来るものから優先的に。4番はとれればアドバンテージ。65%ぐらいでしょうか。

3.各問の難易度

☆第1問・・・【微積分総合】定積分と漸化式(B,25分、Lv.2)

定積分と漸化式の問題です。最初の式は一瞬ぎょっとしますが、下を見ていくと超お決まりのパターンの定積分と漸化式です。

(1)は、その超お決まりのパターンの漸化式の問題ではほぼセットでついてくる証明です。sin cosの入れ替えを考えるとなれば、π/2ーx=t という変換が思い浮かびますね。

(2)は発想の問題ですが、sinx cos^(2n-1)x の部分をひとかたまりにして部分積分によって一発で証明できます。手前に2nもありますので、思いつきいやすいかと。

(3)はただの微分ですが、これでn→2nとすれば(4)が得られます。それに気づかない場合は、(4)の証明をそのまま自分でやることになりますが、経験がないとここで詰みそうです。(九大受験者なら経験済みかと)

まともにやる場合は、次数nをずらすことになりますので、部分積分ですね。

Principle Piece III-64

 定積分の漸化式は部分積分で攻める

(拙著シリーズ(白) 数学III 積分法 p.56-60)

 

(5)は(4)を利用しましょう。・・・・を使って書くか、階乗の記号を使って書けばOKでしょう。

 

※KATSUYAの解答時間12分。詰まることなく終了です。この漸化式は派生が多いですね。

 

☆第2問・・・【複素数平面】不等式を満たす複素数の存在領域など(B、25分、Lv.2)

複素数平面の問題です。1番に引き続き、見た目はぎょっとしますが、やることは至って単純ですので、しっかり合わせたいところです。

(1)はただの計算です。先に分母・分子を極形式にしましょう。

(2)はw=z^3u Dの条件式に入れます。いっぱい条件がありますが、実部と虚部の条件は偏角の範囲を、最後は絶対値の範囲を言っているだけです。この手の方程式(不等式でも)では、極形式にして比べるんでしたね。

Principle Piece III-102

 極形式の「=」では、偏角では+2kπを忘れず

(拙著シリーズ(白) 数学III 複素数平面 p.24)

(3)は(2)が出来れば、「その図から」と答案に書いて早速答えても全く問題ないでしょう。

  ※KATSUYAの解答時間10分。偏角の分母が36とかメンドウでしたね。

 

☆第3問・・・【確率+微分法】アンケート調査、確率の最大値(B、25分、Lv.2)

単純な設定の問題で、やることも反復試行なのですが、最後は微分法も絡むので少し時間は取られます。

(1)は2人ほんと、3人うそならOK。(2)は、20代の人がうそをつくかどうかで分かれます。

(3)からは、その人が20代かどうかも含めて、まず1人1人について「はい」と答える確率を出して整理しておく必要があります。「そのひとが20代でほんと」か「20代ではなくうそ」であればOK。

Principle Piece A-33

 反復試行では1回あたりを詳しく整理しておく

(拙著シリーズ(白) 数学A 確率 p.18-19)

(4)は(3)を微分するだけです。●^2▲^3 のような形をしているので、積の微分でうまくくくればそんなにしんどい因数分解にはなりませんね。

 ※KATSUYAの解答時間12分。特につまるところはありませんでした。最後はpだけでいいのに、値も出してしまいましたので、ロス。。。

☆第4問・・・【空間ベクトル】3つの球に接する平面上の点など(B、25分、Lv.2)

3つの球と、それに接する平面を与えて、設定をしてきます。設定はやはりややこしく見えますが、数値の決まらなさそうな文字もいっぱいあって、これに惑わされて手がつかなかった人も多そうです。

実はなんてことはなく、平面αの基本ベクトルは「PAベクトル=aベクトル」と「PBベクトル=bベクトル」で、この2つについては大きさもなす角も分かっているわけです。ということは、平面α上の話であれば、怖いものはありません。

Principle Piece B-29 

  2つの大きさと内積が分かれば全て求められる

(拙著シリーズ(白) 数学B ベクトル p.22-24)

球という表現で見えにくいですが、中心だけが問題です。内容的にも、P基準がいいのに、Oが別に基準として書かれているのも、本問をややこしくしています。

(1)は折れ線の最小値なので、折り返して対称点に着目です。長さの比から内分比に持ち込めます。

Principle Piece II-38 

 折れ線・光の反射は折り返しで対称点を求める

(拙著シリーズ(白) 数学II 図形と式 p.21-22)

(2)は平面どうしの交点なのでα上にもβ上にもあるという条件を式に出来ればOK。平面βはC1C2C3を通るので、こちらの原則ですね。P基準でいいでしょう。

Principle Piece B-54 

 平面上にある 1-s-t、s、tの係数設定

そのために、平面αに垂直なベクトル(nベクトル)を1つ導入しておく必要があるります。空間全体は、a,b,nの3つのベクトルで表せます。β上にあるということで、a,b,nを用いて表すことが出来ます。これがα上にあるなら、nの係数が0になればOKです。これで文字が1つに減るはずです。「t」になってなければ、それを「t」に書き換えればOK。

(3)で長さなども使い始めます。(2)のベクトルをそのまま使い、RC2ベクトルをa,b,nで表せばOK。絶対値は2乗しましょう。nはa,bの両方に垂直であることをお忘れなく。

若干抽象的で、少し難しいですかね。

※KATSUYAの解答時間21分。最初は難しいかな、と感じたが、球を無視して中心だけにして絵を書き直してみたら、見掛け倒しでした。でも文字は多いですね。半径は1、2、3でもよかったような気がします。

 

☆第5問・・・【微積分総合】面積の最小値、斜回転体(B、35分、Lv.2)

最後は再びがっつり数IIIの微積分総合問題。単純な放物線と直線しか出てきませんが、計算はメンドウ。

(1)は図を書くだけです。これ要りますかね^^;  どうせ書くやろって感じですけど。

(2)は放物線と直線で囲まれているので6分の公式利用です。

Principle Piece II-117 

 放物線と直線で囲まれている部分は「6分の」公式で

(拙著シリーズ(白) 数学II 積分 p.29 具体的な式は省略、表現変更)

面積が出たら、微分して増減表で最小値も出せます。(3)に影響しますので、ここまで間違えないで行きたいです。

(3)は斜回転体です。類題経験というか、ある程度典型パターンを反復練習しておかないと、ノー誘導なので結構差がでそうです。原則としてはこちらになります。

Principle Piece III-80 

 斜め回転体の求め方

 ∫π(半径)^2d(軸) 軸、半径をどっちもx座標で表す

(拙著シリーズ(白) 数学III 積分法の応用 p.43)

先にx座標を設定し、放物線の点A(x、2x^2)を設定し、その点から直線にy=3xに垂線AHをおろします。AHが半径、OHが軸になるわけです。これで「x」の積分に出来ます。

斜回転はここの説明と式を書くまででもまあまあメンドウですが(その分、部分点にも期待したい)、その式の計算もメンドウなので、じっくり時間を残して取り組みたいところです。(最後なので、時間あるところまでという感じか)

※KATSUYAの解答時間18分。思ったより時間とられてませんでした。

4.対策

九大後期は数IIIを中心に計算量の多い問題が目立ちます。手法としては標準的なものが多く、問題文から適切に解釈できれば、それらの組み合わせで解ける問題です。教科書程度ではもちろん足りませんが、一通りの手法を終了させたら、入試基礎レベルへ移行し、その後、もう少し手間のかかる問題の演習へと進みましょう。

なお、今年の最後のような論証が九大では散見されますが、これが出来るようになることよりも、取れる問題でしっかり取ることが大事です。



量をこなす演習:じっくり演習=7:3ぐらいでしょう。

以上です^^
■他年度の、本大学の入試数学■

>> 2012年度

>> 2013年度

>> 2014年度

>> 2015年度

>> 2016年度

>> 2017年度
■関連する拙著シリーズ■


★ 数学A 確率 (第3問)

★ 数学B ベクトル (第4問)

★ 数学B 数列 (第5問)

★ 数学III 複素数平面 (第2問)

★ 数学III 微分法 (第1問)

★ 数学III 微分法の応用 (第3、5問)

★ 数学III 積分法 (第1問)

★ 数学III 積分法の応用 (第5問)

 - 2018年度大学入試数学 , , , , , , , , , , ,