大阪大学 理系 講評| 2022年大学入試数学

      2023/01/24

●2022年度大学入試数学評価を書いていきます。今回は大阪大学(理系)です。

いつもご覧いただきまして、ありがとうございます。 KATSUYAです^^いよいよ、2次試験シーズンがやってきました。すでにお馴染みになってきたかもしれませんが、やっていきます。
2022年 大学入試数学の評価を書いていきます。

2022年大学入試(国公立)シリーズ。
大阪大学(理系)です。

問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。
また☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。


また、解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。

※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。

したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。


同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい、という目安にしてください。

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大阪大学(理系)
(試験時間150分、5問、記述式)

1.全体総評~量的には穏やか路線が続く~

昨年比で変化なしで、例年としては穏やかな方です。典型的な手法の延長で出来る問題と、難しいものは誘導がついているので、全体的にやることが分かりやすい問題が多かったと思います。

分野的には数IIIが3問、残りは数IIで三角関数と領域で、確率と整数がともに大問で出ませんでした。今年はちょっと偏ってますね。

試験としてはすこし易しい気がしますが、演習しておきたいセットですね。

 


試験時間150分に対し、標準回答時間は135分。今年も時間内に収まりそうです。

2021年:130分

2020年:111分

2019年:165分

2018年:165分

2017年:150分

2016年:160分

2015年:165分

2014年:140分

2013年:145分

2012年:135分

2011年:170分

2010年:135分

 

2.合格ライン

第1問は複素数平面の軌跡の問題。やることは典型的なのでおさえる。
第2問はキー問題。(2)が少し発想が必要。ここが出来れば取れる。

第3問もキー問題だが、比較的わかりやすい通過領域系なので出来れば押さえたい。
第4問は(2)までは取りたい。(3)がちょっと難しいが、(3)の結果を利用して(4)は答えられるので、部分点狙い。

第5問は時間はかかるが、計算さえすればたどり着けるので阪大理系なら押さえたい。

1番、5番+4番の途中まで+2番か3番の最低片方で65%ぐらいでしょうか。

3.各問の難易度

☆第1問 【複素数平面】軌跡、1次分数変換(B,20分、Lv.2)

複素数平面からで、zの軌跡からwの軌跡に変える問題です。文字rを含んだままの計算ですが、やることは典型的ですね。

zからwへの軌跡変換は、w=・・・の式をz=・・・に直すことが原則です。z=・・・の式にして|z-3/2|=rに代入しましょう。

wはアポロニウス型なので、2乗して整理します。wwバーの係数にrが入るので、0になるときは別途考えましょう。そうでないときは円になりますので、整数解のときのように、(wー●)(wバーー●)=・・・の形に無理やり整理しましょう。

なお、この手の問題は半径にルートが入らないことの方が多い(100%ではない)ので、ルートが入るようなら一度やり直しましょう。

 

※KATSUYAの解答時間は8:52です。

 

☆第2問 【三角関数+方程式+整数】cos(2π/7)の満たす方程式、無理数の証明(B、25分、Lv.2)

7等分角に関する問題で、こちらも題材としては見かけます。因数定理などとうまく融合されています。

(1)は36°、18°系の問題でよく使う手法です。7α=2πになることを利用しましょう。

(2)は(1)の式から2倍角や3倍角を駆使し、整理しましょう。整理した式は4次式、証明したい式は3次式です。ここで4次式がcosα-1で割り切れることに気づけば、この問題は勝ちでしょう。割った商がお目当ての3次式になります。

そもそも最初の式のcos4α=cos3αは、α=0のときにも成り立ちますので、ここからもcosα=1のときにも満たすことに気づきたいですね。

(3)は、証明したf(x)=0が、有理数の解をもたないことを示せばOK。因数定理の代入では、定数項の約数/最高次の約数を代入しますが、今回はそれを証明したうえで(高3で入試演習に入っているのであれば証明は出来るようになっておきましょう)、あり得るなら±1,±1/2、±1/4、±1/8ですが、cosαはそもそも1と1/2の間にありますので、その時点でアウトということですね。なお、候補の有理数でも解にはなりません。

 

※KATSUYAの解答時間は13:28です。

 

☆第3問 【図形と式】線分の通過領域(BC、30分、Lv.2)

図形と式からで、線分の通過領域の問題です。簡単な問題ではありませんが、阪大理系としては典型的だと思います。適度に差はつきそうです。

まずは直線をtを用いた式で表しましょう。そのうえで、線分の通過領域は解の存在範囲に帰着させる(逆像法)のが基本原則です。今回はtについて2次式になることから、直線の式をtについての2次方程式とみて、1≦t≦2で少なくとも1つの解を持つ条件を求めます。これで、直線PQの通過領域が求まります。

そのうえで、線分PQであれば求めた領域のx≧0,y≧0の部分だけに限定すればOKです。

線分の場合は、もう一つの典型手法である順像法で求めると良いことも多いです。やはりtについてですが、今回はy=・・・として、2次関数とみます。tが変数、xが文字定数と逆になることに注意し、軸分けして最大・最小を求めます。最大値をたどったところが上の境界、最小値をたどったところが下の境界となります。

双曲線が出てきますが、普段よくみる通過領域(サングラスのような形)を45°回転させた感じになるので、正しそうだと分かりますね。

※本問について、直線PQの通過領域の出し方(順像法、逆像法の両方)を動画で解説しています(ちょっと長いですが^^;)。

ぜひ参考にしてみてください。

※KATSUYAの解答時間17:10。なんか前に一橋大に似たようなのあった気がする。後期かな。


☆第4問 【微分法+数列+極限】方程式の解、一般項不明の漸化式の極限(BC、30分、Lv.2)

微分法に漸化式と数列の極限が絡んだ問題で、一般項不明の漸化式のタイプ。こちらもよくある問題ですが、難易度は高め。その分誘導があります。

(1)は微分すれば単調減少だと分かりますので、あとは適当なところで符号を調べればOK。

(2)からは見るからに平均値の定理の利用です。分子のαはf(α)に変えられるところがポイント。なお、平均値の定理で不等式を証明する際に、不等式の源になるのは、「間にある」ことです。この不等式から変形して導きましょう。

(3)が本セットの最難問でしょう。(2)を利用しますが、すんなりはいきません。xn≧1であることの証明をする必要があると気づくと思います。nに関する証明なので帰納法ですが、証明している途中で、xn<αとして上からも押さえないといけないことが分かります。

結局やり直して、1≦xn<αをまとめて帰納法で証明する、という流れです。メンドウな流れですが、演習量次第で慣れますので旧7帝大レベル(東・京・阪・名ぐらいは特に)志望の人は必ず経験しておきましょう。

(3)が出来れば(4)は瞬殺ですね。なので、(3)を利用して(4)だけ答えておくという手もあります。確実に事実であることを用いて解いているので、0点にはならないかと。(何も書かなければゼッタイ0点ですからね^^;)

 

※KATSUYAの解答時間は21:29です。一般項不明の漸化式型の中では普通よりちょいムズイ感じかな。

 

☆第5問 【微積分総合】媒介変数表示で表された曲線と面積(BC、30分、Lv.2)

最後はグラフ主体の微積分総合で、媒介変数表示で表された曲線とx軸で囲まれた部分で囲まれた面積を求めます。こちらも阪大受験者なら経験済みであってほしい問題です。

まずはCの概形を把握するために、(x,y)の変化表を求めます。両方ともtで微分しましょう。xが途中で減るタイプなので、いわゆる「上側」の曲線と「下側」の曲線で分けて積分をしなければいけません。

面積の式としては、とりあえず上側のと下側を適当にy1、y2とでもおいておき、まず∫ydxの式で面積の式を作ります。それから、dx、y、および積分区間をすべてtに変えましょう。この2つの手順で簡単に求められます。なお、今回は上側の曲線と下側の曲線に分けて面積の式を作りますが、基本的にはtに変換すると繋がって一つになりますので、それを知っていると見通しがいいです。

あとはコツコツ積分するだけです。三角関数の部分は2次になります。三角の積分は次数を1次下げるのが原則ですので、半角の公式などを用いましょう。

指数×三角の積分です。部分積分の優先順位的にはどちらからやってもOKですが、2回部分積分する必要があります。この方法はメンドウなので、私は、e^xcosx、e^xsinxをペアで微分し、うまく組み合わせて被積分関数になるように調整することを推奨しています。

そもそも、今回はe^2xsin2xを微分してみるだけで求めたいものの実数倍が得られますので、ここで止めてOK。

 

※KATSUYAの解答時間21:29です。媒介変数系は記述、計算量ともにそこそこあるので、さくさく手が動いたとしても20分は見ておきたいですね。

 

4.対策

阪大は良問ぞろいです。融合型が多く、分野はまんべんなく出ます。中でも確率、整数、微積は頻出(2022年は確率も整数も出ず)なので、重点演習が必要。昔の傾向からすると、複素数平面は東大や京大に比べると頻度は少ないかもしれませんが、出てないわけではないので油断はできません。(2019年、2020年、2022年で複素数平面出てます)

阪大は微積で空間図形のことが多いので、空間図形の演習も必要です。図形的な感覚よりも、数式処理で考察できることを重視しましょう。感覚だけでは、積分計算に持ち込めませんので。

原則の習得は早めに終わらせ、早い段階で入試演習へ移行したいところです。阪大数学は下記のように単科長年タイプの本もありますので、傾向つかむ上でも早めに購入しておきましょう。本格的にやるのは秋以降でもOK。先に入試標準レベルまでは最低限行い、できれば仕上げ段階まで行いたいところです。

量をこなす演習:じっくり演習=7:3ぐらいでしょう。

 

以上です^^
■関連する拙著『Principle Pieceシリーズ』(リニューアル版!)

数学A Chapter3~整数~ (第2問)

数学I・A ~原則のみ~

数学II Chapter2~複素数と方程式~ (第2問)

数学II Chapter3~図形と式~ (第3問)  ※通過領域についてはかなり詳しく書いています。

数学II Chapter4~三角関数~ (第2問)

※2022年12月時点で販売中のもののみ記載しています。最新販売情報はこちらからどうぞ^^

 

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