東京医科歯科大学 数学 講評 | 2024年大学入試数学

      2024/03/08

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●2024年度大学入試数学評価を書いていきます。今回は東京医科歯科大学です。

いつもご覧いただきまして、ありがとうございます。 KATSUYAです^^いよいよ、2次試験シーズンがやってきました。すでにお馴染みになってきたかもしれませんが、やっていきます。
2023年 大学入試数学の評価を書いていきます。



2024年大学入試(国公立)シリーズ。

東京医科歯科大学です。

問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。
また☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。

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YouTubeチャンネル 個人的に紹介したい大学入試数学を中心に解法や発想を動画にしてみようと思います。

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また、解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。
※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。

したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。


同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい、という目安にしてください。



東京医科歯科大学
(試験時間90分、3問、記述式)

1.全体総評~演習量次第ではかなり解きやすく感じるハズ~

難しめだった昨年の反動で、問題自体はやや易化したと思います。第1問は昨年に比べるとやりやすく、第2問は昨年と同じ計算量タイプですがそれも昨年より量が減っています。第3問は積分で昨年と同じぐらいという感じ。

ただ、点数の取りやすさは人によるかもです。第1問、第3問も知っている人にとってはラクという感じなので。

分野的には整数、ベクトル、積分。昨年と第1問以外は同じ分野です。全体的に解きやすくなったと思います。


試験時間90分に対し、標準回答時間は80分。

2022年:110分

2021年:解いていません

2020年:140分

2019年:95分

2018年:120分

2017年:115分

2016年:120分

2015年:115分

2014年:105分

2013年:105分

2012年:115分

2010年:105分

2.合格ライン

第1問はキー問題。有名な題材なので、経験がものを言いそう。経験がないとこの問題で時間を持ってかれるかも。

第2問は計算するだけなのでおさえたい。

第3問は(2)(3)で出来が分かれそう。サイアク、証明できなくても(3)は(1)(2)を利用して計算すればOK。積分計算は差がでそう。

今年も点数的には昨年と同じぐらいかもしれませんね。

3.各問の難易度

☆第1問【整数】方程式の整数解(BC,30分、Lv. 2)

n個の自然数の和と積が一致するような自然数の組に関する問題。比較的有名で、「マスター・オブ・整数」などにも類題がありますし、東工大でも類題が出ています。統合する直前の大学の過去問からの類題。

(1)最初は3文字の方程式。対称性があり、大小も設定されているので、それを設定して評価して絞るのが原則。

 Principle Piece

 3文字タイプは大小評価で候補を絞る

(拙著シリーズ 数学A 整数 p.87)

今回であれば、左辺を全部a_3に変えて3_a3とすれば3a_3≧a_1a_2a_3なので、これでa_1とa_2がかなり絞れます。和と積が一致することがからも、あまり大きくなれないのは目に見えてますね。

(2)からは難しめ。同じように大小を設定して評価するn-1個の積がn以下となります。ここで、1がないならすべて2以上となるため、2^(n-1)以上の数字がn以下となることになりますが、これが矛盾することを導けばOKです。

2^n-1とnの比較ですが、指数を多項式に持ってきたい場合は二項定理を持ち出すのが原則。拙著だと極限で紹介しています。

 Principle Piece 

 指数のnを多項式のnに変える → 二項定理の利用

(拙著シリーズ 数学III 極限 p.14)

(3)はnがあまり大きくなると、ほとんどが1ばっかりであることを予想出来るかどうかです。

小さい順にためします。n=2,3のときはダメ。n=4,5のときは解が見つかるのでOK。なお、1つでも見つかればOKです。n≧6のときは、1が2つだけ(n-2個が2以上)ではダメであることを、(2)とほぼ同じ流れで証明できます。

なお、自然数解を0以上の整数解にするために、a_1=A_1+1みたいにして、A_1~A_nの方程式にすると、右辺の展開の項の数から、多くが0にならないと等号が成り立たないことが分かります。n=6ぐらいでやってみると様子が分かりやすいので、やってみてみてください。

※KATSUYAの解答時間19:12分。いつもここの1番難しめなんよなぁ、と思いながら問題文を読む。これは有名題材。今年は手が止まることはなかった。でも知らないと結構キツイかも。

第2問【空間ベクトル+三角比】勾配の条件、最短距離(B、30分、Lv.2)

去年と同様に空間ベクトルからですが、今年は去年よりだいぶラクになりました。(去年正答率悪かった?) 勾配という式が定義されていますが、単純にz方向への上がり方を言っているだけです。

(1)はM,Nのz座標が同じならOKです。NがDBの中点ということですね。

(2)は最短距離。(1)(3)とは特に無関係です。側面をたどって最短距離の場合は、展開図で考えるんでしたね。

 Principle Piece 

 側面をたどる最短距離は展開図で考える

(拙著シリーズ 数学I 三角比 p.66)

通る面はABD、CBDです。どちらも同じ正三角形なので、様子も簡単にわかりますね。

(3)はNの座標を設定し、t1とt2の式を作って不等式を解くだけです。ルートを含む方程式・不等式の原則に気を付けるだけですね。

 Principle Piece 

 [1] ルートの中身は0以上、[2] ルートの式は0以上

(拙著シリーズ 数学I 三角比 p.66)

このことに気を付けて2乗してルートを外し、同値関係を崩さないように変形していきます。展開はメンドクサイですが、整理するといろいろキャンセルされるので、それを信じて整理していきましょう。

※KATSUYAの解答時間は18:49。去年も空間ベクトルやったな。垂線おろしまくって数列やったような。それに比べるとだいぶラク。

☆第3問【積分法】定積分の等式の証明、定積分の計算(BC、25分、Lv.2)

最後も昨年同様、積分法から。今年は最初に特徴的な式の定積分の等式の証明をし、それを利用して具体的な計算をしていく問題。いきなり(3)が出たらかなり難しいですが、(1)(2)のおかげで難易度は下がってます。

(1) はsinxのところがcosxに変わっているところに着目して、90°-xの置換なのではと思って欲しいところ。有名どころでは、(sinx)^nの積分と、(cosx)^nの積分ですね。(拙著だと「数学Ⅲ~積分法(数式編)~」p.85,p.92,p.93あたりに詳細があります。)

三角絡みでこのような等式の証明が出たときは、90°-θの置換や、180°-θの置換を真っ先に考えるといいでしょう。

(2)が差がつくかもしれません。何を置き換えるか。f(●)の●の部分からして、sin2x=1-t^2 なのは間違いないハズです。個々から逆算します。1-sin2x=t^2ですが、ここで(左辺)=(sinx-cox)^2になることに気づけば勝ち。 (sinx+cox) dx → dt への対応も見抜けると、確信が持てます。

(3)は(1)(2)を利用するとかなり簡単になります。分子にcosxも加えると(1)から値が2倍になります。それが、(2)によって一気に簡単な関数に変わります。√1-t^2 があるので、sinθへの置換ですね。

 Principle Piece 

 √a^2-x^2 → x=asinθ に置換 

(拙著シリーズ 数学III 積分法(数式編) p.33)

分子が1+cosθ、分母がcosθになります。ここからは意外と思いつきにくいですが、分数式は帯分数表記の原則がここでも効いてきます。

 ULTIMATE Principle Piece 

 分数式は帯分数表記 

(拙著シリーズ 数学II 式と証明 p.18)

結局1/1+cosθの積分になります。ここで、弧長のときによく使うこちらの原則を思い出したい。1±cosθ、1±sinθは何かの2乗が入りますね。

 Principle Piece 

 1±sinθ、1±cosθは根号が外せる 

(拙著シリーズ 数学III 積分法(グラフ編) p.43)

その要領で1+cosθ=2cos^2・θ/2となりますので、簡単に積分できます。

もし思いつかなくても、三角関数の分数式は奥の手を知っておけば出来ます。

 Principle Piece 

 三角関数の分数式はx=tanθ/2 への置換が奥の手 

(拙著シリーズ 数学III 積分法(数式編) p.81)

これでやるとその後さらに置換させれられます。あんまり置換の回数が多い場合は、何かもっといい方法があることの方が多いですが、別に思いつかなければ気にせず進めましょう!本番はとにかくどんな方法でもいいので、解ければOKです。

※KATSUYAの解答時間は17:50です。最近この手の問題(誘導付きやけど)よく見るので、特に詰まることなく終了。

4.対策~計算力は必須+独特の問題を過去問で征服~

※来年以降、東工大と統合して東京科学大学としての試験になりますので、大問数なども含めて、ちょっと傾向は読めません。ご注意ください。数Ⅲは一定の割合で出るとは思いますんで、数Ⅲの演習量は確保しておきましょう。

以下、昨年度のものそのままです。

医科歯科大の問題は非常に独特です。小問で誘導しながらも、そのリフトに飛び乗るにはジャンプ力が必要。また、普段はIIIの割合も高めで、計算力もかなり必要。

出題分野については、数列、数学IIまたは数学IIIの微積、確率、ベクトルが比較的多めです。

なるべく早くIIIまで一通り原則習得を終えて、夏以降には量をこなしつつ、質の高い演習も並行したいです。仕上げ段階までこなして欲しいところですが、とにかく出題形式が独特なので、本学の過去問を徹底的に研究することで仕上げ段階としてもいいでしょう。

量をこなす演習:じっくり演習=6:4ぐらいでしょう。

以上です^^
■関連する拙著『Principle Pieceシリーズ』(リニューアル版!)

数学A Chapter1~集合と場合の数~ (第1問)

数学B・C Chapter1~数列~ (第2問)

数学B・C Chapter3B~空間ベクトル~ (第2問)

数学III Chapter2~極限~ (第2問)

数学III Chapter5~積分法(数式編)~ (第3問)

すでに原則系の参考書を持っている方にはこちらがおススメ!!

数学I・A ~原則のみ~

数学II~原則のみ~

数学B・C~原則のみ~

数学III~原則のみ~

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