名古屋大学 理系 | 2020年大学入試数学

   

●2020年度大学入試数学評価を書いていきます。今回は名古屋大学(理系)です。

いつもご覧いただきまして、ありがとうございます。 KATSUYAです^^いよいよ、2次試験シーズンがやってきました。すでにお馴染みになってきたかもしれませんが、やっていきます。
2020年 大学入試数学の評価を書いていきます。


2020年大学入試(国公立)シリーズ。
名古屋大学(理系)です。

問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。
また☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。



また、解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。

※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。

したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。


同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい、という目安にしてください。





名古屋大学(理系)
(試験時間150分、4問、記述式)

1.全体総評~相変わらず厳しいじっくりセット~

昨年比では変化なしです。4問で150分という構成だけに、どの問題もかなりの思考力、計算力を問われ、簡単に正答出来る問題がないセット。逃げ道がないだけに、時間内で精いっぱい思考錯誤するしかありません。

普段の受験生には演習問題としてはじっくり考える良問セットなんですけど、本番の受験生にはまったく嬉しくないセットとも言えます^^;

第1問は文字計算の処理力、第2問、第3問は発想力が問われるタイプで難しめ。第4問はその両方を問われるタイプです。


試験時間150分に対し、
標準回答時間は135分。

2019年:145分。

2018年:125分

2017年:160分

2016年:200分(4番を捨てれば80分で済むが)

2015年:145分

2014年:140分

2013年:135分

2012年:150分

2011年:125分

2010年:135分

2.合格ライン

第1問は全体のセットを考えると落とせない。方針は立つはずなので、それを信じて計算を遂行していくしかない。

第2問はキー問題。(1)の意図に気づけば、(2)も手がつけられるはずだが、、、

第3問は(1)止まりか。(2)(3)は思いつけばという感じ。

第4問は確率と漸化式でキー問題。練習済みなので手をつけやすいが、一般項が汚いので時間はかかる。

第1問をおさえ、第2問(1)、第3問(1)、第4問(1)までは取りたい。時間はあるハズなので、第2,3問を思いついて解き進めるか、第4問を時間を掛けて完答しにいくか。

かき集めて半分ぐらいに出来れば十分かと。

3.各問の難易度

☆第1問 【式と曲線+微分法の応用】双曲線と直線の共有点、三角形の面積の最小値(B,25分、Lv.2)

双曲線と直線の共有点条件と、そのときの三角形の面積の最小値を求める問題。2文字が絡むので計算は煩雑になりがちえす。

(1)は連立すればOK。yを消去する際に、b=0、b≠0の場合分けが発生することに注意。b≠0のときは不適ですね。正と負の解なので、f(0)の符号を見ればOK。2次の係数の符号との兼ね合いになるので、そこが条件になりますね。定数項が負なら、2次の係数は正でないと条件を満たしませんね。

(2)は三角形の面積です。座標平面上なので、ベクトルAPとベクトルAQの成分表示で1/2|ad-bc|にあてはめるのがはやいと思います。(1)で作った式の解は汚いので、x座標はα、βで置き、「時が来る」までそのまま計算します。計算して整理するとβーαだけが必要なので、このときに実際に解を出して引くといいでしょう。

(3)は(2)が出来ていれば、b^2-a^2=tの置き換えには気づけると思いますし、その上で微分すれば出せますね。

 

 

※KATSUYAの解答時間18分。名大って感じ。最初から文字計算をさせてくる。(2)はメンドそうやが、これ以外にやることはないはずなので、面積公式でカリカリ計算。うっとうしい項は結構消えて、βーαでかなりくくれて比較的きれいになった。(3)は置き換えて微分して終了。

☆第2問 【整数】3つの素数に関する等式を満たすx、y(BC、30分、Lv.2)

x、yに関する式が3つの素数の積になるようにx、yを決める問題です。問題文の設定が分かりにくいですが、mは出す必要はありません。条件を満たすようにmは設定されているということです。たとえば(m=6)

(1)はaがどの場合かで素直に3通り調べればすぐに分かると思います。m^4+1でさえなければOKです。

(2)は(1)をどう使うか。左辺の2つの積ABが、右辺の3つの積abcになっています。従って、A,Bはa、b、cの組み合わせになります。ここで、左辺の因数を見たときにA^2<Bであることに気づけば、(1)の結果から、Aにm^4+1が入ることはないと分かりますので、A=x+y=2、m^2+1、2(m^2+1)の3つの場合に限定していいわけです。(1)だけでは3つ目が排除できないので、そこだけ注意です。

※3つめを忘れても(1)の利用に気づいて2通りはやれば正答にはたどり着くので、半完以上にはなるでしょう。難易度を考えるとそれでボーダーはクリアです。

※KATSUYAの解解答時間20分。mは「固定されているものとする」?条件を満たすようにmは置いてあるから、そのままmで答えろってことやな。(1)は3通りやるだけ終了。一番大きくなければいいってことやな。(2)は左辺の因数を見て、(1)と見比べてA^2<Bに気づけたので、上記の通り進めて終了。発想力重視やな。計算はそこまでしんどくはない。

 

☆第3問 【微積分】抽象関数、不等式の証明、定積分の評価(C、30分、Lv.3)

抽象関数f(x)に関する問題です。受験生が苦手そうな分野で、(2)以降は発想力も問われます。(1)がある分まだラクだとは思いますが、それでもキビしいでしょう。

(1)は条件を使うために、2回微分するしかないことは分かると思います。0≦x≦πでは、2πーxになるので、f’()≦f’(2πーx)も成り立つところがポイントでしょうか。

(2)は(1)を利用するのでしょうが、まず積分区間を4等分できるかどうかが第一関門。ここが難しいかと。

次に、最初の区間0~π/2はそのままで、残り3つの区間についてf(πーx)、f(π+x)、f(2πーx)が出るように置換積分をすることを思いつけるかどうか。ここは第一関門を突破している人であれば、そのつもりでやっているハズなので、出来る人も結構いそうです。

そうすると区間がうまく0~π/2となり、結局左辺はF(x)・cosxの積分(区間0~π/2)となるので、被積分関数が0以上なら0以上ですね。

(3)は(2)の利用を想定していると思いますが、直でも出来ます。今度は0~πとπ~2πに分割すると、被積分関数が{g(x)-g(2πーx)}・sinx となります。

(1)と同じで、0≦x≦πでは2πーxになるので、単調減少ならg()≧g(2πーx)です。よって被積分関数は正ですね^^

Kさんは(2)を利用した解答、Yさんは上記のように(3)単独でやる解答でした。どちらも自然な発想かと思います。私も上記のように単独でやりました。むしろKさんの解答は思いつかずです。

※KATSUYAの感想:解答時間18分。(1)は微分するしかないな。f'(x)の単調性を活かしたい。うまく組み合わせてF'(x)≦0をいう。単調減少ってことは、x=π/2で0になればいいってことやな。同じ項でうまく消えるのね。(2)は旧にシンプルだがこれで(1)使わんかったら意味ないはず。4つ式あるから4分割。f(●)の●を見るに、置換の匂いしかしないので置換してみる。うまくF(x)が出たので無事終了。よくこんな問題思いつくわ。(3)は直でやる。sinxは0~πとπ~2πで符号違うから、ここで2分割かな。こちらもうまくいき終了。発想力重視が続くな。

☆第4問 【確率+整数】確率と漸化式、不等式の証明(CD、50分、Lv.3)

今年は確率と漸化式です。正方形の4頂点を2点が動き、出会ったら終了という問題。後攻有利であることの証明のおまけつき。

名大頻出の分野なので演習済みだとは思いますが、漸化式は本格的な連立漸化式だし、一般項も汚いですので難しいタイプです。

(1)のp2はいいでしょう。BかDで出会う確率です。p3はp2で出会っていない場合を考えます。この際に、「対角線上」か「隣り合う」かで分けることが出来れば、(2)以降につながると思います。

対角線上から。2回では1辺しか動けないので、(先攻、後攻)=(A,C),(B,D),(D,B)の場合です。それぞれ1/9なので1/3です。あとは1から引いて「隣り合う」確率が4/9と出ます。隣り合う場合からしか、3回目に出会うことは出来ません。

(2)は(1)で規則や方針ををつかめたかどうかです。確率と漸化式では、最初に具体的に試すことで方針をある程度考えなさい、という意味も入っています。ただの点数サービス問題以上の意味があることを認識しておきましょう。

まずは確率と漸化式の原則。n回目とn+1回目を見ます。n+1回目に出会うには、n回目にそもそも出会っていないことが前提になりますので、先述のとおり「対角線上」「隣り合う」の部分も設定します。他の部分もqnなどと置いてみる、という2つ目の原則です^^

pnでは出会っているのでもう動きませんから、qn、rnからp(n+1)、q(n+1)、r(n+1)を表しましょう。なお、pn+qn+rnが1でないことには注意が必要。(qn+rn=1-p1-p2-・・・-pn-1-pnです)このことが、漸化式を解くことを難しくしています。

まずqnとrnで連立漸化式を解き、pn=1/3r(n-1) として求めます。連立漸化式は、どちらかの数列だけにすると隣接3項間になります。この特性方程式の解が汚いことで、さらにやる気をそぎますが^^;

ここまでやれたのなら、なんとか頑張りたいですね。

(3)は不等式ですが、p1=0で、p2以降はp2>p3、P4,>p5などが示せれば、あとはNの奇偶で分ければOKですが、もうひと計算必要です。

(2)まで出来れば十分ボーダークリアでしょう。


※KATSUYAの感想:解答時間30分。(1)で方針は立ったものの、(2)の連立漸化式で特性方程式の解が汚く、期待を込めて見直すも変わらず。これ解くんか^^; でも間違ってないハズやし、カリカリ計算。n=2,3で(1)に一致することも確かめておく。(3)は単調性が言えればいいのか。解片方がマイナスなので、偶奇でやったほうがいいかな。こちらも計算が結構メンドウ。本格的に漸化式の方をいじる問題はなかなか骨が折れる。

4.対策

頻出分野は微積、確率(漸化式と絡むことが多い)、整数の論証系です。(III、A、Bといった印象)

どれも計算量もあり、かつ発想もある程度必要なものが多いです。出題分野も似ている東大レベルで練習を積んでおいてもいいぐらいでしょう。

BレベルとCレベルが5分5分ぐらいで出題されます。Bレベルを落とさないことを最優先に、さらに上のせしていきましょう。Cレベル以上を意識しすぎると、逆効果。Cレベルは、3割とれればいい、ぐらいの気持ちでいるほうがいいでしょう。それよりも、D以上を嗅ぎ分ける能力が本学では必要です。2019年の第4問のようなものを、避けられることも重要。過去問で嗅ぎ分けの練習をしましょう。

最終段階では、仕上げ段階まで行っておきたいですが、ここまで行ったとしても点数につながらない問題も出るかもしれません。本学の場合、他の科目を犠牲にしてまで数学に時間を取られることのないようにしましょう。合計で合格すればいいのです。

単科長年タイプの過去問もありますので、ある程度のレベルに達したと感じたら、これに絞って研究するのもいいかもしれません。

※名大理系数学は大竹先生が書いておられます。私も高校生のときにご指導いただいた先生で、個人的には非常にオススメです。


量をこなす演習:じっくり演習=8:2(入試演習初期)→6:4(仕上げ期)ぐらいでシフトしていくといいでしょう。

以上です^^

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