順天堂大学医学部 | 2018年度大学入試数学

      2018/03/27

●2018年度大学入試数学評価を書いていきます。今回は順天堂大学(医学部)です。

 ※現在、非常に多くのコメントをいただいており、コメントの返信が大幅に遅れることがあります。ご了承ください。

2018年大学入試数学の評価を書いていきます。


2018年大学入試:私大シリーズ

順天堂大学(医学部)です。

 

問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。
また、☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。

 

 

また、解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。

※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。

したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。

同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい という目安にしてください。

 

 

順天堂大学 医学部(試験時間70分(穴埋め+記述)、3問)

 

1.全体総評~第1問を中心に計算量がかなり減少~

昨年から易化しました。第1問の小問が1つ減り、さらに計算量も減ったので、全体としてはかなり減少です。第2問は有名問題ですが差が大きく開きそう。例年の答えづらい第3問は今年はかなり穏やかで答えやすいです。

 

試験時間70分に対し、

目標解答時間合計は110分【79分】←穴埋め部分考慮

 

2017年:130分【92分】

2016年:123分【90分】

2015年:115分【84分】

 

 

2.合格ライン

第1問(1)(2)(3)は本学受験者なら欲しい。今年は8割が最低ライン。

第2問はキー問題。経験がないとつまみ食いで終わりそうですが、経験があるとほぼ全問取れる。

第3問も本学受験者なら楽勝のはず。

 

70%ぐらいでしょうか。

 

3.各問の難易度

第1問(1)【図形と式】円と2接線、2接点など(AB、15分【9分】、Lv.1)

 

円に引いた2接線と接点に関する問題ですが、かなり穏やかです。最初は中心の軌跡です。媒介変数aの消去ですね。

 

Principle Piece II-52

 媒介変数表示では媒介変数を消去する

(拙著シリーズ(白) 数学II 図形と式 pp.48)

「ウエオ」は、円が接する条件ですから、dとrがいいでしょう。次のABの傾きですが、原点と中心を結ぶ直線に垂直ですね。

最後は接点が必要です。片方は(2a,0)とすぐに分かります。もう片方は傾きが4/3なので、3:4:5の三角形を作れば座標はすぐに出せそうです。

 

 


★第1問(2)・・・【整数】2数の最大公約数、最小公倍数、11で割った余り(B、20分【12分】、Lv.2)

 

整数問題で、答案にしろと言われるとメンドウですが、穴埋めであれば比較的進めやすい問題だと思います。昨年は数IIIの斜回転だったので、それに比べればかなりラク。

指数が動く数値のときは、合同式を用いて解くのが原則です。

 

Principle Piece A-60

 ●^n の余り → 合同式を利用

(拙著シリーズ(白) 数学A 整数 p.31)

1020≡8ですので、8^3を11で割ればOK。8^2=64≡ー2、8^3≡ー2・8=ー16≡6 などとして、数字をどんどん小さくしていけるのも合同式のメリットです^^

(b)は2数の最大公約数、最小公倍数の問題です。ワークにもよくあるタイプです。a,b,g,lの関係式3つがさくっと思い浮かぶでしょう。

 

Principle Piece A-51

 最大公約数の情報 → a=ga' などの式を利用

(拙著シリーズ(白) 数学A 整数 p.17)

最初の積abは、ab=glの関係式があるので、1020^13の余りです。3乗の余りが6なので、12乗と1乗に分けるのがいいかと。

次の2乗の式は上のabの余りが分かれば条件と合わせてすぐに出来ます。

最後は探すだけです。余りの組み合わせが(1,10),(2,9),(3,8),(4,7)(5,6)しかありませんので、あとはかけて余りが6になるものを探せばOK。

 

 

☆第1問(3)・・・【積分法の応用】伸開線の長さ(AB、15分【10分】、Lv.1)

円に巻き付いた糸を、ピンと張りながらほどくイメージで、糸の先端は伸開線(インボリュート)と呼ばれる曲線を描きます。

ほどいた角度をパラーメータにして座標をパラメータ表示しますが、ベクトルでたどるのが基本的です。

 

Principle Piece III-28

 サイクロイド → 角度を設定しベクトルで辿る

(拙著シリーズ(白) 数学III 微分法 p.29-30)

 

順天堂医学部とは思えないぐらい誘導が丁寧なので、原則の出番が・・・といった感じですね。

あとは積分計算で弧長を計算すればOKです。

 

※KATSUYAの解答時間合計14分。今年はかなりラクな流れ?

 

☆第2問・・・【確率(+数列)】ランダムウォーク、破産の確率(CD、40分【28分】、Lv.3)

第1問の簡単さはこれで帳消しです。題材的には、ランダムウォーク、あるいは破産の確率と呼ばれていますが、経験がないと難しい穴埋めがかなりあります。

この手の問題については、漸化式を立てることで解決はするのですが、かなり特殊な漸化式になります。Aの得点が「n」の状態から優勝する確率をpnなどとおき、3項間漸化式を立てます。

早稲田大学教育学部でも今年、ほぼ同じ題材の問題が出ていますので、参考にしてみてください。

これで(3)までは出来ます。(3)までは確率設定が同じなので漸化式は同じで、初期条件だけが異なります。(1)と(2)はp4=1、(3)はp6=1 です。

(4)も確率が異なるので漸化式を立て直しますが、特性方程式が1の重解なので、等差数列になります。p0=0、P5=1なのでn/5確率ですね。

 

 

 

※KATSUYAの解答時間12分。早稲田教育を既に解いており、その際に改めていろいろ確認しましたので、詰まることなく終了しましたが、これはかなり差がでそうです。

 

第3問・・・【ベクトル】不等式の証明、帰納法、抽象関数の不等式(B、20分、Lv.2)

2年連続で「順天堂医学部名物の第3問」は、抽象性が低く、答案をかなり書きやすい問題です。あまりにも受験生が答案かけなくて妥協した?

(1)は「導け」なので、重心の公式利用は、おそらく「空気を読んでいない」ということなのでしょう。素直に導きます。平面ベクトルで教科書にも載っていて、定期試験にほぼ100%でる、三角形の内部に線を2本引いたときの交点のタイプですね。

 

Principle Piece B-35

 交点は1-s,sを2つ作って連立

(拙著シリーズ(白) 数学B ベクトル p.34-35)

 

(2)は(3)への布石で、ただ計算するだけです。(3)は重心が外心なら、DGが垂直二等分線のはずなので、DGとDAの内積が0、ACの中点でも同様の計算をすればOKです。|b|=|c|かつcosθ=1/2 と出て、よく知っている正三角形だと分かります。

 

※KATSUYAの解答時間10分。どこまで既知にしてよいかわかりにくいのが多かったけど、最近はいいですね。

 

4.対策~頻出分野を中心に・独特の形式になれる~

 【本大学が好きな分野】
3次関数・4次関数、空間座標、2次曲線が多いです。IIIの微積は、比較的少なめ。新課程の複素数は今年は出題されました。行列の代わりに入った単元なので、行列好きだった本学は今後も出題可能性大でしょう。

なによりもまず、計算力が必要です。70分という短い時間で、すばやく計算する練習をしましょう。また、穴埋め形式独特のサボり方も覚えていくといいでしょう。

量をこなす演習は、青チャートレベルでOKでしょう。意味を考えながら、解法ごと頭に入れてしまってください。質を高める場合は、過去問、あるいは河合塾の「やさしい理系」「ハイレベル理系などで行うといいでしょう。このときは、分からない問題に当たったときはじっくり考えること。

また、本大学は非常に形式が独特なので、過去問はなるべくさかのぼって15年分ぐらい欲しいところ。センター対策に入る前の10月頃には過去問に手を付けばじめましょう。学校にあるならコピーしましょう。3学期になってからでは登校日が少ないです。やはり早めに。

以上です^^

 

■本学の過年度のエントリー■

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2012年

 

 

(記事の引越し・改善中のため外部サイト(姉妹サイト)と行き来するかもしれません。すみません。)

■関連する拙著シリーズ■

★ 数学A 整数 (第1問(2))

★ 数学A 確率 (第2問)

★ 数学II 図形と式 (第1問)

★ 数学B ベクトル (第3問)

★ 数学B 数列 (第2問)

★ 数学III 積分法の応用 (第1問(3))

★ 計算0.9 (計算サボり練習帳です^^)

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