東京大学 理系 | 2020年大学入試数学

      2022/05/29

●2020年度大学入試数学評価を書いていきます。今回東京大学(理系)です。

いつもご覧いただきまして、ありがとうございます。 KATSUYAです^^いよいよ、2次試験シーズンがやってきました。すでにお馴染みになってきたかもしれませんが、やっていきます。
2020年 大学入試数学の評価を書いていきます。

2020年大学入試(国公立)シリーズ。

東京大学(理系)です。

やっぱり最初はここですね^^

問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。
また☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。



また、解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。

※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。

したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。


同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい、という目安にしてください。

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東京大学(理系)
(試験時間150分、6問、記述式)

1.全体総評~きつかった昨年からさらに難化~

2017年の易しさを底にして、難易度を上げ続けています。今年はさらに点数を取りにくく、絶望した受験生も多かったかもしれません。原則がなかなか通用しない、いわゆる典型的ではない問題が多かったことも難しい理由でしょう。

計算量がそこまで多いわけではないですが(あくまでも昨年比で)、方針が立てにくい問題が多く、考え込んでいるうちに終わってしまった人も多いでしょう。

最初の第1問から論証で差がつきそうで、第2問は答案作成に時間がかかる。第3問の微積が一番マシなレベル。第4問は文理共通ですが、文理通じで最難問でほぼ手つかずで終わるでしょう。第5問は東大お得意の空間と体積だが、これがマシに見え、第6問も(1)から方針に迷う可能性あり。

なお、確率からの出題がこれで3年連続なし。今後も続くのかどうか、、、



試験時間150分に対し、
標準回答時間は210分。

2019年:210分。

2018年:195分

2017年:165分

2016年:205分

2015年:215分

2014年:205分

2013年:205分

2012年:205分

2011年:195分

2010年:200分

※過去11年平均:201分

2.合格ライン

第1問はキー問題。最初から論証でかつ抽象性も高めだが、全体のセットを考えると、手がつきやすいはず。

第2問もキー問題。こちらも設定が少ないため、試してみて自分で設定して答案を書きあげる必要がある。

第3問は数IIIの微積分総合だが、全体で最易問なので取りたい。これが最も簡単とは・・・。キツイ。

第4問は捨て問確定。独立した(1)だけとる。(2)と(3)はつながっていますがキツイ。

第5問はキー問題。東大が好きな空間上での体積の問題。例年よりは穏やかで、このセットならマシに見えます。これとらないと厳しいのはツライ。

第6問は(1)で方針を立てにくい。(1)の結果だけ用いて(2)にアプローチできるかもですが、途中で(1)の考え方が必要で、こちらも点数稼ぎには期待できない。

実質4問勝負に近いでしょう。第3問は取り、第1,2,5問のうち2問をなんとか確保したい。第1問、第5問がマシか。あとは第2問でつたないながらも答えだけでも合わせれば、今年は十分でしょう。第4問、第6問は取れたとしても計10点ぐらい?

理I,理IIが50%弱、理IIIは60%強でも大丈夫では?他の科目にもよりますが、今年は合格最低点下がりそうですね。

 

3.各問の難易度

☆第1問 【2次関数+論証】3つの不等式の共通範囲(B,20分、Lv.2)

文字係数を含んだ3つの2次不等式の共通範囲に関する問題。しょっぱなから文字が多く抽象性の高い問題の論証。

係数はサイクリックで対称性が高いですが、例年しょっぱなは比較的手がつけやすいことを考えると、ちょっととまだ追った人もいそうです。

最初は簡単です。負のものがあると、それを2次の係数に含んだ式は十分大きなx(x>pの範囲にある)で負になります。「十分大きなx」という考え方が次の(2)でも活用できます。

(2)では、全て正であったとすると、今度は「十分小さなx(x≦pを満たす)」で全ての不等式を満たすはずです。従って、共通範囲のなかにそれが入っていないのはおかしいということですね。、

(3)はa=0のときにp=0となることが示せればOK。A「b、cともに正」、B「片方0」、C「両方0」の場合を調べます。両方0の場合はそもそも共通範囲がありませんので、共通範囲が「x>p」である前提に反してますので、出来ればその部分を述べたいところ。

共通範囲がS:「x>p」ならT:p=0になることの証明ですので、Cの場合は集合Sの範囲外になります。Sの中に入るのは、AとBの場合です。この場合にp=0となることをいいましょう。

 

KATSUYAの感想:解答時間15分。最初の割に論証なのでちょっと構えた。「十分大きなx」などの考え方を使えばいいのね。もっと早く思い浮かんてもよかったかな、と書きあげてから思う。

☆第2問 【平面図形?】図形上で条件を満たす部分の面積(C、35分、Lv.2)

面積1の△ABCとXを取り、Xを含む3つの三角形の和が2~3になるとき、Xがとこにいるか?を聞いています。設定自体は非常に単純ですが、単純すぎて答案を書きにくいです。思考して、答案のために必要な量の設定、答案作成まで含めると35分ぐらい必要かと判断しています。

Xが三角形の外にあるのはすぐに気付くと思います。Xは「BCに関してAと反対」「CAに関してBと反対」「ABに関してCと反対」のどれかを満たす部分にありますが、このうち2つを満たす部分は、さらに別に考える必要があることに気づければ、答案作成に入れるでしょう。

ベクトル的に言うと、sOA+tOBと表した時に、「s<0」なのか「t<0」なのか「s+t>1」なのかに対応しますが、2つを満たすこともありますね。

「Yさん」のやり方は比較的分かりやすいかな、と思います。辺BCとの距離などを設定するのが分かりやすいかと。領域自体は△ABCと相似な図形の足し引きで出来ることには気づくはずです。相似比や面積比の計算などは図形なのでぱぱぱっと書きこむのは簡単ですが、説明はメンドウですね^^;

 

※KATSUYAの感想:解答時間28分。なんか抽象性の高い問題多いな。今年ムズイかも。外側にあるので、辺に関して反対側の考え方を用いる。上記のベクトル的発想から、1つに関して反対側と2つに関して反対側の場合も違いそうと判断し、Xをためしに置いてみる。やっぱりな。どこを動くかは分かったが、これ、設定なさすぎで説明キツイぞ。高さ設定するのが一番いいかな。(Yさんと一緒のやり方です)特に2つに関して反対側の方は苦戦した。

 

第3問 【微積分総合】媒介変数表示、距離の最大値、面積(B、25分、Lv.2)

数IIIの微積分総合で媒介変数表示されたグラフを90°回転させた時の通過面積です。これが一番手を付けやすいと思います。

最初は微分するまでもなく、√の中身をうまく変形すればtに関して単調な関数になることは見えます。

(2)もf(t)を式で出して微分するだけです。(3)使うために聞いていますが、本学受験生ならそんなことは言われなくても分かりますよね。

(3)原点を中心に回転するので、原点から最も遠い点を半径とする4分円を基本に、あとはDの面積を足せばいいと分かります。90°回転は実質おまけです。媒介変数表示における面積を計算するときは、とりあえず∫ydxで書き、yとdxをtで表して置換すればOK。

具体的な積分計算ですが、√1-t^2 は円の面積で、t√1-t^2 は気づけば奇関数で0と出来ますし、気づかなくても第2置換積分を利用し、結果が0になるのはすぐに分かります。

 

※KATSUYAの感想:解答時間14分。媒介変数表示か。(1)は微分して負やなと思い変形するも、微分するまでもないと判明。(2)は今度こと微分、(3)に使うってことね。親切な誘導。(3)は(1)と(2)の結果からCの概形とかは書いていいってことやな。90°回転っていっても最大半径の4分円追加されるだけやな。普通に面積求めさせてもいいような。

☆第4問 【数列+方程式】異なるk個の積の総和、漸化式(D、60分、Lv.3)

2の累乗から異なるk個を取り、そのすべての積についての和を考える問題です。一見すると何の分野の問題かわかりにくいです。実際発想も難しいものが多く、本セット最難問と言えます。少し考えてみて方針が立たなさそうなら、捨てるのが正解だったでしょう。

(1)異なる2個を取った場合の積については、パターン問題ですね。正方形から対角線部分を除いて2で割るイメージです。

(2)以降は難しいですが、異なるk個のものを取るということで、(1+x)(1+2x)(1+4x)・・・・(1+2^n-1x)の展開項を考えると、これがまさにfn(x)となるわけですね。ばいいことになります。「言われれば」という感じで、実際はそんなに簡単に思いつくものではないかと思います。私も、きっかけはもっと別のところからでした。これが思いつけば、両方ともすんなり解答できますね。

(3)は、(2)で得た式について、f(x)×(2^^x+1)とf(2x)×(x+1)はともにf_(n+1)(x)なので、特定の係数を比較することになります。あとは、a(n+1,k+1)、a(n,k)以外のジャマなものが消えるように辺々を足し引きするだけです。

原則も使いにくく難しいところですが、数列のようなとびとびの数字(整数、自然数)を扱う問題は、小さい数字で試してみることが大事です。試すだけでも、(2)の結果ぐらいなら得られるはず。

※KATSUYAの感想:解答時間33分。なんか難しそうな設定。(1)は2個ならパターンなのでさくっと。(2)は、、、、全く方針が立たない。f3(x)とf4(x)を書いて割り算すると8x+1となる。一般的に2^x+1っぽいな。てか、割り切れるとしたら1次式確定やし、最高次と定数項の比較だけでもこうなるし当たり前か。ということは、nをずらして次々と使うと、、、f_n(x)=(1+x)(1+2x)(1+4x)・・・ってことか。あ、たしかに!係数がa(n,k)そのものになる!オッケーオッケー。これが思いついたことで最後まで解くことが出来ました。いや、思いつかなかったらアウトやな、こりゃ。

☆第5問 【積分法】円錐内部の点と定点を結ぶ線分の通過領域の体積(C、35分、Lv.3)

東大の18番、空間における体積を積分を用いて求める問題。積分自体は数IIです。

(1)はz=1という具体的な部分で切り口を図示する問題。同一平面上に図示するのは、これを基に考えてほしいということです。Sの切り口はいいでしょう。中心はz軸上で半径が半分です。Tの方は、S上にある点PとAを結ぶ線分上の点をベクトル表記で1-s、sの係数で設定し、z=1となるようにsを決めればOK。

P(X,Y,0)のとき、Q(X+1/2、Y/2,1)となるはずです。あとはX^2+Y^2=1 をX=・・・・y=・・・の式にして代入すればQの軌跡になります。数IIの軌跡の連動系の考え方です。

(2)は(1)をヒントに、一般にz=tのときにどのようなS,Tの切り口がどのようになるかを考えればOK。(1)でAP上の点を一般的にベクトル設定していれば、(1)とそんなに変わらないアプローチが出来ます。Sの切り口からTの切り口まで円がx軸に平行に動くことは使っていいのかどうかですが、もしだめでも8割答案としては完成しています。

断面積は運動場のトラックのような形となりますので、面積はtの2次式です。積分自体は簡単ですね。今回はそこまで想像しにくい断面ではありませんが、特に立体が想像しにくいタイプは動かす前に切ることを忘れないように。


※KATSUYAの感想:解答時間22分。(1)Sの切り口はいいとして、tの方はベクトルでやったほうがいいかな。P(X,Y,0),Q(x,y,1)にして連動系の軌跡の要領で解答。(2)も一般的に書くだけね。一応、直線的に動くことも確認。(z=u上でのSの切り口とAを結んだ線分上の点を設定し、z=tになるようにする)空間ベクトルと数IIの積分って感じ。いつもよりは簡単な気がする。

☆第6問 【三角関数+2次曲線+極限】三角方程式の解の個数、楕円の法線との共有点(C、40分、Lv.2)

最後は2次曲線です。最初の三角方程式の解の個数に関する証明で、これを利用して楕円上の法線と内側の楕円との共有点の話にうつります。(1)が発想よりで難しいのと、(1)が出来ても(2)で利用するところまでたどり着いたかどうか・・・時間的にも厳しそうですね。

(1)は三角方程式ですが、y=Asin2θとy=sin(θ+α)のグラフを考えているうちに、A>1であることから、中間値の定理で正負が簡単に分かる箇所が多いことに着目出来れば答えられたと思います。微分とかしてしまうと、ドロ沼にはまりそうです。ちょっと発想よりでしたね。

(2)は条件の文章の「少なくとも4個」からしても(1)を利用しそうです。三角関数と楕円なので、媒介変数表示を思い浮かべたいところ。C上の点、D内の点ともに楕円の媒介変数でおきましょう。ただし、D内の方は内側も入るので、R<rなるRなどを用いるとすっきりかけます。ここまで厳しいセットが続きましたが、最後も甘くはありません。今年はしんどかったですね。。。

楕円上の点の接線を出し、PQがそれに垂直になることが条件です。楕円の接線の法線ベクトルと平行であればいいので、それを式にすると、sincosの式や、sinの加法定理の展開項が表れます。ここで(1)とつながりますね。

(1)ではA>1のときであれば常にOKとのことですが、(2)のときには、A=1(等号)だとダメなことも確認しないと、最大値は出すことができないです。A=1のときは、同時に1やー1になるようなところで接してしまう(重解)ため、解が減ります。具体的どのときがダメか、1点でも例示出来ればOKです。(1)でグラフを書いていれば、θ=π/4のときなどがダメなのはすぐに分かるでしょう。

 

 

※KATSUYA解答時間24分。(1)はAやαがあるから微分しても先が見えないと判断。両方ただのsinなので、グラフで考える。αをずらしていくつか書いてみる。A>1のおかげで飛び出ている部分があるので、これで3か所は確定と気づき、中間値の定理の利用が思いつく。あとはsinα(y軸上)が正か負かでもう1点の区間が分かれるだけ。こんな単純な式やけど、良問。(2)は明らかに利用やな。媒介変数でおいて、接線→法線ベクトルで垂直方向を出し、平行条件をたてる。お、加法定理の項があるから、ここで(1)につながるのね。うまく考えられてるなぁ。存在は示せた。あとはA=1ぴったしだとダメなところがることを言うだけ。明らかにπ/4のときやな。最後まで難しかったな。

4.対策

2020年は、頻出4分野である確率、整数、微積、複素数平面のうち3分野が出ず、微積から2問という構成でした。正直、外された感は否めませんが、頻出分野は確率、整数、微積、新課程の複素数平面と考えた方がいいでしょう(かれこれ3年連続で確率が出てないですが、確率は外さない方がいいと思います)

ただし、原則習得はもちろんのこと、入試演習も数多くこなしつつ、質の高い問題演習は解説や別解の研究もして、本質的な理解と幅広い視点を養うことが求められます。

今年レベルでの対策をとっておけばかなり万全でしょう。早い段階で解かなくてもいいので数年分見て、難易度(到達しなければならないレベル)を肌で感じておきましょう。

お尋ね者の大学なので、対策本もばっちりあります。単科長年タイプは27年分、全科目タイプでも7年分です。

東大の数学は良問が多く、解法研究の格好の的にされていますので、他にもたくさん本があります。


量をこなす演習:じっくり演習=6:4ぐらいでしょう。

以上です^^

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