慶應大学 経済学部 数学 講評| 2024年大学入試数学

   

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●2024年度大学入試数学評価を書いていきます。今回は慶応大学(経済学部A方式)です。 


2024年大学入試(私大)シリーズ。

慶応大学(経済学部A方式)です。



問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。
また☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。

また、解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。
※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。

したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。
同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい、という目安にしてください。

なお、動画でも講評をUPしています。難問である4番の空間ベクトルは図も書いてますので、ぜひ参考にしてみて下さい。


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慶応大学(経済学部A方式)
(試験時間80分、6問、ハイブリッド型)

1.全体総評~文系最上位クラスの難易度継続~

難易度は昨年とほぼ同じで相変わらずキツイセットですが、これを80分で解かせるのが慶應経済です。前半の穴埋めも計算量の多いものが続き、後半の記述は質量ともに厳しい3問が並びます。

毎年のように出る空間ベクトルは、計算だけでごり押すとかなり時間がかかりますが、今年の問題も、図形的な性質もうまく書かないと分かりにくいので、キツめです。最後の微積も計算量をかさ増ししている感じで時間をそがれます。

※私は、今年も80分で解けませんでした(大問4の(3)だけ残りました)。

試験時間80分に対し、標準回答時間は170分【142分】(←穴埋め考慮)

2022年:174分【140分】(←穴埋め考慮)

2022年:185分【164分】(←穴埋め考慮)

2021年:185分【154分】(←穴埋め考慮)

2020年:195分【169分】(←穴埋め考慮)

2019年:128分【108分】(←穴埋め考慮)

2018年:165分【141分】(←穴埋め考慮)

2017年:160分【133分】(←穴埋め考慮)

2016年:170分【147分】(←穴埋め考慮)

2015年:130分【103分】(←穴埋め考慮)

2.合格ライン~スルー力(りょく)が必要~

第1問は小問2つ構成に。今年は整数問題も簡単に。後半も誘導があるので丁寧に解き切りたい。
第2問の確率は昨年よりはましだが、それでも最後の計算は繁雑なので飛ばすのが吉。
第3問は前半ではキー問題。(3)(4)ぐらいで出来が分かれそう。全部取れれば有利。
第4問は文句なし最難問。最後は捨て問。場合によっては計算量を見越して、(1)だけでスルーするのがよかったかも。
第5問は記述では最もラクだがキー問題。ラクそうに見えないため、敬遠されたかもです。手をつけてみたもの勝ち。
第6問は微積計算。計算量がかさ増しされており、時間はそがれるが、難しくはないので、時間を確保した状態で取りたい。

前半3問では、第1問はとって、第2問と第3問で合わせて1完強ぐらいあればOK。

後半は、第5問に手が付いたかどうか次第。明らかに時間のかかりそうな問題をスルーするテクニックが物を言う試験な気がします。

数学については60%強ぐらい取れればいい方ではないでしょうか・・・

3.各大問の講評

☆第1問(1) 【方程式】整数解を持つ条件(A、10分【6分】、Lv.2)

今年の最初は整数から。典型問題で、昨年よりだいぶ簡単になりましたね。

このタイプは、解と係数の関係でpを消去するのがオーソドックスで早いでしょう。

 Principle Piece 

 2次方程式が整数解 解と係数の関係を利用して定数消去し、整数解問題へ

(詳細は拙著シリーズ 数学II 複素数と方程式 p.42 参照)

出来た方程式はムリヤリ積の形を作り出すパターンですね。

 Principle Piece 

 xy+ax+by+c=0型はムリヤリ因数分解せよ。

(詳細は拙著シリーズ 数学A 整数 p.45 参照)

今回は右辺がー7となり、候補も少ないのでしらみつぶしをしてもラクです。候補が多い場合は、典型3パターンでまず絞れないかどうか確認しましょう。

 Principle Piece 

 候補を絞る典型3パターン:正負、大小、奇偶

(詳細は拙著シリーズ 数学A 整数 p.46 参照)

関連問題もすでに私のチャンネルで紹介済み。見ていれば楽勝だったでしょう。

☆第1問(2)【三角関数】分数式の最大・最小(AB、15分【10分】、Lv.2)

三角関数への変換を利用し、分数式の最大値と最小値を求める問題です。非常に有名な式変形で、慶應経済を受験するなら暗記必須項目としておきたいところ。

最初がその式変形。tanθからsin2θ、cos2θを表す変換は覚えておきましょう。拙著でも例題とし、かつ強調して扱っています。(詳細は拙著シリーズ 数学II 三角関数 例題38など参照)

これを知っていれば、その式から変形してsin2θ、cos2θ+1を表せば、簡単に半分と分かります。

これを利用し、分数式を三角関数に変形していきます。何の問題であっても、基本的に分数式は帯分数表記が原則です。まず分子を分母で割ります。

 Principle Piece 

 分数式は帯分数で。分子の次数<分母の次数 に

(詳細は拙著シリーズ 数学II 式と証明 p.18、数学A 整数 p.92)

1次式になれば変形した式をうまく使えます。あとは形から合成が見え見えなので、合成して最大・最小を出しましょう。なお、合成した式の最大・最小を求めるときは、円の半径はrで取る方がメリットが大きいです。

 Principle Piece 

 合成した式の取りうる値は半径rの円でそのまま視覚化

(詳細は拙著シリーズ 数学II 三角関数 p.98)

※KATSUYAの解答時間は合わせて3:42です。今年はここは軽めかな。

 

第2問【確率】カードの点数と条件付き確率(BC、25分【16分】、Lv.2)

今年はここが確率。前半に確率が入るのはほぼ確定です。今年は昨年よりは楽ですが、それでも最後は正答率低いと思います。飛ばしてOK。

(1)は0点も入ることに注意。遠回しですが、問題文にも書かれているので大丈夫でしょう。

(2)は2回とも1人が独占する場合を除く方法がラクかなと思います。まともに数えても大したことはないですが、順番の入れ替えに注意。

(3)はAが2回とも引く場合と、1回しか引かない場合に分けます。カードは戻さないので注意。

2回とも引く場合は和が5以上ですが、明らかに余事象の方が少ないので、全体から引きます。

また、1回しか引かない場合は、Aが後か先かでカードの様子が変わりますが、くじ引きの公平性を利用すればどちらでも5以上を引く確率は同じです。穴埋めなのでこういった知識がもろに活かされます。

 Principle Piece 

 くじ引きの公平性→くじを左から並べて取ると考える

(詳細は拙著シリーズ 数学A 確率 p.29)

 

(4)は条件付き確率。まずはこちらの原則に従います。

 Principle Piece 

 分母は「とき」の手前、分子は「とき」の前後

(詳細は拙著シリーズ 数学A 確率 p.27)

 

※KATSUYAの解答時間は12:59です。最後はけっこ慎重にやらないとキツイ。

 

第3問【対数+数列】対数が絡む数列とその漸化式(BC、30分【20分】、Lv.2)

今年はこっちが数列。だいたい確率と数列がここです。題材は昨年に比べると難易度が上がっていますが、誘導は親切で、計算量自体はそこまで変化はないです。途中で詰まったらスルー推奨です。

最初は落ち着いて計算するだけです。①の等式の係数は意外とミスが多そう。でも③の漸化式解くときに合わなくなるんで、間違いに気づくと思います。(私がその一人だからです!)

(2)は対数方程式を解くだけ。最初の1/2を見落とすとミスするので注意。

(3)はちょっと変わった漸化式ですが、何の式を利用するかも書かれているので、それに従うだけ。これにより、f(3a_n+1)=f(a_n)と簡単にわかりますので、anは等比型になります。

(4)は和の計算。こちらもヒントがないと難しいかもですが、ヒントもあり、③を用いるとも書いてあるので、素直に従います。階差数列を用いるということは1ずれの差を作るということですから、望遠鏡型です。和の計算は、公式にあてはめられないなら基本的には望遠鏡型です。

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 和は、公式や原則にない場合は望遠鏡型利用と思え

(詳細は拙著シリーズ 数学B・C 数列 p.26 もっと詳細に書いてあります)

これで和も出ます。ここまでありつければ、n=5にして与えられた式にあてはめるとb1もウマく消え、b5だけになります。(2)でa5に戻して、等比型なのでa_1も出ますね。

式の形的に、「ここで、こうなるはずだ」と思える箇所が随所にあるので、つじつまが合わなければミスに気づきやすいです。例えば(4)のS5とb1の関係式で、b1とb5が両方残るようだとかなり難問なので、b1は消えるだろうなど。

 

※KATSUYAの解答時間18:12。最初にミスし、(3)で数回やるもつじつまが合わず、(50)番は「3」のはずなので、逆算して最初のミスに気づく。6分ぐらいロス。ということで目標解答時間もオーバーしました。慌てる乞食はなんとやら、ですねぇ。

 

第4問【空間ベクトル】平面と直線交点、面積、体積など(C、45分、Lv.3)

今年は第4問が空間ベクトル。第5問と第4問でだいたい指数対数(三角のことも)かベクトルかです。

そして慶應経済の空間ベクトルは毎年難しめで、空間における図形的な性質を考慮しないと計算が地獄になる設定が多いです。今年もこのパターン。年々インフレしてないか^^;

(1)は正四面体の第4の頂点を求めるだけ。検算として、正四面体の高さや、垂線の足が外心であり重心になることを知っていると安心。

(2)は直線と平面の交点ですので、原則に従ってコツコツ計算するだけ。

 Principle Piece 

 平面と直線の交点:ともに始点なし

[1]直線上は1-t,tの係数 [2] 平面上は1-s-t,s,tの係数設定 で連立

(詳細は拙著シリーズ 数学B・C 空間ベクトル p.36 参照)

この原則、言うのは簡単ですが3元連立方程式なので解くのはメンドウ。分数係数だとさらにメンドウ。

そして(3)はこの原則を用いてもう一回交点を出します。さらに図形的意味が分からないとJも計算することになります。なので、ここらあたりで図形的性質を見る必要があります。(詳細は動画参照)

結局、IとJがxz平面に関して対称なので、y座標だけ違うと分かります。あとは、連立したときの係数からCA、CBの1/6倍がCJ、CIに、そしてCHベクトルがその和であることまで気づけば面積はラクに出せます。

また、体積はOABを底面に見て面積比、高さの比を見るのがラクです。4点座標型で体積計算をまともにやるとさらに計算量が増えます。

 

※KATSUYAはここの最後でタイムアップ(先に6番まで解いている)。第3問の凡ミスによるロスが無ければ、、、、悔やまれます。

第5問【対数関数】条件を満たすxの範囲(B、20分、Lv.2)

第5問に指数対数が来ました。見た目は文字が多くなんか嫌な感じですが、実はここが記述式では一番簡単。合否を分けたかもですね。

問題文の設定は文字だらけですが、平たく言うと対数値の整数部分をm、n、小数部分をαとβにしているだけです。(負の数の場合はこの表現ではよくないですが)

(1)は底を変換して計算するだけです。

(2)は(1)を使うのかはともかく、問題文から直で計算してもOK。底を2に合わせれば、簡単に対数部分が消えると分かります。なので、整数値しかとらないと分かります。そしてαやβは平たく言うと小数部分なので、0以上1未満です。これらから、0,1,2しかありえないことが分かります。

あとは、0、1,2を取るxが1つでもあることを言っておけばOK。これがないと引かれると思いますが、すぐ見つからないなら、時間によっては減点覚悟で放置でもいいでしょう。

(3)は(2)が出れば楽勝です。(2)のときの1で、(3)の関係式になるようなm、nを見つけているとラク。

(4)は(3)が出れば直ちに出せます。

※KATSUYAの解答時間は8:19。今年はラクやったけど、なんかKO経済の対数って毎年こんな感じ。いまいち不完全燃焼感が強い。私のチャンネルで紹介する問題の候補に絶対にならないタイプ。

 

第6問・・・【微積分】3次関数の決定、最大値、定積分(B、25分、Lv.2)

最後は今年も微積分からですが、今年は昨年よりはメンドウになりましたが、難しいわけではなく、計算が無駄に多いだけです。

(1)は条件3つ、未知数もa,b,pの3つ。解けますね。

極大値・極小値は今回はそこまで汚くないですが、極大と極小の検算方法は知っておきましょう。試験日前日の、薬学部の動画でお話ししています!!(第1問(2)のはず)


(2)は定数入り最大・最小系です。といってもどこまでおおげさではなく、定義域は右端だけ動きます。まずはf(0)=17と等しくなるところですが、問題文にいい条件あります。これはうまく設定しています。f(2)=-17なので、これが境目の1つ。あとは|f(4)|が折り返して極小から極大に変わりますので、これも候補。そして|f(5)|が39を超えるかどうかの確認をして場合分けです。計算はムダに多くていやですね^^;

なお、f(5)は折り返し前ですが、それが分からなくても39より小さいと分かればOK。

(3)は(2)で得た最大値(tの関数)を積分する問題。ただの計算問題です。場合分けした区間ごとに計算します。(2)が出来れば出来ますが、時間だけ持ってかれます。

 

 

※KATSUYAの解答時間は12:46です。4番に戻りたい気持ちが強く、方針も瞬時に立つので、さらにギアを上げて解く。そんな中で(3)の計算。いや、(2)まででええやん。計算量を増やすのめてくれ、とか思ってました^^;

4.対策~IIB中心に、計算力上げつつパターン問題を素早く解く練習を~

分野はある程度固定で、前半が数Ⅱ前半部(?)、確率、数列。後半が指数対数か三角、空間ベクトル、微積分です。特に後半は結構固定のことが多いですね。(ここ2年は整数が前半に出ます)

難易度的には、基本的な原則を一通りおさえて、あとはひたすら計算するだけなので、計算力を上げる方が優先でしょう。

図形問題は融合が多く、図形的な考察が途中で必要な問題も多いので、単なる数式処理で出来るものではなく、総合的な図形問題に触れておきましょう。青チャートできちんと演習を積んでおけば、大丈夫です。有名なパターン問題はそのまま自分のものにいしていきましょう。

レベル的には入試標準レベルの演習まで行い、過去問を多めに演習しましょう。量をたくさんこなして、パターンを瞬時に見抜ける訓練が大事。

なお、拙著『Principle Piece』シリーズであれば、初習段階、原則習得段階はもちろん、入試基礎演習まで1冊で済ませられます^^

量をこなす演習:じっくり演習=8:2ぐらいで、直前には7:3(今年レベルなら6:4)にしたいですね。

以上です^^

■関連する拙著『Principle Pieceシリーズ』(リニューアル版!)

数学A Chapter2~確率~ (第2問)

数学A Chapter3~整数~ (第1問(1))

数学II Chapter2~複素数と方程式~ (第1問(1))

数学II Chapter4~三角関数~ (第1問(2))

数学II Chapter6~微分法~ (第6問)

数学II Chapter7~積分法~ (第6問)

数学B・C Chapter1~数列~ (第3問)

数学B・C Chapter3B~空間ベクトル~ (第4問)

 

すでに原則系の参考書を持っている方にはこちらがおススメ!!

数学I・A ~原則のみ~

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