関西大学 理系(2月7日実施) | 2018年大学入試数学
●2018年度大学入試数学評価を書いていきます。今回は関西大学(理系、2月7日実施)です。
※入試シーズン中はコメントの返信が大幅に遅れることがあります。ご了承ください。
いつもご覧いただきまして、ありがとうございます。 KATSUYAです^^いよいよ、2次試験シーズンがやってきました。すでにお馴染みになってきたかもしれませんが、やっていきます。
2018年 大学入試数学の評価を書いていきます。
2018年大学入試(私大)シリーズ。
関西大学(理系、2月7日実施)です。
問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。
また☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。
解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。
※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。
したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。
同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい、という目安にしてください。
関西大学(理系、2月7日実施)
(試験時間100分、4問、ハイブリッド型)
※ハイブリッド型とは、穴埋め型と記述式の混合型のことです。
1.全体総評~数IIIが3問。計算量は例年並みに戻り難化~
昨年がかなり易化したこともあり、今年は戻って例年並みです。
2問ある微積も昨年に比べると少し計算量が増えました。第2問の穴埋めは例年並み。第4問の小問もいつも通りといったところでしょうか。全体としては、微積分の処理量が増えた分だけ時間がかかる印象です。
なお、第2問も数IIIから出題のため、小問以外はすべて数IIIでした。
試験時間100分に対し、
標準回答時間は123分【97分】(←穴埋め考慮)
2017年は104分【86分】(←穴埋め考慮)
2016年は128分【102分】(←穴埋め考慮)
2015年は122分【88分】(←穴埋め考慮)
2.合格ライン
第1問は数学IIIで、こちらは完答したい。体積までかっちり押さえたい。
第2問はキー問題。特に後半の整数との融合パターンをおさえられたかどうか。
第3問の数学IIIは(1)(2)確保。(3)も出来れば。ぐっと合格ラインに。
第4問は今年は(3)(4)が差がでそう。どちらかは押さえて、4問ほしい。
計算量が増えたので、昨年よりは下がって70%ぐらいでしょうか。
3.各問の難易度
第1問・・・【微積分総合】極値、変曲点、回転体(AB、25分、Lv.1)
微積分総合の基本です。(1)で微分、(2)でもういっかい微分、(3)は回転体です。やることが単純なので、特にコメントはありません^^;
(3)の積分は部分積分です。変形の仕方を確認してきましょう。
(拙著シリーズ(白) 数学III 積分法 p.9)
☆第2問・・・【複素数平面+対数関数+整数】極形式、桁数、n乗、式が実数となる条件など(B、30分【25分】、Lv.2)
複素数の極形式変形と、後半は整数問題との融合になっています。良く見かけるパターンですが、整数に寄り気味の知識も使わないと難しいところもあります。
最初の75°は私大受験なら暗記推奨です。次は4を前に出してくくれば極形式になります。正の実数になるには、偏角75×nが 360の倍数になればいいので、75n=360m とおきます。整数解問題ですね^^
桁数はOKですよね。最高位と一緒に復習しておきましょう。
(拙著シリーズ(白) 数学II 指数関数・対数関数 p.26-27)
(3)もまだ複素数平面ですが、必要なテクニックは整数です。うまく遠まわしに表現されています。偏角に関する方程式の整数解を求めることになります。
与式は絶対値が1なので、偏角75n+18mが360°までで何種類とれるか、ということです。3(25m+9n)となります。25m+9nが任意の整数を取れることに気づけば、3°ごとにすべて取れると分かります。
また、γとは、偏角が360k+3° となるようなものです。従って、最後は75+18m=360k+3 の一般解を聞いているのと同じです。1次不定方程式のパターンになるわけですね^^
☆第3問・・・【微積分総合】媒介変数表示、極値、弧長(B、25分、Lv.1)
媒介変数表示の問題です。昨年も第1問にありましたが、それよりは処理量が増えています。
(1)と(2)はどちらも微分するだけです。
(3)の弧長ですが、媒介変数系の弧長では、ルートの中にsinやcosが入ってくることがいいです。この手の式は積分するためには、ルートをはずす必要があります。今回出てくる1-cos2θ=2sin^2 θ の式変形は、サイクロイド、カージオイドの弧長計算の際にも必要なので、しっかりパターンとして押さえておきたいところ。
なお、極方程式r=1-cosθ と表されるので、これを使えば √r^2+f'(θ)^2 の積分でも求められます。
第4問(1)・・・【数列】漸化式(A、6分【3分】、Lv.1)
典型的な漸化式のパターンです。すでにわかりやすい形になっています。落とせませんね。
(拙著シリーズ(白) 数学B 数列 p.45)
☆第4問(2)・・・【複素数と方程式】解と係数の関係(A、4分【2分】、Lv.1)
こちらも基本的な解と係数の関係の問題。そして求めたい式が対称式ですから、基本対称式で表しましょう。
(拙著シリーズ(白) 数学I 数と式 p.31)
3文字の3乗和は長いですが、今回はα+β+γ=0なので、うしろの3αβγしか値には聞いてきません。
☆第4問(3)・・・【平面ベクトル】対称点、二等分線(AB、9分【6分】、Lv.1)
基本的な平面ベクトルの問題です。角の二等分線と対称な点なので、OAからOD上に移るだけだと分かれば楽勝です。実数倍で設定し、長さを調整すればOK。 ODはOAとOBだけに直しましょう。
第4問(4)・・・【確率】カードと数字の大小(B、12分【8分】、Lv.2)
小問の中では最も骨があると思われます。数えにくそうに見えますが、B<Aとなる方が少なそうであることに気づけば、余事象の利用が見えます。
また、B<Aはよくよく考えると簡単で、2トップの「6、7」が両方取り出されていないと起きないことが分かります。これは差がつくかもしれませんね。
なお、まともに数えても7C4=35通りしかありません。時間が許すなら全通り書き出しも視野に入れましょう。
(拙著シリーズ(白) 数学A 集合と場合の数 p.20)
原則はサイコロですが、このサイコロより少ないわけですから、書き出せますよね。
☆第4問(5)・・・【2次関数or式と曲線】条件下における最大・最小(B、12分【8分】、Lv.2)
条件式つきの2次式の最大・最小です。条件式は楕円なので、媒介変数を利用すると数IIIになります。求める式=k とおいて連立し、実数解条件に持ち込むと2次関数となります。
(拙著シリーズ(白) 数学III 式と曲線p.32)
私は三角関数でやりました。求めたい式はsin、cosの1次の項だけになりますので、合成ですね^^
(拙著シリーズ(白) 数学II 三角関数 p.44-45)
4.対策~第4問の穴埋めまでまんべんなく~
記述式ではほぼ数IIIの微積と言えます。微積系統を中心に勉強をしておきましょう。題材自体はそんなに難しいものではありませんので、変に難しいものをやるのではなく、チャート式の典型問題や基礎的な入試問題で演習量を積んでおきましょう。
IAIIBは穴埋め形式での出題が多いです。奇問はそこまでありませんが、傍用問題集の単問に比べるとひねりや融合がありますので、いろんな表現になれるために量をこなしておきましょう。チャートは黄色か青、どちらでもいいと思います^^
レベル的には、入試基礎演習のレベルの参考書を最後に、過去問に接続しても大丈夫だと思われます。
以上です^^
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■関連する拙著シリーズ■
★ 数学II 指数関数・対数関数 (第2問)
★ 数学B 数列 (第4問(1))
★ 数学III 微分法 (第1、3問)
★ 数学III 微分法の応用 (第1、3問)
★ 数学III 積分法 (第1、3問)
★ 数学III 積分法の応用 (第1、3問)
★ 数学III 複素数平面 (第2問)
★ 数学II 複素数と方程式 (第4問(2))
★ 数学II ベクトル (第4問(3))
★ 数学A 確率 (第4問(4))
★ 数学II 三角関数 (第4問(5))
★ 数学III 式と曲線 (第4問(5))
★ 計算0.9 【IAIIB】 (計算練習帳です^^)