立命館大学 全学部理系 | 2016年大学入試数学

      2017/02/03

●2016年度大学入試数学評価を書いていきます。今回は立命館大学(全学理系、2月2日実施)です。

いつもご覧いただきまして、ありがとうございます。 KATSUYAです^^いよいよ、2次試験シーズンがやってきました。すでにお馴染みになってきたかもしれませんが、やっていきます。
2016年 大学入試数学の評価を書いていきます。


2016大学入試(私大)シリーズ。

立命館大学(全学理系、2月2日実施)です。


問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。
☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。


また、解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。

※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。

したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。


同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい、という目安にしてください。


立命館大学(全学部日程:理系)(2月2日実施)
(試験時間100分、4問、穴埋め型)

 

1.全体総評~数学IIIの割合が大幅減~

難易度は昨年と変化なしですが、合格ラインは下がるかもしれません。例年に比べて数学IIIの割合が低く、相対的にかなり出題割合の低い数学II、Bが両方姿を現しているため、動揺した受験生もいるでしょう。さらに、数IIの図形と式は最も計算が多く、出鼻をくじかれると、その後に影響するセットでした。 第2、3、4問を落ち着いてとれたかどうかにかかってそうです。



試験時間100分に対し、
標準回答時間は107分【70分】(←穴埋め考慮)
2015年は125分【81分】(←穴埋め考慮)

第1問を除けば例年より計算量は少なかったと思われます。

2.合格ライン

第1問は本学受験者だと対策が薄いかもなので、半分。
第2問は出来れば後半も欲しい。前半に気づかなくても解ける。
第3問、第4問の後半が分かれ目です。時間的には少し余裕があるハズなので、「2つの大問のうち2つは、後半まで手がついて8割、1つはよくわからなくて5割切る」という状態ならOKでしょう。


60%強ぐらいでしょうか。


3.各問の難易度

第1問・・・【図形と式】、2円の接点、接線、交点のy座標の最小値(B、30分【20分】、Lv2)

2円を題材にした問題です。2円は受験生が苦手にしやすい分野で、しかも文字が2文字も入っていますので、計算も煩雑になり、しょっぱなから苦戦を強いられる大問です。

前半:2円の半径が同じなので、全5パターンのうち、「内接」、「一方が他方の内部にある」という状態はありません。それ以外の3パターンのうち、共有点のあるものです。従って、中心間の距離≦半径の和 となります。

Principle Piece II-41

2円の関係は5パターンをマスターする

(拙著シリーず(白) 数学II 図形と式 p.37~38)

接点の座標ですが、連立はなるべくしたくないので、ひと工夫します。半径が両方1なので、2円の中心と中心のど真ん中です。また、この点は円周上にありますから、接線の公式が使えます。下手すると、ここでつまりそうですね^^;

後半は2円の交点です。これはさすがに連立するしかないのでしょう。ある程度形が与えられているので、慎重にやれば答えにたどり着けるはずです。私はベクトルでたどって座標を出しています。

最後の最大値ですが、ルートの中が最大になるときを出せばOKです。微分したくなりますが、t^2=X とでもおけば、通分して(2次式)/(1次式)なので、ムリヤリ変形すれば相加・相乗の形に持っていけるはずです。

Principle Piece II-8

相加相乗は(2次式)/(1次式)またはその逆数の式に使える

(拙著シリーズ(白) 数学II 式と証明 p.19)


ここは手法を知っていたモン勝ちのところもありますので、最後まで出来れば御の字ですね^^
 

 

※KATSUYAの解いた感想
2円で文字も2文字。計算はめんどくさそう。最初の条件は半径の和だけ考えればいいか。前半はなんなく終了。後半。交点出すのか^^;連立はめんどくさいな。ベクトルでたどろう。中点から、中心間の線分に垂直な方向に、、、ルートいっぱい出てくるけど、連立するよりはましか。ルートの中は相加相乗つかえるな。よしよし^^解答時間14分。

☆第2問・・・【微積総合】、2曲線の共通接線、面積(B、25分【17分】、Lv.2)

微分法の応用から、2曲線の共通接線の問題です。数学IIIですが、本セットではおそらくこれが一番簡単です。

共有点で共通の接線を持つということは、曲線どうしが接するということです。従って、こちらの原則が用いれます。

Principle Piece III-31

y=f(x),y=g(x)が x=t で接する
→ f(t)=g(t) かつf'(t)=g'(t)

(拙著シリーズ(白) 数学III 微分法の応用 pp.9-10)

共有点がありますから前半の式が、その点における接線の傾きが等しいですから後半の式が得られます。文字を自分で1つ置きますが、その変わり式が2つ立ちますので、a,bのうち片方は消去できます^^ 今回はaを消去しましょう。

この方針がたてば前半まではコツコツ計算するだけです。面積は、放物線の方はこちらでサボりましょう^^ 穴埋めではかなり威力を発揮する、数IIの面積計算です。

Principle Piece II-115

放物線と接線絡みの面積
[1] 放物線-接線=a(x-接点)^2
[2] 積分するとa(x-接点)^3/3

(拙著シリーズ(白) 数学II 積分 pp.34-37)
※新板、旧版で記載ページ、番号が異なる可能性があります。

後半は前半の意図がつかめたでしょうか。前半の状況で、xとyを入れ替えただけの状態になっています。いわゆる、「逆関数」的な2つの曲線を考えています。曲線C3の方を、x=・・・に直してみればすぐにわかります^^

従って、a,bの関係とc,dの関係は同じで、座標はxとyを入れ替えるだけでOKです。計算はほとんどいらないということになります^^

※KATSUYAの解いた感想
共通接線はパターンやな。接点設定してa消去して終了。関数もそこまでややこしくないし、面積計算もラク^^ 後半は同じことをやろうと思うも、すぐに前半のx、y入れ替えと気づき、計算はほぼなし。x=dy^2とか、明らかに怪しい^^; 解答時間9分。

 

☆第3問・・・【数列】、種々の数列の和、群数列(BC、30分【18分】、Lv.2)

がっつり数列です。2つの数列{a_n}、{b_n}から新たに{c_n}を作りますが、ある程度の国語力がないと、最初から{c_n}が出せないということすら、有り得ます。特に最後は、設定が分かるまでに時間を要するでしょう。

C_3=a_{b_3} b_3=8 だから C_3=a_8=1/64・・・などと落ち着いてやらないと間違えかねませんね。小さい数字でとにかく試してみましょう。

最初は、ただの等比数列ですので、ここは乗り越えないとマズイです。次は、部分分数分解が出来る形となっています。ここも本学受験者ならできないとマズイ。(c_nが出ないと和も出せませんが^^;)

Principle Piece B-6

数列の和は3つのうち、どれか
[1] 公式利用
[2] 等差×等比のときは S-(公比)S
[3] それ以外はすべて望遠鏡型

(Principle Piece 数学II 積分 pp.34-37)
※新板、旧版で記載ページ、番号が異なる可能性があります。

望遠鏡型とは、真ん中が次々に相殺されて最初と最後だけ残るような和の計算方法のことです。

最後はbnの定め方も少しやっかいで、{b_n}から試していく必要があります。5個ぐらい書いて分からなければ、10個ぐらい書くべきです。1が1個、2が2個、3が3個、4が4個、、、とくれば、群数列とわかるでしょう。

n(n+1)/2 というのは、群数列のいわゆる「第n群」の末項までです。末項までなら、計算はラクです^^

{Cn}も群数列となります。1が1個、1+2が2個、1+2+3が3個、・・・という数列であることに気づけば、こちらも和が出せるでしょう。


群数列を非常に秀逸に設定しており、小手先のテクニックだけでは通用し難いタイプの設定で、良問だと思います。

※KATSUYAの解いた感想
変な数列^^; でも、bnは自然数ってことやな。最初は瞬殺。次も和があるので、「ああ、部分分数分解ね」と終了。最後は、、、n(n+1)/2ってのは、1~nまでの和やな。じゃあbnは、1+2+3=6やから、3個足せば6、4個たせば10。b7~b10は4ってことね。じゃあ「kがk個」の群数列と気づき、終了。cnも規則がすぐに分かったので、終了。解答時間8分。

 

第4問・・・【確率+数列】サイコロ、条件付き確率、n、k絡みの確率(B、22分【15分】、Lv.2)

確率と数列の融合問題で、また数列です^^; 新課程の条件付き確率も出ましたが、たいしたことはありません。

条件付き確率では、「●●であったとき、▲▲である確率を求めよ」という表現が多いです。分母は、「●●である」確率、分子は「●●かつ▲▲」である確率です。サイコロ2個なので、書き出しがベストでしょう。

Principle Piece A-7

サイコロ2個なら36通り→書き出す

(Principle Piece 数学A 集合と場合の数 p.17-20)


中盤は基本的な問題です。「少なくとも」は余事象ですね^^

 

Principle Piece A-9

「少なくとも」と言えるなら余事象で

(Principle Piece 数学A 集合と場合の数 p.17-20)

最後は差がつくかもしれません。「1~k-1回まで1、6以外」「k回目で1か6(出た方を●)」「k+1~n-1回まで●以外」「n回目で●」です。

k+1~n-1回までは、k回目で出た数字は出てもOKです。これに気づいたかどうかで、「ル」と「ワ」は差がつきそうです。等比数列となりますが、やや複雑な形です。「k」を指数に含むものだけを頑張って取り出してみましょう。


※KATSUYAの解いた感想

最後は確率。立命館は最後が確率であることが多い気がする。最初と中盤はスラスラ終了。条件付き確率はまだ本格化しない?最後も、日本語の説明が非常に丁寧で、「和ととると」まで書いているので、素直に計算。公比さえ間違わなければ、初項と項数はすぐ分かるし、いけるな。kが1つ進むと、2/3倍されるけど5/6で割るから、、、4/5。 等比数列の和にあてはめて終了。解答時間8分。

 

4.対策~例年は数学IIIと数学Aが主~

今年は数学IIIの割合が例年に比べて低いですが、範囲は、主に「数学III」と「数学A」という印象。数学IIIの極限などでは、数列や三角関数などと融合されることも多いので、偏りなく勉強する必要があります。チャート(青色がいいでしょう)と、同レベルの入試問題集をたくさん練習しましょう。あまり数IIの勉強を怠ると、今年のようなセットに対応できませんので、ご注意を。

量をこなす演習:じっくり演習=7:3ぐらいでよさそうです。

以上です^^

 

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■関連する拙著シリーズ■


★ 数学II 図形と式 (第1問)

★ 数学II 式と証明 (第1問)

★ 数学II 積分 (第2問)

★ 数学III 微分法の応用 (第2問)

★ 数学B 数列 (第3、4問)

★ 数学A 集合と場合の数 (第4問)

★ 数学A 確率 (第4問)

 

 

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