早稲田大学 理工学部 | 2018年大学入試数学

      2018/07/01

●2018年度大学入試数学評価を書いていきます。今回は早稲田大学(理工学部)です。

いつもご覧いただきまして、ありがとうございます。 KATSUYAです^^いよいよ、2次試験シーズンがやってきました。すでにお馴染みになってきたかもしれませんが、やっていきます。
2018年 大学入試数学の評価を書いていきます。

入試シーズン中は、コメントの返信が大幅に遅れることがあります。ご了承ください。



2018年大学入試(私大)シリーズ。

早稲田大学(理工学部)です。





問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。
また☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。


また、解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。
※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。

したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。


同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい、という目安にしてください。





早稲田大学(理工学部)
(試験時間120分、5問、記述式)

1.全体総評~全体としてはやや易化~

総合的にはやや易化と思われます。時間的には昨年とあまり変わりませんが、第5問が異常にかかることを除けば、点数は取りやすいセットです。分野的には数IIIが2問、確率、証明、数IIの積分でバランスはいいと思います。



試験時間120分に対し、標準回答時間は160分。

2017年:160分 2016年:135分 2015年:150分 2014年:135分

2.合格ライン

(全科目の合格最低点は、55%~60%程度)

第2、4問を出来る限り押さえたい。第5問は説明にもかなり時間がかかるので、時間との勝負。

第1問、第3問はキー問題。第1問は文字ばっかりだが、こっちを押さえて第3問は途中まででも。


3完強を目指し、65%ぐらいでしょうか。

3.各問の難易度

☆第1問・・・【複素数平面】方程式の解の表す三角形(B、25分、Lv.3)

今年も第1問が複素数平面で、これで3年連続出題です。

今年は文字が多くてちょっとメンドウですが、やることは見やす買ったと思います。

(1)は2次方程式が虚数解であればOK。p≠-q/2 を忘れずに。(2)以降は文字ばっかりの座標で計算が大変そうですが、二等辺三角形なので図形的なアプローチを最大限活用します。三平方の定理の利用がいいです。

面積は頂角の二等分線(高さとする)を三平方で出すという、中学生が三平方の定理を習ったときにやる方法がベストかと思います。外心も二等分線上にあるので、どこかにとって、半径Rに関する三平方の定理を使います。三角形の向きが2通りあるので、そのことにはきちんと触れておきましょう。計算過程などは「同様に」でもいいと思いますが、その場合は結果が合ってないとかなり減点です。

本問には、あまり原則という原則はなく、図形的なアプローチと文字計算能力だけが勝負です。

※ KATSUYAは14分で終了しています。


第2問・・・【積分+整数】放物線と2接線と面積、格子点の個数(B、25分、Lv.2)

早稲田理工にしては珍しく、数IIの面積です。明記されていませんが、2直線は放物線に接しますので、典型パターン問題です。落とせません。

(1)は共有点を明示しつつ、(過程は不要かと思われます)概形を書いて面積を求めます。2接線なのでこちらの原則が使えますね。

 

 

Principle Piece II-120 

 放物線と接線絡みの解法

[1] 放物線-接線=a(x-接点)^2

[2] 積分して a/3・(x-接点)^3 となる

(拙著シリーズ(白) 数学II 積分 p.34-37)

 

放物線のaの係数を忘れないように。今回は1ではありません。

(2)は格子点の数なので、x座標で縦に切りながら地道に見ていくしかありません。直線の交点のx=1を中心に個数が対称てあると感覚的に分かっていると、ミスなく数えられると思います。境界線上は入らないので注意。

※KATSUYAは14分で解答しています。

 

☆第3問・・・【命題と証明】3乗根と無理数の証明など(C、30分、Lv.3)

3乗根に関する証明と、3乗根についている係数=0となる証明です。「a+b√2=0 ⇔ a=b=0」が雛形ですが、経験がないと最後までたどり着くのは難しいです。誘導があるので、乗れるところまで乗りたい。

(1)は無理数の証明なので、もちろん背理法です。

Principle Piece I-10

 無理数の証明は有理数と仮定して矛盾を導く

(拙著シリーズ(白) 数学I 数と式 p.20)

(2)は両辺にpの3乗根をかけるだけです。なんだこれ?と思うかもですが、ゴールの(4)のためには必要な作業です。思いつかないだろうということで、一応入れたのでしょう。

(3)は(2)の式を両方利用します。「3乗根の2乗」がなくなっていることに着目し、2辺からその項を消しましょう。これも気づきにくいですね。

(4)はまず、(3)の式から係数が両方0であることが分かります。最後は、その2つの式から、3乗根p=b/a として矛盾を導くという手順です。ここまでは経験がないとかなり厳しいかもしれません。矛盾を導く方法は有理数=無理数とするしかありませんから、3乗根p=・・・にする方法を考えることになります。

(2)までが最低で、(3)まで出来れば・・・・って感じですかね。

なお、本質的にほぼ同じ問題が2012年に京都大学で出ています。p=2の場合です。

※KATSUYAは17分で終了しています。

第4問・・・【微積分総合】減衰曲線の極値、回転体の体積と級数(B、30分、Lv.2)

計算量多いのが見え見えですが、パターン問題なので早稲田理工受験者なら押さえたい。計算力勝負。

(1)はとりあえず計算。(4)の体積の積分の際に、部分積分しなくていいように出させています。流れで予想がつきます。三角×指数だと、2回やらないとダメなので、その手間を省いているわけです。

(2)は極値なので微分しますが、定義域に制限がないので、一般角で答えなければいけません。増減表では表現しにくいので、g’(x)の符号の変化で、極小か極大かを判断しましょう。(極値を求めよ、と言われたら区別して出すのが普通です)。

(3)が計算力勝負。n-1≦x≦nでは、「x軸より常に下か常に上」であることに触れつつ、回転体の体積の式を作ります。三角の部分は2乗されているので、半角で次数下げましょう。

Principle Piece III-50

 三角関数の積分は半角、和積で次数を1次に下げてから

(拙著シリーズ(白) 数学III 積分法 p.14-16)

被積分関数の一部に、微分した式と同じ形のものがあります。x⇔ー2πx とします。cos(-2πx)=cos2πx となることもポイント。ここで少し計算が楽になりますね。

(4)、(5)の流れは、こちらの原則になります。(4)の式が等比数列になることが分かれば、級数も出せます。(4)の結果を出すときに、公比が分かるようなくくり方をしておくといいでしょう。

Principle Piece III-65 

 周期「的」関数のn絡みの極限 →1周期で計算して無限等比級数へ

(拙著シリーズ(白) 数学III 積分法 p.60-61)

※KATSUYAは20分で解答しています。

 

☆第5問・・・【確率+立体】立方体の4頂点と共通部分(C、50分、Lv.3)

最後は確率ですが、設定を読むとかなり先行きが厳しいことがすぐに分かります。時間が許す限り点数に結びつく答案を書けるかどうか、というところですね。

まず(1)が答えだけということなので、なぜそのような図形になるかの説明は(2)でも不要と考えてもいいかもしれません。(結果が合っていることが前提)。

(2)では、どのように選んだときに点、直線、平面(これは確率0)、立体になるのかについて、ただしく述べておけばOKかと思います。まずはこの規則を見つける必要がありますが、そのためには10個近く試すと思います。だったら、こちらの原則が頭をよぎりませんか。

Principle Piece A-7 

 サイコロ2個は高々36通り → 表を書いて整理

(拙著シリーズ(白) 数学III 積分法 p.60-61)

全事象が少ないなら、書き出してしまおう、ということです。頂点番号だけ書き出せばOK。8C4=70ですが、前者と後者の入れ替えに区別はないので、35通りですみます。サイコロ2個より少ないです。

35通りの選び方と、共通部分についてずらーっと書き並べてしまえば、答えにはたどり着けます。規則を早く見つけることができれば、計算でも出せますが、点の選び方を説明する必要はあります。

時間内にどう説明し、点数をどこまで稼ぐか、という気合を試す問題ですね^^;

 

※KATSUYAは全て書き出し、32分で解答しています。2つほど、形を間違えてしまいました。

 

4.対策

新課程の複素数平面を含めて、今年は5問中2問が数学IIIで、例年より1問少ないです。数IIIと確率が頻出分野となっています。今年の第5問のような、空間図形も割と出ます。

IAIIBは2年生の段階で出来れば青チャートを終え、3年生では入試演習で徐々にレベルを上げたいところ。IIIもなるべく早い段階で入試演習に入りましょう。

過去問はもちろんですが、国立と併願の場合は、国立の2次対策がそのまま対策になると思います。入試標準演習までは最低でも行い、より高得点をめざすなら仕上げ段階までいっておきたいですね。

量をこなす演習:じっくり演習=6:4ぐらいですね。

以上です^^

 

 

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>> 2017年度



■関連する拙著シリーズ■


★ 数学A 確率 (第5問)

★ 数学II 積分 (第2問)

★ 数学A 命題と集合 (第3問)

★ 数学III 微分法の応用 (第4問)

★ 数学III 積分法 (第4問)

★ 数学III 積分法の応用 (第4問)

★  数学III 複素数平面 (第1問)

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