関西大学 理系(2月7日実施) | 2017年大学入試数学

      2017/06/05

●2017年度大学入試数学評価を書いていきます。今回は関西大学(理系、2月7日実施)です。

いつもご覧いただきまして、ありがとうございます。 KATSUYAです^^いよいよ、2次試験シーズンがやってきました。すでにお馴染みになってきたかもしれませんが、やっていきます。
2017年 大学入試数学の評価を書いていきます。


2017年大学入試(私大)シリーズ。

関西大学(理系、2月7日実施)です。



問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。
また☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。


解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。
※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。

したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。


同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい、という目安にしてください。





関西大学(理系、2月7日実施)
(試験時間100分、4問、ハイブリッド型)
※ハイブリッド型とは、穴埋め型と記述式の混合型のことです。

1.全体総評~小問はまた6問→5問へ。計算量は昨年より少ない~

昨年よりも数学IIIの計算量、レベルがともにかなり抑えられているため、その分易しくなったと言えると思います。今年は数学IIIは落とせず、数学IIIでない第2問の方が差がつきそうです。第4問は今回はまた5問です。2014年から6問→5問→6問→5問と交互です。



試験時間100分に対し、
標準回答時間は104分【86分】(←穴埋め考慮) 昨年より明らかに減っていることがわかります。制限時間に間に合いそうですね^^

2016年は128分【102分】(←穴埋め考慮)
2015年は122分【88分】(←穴埋め考慮)

 

2.合格ライン

第1問は数学IIIで、こちらは完答したい。(4)でミスしないかどうか。
第2問はキー問題。問題文の意図を掴んで計算を落ち着いて出来たか。
第3問の数学IIIもやさしいので、しっかり抑える。
第4問は今年は(5)が少し差がでそう。(1)~(4)は時間次第。今年は余裕があるので、この4問は欲しい。



75%ぐらいでしょうか。時間にも余裕があるので、80%ないと余裕とは言えないでしょう。


3.各問の難易度

☆第1問・・・【微積分総合】媒介変数表示で表された曲線、接線、面積(AB、18分、Lv1)

媒介変数表示で表された式について、いろいろ求める問題。どれもほぼ単問で、1つ1つ確実に計算したいですね。

(1)~(3)はただ求めるだけです。(4)の面積については、x軸との交点およびx軸との上下関係が必要です。増減表まで書く必要はありません。tの増加に伴ってxが単調に増加すること、yが0以上であること、x軸との共有点が t=ーπ/3、π/3 のときであることを確認しておけば面積は求められます。

 

ULTIMATE Principle Piece 

面積に必要なのは交点と上下関係

(拙著シリーズ(白) 数学III 積分法の応用  p.9)

 

※KATSUYAの解いた感想
媒介変数か。問題をざっと見わたす。(3)までは一瞬なのでさくっと終了。(4)増減表は大げさなので、上記通り調べて終了。計算も少なくてラク。解答時間6分。

第2問・・・【式と証明+数列】二項展開、恒等式、数列の和(B、20分【13分】、Lv.2)

恒等式の問題です。対称式とはちょっと違った表現になっていますが、実質は対称式でどう表されるかを題材にしているようなものです。

見かけの式はごついですが、よくよく見ると最後の項しか聞いてなかったりしますので、そんなに大したことはありません。なお、「nごとに定まる」というのは、nが違えば毎回a_1~a_nが定義されるということです。例えば、n=4のときのa_2と、n=2のときのa_2は異なる値でも全く問題ありません。その辺りを読み違えると混乱します。

(1)はただの公式です。(2)は(x+y)^4の項を二項展開し、恒等式とみなせば出せます。

(3)でもヒントがあります。x=1、y=ー1を代入すると左辺は2です。右辺は(x+y)が入っているので0になるのでは?と思いがちですが、k=nのときだけ、「0の0乗=1」となりますので、a_nの項だけ残る仕組みです。

(4)は3乗の対称式の表現を聞いているだけです。(5)ですが、奇数乗+奇数乗は(x+y)で割れますので、(※※)の式全体をx+yで割ってからx=1、y=ー1を入れて比較しようということですね。

 

難しくはないですが、その場でいかに意図を読み取るかが問われるタイプの問題です。

 

KATSUYAの解いた感想
なんじゃこりゃ?なんかゴツイ式やな。とりあえず(1)、(2)は計算するだけ。(1)はさすがにいらないのでは^^; (3)は取りあえず代入。2=0
+0?あれ?なんでa_n残るんだ?どう考えても、、、あ、0乗は1か。なるほどこれでa_nだけ残ると。(4)は瞬殺。(5)まず因数分解するのか。なんでだ?このまま入れても両方0やからか。割ってから入れるとまた0乗出てくると。なかなかうまく設定してあるな。 解答時間7分。

 

第3問・・・【微積総合+極限】不定積分、不等式の証明、面積と極限(AB、20分、Lv.2)

昨年に引き続き、第3問は微積総合問題です。関数も単純でかつ誘導も丁寧なので、最後まで詰まることなく出来そうです。

(1)は計算するだけです。xlogxの積分では、先にxの方を積分して部分積分です。

 

Principle Piece III-45

部分積分の優先順位  指数=三角>整式>対数

(拙著シリーズ(白) 数学III 積分法 p.9)

 

(2)はxでくくるだけです。(3)も差をとって微分すればすぐに証明できます。

Principle Piece III-39

 不等式は差をとって微分する

(拙著シリーズ(白) 数学III 微分法の応用 p.44-47)

 

(4)は、(2)の情報から領域がx軸よりしたであることがわかれば、面積を求めるための積分式はすぐにかけます。途中、a^2log aが現れるので、これの極限は(3)を利用すれば、挟み撃ちだとわかりますね^^

 


※KATSUYAの解いた感想
ざっと見る。面積の極限が最後か。(3)あたりは使いそうやな。(1)は部分積分で瞬殺。(2)もxでくくって終わり。(3)は差をとって微分して終了。(4)とりあえずx軸より下で、a~1/√eまで積分ってことね。積分式は(1)使えるし、極限のための不等式が(3)で用意されたと。誘導過剰かな。(1)はいらないわ。
解答時間8分。

 

第4問(1)・・・【複素数平面】正三角形となる3点(A、8分【5分】、Lv.1)

複素数平面の基本問題。正三角形なので、60°回転が使えます。複素数平面の回転が有効な図形は常にアンテナを張っておきましょう。

Principle Piece III-111

 複素数平面の回転が使える図形
[1] 正三角形 [2] 直角二等辺三角形 [3] 正方形 など

(拙著シリーズ(白) 数学III 複素数平面 p.48-49)

☆第4問(2)・・・【式と証明+方程式】kについての恒等式、連立方程式(AB、15分【9分】、Lv.2)

ゆるい感じの融合問題です。とりあえず、「どのようなkに対しても・・・」なのでkに関する恒等式です。

 

Principle Piece II-1

 任意のxで・・・ → xに関する恒等式

(拙著シリーズ(白) 数学II 式と証明 p.12)

恒等式条件が、x、yに関する2次の連立方程式になります。x(  )=0の式とy(  )=0の式になってます。最初の式でx=0のときとx≠0のときで分ければ出来ますね。

 

☆第4問(3)・・・【式と曲線+三角関数】式の最大値(AB、10分【6分】、Lv.1)

さっきよりもゆるく融合された問題。条件下における式の最大値を求める問題です。条件式は楕円ですが、x、yを三角関数で表すことができれば、ただの三角関数の問題です。

Principle Piece III-88

 条件式が楕円なら媒介変数表示で三角関数の最大・最小に帰着

(拙著シリーズ(白) 数学III 式と曲線 p.38)


媒介変数表示にした式は、すべてsin、cosの2次式なので、こちらの原則です。

Principle Piece II-76 

 sinθcosθ を含む2次式のみ → 2θになおして合成

(拙著シリーズ(白) 数学II 三角関数 p.53-54)

第4問(4)・・・【数と式+指数・対数】対数不等式、因数分解(AB、8分【5分】、Lv.1)

こちらも、簡単な融合問題です。log_2x =t と置くのはすぐに分かると思います。出来た式は、数学Iでよく出てくる因数分解の問題の不等式です。

掛け算の順番を変えて、さらにt^2+tをカタマリAにすれば A^2-14A-120≦0 まで出来ます。-6≦A≦20 ですが、t^2+t は任意のtで-6より大きいので、t^2+t-20≦0 だけを考えればOKです。

2次式は平方完成などをすることで、常に0より大きい式が存在するかどうかを確かめる癖をつけましょう。これだけで、解から外すことができますので。

☆第4問(5)・・・【図形と式+三角関数】円の外から引いた接線、倍角、軌跡(B、15分【10分】、Lv.2)

円の外から引いた接線の問題ですが、接点を求めるわけではなく、図形的な考察をする問題のようです。その際には、接点を置くのではなく、中心と接点を結んでみましょう。平面図形の2円のところで紹介している原則ですが、円と接線では使えます。

Principle Piece A-90

 2円問題 → 中心と中心、中心と交点、中心と接点は結んでおく

(拙著シリーズ(白) 数学A 平面図形 p.47) 

特にこの場合、接点が直角となる直角三角形が2つできて、タコ(凧)型になります。これを利用するとcosθ/2 が辺の比として出せます。このタコ型はよく題材にされる図なので、アンテナを張っておきましょう。

ここまでできればあとは倍角で出すだけです。最後は2重根号を外せますが、外すと逆に形に合わないので、はずさなくていいようですね^^;

※KATSUYAの解いた感想
(1)(3)(4)はさくっと終了。(2)は連立か。最初の式がxでくくれるから、0と0でないときに分けるか。(5)は、詰まらずに、しかもミスもしていないが、2重根号を外してしまい、形に合わない。間違えた??2度やり直すも、やはり一緒。2√ ってなんだ?こんな形にはならない。⑥の部分を強引にXとおいて外した式を=で結んで、強引にXについて解く。外さなくていいってことか。まじか^^; 解答時間計17分。

 

4.対策~第4問の穴埋めまでまんべんなく~

記述式ではほぼ数IIIの微積と言えます。微積系統を中心に勉強をしておきましょう。題材自体はそんなに難しいものではありませんので、変に難しいものをやるのではなく、チャート式の典型問題や基礎的な入試問題で演習量を積んでおきましょう。

IAIIBは穴埋め形式での出題が多いです。奇問はそこまでありませんが、傍用問題集の単問に比べるとひねりや融合がありますので、いろんな表現になれるために量をこなしておきましょう。チャートは黄色、どちらでもいいと思います^^

レベル的には、入試基礎演習のレベルの参考書を最後に、過去問に接続しても大丈夫だと思われます。

以上です^^

 

 

 

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■関連する拙著シリーズ■


★ 数学II 三角関数 (第4問(5))

★ 数学II 式と証明 (第2問、第4問(2))

★ 数学II 指数関数・対数関数 (第4問(4))

★ 数学B 数列 (第2問)

★ 数学III 極限 (第3問)

★ 
数学III 微分法 (第1、3問)

★ 数学III 微分法の応用 (第1、3問)

★ 数学III 積分法 (第1、3問)

★ 数学III 積分法の応用 (第1、3問)

★ 数学III 複素数平面 (第4問(1))

★ 数学III 式と曲線 (第4問(3))

★ 計算0.9 【IAIIB】 (計算練習帳です^^)

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