北海道大学 理系数学 講評 | 2023年度大学入試数学

      2024/01/18

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●2023年度大学入試数学評価を書いていきます。今回は北海道大学(理系)です。

いつもご覧いただきまして、ありがとうございます。 KATSUYAです^^いよいよ、2次試験シーズンがやってきました。すでにお馴染みになってきたかもしれませんが、やっていきます。
2023年 大学入試数学の評価を書いていきます。

2023年大学入試(国公立)シリーズ。
北海道大学(理系)です。

問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。
また☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。




また、解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。

※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。

したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。


同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい、という目安にしてください。

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北海道大学(理系)
(試験時間120分、5問、記述式)

1.全体総評~昨年に比べればマシだが、それでもまだ難しめ~

講評以来最難レベルの昨年に比べるとマシですが、それでもまだ例年より難しいです。

今年は前半3題がまし、後半2題が難易度が高いという配置で、昨年よりも受験生への配慮がありました。簡単な問題と難しい問題の差が大きいのは2年連続で、このようなセットは得意な人も難しい問題を取れないため、あまり差がつかないという特徴があります。

今年は前半3問が超簡単とまではいわないまでも易しめな感じなので、カッチリ取れれば差をつけることが出来る感じです。

なお、今年は積分計算が出ませんでした。


試験時間120分に対し、標準回答時間は155分。(後半2つで85分)

2022年:150分(前半3問で120分)

2021年:110分

2020年:120分

2019年:150分

2018年:130分

2017年:110分

2016年:135分

2015年:125分

2014年:130分

2.合格ライン

第1問~第3問をいかに確実におさえるかがカギだと思います。第1問が意外とキーになりそう。

第4問は(1)がキーかと。(2)はなんと文理共通ですが、これはキツイです。(2)は予想だけして捨てて、(3)行くという手も。

第5問は(2)まではいけるはず。(3)は計算量多め。前半までいければ御の字。後半は発想も必要でキツイ。


今年は2022年と逆で、前半3問を取る。のこり2問はつまみ食いでもOK。3問分の60%ぐらいがラインでしょう。

3.各問の難易度

☆第1問【複素数平面+数列+極限】複素数の変換、複素数係数の漸化式、極限など(B、25分、Lv.2)

最初に円周C上の点を与え、一定の変換で次々にC上の点を移し、それが描く円の中心などを聞いてきます。適度に融合されていて良問ですが、誘導に従えばたどり着けると思います。(2)はOが内部、外部にあるときがあるので注意。ここで差が付きそう。

(1)はn絡みの証明なので帰納法がいいでしょう。円であるとは、Cn上の点が|z-αn|=rnと表せるということです。これを帰納法で示します。

w=f(z)によって変換するときは、逆にz=g(w)の形にしてzが満たす式に代入するんでしたね。これも教科書にあるような基本的なテクニックです。

これにより、Ckが円を表すと仮定すればCk+1が円を表すことも分かりますし、中心や半径に関する漸化式も得られます。

 

証明が終わったら、漸化式を利用して一般項を求めましょう。半径は等比型なので瞬殺。中心は複素数係数ですが、ただの4型漸化式です。複素数係数でも4型の式変形は使えます。特性方程式の解を利用して等比型にしましょう。

 

(2)円周上の点との距離ですから、中心に着目するのが原則ですね。

 Principle Piece 

 円周上の点との距離 → 円の中心に着目する

(詳細は拙著シリーズ 数学II 式と証明 p.75 参照)

cnの中心は(1)で出ていますので、中心とOとの距離に着目します。ここで1点注意。多くの問題では、点Oが円の外部にあるときが多いで、距離ー半径とやりがちですが、今回はOが円の内部にあるときもありますので、絶対値をつけておきましょう。(nの値に応じて分けて書いてもいいですが、そのままでもいいと思います。)

最後の極限は、ここまで出来ていればおまけですね。

 

※KATSUYAの解答時間は15:37です。今年は最初が普通でよかった。それでも例年よりはメンドウな第1問な気がします。

 

☆第2問【空間ベクトル】球面と平面、直線の交わり(B、20分、Lv.1)

球面と平面OAB、球面と直線OCの交わりについての問題でパターン問題です。空間ベクトルなので計算は多少必要ですが、これは落としたくないですね。

(1)はいいでしょう。平面でいれば弦の長さを出すときの要領です。PB=9、AB=3√5でこれが切り口の円の半径ですので、三平方です。

(2)は、Aから、OABの両方に垂直な方向に6だけ進めばOKです。なので、OA、OBの両方に垂直な長さ6のベクトルを出せということです。こういわれれば教科章レベルです。

この手の問題では、内積条件2つから1文字まで減らしてから、長さの条件に入れましょう。一般には2つ出ますが、z座標が正という条件で1つに絞ります。

(3)もそんなに難しくないでしょう。OC上の点は(2t、2t、-t)ですので、これを(2)によって確定した球面の方程式に代入します。tの値はキタナイですが、tが1進むと距離が|OC|=3だけ進みますので、解の差×3とすればOKです。

※KATSUYAの解答時間13:55です。パターンそのままとまではいわないが、やることは基本的。

 

第3問【微分法】方程式の解の個数、解が1組となるための条件など(B、20分、Lv.2)

数IIIの微分法からで、方程式の解の個数に関する問題などです。適度に誘導が与えられているので、これも方針は立ちやすいでしょう。

(1)はグラフを書いて視覚化するだけです。片方が=kなので分かりやすいですね。

(2)は(1)があるので、xe^-x・ye^-yと分けることには気づけるでしょう。あとは、(1)を利用します。最大値1/eと取るときどうしであれば、x=y=1しか取れませんね。それより大きい時は解がないですし、それより小さい場合は、たとえばx=1としてxe^-x側で最大値を取れれば、ye^-y側は0~1/eの間にあるので、yは2つありますね。

(3)もxe^-x・ye^-yと分けます。yの取りうる範囲なので、xe^-xをye^-yで表します。その際、0<xe^-x≦1/eからもyの条件が出るので注意しましょう。文字を消去したときは、変域という遺産に注意です。

 ULTIMATE Principle Piece 

 文字は「変域」という遺産を残して消えていく

(詳細は拙著シリーズ 数学I 2次関数 p.39 参照)

結局、3・e^-3~1・e^-1と分かりますので、最大値はy=3ですし、そのときのx=1も確定ですね。

※KATSUYAの解答時間は14:18。誘導が丁寧なので詰まることはないかと。

 

☆第4問【確率+数列 or式と証明】サイコロの目に応じた式の値の最小値と確率(C、40分、Lv.3)

確率の問題で、サイコロの目に応じて、隣り合う目の差をどんどん足していった値の最小値と、その最小値を取るときの確率を求める問題。(2)はなんとなく分かるかもですが、証明が思いついにくかったかもです。(3)は(2)で予想だけ付けば何となくで答えられるかもですが、あることに気づかないと手も足も出ない。

(1)は(2)で予想をしてもらうための準備です。K3の式を絶対値付きで書いてみると、a1とa2、a2とa3の大小で4通りに分かれます。少ないので全部書いてみるといいでしょう。なお、両端は外れることにはすぐ気づけると思います。

結局a1≦a2≦a3のときですが、「≦」付きのときは1増やして「<」に変えるんでしたね。

 Principle Piece 

 a≦bの総数→ a<b+1 と言い換える

(詳細は拙著シリーズ 数学A 集合と場合の数 p.67 参照)

あるいは、重複組み合わせとして考えてもOK。ほぼ同じ式になります。

(2)は(1)によって、a1≦a2≦・・・≦anであればいいのだろうと予想が付きます。実際このときKn=5となります。あとはこれが最小であることを言い、かつこの条件が必要十分であることを言わなければなりません。これがかなり難しいです。

今回も、nに関する証明で、かつ結果の予想が付いているのであれば帰納法でいけます。ただ、必要十分条件まで含めて帰納法で証明をする必要があります。ここが難しかったと思います。

Km≧5、必要十分条件がa1≦a2≦・・・≦amと仮定してKm+1の式を見て、Kmとの違いを意識してKmで表します。|am-6|はKm+1には入っていないので、引くことに注意。これでK3で計算したときと同じような式が出ることが分かりますので、これでm+1の時も証明できますね。

なお、別解として三角不等式|x|+|y|≧|x+y|による証明が思いつけば、ほぼ一発で証明できます。私はこれでやりました。順番に適用していくと、等号成立条件もばっちり出ます^^

※Kさんも別解で紹介しています。なお、Yさんの別解が秀逸すぎますが、これは思いつかないかと。ほぼ三角不等式と変わらないですが。

(3)は(2)さえ出来れば、その条件に加えてa4=4であればOK。a1~a3で1~4、a5~anで4~6とすれば、(1)と同じ考え方で出せますが、(2)で捨てた人が大半でしょう。

(2)は難しいですが、全体としてうまく設定されていて、演習価値のある良問だと思います。一度是非見てみましょう。

本問は解説動画があります。

※KATSUYAの解答時間25:49。(2)で結構考えましたが、外して足せばほとんど残らないから、三角不等式がよさそうと思いつき、無事通過できました。(3)は最後の最後で計算ミスりました。もったいない^^;

 

第5問【図形と式+微分法など】三角方程式の解の個数、接線に関する対称点など(C、45分、Lv.2)

最後は図形の絡んだ微分です。対称点などを定めて、3点が同一直線上にあるという条件を満たすものの個数などを聞いています。ベクトル的な考え方も入り、(1)も中間値の定理を用いるため、数IIIも随所に入りますので、結構難しかったかもです。

(1)は述べた通り、中間値の定理です。θ=0とθ=π/2で符号が違いますので、少なくとも1つ解をもちます。なお、ただ1つとは言えませんので注意。

(2)は直線に関する対称点を求めるので、こちらの原則ですね。

 Principle Piece 

 直線に関する対称点は次の2条件を式にする

[1] lとABが垂直 [2] ABの中点がl上

(詳細は拙著シリーズ 数学II 図形と方程式 p.15 参照)

直線の式もθが入り。点の座標もbが入っているので文字計算が多いですが、x,yの係数がcos、sinの直線に関する対称点の連立は、比較的キレイに出ます。(一般にx、yの係数をp,qとでもおいた直線で対称点を出すと意味が分かると思います。)

(3)は計算量もかなり多い上に、最後の「ただ1つ」を示すのは発想も必要。捨てた人も多かったかもです。一直線上にある条件は、ベクトル的に実数k倍で捉えるといいと思います。実数kを消去すれば、APベクトルとADベクトルの成分の比が等しければいいと分かります。

あとはひたすら変形するだけです。予想はつくかもですが、(1)の式がそのまま出ます。あとはこれが「ただ1つ」の解であることを示しますが、微分した式に対して相関・相乗を用いるなど、かなり特殊な方法で単調増加であることを示しますので、これは出来なくてもOKでしょう。

※KATSUYAの解答時間は37:30です。最後は微分した式をいろいろやるものの、途方に暮れかける。absinθcosθもあること、acos+bsinθもあることから、もしかしてと相加相乗をやるといけた。いや、これ無理やろ^^;

今年も時間ギリギリでした。。。北大理系はここ2年、明らかに難しい。

 

4.対策

頻出分野は数IIIからは微積と複素数平面、あとは整数、確率、図形で、数Bはどちらか1問でると思われます(昨年、今年は両方出ました)。

北大は旧7帝大の中ではかなり標準的でしたが、2022年、2023年と難化しつつあります。過去問ではほとんどの年度がこれより易しいため、2022年、2023年の難易度を意識した対策が必要です。

もちろん、その前に原則習得はしっかり終わらせておきましょう。その後、入試基礎演習入試標準演習の代わりに、過去問を用いてもいいと思います。

なお、拙著『Principle Piece』シリーズであれば「原則習得」「入試基礎演習」の両方の段階を兼ねていますので、この後にもう入試標準演習の問題集に接続可能です^^

また、東大や京大などの最難関を受験する人たちは受験初期に15年分ぐらい一気に演習してみてもいいでしょう。

 

量をこなす演習:じっくり演習=7:3ぐらいでしょう。

以上です^^

 

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■関連する拙著『Principle Pieceシリーズ』(リニューアル版!)

数学I Chapter3~2次関数~ (第3問)

数学A Chapter1~集合と場合の数~ (第4問)

数学A Chapter2~確率~ (第4問)

数学II Chapter1~式と証明~ (第4問、三角不等式はここです)

数学II Chapter3~図形と方程式~ (第1問、第5問)

数学B・C Chapter3B~空間ベクトル~ (第2問)

数学B・C Chapter4~複素数平面~ (第1問)

数学III Chapter4~微分法2~ (第3,5問)

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数学I・A ~原則のみ~

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