東京工業大学 |2018年度大学入試数学

      2019/03/06

●2018年度大学入試数学評価を書いていきます。今回は東京工業大学です。

いつもご覧いただきまして、ありがとうございます。 KATSUYAです^^いよいよ、2次試験シーズンがやってきました。すでにお馴染みになってきたかもしれませんが、やっていきます。
2018年 大学入試数学の評価を書いていきます。

2018年大学入試(国公立)シリーズ。
東京工業大学です。

問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。
また☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。



また、解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。

※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。

したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。


同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい、という目安にしてください。





東京工業大学
(試験時間180分、5問、記述式)

1.全体総評~昨年と変化なし。質の高いじっくり系の多いセット~

昨年と変化なしで、数IIIの割合は3/5問でした。

相変わらず、どれも計算量、思考力を問う問題が多いですが、昨年に比べると少しだけ計算量が減ったかな、という印象です。ただし、答えにたどり着くまではかなり長いので、論証力や段階を追って考える能力が必要。




試験時間180分に対し、
標準回答時間は200分。

(過去6年平均:184分)

2017年:200分

2016年:170分
2015年:195分
2014年:165分
2013年:175分
2012年:243分
2011年:330分(制限時間150分) 平均計算にはのぞきました。
2010年:130分(制限時間150分) 平均計算時には1.2倍しました。

2.合格ライン

第1問の複素数平面は文字計算がやや煩雑だが、正解したい。
第2問の整数問題は(2)がキー問題。2文字を設定して一般解を出せたか。
第3問は(1)は取れる。(2)はキー問題。はさみうちに持ちこめるか。
第4問は楕円中内に回転体が絡む問題、(1)も意外と考えにくく、意図がつかめないと(2)が厳しい。
第5問は漸化式と確率。(2)までは取りたい。


第1問は押さえて、第2,3,4,5問を前半まで全体的につまみぐいし、どれか完答出来るものを探して集中したい。4つ中、2完できればボーダーを超えるかと。

60%強ぐらいでしょうか。



3.各問の難易度

第1問・・・【複素数平面】方程式の複素数平面上での位置関係(BC,35分、Lv2)

最初は複素数平面で、文字計算は煩雑ですが、コツコツ計算していくだけの計算力重視の問題です。必要な原則やテクニック的なものはそこまでなく、計算してくれ、って感じの問題。

(1)は、a,bが等しければ4解が一直線上、そうでなければ、いわゆる等脚台形が出来ます。等脚台形は対角の和が180°ですから、円に内接します。円の中心は実軸上にありますので、(k、0)とでも置いて、あとは他の点で距離が等しいという式を作り、コツコツ計算するしかありません。

 

(2)は、(1)で求めた円周上に③の解があるようにすればOKですが、これもコツコツ計算するだけです。共通項が多く、意外とキレイになります。ここまで計算できたかどうかですね。

※KATSUYAの解答時間17分。ただ計算するだけやな。

 

☆第2問・・・【整数】3元1次不定方程式の一般解の考察(BC、35分、Lv.3)

ありそうでなかった、3元1次不定方程式の一般解の問題です。

3文字に対して式は1つなので、文字は2つのこります。整数解の場合は、2つの整数m、nなどを用いて、x=○a+△b+□、、、などとおけるということです。

解き方はいろいろあるかと思いますが、例えば91y+65z=13(7y+5z)なので、7y+5zを一度まとめておき、35x+13Y=3 などとして一般解を出せばOKです。 =3ですが、=1で具体例を探して3倍すればOKです。

Principle Piece A-62

 ax+by=k の整数解 k=1での具体解を利用する

(拙著シリーズ(白) 数学A 整数 p.40)

x=ー13k+9、Y=35k-24などと出ます。

次に、7y+5z=35k-24 となる一般解を探すことになりますが、いつもの要領でこのまま1組見つければOK。

y=5k-2、z=-2 などでいいでしょう(35k、-24で別々に探してみましょう)。これが具体解なので、辺々引いて同じように一般解に変えます。文字がもう一つ増え、y=5j+5k-2、z=-7j-2 などとすれば完了です。

一般解が出たら、(2)は簡単です。|x||y|が最小になるようにj、kを調整しましょう。独立に近い動きを取れます。

2文字なら楽勝すぎますが、3文字となると経験の有無で差がついたでしょうか。なんとか経験がなくても、2文字で表すことには気づきたい。

※KATSUYAの解答時間16分。これは2文字で表すだけやからそんなに難しくないかな。意外と差がつく?

 

☆第3問・・・【極限+微分法の応用】方程式の解、解の和と極限(C、45分、Lv.3)

数IIIの微分法からで、(2)などは東工大らしさが濃く出ています。

(1)は1-sinx=e^-x などと変え、f(x)=e^-x+sinx-1 とおきます。増減を調べなくても、正の値と負の値を無限に取り続けることを示せば、後半の証明は可能です。前半は微分すれば単調性が見えますね。

不等式における原則ですが、差をとって微分するという原則を使っています。

Principle Piece III-39

 不等式は差をとって微分する

(拙著シリーズ(白) 数学III 微分法の応用 p.44-47)

(2)は東工大らしい極限です。指数に三角まで混じった方程式なので、当然解を出すことは出来ませんので、はさみうちを思いついてほしいところです。

解の現われ方は、やはりy=1-sinxと y=e^-x の交点でとらえると分かりやすいでしょう。角解が、1-sinxのグラフのどの「部位」に現れるのかを考えると評価できそうです。

たとえば、1解目はπ~1.5π、2解目は1.5π~2πの間にあるなどです。もっと広げて、1解目は0.5π~1.5π、2解目は1.5π~2.5π、・・・でも大丈夫です。幅を一定にしておけば、和をとってもnの1次式、n^2で割ればゴミです。


※KATSUYAの解答時間23分。(2)の幅をどこからどこにすればいいかについて、最初0.5πの幅で取りましたが、nの偶奇で分ける必要が出てくるので、やめてπの幅に変えました。場合分けはないほうがいい。

 

☆第4問・・・【空間図形+積分】楕円柱に含まれる回転体の体積の最大値(CD、50分、Lv.3)

東工大の頻出分野である、空間図形と立体の体積の問題です。今年も健在でした。軸もななめになっており、難易度が上がっています。

(1)は、Ptは直線lの点として置いてあり、それに垂直な平面と、Lθとの交点を出すことになります。交点ですから、平面上、直線上にあることを式にしましょう。

Lθ上にあることは簡単です。(2cosθ、sinθ、z)とおけばOK。平面上にあることは、この点とPを結ぶベクトルが、lに垂直であればOKです。これでzが出ます。

(2)は(1)の意図が見ぬけるでしょうか。結論としては、回転体のHtでの断面が、楕円柱の側面とPtとの距離が最小になる距離を半径に持つ円であれば、ぎりぎりV内に収まります。なお、|z|≦6 というのは、十分V内におさまるための数値であり、大きめにとってあるだけです。

これを半径に持ち続ける回転体が体積最大ということになります。距離の最小値はθの関数ですが、「t」の値で多少場合分けが入るところもあるので、東工大らしい求積と言えますね。

※KATSUYAの解答時間28分。(2)と(1)のつながりを見抜いたあとは距離の式の最小値に帰着させることに気づきました。ここで場合分けがぎりぎり発生するあたり、東工大らしい。積分は数IIレベルですが、係数などは煩雑でした。

 

☆第5問・・・【確率+数列】確率と漸化式、立方体上の点の移動(C、40分、Lv.3)

最後は確率と漸化式からです。立方体上を動くということで、設定はシンプルですが、確率が全て文字なのでやはり煩雑になります。

(1)はこちらの原則になります。確率と漸化式では必須と言える原則。

Principle Piece A-41

 n回目とn+1回目を詳しくみる

(拙著シリーズ(白) 数学A 確率 p.39-43)


奇数秒後と偶数秒後で、存在する点が決まっていますので、そのことにも触れておきましょう。ABCDにあるのは偶数秒後です。それで、n+2とnの関係になるわけですね。

(2)は言われた通り計算するとわかりますが、an-bn+cn-dnでくくれてしまいます。くくった先も2乗の式になりますので、思ったよりはすっきりします。 等比型として一般項が出せます。

(3)は(2)をヒントにして欲しいのでしょうが、ここは差がつくところ。同じように、an+bn-cn-dn、など、マイナスを付けるところを変えてn+2とnで関係式をつくると、これまたうまく等比数列になります。これらを利用することで、anが出せますね。こちらは少し発想が必要な部分となります。

 

※KATSUYAの解答時間28分。(2)の式変形も最初はここまでキレイになると思わず、結構かかりました。また、(3)の発想にいくまでにも結構かかりましたね。結果がおもったよりスッキリした印象です。 

4.対策~論証力、段階を踏んで解決していく能力が必要~

分野的には、数IIIの微積(2問はある)、整数、確率、あと1問何かという感じですが、ここ2年は複素数平面です。積分の問題は立体図形が絡むことが多いので、ベクトルも要演習。

東工大の問題は例年、誘導を省いた問題が多いです。(ここ数年はまだまし)。普通なら小問になっているようなものを自分で見つけ出し、自分でそれを解くという作業を行わなければいけません。対策をするなら、誘導がない過去問のレベルに照準を合わせたほうがいいかもしれません。

原則習得段階では、小問になっているようなものについては、その手法をよく意識し、なるべく吸収していきましょう(増減を調べるのにこんな方法があるんだな、こういう立体のときは、x軸切断がラクなんだな など)。

その後の入試基礎演習入試標準演習の際にも、似たような問題と解法は常に見比べるようにしましょう。したがって、同じレベルの問題でも1冊だけ行うのではなく、複数行ったほうが解法の幅が広がると思います。

昨年の第5問のようなこと(ネタが同じ問題を11年越しに出題)が今後、起きないとは限りません。また、複素数平面は2005年以前のものでないと演習できないので、これらも10年分ぐらいチェックしておいてください。最新年から、20年分ぐらいはチェックしておきたいですね^^。

東工大の数学は単科長年のものがありますので、実力がUPしてきたらそちらで演習してもいいでしょう。

初期は、量をこなす演習:じっくり演習=8:2ぐらいがいいですが、少しずつじっくり演習にシフトすべきです。受験後期(秋以降)には、逆に試行錯誤を多めにし、4:6でもいいぐらいです。

以上です^^

 

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■関連する拙著シリーズ■

★ 数学A 確率 (第5問)

★ 数学A 整数 (第2問)

★ 数学II 図形と式 (第4問)

★ 数学B ベクトル (第4問)

★ 数学III 複素数平面 (第1問)

★ 数学III 極限 (第3問)

★ 数学III 微分法の応用 (第3問)

★ 数学III 積分法 (第4問)

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