一橋大学 | 2010年大学入試数学
2017/03/16
※注 ヒントを見ないでこの大学の入試を解きたい人は、解き終わってから見てください。ネタバレがあります。
大学入試(国公立)シリーズ。
一橋大学です。
問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。
また、☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。
また、解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。
※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの「標準的な時間」です。
したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい という目安にしてください。
一橋大学 数学 2.34ポイント
(試験時間120分)
※ポイントについては、こちらを目安にしてください
1.全体総評~やや易化し、例年並みの難易度に~
難しかった昨年に比べて易しくなり、例年通りに戻りました。それでも文系数学の中では最上級の難しさをキープしています。第3問や第4問などは理系の試験でもおかしくないですし、十分レベルの高い問題です。
例年通り良問が多く、数学の演習量がきちんと反映される試験になったことでしょう。
試験時間120分に対し、目標解答合計時間は125分。
量も適量で、とてもいい試験問題ですね^^
2.合格ライン
計算すればなんとかなる第1、2、5問は完答し、第3、4問をじっくり計算して、合わせて1完したいところですね。
昨年の試験を見て対策してきている人であれば、8割ぐらいとりそうですし、それを考えると65%が最低ラインでしょう。
3.各問の難易度
第1問・・・方程式、整数(B、15分、Lv.2)
基本~標準的レベルの整数問題。この問題では、(1) 3次方程式の解と係数の関係を使うこと(2) 実数係数の整式の方程式が複素数の解をもつなら、その共役複素数も解をもつことがポイントでした。整数問題というよりは、方程式の問題でしたね。
(拙著シリーズ(白) 数学II 複素数と方程式 p.34)
また、a^2 + b^2 の形は頻出で、この式の余りの議論にはなれておく必要があります。本学受験者であれば出来るようにしておきたいですね。
☆第2問・・・微分(BC、25分、Lv.2)
3次関数の接線の傾きに関する問題で、一ひねりはいった、いい問題です。こちらも、解と係数の関係をうまく使うと計算量が減らせる問題でした。
交点の中点の座標をきかれたときは、交点をα、βとおいておくと楽に計算できる場合が多いです。
(拙著シリーズ(白) 数学II 複素数と方程式 p.34)
中点は対称式になりますので、解と係数の関係を合わせて用いるといいですね。
(2)は、Cが直線y=-x-1 上にあることに気づけば、終わりです。直線y=-x-1と、曲線y=x^3-3ax^2 の交点がA、B,そしてC ということですね。なお、点Cの座標はmを含まないので、傾きmに依存しないということも、本問から分かります(変曲点です)。
☆第3問・・・四面体(BC、40分、Lv.2)
四面体の垂線と、垂線の足の座標を求める問題。ポイントは、対称性です。これに気づくかどうかで、計算量が倍ぐらい違います。
CからABに下した垂線の足をKとすれば、AK=BK、OK⊥AB、そしてHはCK上にある。すると、三角形OCKの面積を2通りであらわして(1)が、相似関係などを考えて(2)が出るわけです。
これに気づかないと、(1)はおそらくOABCの体積を2通りにあらわして・・・などという計算をすることになり、計算量が倍増します。さらに(2)もベクトルでやり直しというハメになります。
(※ちなみに私、はまってしまいました。。。途中で気づいたときにはかなり進んでおり、最後までやったほうが早いとふんで押し切りました)
いずれにしても、垂線の長さを求めるときには、面積媒介や体積媒介についてアンテナを張っておく必要があるということですね。
(拙著シリーズ(白) 数学I 三角比 p.38)
ちなみに最初からベクトルでとけば、(1)も(2)も一気に解決しますが、やはり計算はかなり煩雑で、途中で投げたひともいるのではないでしょうか。
※解答時間は、上の事実に気づかなかった人用の時間です。
もしはまっても、40分ぐらいで抜け出すぐらいの計算力を持っていると、解法によらない解答力が身につきますね。
第4問・・・数列(BC、25分、Lv.2)
3項間漸化式の問題で、初項が具体的でないという点が、これまた一ひねり入っております。(2)は漸化式を直接解いてしまえば楽勝で、(1)のほうが難しかったのではないでしょうか。
漸化式とあまりについては、周期性を発見することが原則です。
(拙著シリーズ(白) 数学A 整数 p.72)
ただ、調べている途中で「え・・・周期性がない・・・」「どっかで計算間違えたか・・・・・・」となった受験生もいるのでは??なんと周期20という、なんとも長いものでした。あきらめずに調べた人が勝ちでした。
余りぐらいは計算してもそんなに時間がかかりませんので、周期は50ぐらいまでは気合で調べてみましょう。なお、東大でも昔、かなり長い周期の数列の問題が出ています。
☆第5問・・・確率(B、20分、Lv.2)
標準的なサイコロ系の確率の問題です。少なくとも・・・という文言がありますので、こちらの原則で手堅く点数をもぎ取っておきたいですね。
(拙著シリーズ(白) 数学A 集合と場合の数 p.24)
なお、確率を単純に足すときには、その事象が排反かどうか、毎回、確かめる癖をつけておきましょう。
4.対策
頻出分野は整数、微積、確率です。まんべんなく融合してきますので、穴がないように対策しましょう。(今年確率なかったのは、まあまあ驚きでしたが^^;)
一橋の数学は理系で出題されても難しいタイプの問題なので、理系並みの対策をとる必要があります。青チャートを早い段階で終わらせ、入試基礎→入試標準レベルまでは行い、できれば仕上げ段階まで行いましょう。整数問題や確率・漸化式などは、旧7帝大の問題などで練習してても、ちょうどぐらいです。
一橋大は単科50年分のものなどがあります。ある程度演習をしたら、こちらを最新年度からさかのぼってやるのもアリでしょう。2005年までなので、これ以降は赤本で対策を。
量をこなす演習:じっくり演習=7:3ぐらいがいいでしょう。
以上です^^
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■関連する拙著シリーズ■
★ 数学I 三角比 (第3問)
★ 数学A 確率 (第5問)
★ 数学A 整数 (第1問、第4問)
★ 数学II 複素数と方程式 (第1問、第2問)
★ 数学II 図形と式 (第2問)
★ 数学II 微分 (第2問)
★ 数学B ベクトル (第3問:解法によっては)
★ 数学B 数列 (第4問)
かなりバランスよく出題されてますね。