京都大学 理系 | 2016年大学入試数学

      2017/03/06

●2016年度大学入試数学評価を書いていきます。今回は京都大学(理系)です。

いつもご覧いただきまして、ありがとうございます。 KATSUYAです^^いよいよ、2次試験シーズンがやってきました。すでにお馴染みになってきたかもしれませんが、やっていきます。
2016年 大学入試数学の評価を書いていきます。


2016年大学入試(国公立)シリーズ。
京都大学(理系)です。

 

問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。
また☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。

 

また、解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。
※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。

したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。


同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい、という目安にしてください。





京都大学(理系)
(試験時間150分、6問、記述式)

 

 

1.全体総評~差が出やすいセット、複素数平面も出題~

難易度は昨年並。昨年のような大物論証はありませんが、逆に昨年度のように難易がはっきりしているわけではなく、差が出る難易度の問題が多かったので、トータルで変化なし。新課程の複素数平面は方程式の解条件として登場(用いなくてもいける)。


試験時間150分に対し、
標準回答時間は185分。
2015年:195分
2014年:175分
2013年:140分
2012年:187分
2011年:135分
2010年:152分

一時期、易しい年が続いていましたが、ここ数年は京大らしさが戻っています。

2.合格ライン

第1問は簡単とは言わないが、全体から考えて確保したい。
第2問は整数問題でキー問題。
第3問はおさえないとマズイ。
第4問は体積で、難しい。時間があれば。
第5問は確率と漸化式で、こちらも差がつくキー問題。
第6問はアプローチに戸惑う可能性があり、難しい。

お決まりの分野(2、5問)で両方落とすと厳しいです。1問は欲しい。医学部なら両方おさえたい。


60%強ぐらい(医学部以外)、70~75%ぐらい(医学部)ですね。


3.各問の難易度

☆第1問・・・【微分法の応用、極限】(B,25分、Lv2)

単純な関数の最大値を求める問題です。nが入っているので少し計算が複雑ですが、導関数がうまく因数分解出来ることに気づきたい。

なお、角度が出なくても、cosやsinさえ分かれば最大値は出せます。本学受験者であれば問題ないですね^^

 

Principle Piece III-75

交点がもとまらないなら「t」とおいてtに関する方程式を用意する

(拙著シリーズ(白) 数学III 積分法の応用 )


もともと、三角関数系統のグラフの交点に関する原則ですが、同じ三角関数の微分でもよく出てきますね。(2)はあきらかに「eの定義」型極限ですね。うまく指数と合わせていきましょう。

Principle Piece III-26

指数・対数の極限の基本形に合わせる

(拙著シリーズ(白) 数学III 微分法 pp.22-23)

※KATSUYAの解いた感想
最大値なので微分。結構項が残る。でも(2)からして、1/n系統が出ないと困る。たすきがけにより因数分解完了し、あとは原則に従って終了。解答時間13分。

☆第2問・・・【整数】素数絡み(C、30分、Lv.2)

2つの素数p、qの式に関する問題。発想寄りの整数問題で、予備校でも難易度評価はまちまちですが、私は難し目だと思います。良問なので、来年受験する人は、是非やってみてください^^

「p、qのいずれかが2であること」、「また他方が3以外であったとき、3で割れること」に気づく必要があります。前者はまだいいでしょうが、後者はハードルが高そうです。

小さい数字で試すことが明暗を分けますね。

ULTIMATE Principle Piece

分からなければ小さい数字で試してみる

後者については、(p=2として)2^q については、qが奇数なので3で割ると2余ること、q^2の方は、qが3の倍数でもないので、そのときは1余ることをいえばOK。前者と後者で、qの分類が異なるところも、本問を難し目と評価した理由です。


基本的に、平方したり指数によって「n乗」したりすると、余りは種類が減っていきます。
この感覚は、勉強量によって差が出そうです。

※KATSUYAの解いた感想
整数問題か。東大より整数らしいわ(笑) とりあえずp<qとしよう。どっちかは偶数やからp=2 あとは・・q=3、5、7を入れる。5、7やと3の倍数やな。しかも、前者が2余りも固定。あ、なるほどと気づき、3で割ったあまりを考えて終了。解答時間11分。

第3問・・・【平面幾何】正四面体であることの証明(B、20分、Lv.1)

正四面体であることの証明です。京大はちょいちょい、四面体系証明問題を出してきます。タイプも、計算ガッツリで進められる場合と、平面幾何的考察が必要なものに分かれますが、今回は後者です。

基本的に後者だと大物系が潜んでいることも多く正答率は下がりますが、今回は簡単^^ 三角比のところでもよくある、等稜四面体(1つの頂点から他3頂点に引いたした辺が等しいもの)の体積問題です。垂線をおろしたとき、外心であると示す必要がありますが、その逆をたどればOKです。

 

文系は「外心」ではなく「重心」でした。こっちの方が全然難しいです^^;


※KATSUYAの解いた感想
垂線が外心なら、あの等稜四面体のときの問題みたいに3つの直角三角形が合同って言えばOKやな。逆にたどっていって等稜であることを示す。三角形の合同条件が2辺夾角に変わる。最初、いつもの癖で斜辺と他の1辺て書いて、確認して修正。危ない危ない 解答時間5分。

第4問・・・【積分法の応用】空間座標と回転体の体積(軸が領域外)(C、40分、Lv.2)

平面y=z上に描かれたグラフをy軸回転するというもの。y軸にy=z上の領域がありません(正確には原点のみある)ので、切断面はドーナツ型です。
y=zという、普段とは違った部分に領域が浮かんでおり、うまく式で処理できなかったかもしれません。
普段通りxとyの関係を出し、zはyと等しいだけ と置けば座標が全てyだけで表せます。

回転体については、回転してから切断するのではなく、先に切断します。

Principle Piece III-83

z軸回転体は回転させる前に切断する

(Principle Piece 数学A 確率 p.39~44)


z軸回転体というのは、タイトルとおり「軸が領域外にあるタイプ」という意味です。線分の回転だとわかりますので、ドーナツ型面積になります。積分は慎重に行えば楽勝でしょう。

※KATSUYAの解いた感想
空間図形の回転体は京大にしてはめずらしいような。領域の場所はあまり見慣れないから、これは試験では取りづらいな。座標をすべてyおき、先に切断して線分を回転させ、積分して終了。解答時間13分。

 


第5問・・・【確率、数列】確率と漸化式(BC、30分、Lv.2)

京大の十八番です。東大・京大はどちらもこのタイプが好きですが、京大の方が期待を裏切らない印象があります。東大は「n絡み」という縛りで見ておいたほうがいいかもですね。

さて、この京大の問題については、原則3セットをきちんと用いるだけで出来そうです。

Principle Piece A-40

nとn+1回目を詳しく見る

(拙著シリーズ(白) 数学A 確率 p.39-43)

遷移図が命ですので、ここに時間をかけて見やすく丁寧に。

 

Principle Piece A-41

必要のない部分もqnなどとおく

(拙著シリーズ(白) 数学A 確率 p.39-43)


X座標が1、2のところも置いておくべきです。

 

Principle Piece A-42

対称性や、足すと1になることも忘れずに

(拙著シリーズ(白) 数学A 確率 p.39-43)

 

x座標が1だけは仲間はずれっぽいので、0、2のところで連立漸化式を持ってくるか、さきにx=1である確率を出してx=0の漸化式に放り込むかです。どちらにしても、漸化式のタイプは応用なので、普段より漸化式を解く作業は難し目。

(※拙著シリーズ(白) 数学B 数列 をお持ちの方は、前者なら12型、後者なら5型ですね^^)

※KATSUYAの解いた感想
京大はあきらかに漸化式タイプ。これは確実にいけるな。とおもって漸化式を立てるも、意外と詰まる。pn狙いうちがダメなのかな^^; とりあえずqn(x=1)すぐ出せるから出しちゃおう。それをpn(x=0)系の漸化式へ。5型なので原則に従って終了。解答時間15分。

 

第6問・・・【複素数】複素数と方程式、解条件から係数決定(C、40分、Lv.2)

複素数からの出題です。複素数平面を用いると楽なところもありますが、用いなくても出来るので、範囲対象外としました。

昔の京大の複素数平面は、「n乗根絡みは難し目」、「図形や軌跡問題は典型パターン」、「整数問題と絡んだ大物論証」の印象ですが、これに加えて、「方程式の解」をいじっていくタイプが特徴的です。今年はこのタイプってこと・・・?


虚数が係数なのが、難易度を上げています。また、(イ)の条件も使いづらいです。私は、実際に割り算をしてあまり=0としました。計算ゴリ押しタイプです。筆算すると文字がどんどん膨れますが、京大理系ですから、強引にでも点をもぎ取りに行きたいところ。

かなり複雑な式になりますが、片方が因数分解できたので(出来ると信じることが大事!)、それに気づけばひたすら計算するだけです。


2乗=複素数 のとことで、極形式にすると元の式もすぐ出せますので、複素数平面を使うところはありましたが、メインではありませんでした。なお、文系に類似問題あり。文系の方がアプローチしやすいです。


※KATSUYAの解いた感想
あーこれ、俺嫌いなタイプ。しかも係数虚数やし。2次式なら割ってしまえ、と筆算ゴリ押しで1次の係数と定数項=0とする。全然項が消えない^^; でも1次の係数側は因数分解濃厚。筆算の符号ミスを修正し、因数分解成功。あとは場合分けしてひたすら計算。答えがまあまあ多くて書くのに一苦労^^;解答時間25分。

 

 

4.対策

確率、整数、微積はほぼ確実に出題されます。新課程の複素数平面も、昔好きだったので要注意です。

京大は、発想力に重きを置いた問題が出ることがあります。あとは標準問題か超大物です。超大物は完答しなくとも合格は出来ますので、それよりも標準問題で落とさないように、演習をすることが大事です。

原則の習得は青チャートなどで行いつつ、早めに入試基礎演習入試標準演習段階へと進めていきましょう。最終的には仕上げ段階まで行ってから、過去問に接続したいところです。

量をこなす演習:じっくり演習=6:4ぐらいでしょう。

以上です^^

■他年度の、本大学の入試数学■

>> 
2010年度
>> 2011年度
>> 2012年度
>> 2013年度
>> 2014年度
>> 2015年度



■関連する拙著シリーズ■

★ 数学A 確率 (第5問)

★ 数学A 整数 (第2問)

★ 数学A 平面図形 (第3問)

★ 数学II 複素数と方程式 (第6問)

★ 数学II 図形と式 (第1問)

★ 数学II 三角関数 (第1問)

★ 数学II 指数関数・対数関数 (第1問)

★ 数学B ベクトル (第2問)

★ 数学B 数列 (第5問)

★ 数学III 微分法 (第1問)

★ 数学III 微分法の応用 (第1問)

★ 数学III 積分法の応用 (第4問)

★ 数学III 複素数平面 (第6問?京大は出やすいので、一応入れときますね^^)

★ 計算0.9【IAIIB】 (計算練習帳)

 - 2016年度大学入試数学 , , , , , , , , , , ,