同志社大学 全学部文系 数学 講評| 2024年大学入試数学
2024/02/08
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●2024年度大学入試数学評価を書いていきます。今回は同志社大学(全学部文系)です。
2024年大学入試(私大)シリーズ。
同志社大学(全学部文系)です。
問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。
また☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。
解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。
※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。
したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。
同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい、という目安にしてください。
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YouTubeチャンネルです 個人的に紹介したい大学入試数学を中心に解法や発想を紹介していこうと思います。
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同志社大学(全学部文系)
(試験時間75分、3問、ハイブリッド型)
※ハイブリッド型とは、穴埋め型と記述式の混合型のことです。
1.全体総評~計算量が増えやや難化~
昨年比ではやや難化です。2022年ぐらいに戻りました。問題構成としては第1問の小問がまた4つになりました。1つ1つはそこまで重くないですが、ひねりは適度にあります。記述の第2問は数値計算が、第3問は文字計算を強いられ、いずれも苦戦すると思われます。
試験時間75分に対し、標準解答時間は87分【77分】(←穴埋め考慮)
2022年は70分【62分】(←穴埋め考慮)
2022年は85分【71分】(←穴埋め考慮)
2021年は74分【67分】(←穴埋め考慮)
2020年は80分【64分】(←穴埋め考慮)
2019年は90分【75分】(←穴埋め考慮)
2018年は103分【90分】(←穴埋め考慮)
2017年は113分【98分】(←穴埋め考慮)
2016年は110分【91分】(←穴埋め考慮)
2015年は101分【85分】(←穴埋め考慮)
2.合格ライン~第2問の類題経験があれば強い~
第1問は(1)(2)(4)はカリカリ計算すればおさえられる。(3)は初見だと意外と戸惑うかも。2進法から4進法に直すときの考え方を応用出来る。
第2問はキー問題。類題経験の有無で差がつく。東工大などで複数回出題あり(私も動画で紹介済み)。経験があれば手が止まることはない。
第3問は(3)までは正解したい。(4)は文字計算が多いので少しツライ。示すことは出来なくても、それを利用して比を出す方に逃げるのもあり。
第2問で合否が分かれそう。合わせて2完で65%ぐらいでしょうか。
3.各問の難易度
緑色の部分は、数学の問題を解く上での原則を示しています。
第1問(1)【三角比 or 三角関数】三角形の面積(A、8分【5分】、Lv.1)
2角と1辺が分かっている三角形の面積。シンプルですが、ひねりあり。
長さ3の対辺が15°なので何をどう出すにしても15°の三角関数が必要です。同志社受験生なら15°系はやはり覚えておきたいところ。
対辺と対角のペアがわかっているので、正弦定理でどこかもう1辺出すのが早いでしょう。
(詳細は割愛。拙著シリーズ 数学I 三角比 p.33 を参照してください)
私はACを出して面積公式にあてはめました。
第1問(2)【積分法】定積分を含む方程式(AB、7分【5分】、Lv.2)
定積分に関する問題で、ほぼ教科書レベルですね。
定積分は上端にxが入っているので、こちらの原則に当てはまるタイプですね。
(詳細は拙著シリーズ 数学II 積分法 p.22 参照)
まずx=cを入れると0になるのでc=5が出ます。あとは両端微分してxf(x)が決まります。
第1問(3)【整数】n進法表示(B、9分【6分】、Lv.1)
今年もここは整数問題で、n進法に関する問題。共テでも出ましたし、2024年はn進法流行ってますけどなんか理由あるんですかね^^;
本問はとあるやり方をマスターしている人は瞬殺できたと思います。ずっと同じやり方です。
最初は3進法を9進法にしますが3^2=9になりますので、3進法で2桁分の数字は9進法で1桁で表現できます。よって2桁ずつ区切りると出せます。21 02 10ですから、21を直して7、02→2、10→3とします。
実はこの後も全く同じ、22→8となるということですので、2×●+2=8なので●=3進法です。
最後も、ss→7になるので、s+s●=s(●+1)=7で素数ですから、●+1の方が7ですね。
第1問(4)【対数】対数のグラフ、対数不等式(A、7分【5分】、Lv.1)
対数に関する問題で、平行移動量と対数不等式です。こちらも入試としては基本。
最初は2つのグラフの関係を聞いています。普通は底が小さい方に合わせますが、今回はg(x)=log8 xとしたほうが分かりやすいでしょう。f(x)はxの係数が1になるように2でくくりましょう。
後半の対数不等式は底を2に合わせます。方程式・不等式、最大・最小の問題ではまず底の変換です。そうしないと、対数の諸公式が一切使えませんので。
(詳細は拙著シリーズ 数学II 指数関数・対数関数 p.24 参照)
左辺は係数の3がうまく消えてキレイになります。揃ったら足し算引き算は1つにまとめ、logをとればただの2次不等式に出来ますね。
(詳細は拙著シリーズ 数学II 指数関数・対数関数 p.32 参照)
真数条件だけ注意。最初に書いておくと忘れないでしょう。
(詳細は拙著シリーズ 数学II 指数関数・対数関数 p.32 参照)
こういった心得もきちんと言葉にしているのが、拙著シリーズ『Principle Piece』です。
※KATSUYAの解答時間は順に1:59、1:50、1:01、1:44です。(3)は分かっていればほぼ暗算ですね。
☆第2問・・・【対数+微積分総合+数列】3次関数のグラフと接線、数列、対数(BC、25分、Lv.2)
3次関数のグラフに、次々に接線を引く問題で、その接点や面積を求める問題。複数の分野にまたがる融合問題で難しめですが、東工大などで複数回出ている問題で、類題経験があれば手が止まることなく解答可能。演習価値のある良問です。
(1)は接線の公式にあてはめるだけです。
(2)は3次関数のグラフとの接点以外の交点ですが、こちらの原則でサボれます。実は昨年もこれが使える問題が出ました^^;
(詳細は拙著シリーズ 数学II 微分法 p.60 、または拙著シリーズ 数学II 積分法 p.39 参照)
接点はx=a_nです。それが重解なので、3解はa_n、a_n、●です。あとは2次の係数を見て、解と係数の関係から簡単にー2a_nと分かりますね。
(3)の面積はa_nでとりあえず計算していきます。先の原則の延長で、面積は12分の4乗準公式が使える形です。
(拙著シリーズ 数学II 積分法 p.39 参照)
いきなり答えを書くのは記述ではあぶないので、しっかりプロセスまで理解していることが必要です。それも、拙著では原則にしています。
(拙著シリーズ 数学II 積分法 p.12 参照、例題7で証明もしています。)
a_nのきれいな式になったら、a_nを漸化式を利用して求めましょう。
(4)は(3)が出れば簡単に出せます。使うのはもちろん常用対数です。対数値が不等式評価なところがメンドウで、時間を持ってかれますね。
※KATSUYAの解答時間は15:58です。最後が時間稼ぎ感が強くてイヤな感じ^^;
☆第3問・・・【ベクトル】外心ベクトル、外心が内部にある条件(BC、30分、Lv.2)
最後は平面ベクトルからで、垂直二等分線の交点を求め、とある条件下で一直線上になることなどを示します。昨年も外心でしたので、なんか似てますね。難易度は今年の方が上ですかね。
※理系でも平面ベクトルがでましたが、たぶん理系の方が簡単です。
(1)はただの計算です。(2)はなす角が60°ですから余弦定理でもいいですし、ベクトル計算でもできます。
(3)は垂直二等分線の交点ですから、外心を求めるときの原則が使えます。
(詳細は拙著シリーズ 数学B・C 平面ベクトル p.45 参照 ※等式はベクトルの内積です)
AC、BDの中点を設定して同じように式を立てれば出せます。文字s、tの他にOEを表すための文字も必要なので文字が多くなりますが、落ち着いて計算しましょう。s、tは用いてOKです。
(4)は差がつくでしょう。まず。一直線上とくれば実数倍の原則に従うのはいいと思います。
(詳細は拙著シリーズ 数学B・C 平面ベクトル p.45 参照 ※等式はベクトルの内積です)
ただ、今回はCD=1という条件下でそれが成り立ちます。条件式は2次式で、1文字消去するのも厳しく、単純に実数倍されるような係数が出てきません。そこで、2つのベクトルのa,bの係数比が等しいことに言い換えるとうまくいったと思います。ここが難しいところですかね。
証明が出来れば、線分比は片方のベクトルの係数の比(の絶対値)さえ見れば出ますから、最後の比はそこまでつらくはないです。
※KATSUYAの解答時間は22:40です。(4)で半分ぐらい持ってかれた。
4.対策~微積+(旧)数学Bを中心にまんべんなく対策を~
分野はまんべんなく、幅広くです。あまり絞らないほうがいいでしょう。数B(今年も両方から見ました)が出て、微積は最低片方が、あとは数IIと数Aという印象です。
問題のレベルは標準~応用といったところですが、文系だからといって舐めていると痛い目に合うタイプの問題です。パターン問題が単問で解けるレベルでは少し足りません。融合された模試タイプの問題に対応できるようになっておきましょう。
段階としては、学校による教科章やワークレベルの学習は終えた上で、原則習得、入試基礎演習用の問題集をこなします。
これである程度取れますが、本学は難しい問題も出ますので、さらに点数を確保したいのであれば、入試標準演習の段階までやったほうがいいでしょう。過去問を通して、難しいタイプのものを、誘導できざんで解いていく練習をする必要があります。
なお、拙著「Principle Pieceシリーズ」であれば「原則習得」「入試基礎演習」の両方の段階を兼ねていますので、この後にもう入試標準演習の問題集に接続可能です^^
量をこなす演習:じっくり演習=8:2ぐらいですね。
以上です^^
■関連する拙著『Principle Pieceシリーズ』(リニューアル版!)■
数学I Chapter4~三角比~ (第1問(1))
数学A Chapter3~整数~ (第1問(3))
数学II Chapter4~三角関数~ (第1問(1))
数学II Chapter5~指数関数・対数関数~ (第1問(4))
数学II Chapter6~微分法~ (第2問)
数学II Chapter7~積分法~ (第1問(2)・第2問)
数学B・C Chapter1~数列~ (第2問(2))
数学B・C Chapter3A~平面ベクトル~ (第3問)
すでに原則系の参考書を持っている方にはこちらがおススメ!!
※2023年末時点で販売中のもののみ記載しています。最新販売情報はこちらからどうぞ^^
■他年度の、本大学の入試数学■
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