関西大学 理系(2月2日実施) 数学 講評 | 2023年大学入試数学

      2024/01/29

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●2023年度大学入試数学評価を書いていきます。今回は関西大学(理系、2月7日実施)です。

※入試シーズン中はコメントの返信が大幅に遅れることがあります。ご了承ください。

いつもご覧いただきまして、ありがとうございます。 KATSUYAです^^いよいよ、2次試験シーズンがやってきました。すでにお馴染みになってきたかもしれませんが、やっていきます。
2023年 大学入試数学の評価を書いていきます。


2023年大学入試(私大)シリーズ。

関西大学(理系、2月2日実施)です。



問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。
また☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。
解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。
※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。

したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。
同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい、という目安にしてください。





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関西大学(理系、2月2日実施)
(試験時間100分、4問、ハイブリッド型)
※ハイブリッド型とは、穴埋め型と記述式の混合型のことです。

1.全体総評~全体としては変化なし~

難易度は昨年並み。今年の第1問の数III、第3問のベクトル記述が比較的メンドウ。残りの穴埋めは少し軽めです。計算量も全体として昨年並み。最後の小問集合はちょくちょく時間のかかるものもありますが、時間内に終わらせられるセットです。


試験時間100分に対し、標準回答時間は102分【84分】(←穴埋め考慮) (2/2実施)

2022年は95分【78分】(←穴埋め考慮)(2/2実施)

2020年は109分【87分】(←穴埋め考慮)(以下、2/7実施分)

2019年は97分【78分】(←穴埋め考慮) 

2018年は123分【97分】(←穴埋め考慮)

2017年は104分【86分】(←穴埋め考慮)

2016年は128分【102分】(←穴埋め考慮)

2015年は122分【88分】(←穴埋め考慮)

2.合格ライン~70%ぐらい~

第1問は(3)がキー問題。うまく式変形できないとキツイ。

第2問は複素数平面。こちらは全体的に軽めなので押さえたい。

第3問のベクトルはキー問題。交点や垂線やら出すので、計算量が多め。数値も繁雑なので差がつきそう。(3)の最後が出来るかどうか。

第4問は今年はどれも落としたくないが、④⑤あたりは差がつくかも。最低4問以上。

第3問を押さえ、残りで2完分稼ぎたい。70%ぐらい欲しい。

3.各問の難易度

☆第1問・・・【微積分総合】定積分、最大値、区分求積(BC、25分、Lv.2)

数式系の微積分総合問題です。基本的な関数を題材にしていろいろ聞いてきますが、最後は難しいかも。

(1)積分するだけ。分母の微分が分子の定数倍なのでlogになります。これに気づかないとこの大問はキツイ。

(2)は微分です。f'(x)=0となるxは具体的に分かりませんが、sinが分かればcosも分かるので値は出せます。解が2つあるため増減表は長く、見かけよりは答案量は多いです。

なお、2三角関数の分数式なので、単位円との共有点条件でも解けます。

 Principle Piece 

 三角関数の分数式→単位円との共有点条件

(詳細は拙著シリーズ 数学II 三角関数 p.103 参照 ※他にも解法はあります)

求めたい式=kとおいてcosθ=x、sinθ=yとおくと、直線と単位円の共有点条件に帰着されます。

 

(3)は難しめです。まず、式の形から区分求積になることは思いつくでしょう。区分求積では、まず1/nを前に出し、Σの中はk/nがまとまるようにします。

被積分関数がα・f(αx)・F(αx)となりますが、これがF'(αx)F(αx)となることに気づけば、1/2{F(αx)}^2と積分できて、あとは代入するだけです。少し発想寄りなので差がつきそうですね。

 

本問は解説動画があります。こちらもご覧ください。


※KATSUYAの解答時間15:25。(2)の途中で符号やらいろいろミスり、2回ぐらいやり直したので結構ロス。

 

第2問・・・【複素数平面+対数+級数】高次方程式、常用対数、無限級数(B、20分【13分】、Lv.1)

複素数のn乗計算がテーマです。実数条件だったり、絶対値の大きさだったりいろいろ聞いてきます。どれも典型パターンです。

最初はx^4=-4として、両辺を極形式にして絶対値と偏角を比較しましょう。問題の流れからして答えは1つのはずなので、45度が見つかったら終わりです。

次の②は、ただの常用対数の問題です。絶対値=√2のn乗の常用対数が100を超えるのがいつかを聞いています。

③は偏角がπの倍数ならOKなのでこちらも基本。④はちょっと引っ掛けがあり、668と答えた人がいそうですが、668では負の実数になってしまいますので、次の4の倍数である672となります。正の実数になるには、nが8の倍数でないといけません。

最後は逆数を取ります。まともにやると少し式変形にとまどうかもですが、形からして等比数列ですので、k=1,2を入れれば初項も公比も出せまて、⑤⑥は埋まります。この辺もうまくやりたい。

等比級の和は公式を使うだけで、⑤⑥が出来た人へのおまけですね。

※KATSUYAの解答時間は6:01です。これは比較的ラク。

 

第3問・・・【平面ベクトル】6角形、交点、垂線の足、内積(B、30分、Lv.1)

平面ベクトルからで、六角形を題材にした問題。正六角形を少し縦長にした感じの六角形を扱いますが、計算量は比較的多めですので、もたもたしていると最後の小問に手がつかなくなります。(3)は後回しが正解でしょう。

(1)全部120°の六角形のタイプでは、AB,AFに平行な線を内部に引いておけば、ACベクトルとかAEベクトルは、その平行線を辿れば簡単に求めることが出来ます。

(2)の交点は原則通り。AC上は始点Aがあるので実数倍、BE上は1-s、sの係数を用いて連立ですね。

(3)はまず、垂線RがEF上にあることを、1-t、tの係数で式にします。それから、ACとRQの内積=0とすればOK。その後でAQ、FRの内積を取ります。すべてAを始点にし、ABとAFだけで表せば内積も取れます。計算量が多く分数もたくさんあるので、時間はかかりますね。

 

※KATSUYAの解答時間は16:18です。(3)はキツイ。なんか意味深な2つのベクトルの内積なので、他にいい方法があるのかも。

 

第4問(1)・・・【複素数平面】3次方程式の解の対称式(AB、5分【3分】、Lv.1)

3次方程式の解の対称式を求める問題。これはさすがに基本ですね。こちらの原則に従い、まず基本対称式の値を用意しましょう。

 Principle Piece 

 2次、3次方程式の解の対称式の値

→ 解と係数の関係の利用で基本対称式を準備

(詳細は拙著シリーズ 数学II 複素数と方程式 p.12 参照)

分子の式変形は、2乗和の式変形を応用します。4乗和を計算するときに出てくる式なので、受験生なら必須の式変形。

 

第4問(2)・・・【確率】重複順列(AB、5分【3分】、Lv.1)

重複順列と確率です。1,2,3がすべて含まれる5桁の数ですが、1種類しかない場合と2種類しかない場合を引きます。5人を1番,2番,3番の部屋に入れる問題と同じです。どの部屋にも入るようにしてくれ、ということです。部屋割りの原則に従いましょう。

 Principle Piece 

 部屋割りの総数:重複順列→偏りをなくす→区別をなくす

(詳細は拙著シリーズ 数学A 集合と場合の数 p.30 参照)

今回は区別をなくす必要はありません。

 

☆第4問(3)・・・【三角関数】三角関数の値、解の個数(AB、9分【6分】、Lv.2)

三角関数に関する条件式を満たすときの式の値と解の個数の問題です。三角関数では、暗黙の条件式である相互関係がありますので、あと1つあれば出ます。

 Principle Piece 

 sinθ、cosθは条件式1つ+「相互関係」で求まる

(詳細は拙著シリーズ 数学I 三角比 p.69 参照)

今回はsin^2θ、cos^2θで連立すれば、cos2θは倍角の公式ですぐに出せますね。

後半の解の個数ですが、条件式からtanθ=±3となります。0~πで2個、tanの周期はπなので、kπまでならk倍の2k個あります。意外ととまどうかも。 

 

第4問(4)・・・【式と曲線】極方程式、双曲線の漸近線(AB、5分【3分】、Lv.1)

極方程式の漸近線を求める問題。

極座標からxy座標に直すときは、rcosθ=x、rsinθ=y、r単体なら√x^2+y^2にします。あとはルートだけ残すように移項して2乗しましょう。

双曲線の漸近線はあまり使わないせいか、公式が抜けている人が多いので、この問題は意外と差がつくと思います。

 

第4問(5)・・・【整数】2023の2023乗の1の位(A、2分【1分】、Lv.1)

年号がらみの問題ですが、これはさすがに簡単すぎですね。ネタなかったんですかね^^;

1の位は最大でも4周期ですので、4つ調べれば周期は見つかります。3,9,7,1の繰り返しですね。指数の大きい数の余りは、周期性を意識する(余りが1、-1になるものを探す)という原則はおさえておきましょう。

 Principle Piece 

 指数にn→「≡±1」となるものを探す

(詳細は拙著シリーズ 数学A 整数 p.29 参照)

 

※KATSUYAの解答時間は合計で4分半ぐらい。どれも1問1分弱です。最後は7秒^^;

 

4.対策~第4問の穴埋めまでまんべんなく~

小問も含めると、分野的にはまんべんなく出ます。数IIIの微積総合問題も出やすいです。題材自体はそんなに難しいものではありませんので、変に難しいものをやるのではなく、チャート式の典型問題や基礎的な入試問題で演習量を積んでおきましょう。

また、第4問の小問は今年は特に感じましたが、癖のある小問です。過去問を長年分手に入れて、しっかり練習しましょう。

IAIIBは穴埋め形式での出題が多いです。奇問はそこまでありませんが、傍用問題集の単問に比べるとひねりや融合がありますので、いろんな表現になれるために量をこなしておきましょう。チャートは黄色、どちらでもいいと思います^^

 

段階的には、チャート系で原則習得、その後に入試基礎演習のレベルの参考書をこなし、それから過去問に移行するという形になります。

拙著「Principle Pieceシリーズ」は「原則習得」「入試基礎演習」の両方の段階を兼ねていますので、そのまま過去問に接続できます^^ (※量をこなしたい場合は、さらに入試基礎演習の問題集は必要です)

以上です^^

 

■関連する拙著『Principle Pieceシリーズ』(リニューアル版!)

数学A Chapter1~集合と場合の数~ (第4問(2))

数学A Chapter2~確率~ (第4問(2))

数学A Chapter3~整数~ (第4問(5))

 

数学II Chapter2~複素数と方程式~ (第4問(1))

数学II Chapter4~三角関数~ (第1問、第4問(3))

数学II Chapter5~指数関数・対数関数~ (第2問)

 

数学B・C Chapter2~平面ベクトル~ (第3問)

数学B・C Chapter4~複素数平面~ (第2問)

数学B・C Chapter5~式と曲線~ (第4問(4))

数学III Chapter5~積分法(数式編)~ (第1問)

 

すでに原則系の参考書を持っている方にはこちらがおススメ!!

数学I・A ~原則のみ~

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