大阪大学 文系 講評| 2022年大学入試数学

      2023/10/10

●2022年度大学入試数学評価を書いていきます。今回は大阪大学(文系)です。

いつもご覧いただきまして、ありがとうございます。 KATSUYAです^^いよいよ、2次試験シーズンがやってきました。すでにお馴染みになってきたかもしれませんが、やっていきます。
2022年 大学入試数学の評価を書いていきます。

2022年大学入試(国公立)シリーズ。
大阪大学(文系)です。

問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。
また☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。





また、解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。

※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。

したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。


同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい、という目安にしてください。

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大阪大学(文系)
(試験時間90分、3問、記述式)

1.全体総評~穏やか路線が続く~

ここ数年は質・量ともに穏やかな出題が続いています。分野的にも確率やベクトル、微積なので典型的ですが、差が付きやすい分野でもあるので、これでも十分試験として機能するのでしょう。逆に少し前までは難しくて、あまり点数的に開きがなかったのかもしれませんね。

なお、今年は理系との共通問題はありませんでした。

試験時間90分に対し、標準解答時間は60分。結構ゆったりですね。

2021年:65分

2020年:58分

2019年:65分

2018年:80分

2017年:50分

2016年:70分

2015年:80分

2014年:65分

2013年:70分

2012年:90分

2011年:85分

2010年:85分

2.合格ライン

第1問は(1)は教科書レベル。(2)も文字を含むが計算のみ。おさえたい。

第2問は確率なのでキー問題。過不足が起きやすく、出来たつもりの人が出やすいので差がつくでしょう。

第3問は典型的な微積の問題。こちらも文字にすることで意図的にメンドウにしていますが、内容自体は厚物参考書にそのままありそうなタイプです。これも落としたくない。

今年もこれなら3問中2問、65%ぐらい欲しいですね。

 

3.各問の難易度

第1問 【平面ベクトル】交点のベクトル、線分の長さ(AB,20分、Lv.1)

三角形を題材にした基本的な平面ベクトルの問題で、交点の問題は教科書の例題レベルです。これは押さえたいですね。

(1)は交点で、数Bの教科書の例題にも載ってそうな問題です。1-s、sなどの係数設定をして連立しましょう。

 Principle Piece 

 交点の位置ベクトル(その1):1-s,sの係数設定で連立

(詳細は拙著シリーズ 数学B・C 平面ベクトル p.39 参照)

(2)は長さなので2乗して計算します。その際、内積AB・ACが欲しいところです。三角形は3辺が与えられています。3辺から内積を出す作業は、余弦定理そのものですね。文字が入っていますが、変わらず淡々と計算するだけです。

 Principle Piece 

 3辺から内積を出すなら余弦定理から定義式を

(詳細は拙著シリーズ 数学B・C 平面ベクトル p.45 参照)

※KATSUYAの解答時間:2番とわせて18:31です。スマホのラップ押すの忘れました・・・多分7分ぐらいです。

 

第2問 【確率+整数】サイコロの目の最大公約数と最小公倍数(B、20分、Lv.2)

サイコロをn回投げたときの目の最大公約数や最小公倍数に関する確率の問題です。見た目ほど難しくはないですが、抜け漏れが発生しそうなので試験で好まれそうなタイプですね。

(1)は数えます。ほとんどないのですぐに終わると思います。

(2)(3)は、素数である場合(余事象)を数えた方が明らかにラクだと気づくことがポイントです。特に最小公倍数の場合は、最大で60までありますし、とてもメンドウです。

例えば最小公倍数が2である場合は、1か2しか出ないことが分かります。重複順列の考え方で簡単に総数は出せます。ただし、すべて1の場合は除くので注意。

また、最大公約数が2の場合は、2か4か6の目ばかっかり出ればOKですが、こちらも全部4,全部6の場合は除くので注意。

 

確率や場合分けは抜け漏れが発生しやすいので、必ずn=2などで具体的に数えて、自分が出した式と一致することを確かめましょう。これでかなり確度が上がります。

 

※KATSUYAの解答時間:2番とわせて18:31です。(2)(3)はn=2で検算しました。

☆第3問 【積分法】放物線と直線で囲まれる部分の面積の最小値(B、20分、Lv.2)

最後は面積からです。最初に有名な6分の公式の証明があり、後半は定点を通る直線と放物線で囲まれた部分の面積の最小値です。京大文系(2010年第1問)などでも小問で出したことがあり、こちらも超典型問題です。(1)の証明含めて、拙著Principle Pieceにはほぼ同じ問題があります^^

(1)は左辺をうまく整理してもいいですが、両方とも全面展開してしまえばいいでしょう。なお、うまく計算する場合は、(xーα)(x-β)=(xーα)(x-α+αーβ)として、(x-α)の2次式として整理すると計算しやすいです。

いずれにしても、6分の公式などの有名な面積公式、準公式はプロセスが重要です。拙著でも強調しています。

 Principle Piece 

 「6分の公式」「12分の公式」は結果よりもプロセスが重要

(詳細は拙著シリーズ 数学II 積分法 p.12 参照)

(2)は通る点は決まっていますので、傾きkを設定して面積がkの関数になるということです。交点はa,b,kに加えてルートも入って汚いので、α、βとおいて進めましょう。面積は(1)で証明した公式を使います。

 Principle Piece 

 交点が汚いならα、βと置いて「6分の公式」を

(詳細は拙著シリーズ 数学II 積分法 p.55 参照)

面積公式まで計算してから、βーαを計算しましょう。ルートの中はkの2次関数ですから、kについて平方完成すればOK.面積が最小となる傾きはbに依らないみたいですね。おそらく、定点と軸との距離が大事なのでしょう。

 

※KATSUYAの解答時間は8:41です。超典型問題ですね。傾きがaにしか依らないのは興味深いので、個人的には覚えておきたい。

 

 

4.対策

確率、微積、図形の3問という印象(今年は結構変わりました)ですが、複数分野にまたがった問題になりやすいので、まんべんなく学習しておいたほうがいいと思います。また、空間ベクトルも共通問題になることが多いので、難易度的には注意が必要。今年は穏やかでしたね。

変な難問は出ませんので、原則習得用の参考書を一通りこなし、入試基礎レベルで全分野を一通りさらった後は文系数学としての入試標準レベルまで演習をしておけば、過去問へ接続できるでしょう。

量をこなす演習:じっくり演習=9:1ぐらいでしょう。

以上です^^

 

■関連する拙著『Principle Pieceシリーズ』(リニューアル版!)

数学A Chapter2~確率~ (第2問)

数学A Chapter3~整数~ (第2問)

数学Ⅱ Chapter6~積分法~ (第3問) (ほぼ同じ問題収録)

数学B・C Chapter3A~平面ベクトル~ (第1問)

 

数学I・A ~原則のみ~

数学Ⅱ ~原則のみ~

※2023年10月時点で販売中のもののみ記載しています。最新販売情報はこちらからどうぞ^^

 

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