関西大学 理系(2月7日実施) | 2016年大学入試数学

      2017/02/05

●2016年度大学入試数学評価を書いていきます。今回は関西大学(理系、2月7日実施)です。

いつもご覧いただきまして、ありがとうございます。 KATSUYAです^^いよいよ、2次試験シーズンがやってきました。すでにお馴染みになってきたかもしれませんが、やっていきます。
2016年 大学入試数学の評価を書いていきます。


2016大学入試(私大)シリーズ。

関西大学(理系、2月7日実施)です。



問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。
また☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。


解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。
※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。

したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。


同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい、という目安にしてください。





関西大学(理系、2月11日実施)
(試験時間100分、4問、ハイブリッド型)
※ハイブリッド型とは、穴埋め型と記述式の混合型のことです。

 

1.全体総評

難易度は、昨年と変わらず。ややIIIの計算作業が多いかな、という印象です。文字定数を含む問題が多く、物理選択していない人には少々いやな計算セットかもしれません。第4問は今回は6個あるので、素早くやらないと時間オーバーになるかもしれません。



試験時間100分に対し、
標準回答時間は128分【102分】(←穴埋め考慮)
2015年は122分【88分】(←穴埋め考慮)

 

2.合格ライン

第1問は慎重に計算して、出来れば確保。
第2問はキー問題。OMkベクトルの長さをきちんと整理できたか。
第3問は最後の体積の計算がキー問題
第4問は特に難しい問題はない。時間との勝負。先に全てやってしまうのも手。



70%ぐらいでしょうか。


3.各問の難易度

☆第1問・・・【式と曲線+積分法の応用】楕円、接線、面積(B、25分、Lv2)

楕円を題材とした、図形総合問題です。レベルは標準的ですが、典型パターンを総合的に絡めています。

(1)は、円外からの接線ですから、まず接点をおきます。これは円のところで習得している原則です。接線が(0、t)を通る、とすればOK。文字が入っていますが、「t」は残します。

Principle Piece II-37

接線がらみの面積計算
[1] 放物線-接線=a(x-接点)^2
[2] それを積分すれば a/3・(x-接点)^3

(拙著シリーズ(白) 数学II 図形と式 p.26~28)


(2)は、P,Qの座標が出ているので、2乗すればOK.微分しても出ますが、楕円の接線の長さは相加・相乗で出せることが多いので、そちらを利用すると早いです^^ 媒介変数表示で行ったときも、相加・相乗で出していますね。
(拙著シリーズ(白) 数学III 式と曲線 p.32 参照)


(3)は、拡大縮小して円に帰着させてしまえば、扇形の面積として出せます。楕円のままよりはラクだと思います。

Principle Piece III-85

楕円絡みの面積は拡大縮小で円に

(拙著シリーズ(白) 数学III 式と曲線 p.18)

 

※KATSUYAの解いた感想
楕円の接線、距離の最小値、面積。典型パターンオンパレード。きちんと全部できるかどうか見てるんかな?計算含めて、試験としては適切^^ 解答時間13分。

 

第2問・・・【空間ベクトル+極限】、正四面体、内分点、線分の長さ、級数(B、22分【15分】、Lv.2)

正四面体の内部にある線分をn等分し、線分の長さの級数を求める問題です。適度に融合されています^^

「4」まではいいと思います。三角形OADは3辺が分かっているので、cosは出せます。そこから内積を出すようですが、3辺から内積を出す作業自体が、余弦定理そのものですので、遠回りです。

Principle Piece B-37

3辺から内積 → 余弦定理そのもの

(拙著シリーズ(白) 数学B ベクトル p.36-38)

「5」、「6」からが差がつくところ。「t」に関する式ではなく、k/n+1 の2次式(?)として整理しろ、ということです。あとでΣをとりますので、確かにこの整理の仕方は理にかなっています。

極限が「t」だけの式になり、最後は平方完成ですね^^

※KATSUYAの解いた感想
正四面体なら楽勝^^ お、n+1等分、、、極限もあるわ。区分求積?「4」まではスラスラ。「5、6」なんだこれ?最初に「t^2」? あ、k/n+1でまとめるのね。極限はただのk、k^2のΣ計算か^^;。解答時間10分。

 

第3問・・・【微積総合】導関数、関数の増減、回転体の体積(B、25分、Lv.2)

微積総合問題です。至って単純な関数ですが、「a,b」と2文字入っていることで、試験として適切なレベルに上がっています。(1)の微分はいいでしょう。慎重に計算しましょう。

(2)は逆有理化による極限のパターンですね^^ 文字が入っていても、普段と変わらない操作を出来るかどうかが、数学全般において攻略のカギといえます。

Principle Piece III-4

√-√ 逆有理化の操作

(拙著シリーズ(白) 数学III 極限 p.9)

(3)は、単純にx≦0とx>0で分け、x≦0のときは明らか、x>0のときは移項して2乗比較でもOKです。 大学側は、(1)のf’’(x)>0と、f’(x)を∞にしても負、という流れを意図していると思われます。 思いついた方でOK^^

(4)の体積は文字「a」が残るので、少し計算力が必要です。なお、f(x)を2乗した式は特別な置換を必要としませんので、コツコツ計算します。(1次式)×√2次式の場合は、通常の第2置換積分を真っ先に疑いましょう^^

Principle Piece III-49

(1次式)×√(2次式) は第2置換積分で

(拙著シリーズ(白) 数学III 積分法 p.10-14)

 


※KATSUYAの解いた感想
微積総合。数IIIの割合が高いな。文字入ってるけど、条件も多いし、うまく使えば(3)まではさくっといけそうやな。(4)はこれまでの情報からグラフの概形をかける。交点はx=1。積分は少しメンドウながらも、慎重に計算して終了。解答時間12分。

 

第4問(1)・・・【複素数と方程式】3次方程式と解の条件(AB、10分【7分】、Lv.2)

3次方程式が重解「1」を持つとき、もう一つの解を決める問題。3次方程式の解と係数の関係を用いるとすぐに出せます。

☆第4問(2)・・・【数列】漸化式(B、13分【9分】、Lv.2)

問題文の非常に短い、シンプル漸化式ですが、意外と苦戦する形をしています。分数を部分分数分解する、という普段の発想が使えたかどうか、です。

なお、普段のパターンにないときは、最初の4、5項を求めてみるといいでしょう。それでも無理なら、分数を帯分数にしてみたりして、ムリヤリにでも規則を見つけ出していきます。そしたら、あとは帰納法です^^

 

第4問(3)・・・【整数】不定方程式の一般解、個数(B、12分【8分】、Lv.2)

不定方程式の解のうち、条件を満たすもののを探して、その中でさらに条件にあるものを探します。1つ見つければ、元の式と引けば一般解に持ち込めます。

Principle Piece A-60

1次不定方程式の一般解
[1] 1組見つける。見つからないなら互除法で
[2] 元の式と辺々引く

(拙著シリーズ(白) 数学A 整数 p.40)


穴埋めなので、「xが7増えればyは5減る」という感覚でも一般解はすぐに出せます。xが大きい方が2x+yは大きいですので、xを大きくできるだけ大きくすればOK。

 

第4問(4)・・・【ベクトル】外分点、垂直(A、5分【3分】、Lv.2)

急に簡単になりました^^; 平面ベクトルの外分点と、内積=0を用いるだけの問題です。特にコメントはありません(笑)

 

第4問(5)・・・【複素数平面】ド・モアブルの定理、n乗式の値(AB、9分【6分】、Lv.1)

複素数平面からの出題です。絶対値が1の複素数は、1/zがzの共役複素数になることを利用すると、すぐにわかります。まだ新課程2年目なので、意外と演習量で差が出そう。

Principle Piece III-新12

1/z^k →z^kの共役複素数

(拙著シリーズ(白) 数学III 複素数平面 p.27) 

 

第4問(6)・・・【積分法の応用】弧長(A、7分【4分】、Lv.1)

弧長の基本問題。この問題自体はたいしたことはありませんが、今年は弧長からの出題が少し多いようです(同志社も出しています)ので、今後入試を受ける人は要注意。意外と公式覚えていなかったりするみたいなので、今一度参考書や教科書を見ておいてください。

 

※KATSUYAの解いた感想
今年は6問。5問、6問を繰り返すのね。数列の漸化式は意外と骨があった。あとは特に詰まることなく終了。(4)はナメられているような気がするが^^; 解答時間計11分。

 

4.対策~第4問の穴埋めまでまんべんなく~

数IIIの割合が高めです(後述の関連する拙著シリーズ参照)。微積系統を中心に勉強をしておきましょう。

IAIIBは穴埋め形式での出題が多いです。奇問はそこまでありませんが、傍用問題集の単問に比べるとひねりがありますので、入試用の標準レベルで量をこなしておきましょう。チャートは黄色、どちらでもいいと思います^^

量をこなす演習:じっくり演習=8:2ぐらいですね。

以上です^^

 

■他年度の、本大学の入試数学■

>> 
2010年度
>> 2011年度
>> 2012年度
>> 2013年度
>> 2014年度
>> 2015年度



■関連する拙著シリーズ■


★ 数学A 整数 (第4問(3))

★ 数学II 複素数と方程式 (第4問(1))

★ 数学B ベクトル (第2問、第4問(4))

★ 数学B 数列 (第4問(2))

★ 数学III 極限 (第2問)

★ 
数学III 微分法 (第3問)

★ 数学III 積分法 (第2問)

★ 数学III 積分法の応用 (第1問、第3問、第4問(6))

★ 数学III 複素数平面 (第4問(5))

★ 数学III 式と曲線 (第1問)

★ 計算0.9 【IAIIB】 (計算練習帳^^)

 

 - 2016年度大学入試数学 , , , , , , , ,