九州大学 文系数学 講評| 2023年度大学入試数学

      2024/01/23

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●2023年度大学入試数学評価を書いていきます。今回は九州大学(文系)です。

いつもご覧いただきまして、ありがとうございます。 KATSUYAです^^いよいよ、2次試験シーズンがやってきました。すでにお馴染みになってきたかもしれませんが、やっていきます。
2023年 大学入試数学の評価を書いていきます。

 

2023年大学入試(国公立)シリーズ。
九州大学(文系)です。

問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。
また☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。




また、解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。

※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。

したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。


同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい、という目安にしてください。


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九州大学(文系)
(試験時間120分、4問、記述式)

1.全体総評~実質前半3問勝負か~

昨年比で変化なしです。第1問~第3問は標準的な問題で、第4問の確率と漸化式だけレベルが違うという感じでした。最初の3問でしっかりとれるかどうかのセットという感じです。

分野的には、グラフ主体の微積が2問、あとはベクトル、確率と漸化式です。今年は確率が復活し、あとは微積と数Bという感じでした。


試験時間120分に対し、標準回答時間は105分。

2022年:105分

2021年:90分

2020年:95分

2019年:88分

2018年:75分

2017年:85分

2016年:115分

2015年:85分

2014年:110分

2013年:100分

2012年:130分

2011年:105分

2010年:120分

2.合格ライン

第1問は絶対付き2次関数と面積。標準的だが、意外とキー問題かと。S2をまともに出そうとするとキツイ。

第2問は微分法と少し図形的な要素が入っているが、順番に出せば解けるはず。

第3問のベクトルは文理共通問題だが、文系はかなり簡単に設定されている。(3)はキー問題。

第4問の確率と漸化式は(1)(3)はいける。(2)もなんとか取りたい。(4)は無視でOK。


第1問~第3問を全て完答出来れば勝ち確。最低2題は欲しい。第4問(4)以外と合わせてラインとしては60%~65ぐらいでしょうか。

3.各問の難易度

☆第1問【2次関数+面積】2つの部分の面積が等しくなる条件(B,20分、Lv.2)

絶対値付き2次関数と直線で囲まれる部分の面積で、題材的には昨年とかなり似ています。意外と問題集にありそうでない問題。

S1やS2、特にS2をまともに出そうとするとかなりキツイです。面積が等しいので、共通部分を加えて出しやすくします。絶対値付き関数と直線で囲まれた部分は、6分の公式の足し引きで楽に出せることが多いです。今回もこの原則に従いましょう。

 Principle Piece 

 絶対値付き放物線と直線→「6分の公式」の足し引きで

(詳細は拙著シリーズ 数学II 積分法 p.60 参照)

今回はS1の真下と、さらにー3~3の部分をひっくり返した部分も加えましょう。これで、どちらもほぼ6分の公式で出せます。

答えの形からしても、6分公式の足し引きで出さないとaに関する方程式を解くのはキツイと思います。

 

※KATSUYAの解答時間は7:53。共通部分付け加えることに気づけば勝ち確の問題。

 

☆第2問【微分法+図形】3次関数の接線と直線のなす角など(B,25分、Lv.2)

3次関数の接線と、y=-x(変曲点における接線)とのなす角に関する考察です。誘導のやり方は正直遠回りだと思いますが、素直に従えばそこまで大変ではない問題かと。

(1)は接線を出してy=-xと連立するだけです。

(2)は2直線のなす角ですので、tanの加法定理を用います。2直線の傾きをtanと結びつけましょう。

 Principle Piece 

 直線の傾きとなす角はtanで結びつく

(詳細は拙著シリーズ 数学II 三角関数 p.46 参照)

 Principle Piece 

 2直線のなす角は tan の加法定理

(詳細は拙著シリーズ 数学II 三角関数 p.47 参照)

今回はなす角が90°になることがあるので注意が必要。90°でないときと分けてtanの計算をし、最後にsin^2θの式まで出したときに、θ=90°のときも成り立つことを確認しましょう。

(3)は(2)を利用する必要があるのか疑問ですが、OPは外接円の半径ですから、OP/OA=1/2sinθです。なのでθ=90°のときが最小値になるのは当然で、かつ(2)で90°になるときがあることをわざわざ確認していますので、最小値は1/2ですし、そのときの接線の傾きはy=-xと直交して1ですから、tの値も出ます。

(2)の複雑な式をわざわざ使う必要はない気がします。おそらく(1/t)の2次関数とみて平方完成させたいのだと思います。

※KATSUYAの解答時間13:51。(2)いる?余計メンドクサイんやけど^^; いきなり(3)だと解けない人多いと踏んで、問題数増やしたかな。

 

第3問【平面ベクトル】2つのベクトルが平行である条件(B、25分、Lv.2)

4次方程式を題材に、虚数解や整数解を持つ条件を求める問題。(2)はそれまでの誘導以外にも考えることが多く、少し難しめです。

(1)は、イメージとしてはa:b=c:dということなので当たり前ですが、成分のうち片方が0になることがあるのでそのときは別で議論するので注意。必要十分条件なので、両方の向きを調べることに注意。

あるいは、平行であるときはなす角が0°または180°なので、「内積=±絶対値の積」から2乗して変形していくのもありです。コーシー・シュワルツの不等式のような式が出てきます。

(2)はv,wの成分を文字でおいて、コツコツ成分入れて連立計算するだけです。

(3)はqの成分を文字でおいてr、sを出してもいいですが、それをq、v、wに戻せるかどうかです。うまく内積と気づけば戻せます。

あるいは、(2)を利用すれば文字で置くことなく、瞬殺できます。例えば両辺にvをかければ、vやwは(2)の性質を満たすので、r=q・vだけが残りますので、そのままこれが答えです。

 

※KATSUYAの解答時間は15:54です。(3)は少し考えて、(2)の利用に気づく。これは気づかないと意外と詰まるかも。成分で置くという発想にはならなさそう。

 

☆第4問【確率+数列+複素数】確率と漸化式、サイコロの目と複素数(C、40分、Lv.2)

最後は確率と漸化式からです。サイコロの目に応じてωをかけたり共役をとったりしますが、設定がまあまあメンドウなので、遷移を書くのにかなり時間を持ってかれますし、問題自体もまあまあ後半は難しいです。特に(4)は理系で出てもキツく、捨て問でしょう。

(1)は実際にωを出すなり、共役との積が1=ω^3から導くなりすればOK。

(2)は1回目の確率と漸化式。確率と漸化式では、n回目からn+1回目を詳しく見ます。

n+1回目に0になるのは、n回目に0でないときから来ますので、求めたい確率以外の部分も考えます。今回は「0」か「0でない」かの2つの状態だけなので、pnと1-pnで置けます。状態が2つの時は楽です。

(3)は(4)への布石になりますが、遷移の状態が多い上に、どの状態からどの状態にも行けるので、整理がかなり大変。私はこんな感じで、どの目が出ると数値がどう変わるかを整理しました。ルールも多いので、計算ミスをしないように慎重にやる必要があり、この図を書くのに時間をかなり持っていかれるでしょう。

IMG_0390

この図さえかければ、あとは慎重に調べます。例えばz3=1となるには、0からは3,6の目、1は5,6の目、ωからはなし、w^2からは3,4の目が出ればOKでとすぐにわかります。遷移図の威力が分かる例だと思います。

計算していくと全て同じ結果になることが分かります。これをもとに、0以外の1、ω、ω^2になる確率はずっと等しいのではないかと予想がつきます。これが(4)で使えます。

(4)はまず予想を証明します。nに関する証明で、結果が予想できるなら帰納法と相性がいいですね。(2)同様、求めたいところ以外の確率も必要。まだ等しいかどうかわからないので、全状態の確率を設定しておきます。それで漸化式を作れば、1、ω、ω^2ですべて等しいことが分かりますので、(2)を利用して1から引いて3で割ればOKです。

これは難しめの確率と漸化式でしたが、0だけが他に比べて仲間外れなので先に0だけが出せること、対称性の予想や遷移図を書く練習になりますし、演習価値の高い問題ですね。

※KATSUYAの解答時間は27:14です。確率と漸化式は好きなのでこの手の問題は苦ではないですが、今回は遷移図が繁雑で慎重にやりました。問題としては良問。いつか動画で紹介したいですね。

4.対策

ここ2、3年は易しめでしたが、2022年と今年は難化気味で難易度が戻りつつあります。理系の難化度合いに歩調を合わせてくるのかは分かりませんが、文系もあまり最近のレベルを前提とした対策は避けましょう。

頻出分野は微積、確率、整数です(2021年、2022年ともに数IIが多めでした)。確率は理系のものもやるといいでしょう。

Bレベルの問題が確実に解けるように、基本手法を身に付け、それを2、3個組み合わせられるようになりましょう。3年の頭には、入試基礎演習にとりかかりたいですね。

なお、拙著『Principle Piece』シリーズであれば「原則習得」「入試基礎演習」の両方の段階を兼ねていますので、この後にもう入試標準演習の問題集に接続可能です^^

 

量をこなす演習:じっくり演習=8:2ぐらいでしょう。

以上です^^

■関連する拙著『Principle Pieceシリーズ』(リニューアル版!)

数学A Chapter2~確率~ (第4問)

数学I・A ~原則のみ~

 

数学II Chapter4~三角関数~ (第2問)

数学II Chapter6~微分法~ (第2問)

数学II Chapter7~積分法~ (第1問)

数学II~原則のみ~

 

数学B・C Chapter3A~平面ベクトル~ (第3問)

※2023年7月末時点で販売中のもののみ記載しています。最新販売情報はこちらからどうぞ^^

 

 

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