東京工業大学| 2016年度大学入試数学
2017/02/25
●2016年度大学入試数学評価を書いていきます。今回は東京工業大学です。お待たせしました。
いつもご覧いただきまして、ありがとうございます。 KATSUYAです^^いよいよ、2次試験シーズンがやってきました。すでにお馴染みになってきたかもしれませんが、やっていきます。
2016年 大学入試数学の評価を書いていきます。
2016年大学入試(国公立)シリーズ。
東京工業大学です。
問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。
また☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。
また、解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。
※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。
したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。
同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい、という目安にしてください。
東京工業大学
(試験時間180分、5問、記述式)
1.全体総評~計算量はやや減少。数学IIIの割合が低い~
昨年よりやや易化。問題の質は相変わらず高いですが、極端に計算の煩雑な問題がなく、方針が経てば手が動きやすいセットの印象です。本格的な数IIIが1問だけという珍しいセットで、数IIIを大量に演習してきた人は、逆に戸惑ったかもしれません。
試験時間180分に対し、
標準回答時間は170分。
2015年:195分
2014年:165分
2013年:175分
2012年:243分
2011年:330分(制限時間150分)
2010年:130分(制限時間150分)
計算量が減った分、制限時間内で解ける可能性が見えるセットです。
2.合格ライン
第1問は誘導がついており、解きやすい。(1)の微分の因数分解がカギだが、ここはおさえたい。
第2問は、本格的な多変数関数で、多くの場合分けが必要。(2)まではしっかり確保したい。
第3問はキー問題。具体的な数値がほとんどなく、自分で設定していくところが東工大らしい。(1)の誘導をどう使うか。
第4問もキー問題。かなり発想寄り。(1)はいいとして、(2)を思いつけたかどうか。
第5問は数学IIIだが、東工大としては易しめ。ただの計算なので、丁寧に解いて確保したい。
まず第1、5問で確実に稼げぎたい。これだけなら時間はあるので、その時間内に第2、3、4問のどれかでも完答できれば、安心。60%強ぐらいでしょうか、
3.各問の難易度
第1問・・・【図形と式+微分法】2動点の最大・最小(B,30分、Lv2)
放物線上の点と、円周上の点の距離の最小値を計算する問題です。(1)で誘導があるので、方針は立ちやすかったのではないかと思います。
(1)は、Pのx座標を「t」とでもおき、距離の2乗を「t」で微分します。(t-a)を因数に持つことに気づけば、第1問は勝ち。
残りの因数も0になることはありますが、図形的に考えて「t>0」を用いてよしなら、割とラクに答えは出せます。書くにしても、t<0のとき、「y軸対称した点の方が絶対に短い」ことを示せばいいでしょう。残りの因数のことも、まともに場合分けして考慮している解法が多く載っていますが、ちょっと大げさな気がします。
(2)は、よくある「d±半径」で最大・最小を出すパターンです。半径の方が距離より大きい時はゼロなので、場合分けに注意。
※KATSUYAの解いた感想
(1)は距離公式の式を微分。因数分解・・・できるはずやろ。aを消そうと考えて、t=aを入れる。あたったあたった^^ あとは因数分解。残りの因数は・・・正とは言えないな。どうしよう。でも、図形的はt>0としていいよな。一応、対称点との距離を比較し、最小になるとすればt>0のときであると書いて終了。(2)は場合分けして終わりやな。解答時間15分。
第2問・・・【確率+方程式総合】サイコロの目、三角形の面積の最小値(C、40分、Lv.3)
確率に図形の面積が融合された問題です。(1)、(2)は確率っぽいですが、多少図形的な考察も必要。(3)は確率というより、多変数関数の問題がメインです。
(1)はX=Y=Zのときなのでしょうが、さすがに証明は必要だと思われます。長さで攻めると、216通り全部やらないといけないので、角度でいくと合同が示せて良かったと思います。
(2)は、証明を含めると(1)より簡単です。全て等しいときは数えてはいけませんので、注意。
(3)は、全体から外の三角形を3つ引きますので、外の三角形3つの面積の和が最大になればOK。
その式が、6(X+Y+Z)ー(XY+YZ+ZX)という、なんとも考えにくい形をしています。本格的な多変数関数で、こちらの究極原則をひたすら用いていくしかないでしょう。
Xの関数とみなすと、所詮は「1次式」であると気づくと、少し希望が見えます。ただし、Xの係数が0や負になることもあるので、場合分けはかなり多め。さらに、YとZの2変数になっても場合分けがいるので、最後までたどり着くには、解法に対する自信と忍耐力が必要です。
そこが最後まで出来れば、X、Y、Zがいつのときかは出ているので、確率は簡単ですね^^
※当初は期待値だったようですが、期待値だとかなり時間かかると思われます。それで時間が例年より短くなっているのかもしれません。
※KATSUYAの解いた感想
確率?ベクトル?いや、確率やな。(1)はX=Y=Zのとき、、、は自明ではないか。余弦定理で長さを用いていこうとするが、式的につらそうと断念。長さがダメなら角度でいく。あ、こっちいけるわ^^ (2)はT1,T2のみが正三角形になること考える。Xが決まればY,Zも決まるやん。あとは3つとも正三角形になるときに注意し、終了。(3)差し引く分が最大になればOK。sinとかあとかれやればいいから、X(6-Y)+Y(6-Z)+Z(6-X)が最大になればOK。X,Y,Zは好き勝手動けるから、多変数関数の原則に従う。6-Y-Zが係数。こりゃ場合分けが大変だ^^; でもやるかしかないので、コツコツ計算し、31か35が出る。35やな。面積はそれから出し、確率は瞬殺。解答時間24分。
第3問・・・【空間ベクトル】平面および2球に外接する球の接点の軌跡(C、30分、Lv.2)
具体的な数値がほとんどなく、抽象度の高い問題で、受験生が苦手そうな感じのタイプです。
(1)は平面に帰着出来ますから、2円の問題と変わりません。
(拙著シリーズ(白) 数学A 平面図形 p.47)
求めるのは、共通接線の接点間の長さですので、こちらの原則ももれなくついてきます^^
(拙著シリーズ(白) 数学A 平面図形 p.48)
(2)は(1)の結果を使いたいですが、あまりにも数値がないので、座標設定を行う必要があります。私は、下記のように設定しました。
平面α:xy平面(z=0)
S1:x^2+y^2+(z-r1)^2=(r_1)^2
S2:(x-2√r_1r_2)^2+y^2+(z-r_2)^2=(r_2)^2
S2の中心のx座標は、(1)の結果を使っています。P1P2をx軸、P1を原点に設定しているということです。
さらに、条件を満たす球も設定します。接点を(a、b)とおき、
S3:(x-a)^2+(y-b)^2+(z-r_3)^2=(r_3)^2
とします。平面αにはこれで接してますから、あとはS1,S2に外接すればOKです。ここで、(1)の結果を使えば、(a,b)と原点との距離が2√r_1r_3 などと条件が出ます。a,b,r_3の関係式ですが、a,bの関係が欲しいので、r_3を消去すればOK。媒介変数の考え方です。
(拙著シリーズ(白) 数学II 図形と式 p.47)
ここまでくればあとは計算なので、コツコツやるだけです。文字は煩雑ですが、物理勉強してればたいしたことはないでしょう。座標設定能力を見るような問題ですね^^
※KATSUYAの解いた感想
数字まったくないんですけど^^;ちょっと難問の予感。(1)は原則に従い終了。とりあえず、やな。(2)はあまりにも数値がなく、文字すらない。何をさせたいんだ?そもそも、条件を満たす球は2個しかないんですけど(←実際は間違い)。5分ほど思考。自分の考えていることが平面縛りであることに気づく。そっか、球ならいろいろあるわ。でも余計わからんわ^^; 軌跡出すんやし、座標計算ゴリ押しでいくか。上記のように設定して計算すると意外にもすんなり終了。これは設定が全てやな。解答時間24分。
第4問・・・【整数】階乗、割り切れることの証明(C、40分、Lv.2)
かなり発想寄りの整数問題で、出来がわかれたかもしれません。東工大は、コツコツ調べる、あるいは絞ればばいける整数問題が多いですが、今年はそうではないようです。
(1)は気休めですが、とりあえず点数確保問題。(2)がメイン(最低でも45点分はこっちでしょう)。6以上の合成数なので、ただpqと置くだけでできましたが、これが意外と気づかなさそうですね。
これは残念ながら、原則というよりは発想勝負となります。「pqから1引いたぐらいなら、pもqも入ってる」と思えたかどうかです。
※KATSUYAの解いた感想
問題文みじか^^; (1)は瞬殺。(2)は私、ひらめきましたので、実はこちらも一瞬で終了。上記のとおり、「pq-1」なら「pもqもあるだろ」という大雑把な予想のおかげです。最初にざっくり考えるのが好きで、功を奏したな^^解答時間8分。
第5問・・・【微積分総合】媒介変数表示、概形、面積(B、30分、Lv.2)
最後にやっと数学IIIらしい問題ですが、東工大らしいかと言われるとNO。ただ微分して増減調べてグラフ書いて面積出すという、模試やどこぞやの理系用のテキストにならごろごろころがっていそうな問題。
手順に従ってコツコツ計算するだけです。面積については、媒介変数表示の積分なので、こちらの原則に従うとラクに積分式かけます^^
(拙著シリーズ(白) 数学III 積分法の応用 p.12-13)
拙著には、「ydx」「(-y)dx」「y(-dx)」「(-y)(-dx)」のときの全てが書いてあります。これをよく見ていた人は、サービス問題でしたね^^
積分は三角関数の積のオンパレードなので、角度を上げて次数を下げてから積分しましょう。
(拙著シリーズ(白) 数学III 積分法 p.14~16)
次数を下げるには、「半角」か「積→和」のどちらかの公式です。本学受験者なら、大丈夫ですね^^
※KATSUYAの解いた感想
やっと微積総合。でも、めっちゃ普通^^; まだめっちゃ時間あんねんけど。今年結構早く終われそう。コツコツ計算して終了。それ以外は言うことなし。解答時間18分。おお、制限時間の半分で終わった^^ 毎年、東工大とか東大、慶応理工、慶応理学部はとき終わると疲れるが、今年の東工大は4つの中では一番ましやった。
4.対策
東工大の問題は例年、誘導を省いた問題が多いです。(最近2年はまだまし)。普通なら小問になっているようなものを自分で見つけ出し、自分でそれを解くという作業を行わなければいけません。対策をするなら、誘導がない過去問のレベルに照準を合わせたほうがいいかもしれません。
原則習得段階では、小問になっているようなものについては、その手法をよく意識し、なるべく吸収していきましょう(増減を調べるのにこんな方法があるんだな、こういう立体のときは、x軸切断がラクなんだな など)。
その後の入試基礎演習、入試標準演習の際にも、似たような問題と解法は常に見比べるようにしましょう。したがって、同じレベルの問題でも1冊だけ行うのではなく、複数行ったほうが解法の幅が広がると思います。
昨年の第5問のようなこと(ネタが同じ問題を11年越しに出題)が今後、起きないとは限りません。また、複素数平面は2005年以前のものでないと演習できないので、これらも10年分ぐらいチェックしておいてください。最新年から、20年分ぐらいはチェックしておきたいですね^^。
東工大の数学は単科長年のものがありますので、実力がUPしてきたらそちらで演習してもいいでしょう。
初期は、量をこなす演習:じっくり演習=8:2ぐらいがいいですが、少しずつじっくり演習にシフトすべきです。受験後期(秋以降)には、逆に試行錯誤を多めにし、4:6でもいいぐらいです。
以上です^^
■他年度の、本大学の入試数学■
>> 2010年度
>> 2011年度
>> 2012年度
>> 2013年度
>> 2014年度
>> 2015年度
■関連する拙著シリーズ■
★ 数学A 確率 (第2問)
★ 数学A 整数 (第4問)
★ 数学A 平面図形 (第3問)
★ 数学II 図形と式 (第1、3問)
★ 数学II 微分 (第1問)
★ 数学III 微分法 (第5問)
★ 数学III 微分法の応用 (第5問)
★ 数学III 積分法 (第5問)
★ 数学III 積分法の応用 (第5問)