首都大学東京 文系| 2018年度大学入試数学
2018/03/12
●2018年度大学入試数学評価を書いていきます。今回は首都大学東京(文系)です。
いつもご覧いただきまして、ありがとうございます。 KATSUYAです^^いよいよ、2次試験シーズンがやってきました。すでにお馴染みになってきたかもしれませんが、やっていきます。
2018年 大学入試数学の評価を書いていきます。
入試シーズン中は、コメントの返信が大幅に遅れることがあります。ご了承ください。
2018年大学入試シリーズ(国公立)シリーズ。
首都大学東京(文系)です。
問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。
また☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。
また、解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。
※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。
したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。
同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい、という目安にしてください。
首都大学東京(文系)
(試験時間90分、4問、記述式)
1.全体総評~偏った出題範囲で解法次第では時間が足りない~
難易度は、昨年に続いて微難化です。
数IIの高次方程式からの出題が4題中2題を占めました。しかも2問とも整数絡みで、この分野が苦手な人にはかなりアンラッキーなセットです。残りは微積分と空間図形でした。
高次方程式の部分もそうですが、空間の問題なども解法や答案次第では計算量が多く、かなり時間のかかるセットになっています。理系よりも時間に余裕はなさそうです。
試験時間90分に対し、
標準回答時間は95分。
2017年:80分
2016年:65分
2015年:90分
2013年:80分
2.合格ライン
第1問は典型パターン。場合分けして落ち着いて解きたいが、意外とキー問題か。
第2問はキー問題。演習経験がないとかなり厳しく、差がつくと思われます。
第3問は2番で取れなかったら取らないと厳しい。2番よりはマシ。
第4問は(1)は押さえる。(2)は解法次第ではかなりかかるが、たどり着けたか。
3完は不要だが、2完は欲しい。60~65%でしょうか。
3.各問の難易度
第1問・・・【積分】定積分関数の最小値(B、20分、Lv.2)
典型的な定積分関数の問題で、絶対値付きのパターンと似ています。
(1)はいいでしょう。(2)は場合分けが必要です、被積分関数はt=0で関数が変わるので、区間x~x+1の中に0が入るかどうかで分けましょう。絶対値付き定積分の原則ですが、考え方は同じですね。
(拙著シリーズ(白) 数学II 積分 p.17-21)
(3)ですが、次数が高いものでも2次なので、増減表は大げさ。平方完成してグラフをかけばOKでしょう。
※KATSUYAの解答時間8分。詰まることなく終了しました。
☆第2問・・・【整数+複素数と方程式】3次方程式の整数解、有理数解(B、25分、Lv.2)
3次方程式が有理数解を持つかどうかに関する問題で、経験がないと(1)などは思いつくのは厳しいかもです。
まず、有理数解を持つということなので、その有理数をサッと設定出来るかどうかです。原則取得者なら反射的にやりますよね^^
(拙著シリーズ(白) 数学A 整数 p.65-66)
「有理数=q/p」として代入したときに、q^3=・・・・ の形にするとp=1と出ます。端っこだけ残して移項するのもお決まりの流れです。
(2)は(1)の結果を利用し、有理数解を持つなら整数解を持つので、整数解なければいいわけです。f(1)、f(2)、f(3)が3で割り切れないという表現から、その整数を3で割ったあまりで分類すればいいことが見抜けたでしょうか。
q=3k のときはf(3)と対応します。(f(3)が3で割り切れない→f(3k)も3で割り切れない が示せます)他も同様なので、どんな整数解も3で割り切れないので、0にはならないわけですね。
結構勉強してないと思いつきにくいパターンですね。
※KATSUYAの解答時間9分。パターンなので、詰まることなく終了です。(3)は合同式でうまく処理すればもう少し早くまとまったかな。q=3k、3k+1、3k+2として全面的に展開してしまったが^^;
第3問・・・【整数+複素数と方程式】高次方程式の解の情報と係数の決定(B、25分、Lv.2)
第2問と分野がかぶりすぎていて驚きです。再び整数絡みの3次関数の問題です。
(1)は共役複素数も解になることの証明ですが、g(a+bi)とg(a-bi)を実際に計算し、虚部だけ符号が違うことを言うのが最も素直な気がします。実部、虚部がともに0であることがポイント。
(2)は(1)からただちに分かることです。
(3)は原則通り、それ以外の解を「c」とでもおいて、解と係数の関係を用いるのがいいでしょう。
(拙著シリーズ(白) 数学II 複素数と方程式 p.34)
3番全体の流れが、そもそもこの原則そのものですね。
積が13ということなので、残りのk=1、13のどちらかですが、k=13のときはすぐにダメだとわかります。k=1と分かれば和からa=2もわかるので、3解も決まってmも出せますね。
※KATSUYA解答時間10分。詰まることなく終了ですが、「え、また3次方程式ですか」という印象が強すぎました。
☆第4問・・・【三角比 or 空間ベクトル】四面体の一部の体積(B、25分、Lv.2)
正四面体絡みの問題です。三角比だけでも解決できますが、思いつかなかったら空間ベクトルで攻めるしかないでしょう。
(1)はただの三角形です。中3でも(三平方を習っていれば)解けます。
(2)は(1)の平面に垂線をおろしますが、その垂線がOからMNに下した垂線上(OとMNの中点を通る直線上)にあると分かれば、その部分だけ取り出して三角比で責めれそうですが、無理なら空間ベクトルでコツコツ計算するしかありません。
空間ベクトルで出すにしても、「別に正四面体なのでなんでも出せるわ」ぐらいの気持ちを持っていれば怖くないはずです。こう思うためには、こちらの原則が大きな味方になります^^
(拙著シリーズ(白) 数学B ベクトル p.69)
正四面体であれば、すぐに6つともわかりますので、垂線でもなんでも出そうと思えば出せるわけです。
(拙著シリーズ(白) 数学B ベクトル p.69)
これでs、tの連立方程式を解けばOK。時間はかかりますが、これでも解けます。正四面体の1/4になるのは当たり前ですね。(ということは、正四面体の体積を知っていると検算になります。)
※KATSUYAの解答時間15分。空間ベクトルでやりました。私のように空間把握が苦手な人のために、空間ベクトルはあると思っていますので、私は迷わずベクトルです。正四面体の1/4になることで確信を得ました。
4.対策
首都大(文系)は数IIから2題(うち、1題は微積)、数Bから1題、残りが確率(または場合の数)という構図が多いようです。(今年はちょっと偏りすぎ・・・)題材的には、多くが典型パターンの範囲内といった印象です。
IAIIBの基礎がある程度固まってきたら(青チャートか黄色チャート重要例題までマスター)、これらの分野を重点的に行ってもいいでしょう。また、小問間につながりがないこともありますので、柔軟に切り替えて自分の知っている解法で対応しましょう。
量をこなす演習:じっくり演習=9:1でOK。
以上です^^
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■関連する拙著シリーズ■
★ 数学Ⅰ 三角比 (第4問)
★ 数学A 整数 (第2問、第3問)
★ 数学II 複素数と方程式 (第2問、第3問)
★ 数学II 積分 (第1問)
★ 数学B ベクトル (第4問)