【後期】東北大学 理系| 2018年度大学入試数学
2018/03/22
●2018年度大学入試数学評価を書いていきます。今回は東北大学(理系)【後期】です。
いつもご覧いただきまして、ありがとうございます。 KATSUYAです^^
後期の大学のうち、数学のある大学について評価を書いていきます^^
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2018年大学入試(国公立)シリーズ。
東北大学(理系)【後期】です。
問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。
また☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。
また、解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。
※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。
したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。
同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい、という目安にしてください。
東北大学(理系)【後期】
(試験時間150分、6問、記述式)
1.全体総評~誘導が丁寧で手をつけやすいセットに~
昨年よりやや易化しました。数学IIIからは積分に加えて、極限が絡む問題が3問ありましたが、基本的にはバ数学Bはベクトルと数列が両方、あとは数IIと数Aということで、基本的にはバランスが取れています。も最後は難しいですが、親切な誘導のある問題も多く、点数に結びつきやすいセットです。
試験時間150分に対し、
標準回答時間は145分。昨年と同じですね。
2017年:160分
2016年:160分
2015年:165分
2014年:180分
2.合格ライン
1番は誘導というか小問も多く稼ぎやすい。全部おさえたい。
2番も誘導があるので、(1)で意図を見抜いて場合分けできるか。(2)は(1)を利用できるのでおさえたい。
3番は(1)(2)は行けるはず。(3)はキー問題です。
4番もキー問題。2つ飛びの規則を見抜けるか。
5番は簡単なベクトルの計算でおさえたい。
6番は最初の定積分がある程度いじれないと、全体的にかなり厳しい。
65%ぐらいでしょうか。
3.各問の難易度
第1問・・・【数列+積分(II)+極限】格子点の数と面積、極限(B,20分、Lv.2)
格子点の数と面積の比の極限を求める問題で、東北大にしては基本的な問題です。
(1)は周りだけです。x軸上、y軸上、放物線上で数えましょう。頂点のかぶりに注意。
(2)は(1)と別に、Σで計算すればいいでしょう。(3)の面積はちゃっちゃと出して極限もおまけです。
まずは点数あげます、という問題でしょうかね。
※KATSUYAの解答時間7分。詰まることなく終了しました。
第2問・・・【図形+三角関数】図形上にできる2つの三角形の面積の和の最大値(B、20分、Lv.2)
円周上に5点をおき、1点だけ場所を動かしたときの三角形の面積の最大値を求めます。(1)がないと、自分で(1)を思いついて証明する必要があるのでCレベルです。
(1)の意図が見抜けたでしょうか。PQRの外心(円の中心)Oが三角形の外にある場合と中にある場合で立式が変わりますが、変形すると結局同じということです。
(2)は(1)を利用します。聞かれている∠AOX=θとでもおいて面積をθで表せばOK。加法定理の部分は展開すればsin、cosの1次になりますので、合成を睨んで展開するのが自然な発想です。
(拙著シリーズ(白) 数学II 三角関数 p.44-45)
が、結局cosはなくなり、合成すら必要ないですね。
※KATSUYAの解答時間13分。
☆第3問・・・【確率】サイコロと確率(B、20分、Lv.2)
サイコロの目に従って特定の板の白黒を変える問題です。
(1)と(2)はどんな目が出ればいいのか、すぐに分かります。
(3)がなかなか難しいです。{2、5}または{1、3、4、6}で図のような状態になりますので、{2、5、●、●}か{1、3、4、6}で場合分けするのが良かったと思います。●が2、5のときは総数が変わるので注意。
※KATSUYAの解答時間8分。(3)が意外と早く見抜けたので、安心。差がつきそうですね。
☆第4問・・・【数列+極限】特殊な漸化式と極限(B、25分、Lv.2)
旧分野的には1番と丸かぶりに見えますが、内容的には別。今回は漸化式です。パターンではなく、偶数と奇数でルールが変わるパターンです。
このような場合は、奇数から次の奇数(または偶数から次の偶数)の漸化式を作ります。そうすればルールを両方使うことになりますので、常に同じなわけです。これに気づけば、(1)~(3)は全て一気に解決です。
なお、途中で絶対値をはずすためにー1以上が欲しいところですが、式からみてー1以上も言えるので、ほぼ同時に外すことができます。
偶数か奇数、どっちかを調べられたら、もう片方は漸化式で1つずらせばOKです。
※KATSUYAの解答時間9分。なんか今年は奇偶で分かれるタイプの漸化式が多い。パターン問題じゃ解けますからね。
第5問・・・【空間ベクトル】正四面体内部にある点と4頂点との距離の最大・最小(B、20分、Lv.2)
基本的な空間ベクトルの問題です。点Oがわざわざ与えられているのはちょっと意地悪ですが、正四面体ですから、4頂点のどこかを始点にとって3ベクトルを基本にすべきです。この作業だけで本問は解決します。苦手だと意外とキツイ?
(拙著シリーズ(白) 数学B ベクトル p.63)
AB,AC,ADを基本ベクトルとして、A基点にしていけばOKです。内積は全部1/2、長さは1です。これを利用すれば、内積の展開もそんなに苦にはならないはず。
(2)も楽勝です。APベクトル=p とおいて、|p→|について準平方完成をすることになります。結局GPベクトルが最大・最小のときにLも最大・最小になるとわかります。
※KATSUYAの解答時間8分。なんかただの計算問題な感じ。東北大にしては簡単。
☆第6問・・・【定積分と極限】n乗絡みの定積分(C、35分、Lv.2)
定積分と漸化式絡みですが、少し変形しづらい形をしているため、詰んでしまった人も多いかと思います。
2^nが前に出ていますが、被積分関数にも(logx)^nがありますので、合わせて(2log x)^n として、これで置換積分するとかなり見やすくなります。積分区間に√eが入っていることからも、この変換を思いつくヒントになっています。
(1)は、上記変形をすると、e^t が式に入っていきます。積分区間が0~1になっているので、1≦e^t≦e で評価して積分し、題意の式を得ます。
(2)は漸化式を作るので、部分積分しましょう。
(拙著シリーズ(白) 数学III 積分法 p.56-60)
(3)は(2)の漸化式を用いたくなりますが、pnの漸化式はあまり使える形をしていません。実はa_n=p_n・e+q_n を使います。(1)の結果を(2)で用いないということは、(3)で用いるはずです。(3)の極限、(1)の不等式を見ても、挟み撃ちの臭いがしますので、こちらの利用にうつりたいです。
anの方は挟み撃ちで0と分かります。残りはqnですが、qnの漸化式は変形すると定数列が見えます。
(拙著シリーズ(白) 数学B 数列 p.37-38)
掛け算ばかりのときはうまく変形すると、nがずれた定数列型に出来ることが多いです。求めたい極限の形から、n!で割って(ー1)^n をかけることは難しくないですね。これでqnも極限が出せ、そのまま求めたい極限にほぼ直結します。q1の計算に定積分の計算は必要です。道のりは長いですね。。。
※KATSUYAの解答時間25分。最初の式変形にも結構思いつくのに時間がかかった。(2)はすぐ分かる。(3)はpnの漸化式がいじれなかったので詰みかけましたが、上記の流れでたどり着けました。
4.対策
基本的には前期と同じです。前期のエントリーをご覧下さい。前期よりは難しい問題が多い傾向にありますが、構成や問題の特徴はほとんど変わりません。
量をこなす演習:じっくり演習=6:4ぐらいでしょう。
以上です^^
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■関連する拙著シリーズ■
★ 数学A 確率 (第3問)
★ 数学II 三角関数 (第2問)
★ 数学B ベクトル (第5問)
★ 数学B 数列 (第1問、第4問)
★ 数学III 極限 (第1問、第4問、第6問)
★ 数学III 積分法 (第6問)