一橋大学 講評| 2021年大学入試数学

      2022/10/08

●2021年度大学入試数学評価を書いていきます。今回は一橋大学です。

いつもご覧いただきまして、ありがとうございます。 KATSUYAです^^いよいよ、2次試験シーズンがやってきました。すでにお馴染みになってきたかもしれませんが、やっていきます。
2021年 大学入試数学の評価を書いていきます。

 

2021年大学入試(国公立)シリーズ。
一橋大学です。


問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。
また☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。




また、解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。

※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。

したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。


同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい、という目安にしてください。





一橋大学
(試験時間120分、5問、記述式)

1.全体総評~良問(苦手な人には苦しい)セット~

昨年比やや難です。とびぬけて難しい問題があるわけではないですが、「これは易しい」という問題もなく、どの問題も発想力や計算力が必要なため、数学の得意不得意で差が出そうなセット。試験としては適切で良問セットです。

昨年は前半と後半で難易の差が大きいセットだったので、苦手な人でもある程度点数を取れたと思いますが、今年は数学が苦手だと厳しい。

なお、数Aの整数が絡む問題が、5問中3問ありました。

試験時間120分に対し、標準回答時間は130分。

2020年:115分

2019年:120分

2018年:138分

2017年:135分

2016年:130分

2015年:150分

2014年:145分

2013年:125分

2012年:135分

2010年:125分

2.合格ライン

全問題がキー問題だと思います。発想の整数問題、や計算力勝負の微積分や確率など、どれも差がつきそう。

苦手な人は、比較的わかりやすい一本道であろう後半3つを頑張って計算して稼ぐ。得意な人は前半2つも方針が立つと思われます。

ラインは65%ぐらいでしょうか。

3.各問の難易度

第1問 【整数】1000以下の素数の個数(BC,25分、Lv.2)

1000以下素数の個数に関する問題。当時は話題を呼んだ素数の個数の問題ですが、そこまで特殊で高度なテクニックが必要な問題ではありません。問題文も短く、(問題文だけなら)だれでも意味の分かる内容なので話題にしやすかったのでしょう。

 

素数である以上、少なくとも2,3,5で割り切れません。本問で必要な発想はこれだけです。2や3や5で割り切れないものが1000までに何個あるかを数えます。「~も~も・・・ない」のパターンは補集合で考えます。全体から3つの和集合の計算をすればOK。ただし、2,3,5は素数なので注意。

 

これでだいたい270個ぐらいになります。あと20個ぐらい素数でないものを探せばOK。7×素数など、7以上の素数の積だけで表されるもの(1000以下は守ること)を探しましょう。これだけでも余裕で20個以上あります。

 

KATSUYA解答時間10分。これは差がでそうですね。思いつく人はすぐ思いつくかと。

 

本問を解く際に必要な考え方(思考中に使う知識など)は、拙著『Principle Piece』シリーズに全て載っています。こちらをこなしていれば楽勝でした^^

★ Principle Piece 数学A Chapter1~集合と場合の数

★ Principle Piece 数学A Chapter3~整数

 

本問について解説をした動画もご覧ください^^

☆第2問 【数列+整数】ガウスを含む数列の和(BC、25分、Lv.2)

数列の和を求める問題で、ガウス記号が数列の項に絡んでいます。第1問に続いて整数が絡んだ問題ですが、メインは数列の和です。

ガウス絡みの数列の和の問題は、群数列を自分で作ることが原則です。ガウス記号のところがしばらく一定の数値になることが多いからです。

今回であれば、例えば[√k]=3となるk=9~15~までです。なので、2^3という項は7個あるわけです。この要領で、第m群には、2^mが何個あるのかという考え方が出来れば、かなり前進します。

[√k]=mとなるkは、m^2~(m+1)^2-1までの2m+1個です(2m個ではないので注意)。これでm群の構成が分かりましたので、m群だけの和を出すことができます。それを第1群~第n-1群まで足せばOK。和の最後の項は第n群の初項ですから、これだけ仲間ハズレになることに注意。

和の計算は等差×等比になりますので、S-公比Sを考えて斜めに書いて辺々引き算しましょう。

等差×等比に設定してきてもうひと計算してもらうあたりは、一橋らしい良問だと思います。

 

KATSUYAの解答時間は9分です。こちらも差がつきそうですね。

 

第3問 【図形と式+三角比】三角形の存在条件、領域内の最大・最小(B、25分、Lv.2)

図形と式の単元に少し三角比が絡んだ問題。三角形の存在条件を領域図示し、その領域内で式の値の範囲を求める問題です。こちらは方針に迷うことはなさそうですが、領域を書いたりと、書くことが多く時間を要する問題です。

(1)は1,α、βを3辺とする三角形の存在条件です。対称性からα≦βとすると、条件はβ-α<1<β+αでOK。

三角形の存在条件は、式であれば3辺p,q,rとすると、条件は|p-q|<r<p+qだけです。左辺の絶対値の方を整理するとp+r>q、q+r>pとなります。「どの2辺も、残りの1辺より長い」を満たしています。しかし、3つとも式にするのはメンドウなので、上記のように1式で書くとラク。

数学を受験で使う場合は、むしろ「ある1辺について、他の2辺の和より小さく、差より大きい」と覚えておきましょう。このほうが式にしやすいです。

本題に戻ります。1<α+βは解と係数の関係利用で瞬殺です。βーα<1の方も、解の差が出たら解の公式で出して引き算しましょう。判別式の部分しか残りませんね。

(2)はαβやα+βがありますので、解と係数の関係の利用も見えます。a,bで置き換えましょう。すると(1)で出した領域内の最大・最小の問題に帰着されます。求めたい式=kとおき、グラフで視覚化しましょう。

※なお、(1)の答案とは別にもう一度図を書いた方が無難です。(1)の答案には(1)で聞かれていることだけを書いておいた方がいいと思います。

放物線の2次の係数がkなので視覚化されにくいですが、kが大きいほど放物線が閉じていく感じです。したがって、k=1/4だと領域内の放物線と同じ形なので交点はありませんが、1/4よりちょっとでも大きければ(感覚的に)めっちゃ右側でいつかは交わります。あとは、がどこまで大きくなれるかを調べればOKですね。

答案では、一応数式で連立しておいた方がいいでしょう。このあたりの議論が少し時間がかかりそうです。

 

※KATSUYAの解答時間は14:33です。こっちは一本道。

 

☆第4問 【図形と式+微積分総合】円と放物線の交点、面積の最大値(B、30分、Lv.2)

図形と式からで、前半は放物線と円の共有点条件、後半は面積の最大値に関する問題で、微積分が絡みます。図形と式が2問連続で偏っていますが、うまく融合されていると思います。やることは一本道ですが、計算が比較的多め。

(1)は連立します。x^2=・・・にしてxを消去するのがいいと思いますが、その方程式の解と共有点の個数の対応には十分注意。円と放物線の共有点は、解の存在範囲と対応する個数の両方に注意が必要です。

まずは解の存在範囲から。放物線はy≧0で、円の方は0≦y≦2です。なので、0≦y≦2で解がないとそもそも共有点はありません。次に対応する共有点です。y=0,2のときは共有点も1個ですが、それ以外の解の場合は、yの解に対してxの値は2つあります。なので、解1個→共有点2個なわけです。

今回は連立すると(しなくても図を描けば)y=0が1つ解になることが明らかです。なのでまず共有点は1個あります。なので、条件を満たすには、残りの解が0<y<2にあればOKということですね。

(2)は面積。接点の座標は汚いのでαとでもおいておくのがいいでしょう。求める部分は接線絡みの積分なので、被積分関数が(x-α)^2となってそのまま積分して(x-α)^3とすると計算がかなり楽です。この原則さえ知っていれば、むしろ接線絡みの面積の方がラッキーです。

出た面積はルートが入っていますので、2乗で考えて(4次関数になりいます)微分しましょう。一橋大なら積の微分ぐらい使ってもいいと思います。(後期の数学は数III入りますしね^^;)

 

KATSUYAの解答時間は16分です。交点の座標を微妙に勘違いして途中でやり直したのでロスしました。

 

第5問 【確率+積分+整数】定積分がゼロになる確率(B、25分、Lv.2)

確率に定積分が絡み、解いていくと整数も絡む問題です。ムリヤリ融合した感満載ですが、サイコロの目だけが入ると考えると、よく思いついたな、という感じの問題です。

式を見てると何かウマい方法があるのでは、と思いたくなりますが、そのまま素直に積分するとそこまで複雑な式になりません。むしろ、整数問題でよくある形になります。これに気づければ勝ちでしょう。ムリヤリ因数分解して積の形=定数とするパターンですね。

これにより(b-a)(c-a)=ー3まで持ってこれます。bとcの対称性を利用すれば候補もかなり少なくなりますので、あとは当てはまるものを調べましょう。なお、bとcの差が常に4となることに気づけると、さらに調べやすくなります。

※KATSUYAの解答時間は13分。最初から素直に計算すればもっと早かったか。なんかテクあるかな、と考えてしまった。

 

4.対策

頻出分野は整数、微積、確率です。まんべんなく融合してきますので、穴がないように対策しましょう。

一橋の数学は理系で出題されても難しいタイプの問題なので、理系並みの対策をとる必要があります。青チャートを早い段階で終わらせ、入試基礎入試標準レベルまでは行い、できれば仕上げ段階まで行いましょう。整数問題や確率・漸化式などは、旧7帝大の問題などで練習してても、ちょうどぐらいです。

一橋大は単科50年分のものなどがあります。ある程度演習をしたら、こちらを最新年度からさかのぼってやるのもアリでしょう。2005年までなので、これ以降は赤本で対策を。

 


量をこなす演習:じっくり演習=7:3もしくは、6:4ぐらいでもOK。

以上です^^

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>> 2020年度

 

■関連する拙著『Principle Piece』シリーズ■

★ 数学Ⅰ 2次関数

★ 数学Ⅰ 三角比 (第2問)

★ 数学A  場合の数 (第1問、第5問)

★ 数学A  確率 (第5問)

★ 数学A  整数 (第1問、第5問)

 

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