関西学院大学 全学日程(2/1)理系数学 |2023年度大学入試数学
2024/01/05
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●2023年度大学入試数学評価を書いていきます。今回は関西学院大学(理系、2月1日実施)です。
いつもご覧いただきまして、ありがとうございます。
2月に入り、本格的に2次試験シーズンがやってきました。お馴染みになってきたかもしれませんが、やっていきます。
2023年 大学入試数学の評価を書いていきます。
2023年大学入試(私大)シリーズ
関西学院大学(全学日程理系:2/1)です。
問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。
また☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。
また、解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。
※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。
したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい、という目安にしてください。
本文にある緑字(この色)は、数学を受験する上で必要な原則を表しています。知らなかった場合は、言葉を覚えるだけでなく、必ず教科書や問題集等で該当する類題を数題見つけ、演習することで定着させてください。自分で探して自分で解く。これが一番身につきます。
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Principle Pieceシリーズの販売を再開しました^^ 原則習得のための参考書です。
YouTube開設しました。 個人的に紹介したい大学入試数学を中心に解法や発想を紹介していこうと思います。
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関西学院大学(全学部日程:理系)(2月1日実施)
(試験時間90分、4問、ハイブリッド型)
※ハイブリッド型・・・記述式と穴埋め式が混合しているもの。
1.全体総評~数IIIの割合も増え、計算量が大幅に増加し、難化~
難化です。第2問、第3問を中心に計算量が多く、第4問もいつも通り答案量は多いです。数IIIの割合も普段より高く、90分という制限時間ではかなり慌てたと思われます。ここ数年では最難でしょう。
分野的には第1問が小問10個、第2問が図形と式、第3問が微積総合、第4問は複素数平面と数列です。第4問に微積分が来ない変わりに、第3問の穴埋めに来たので数IIIの割合が多めです。
試験時間90分に対し、解答時間は125分【92分】(90分を超えるのはかなり厳しい・・・)
2022年 解答時間は98分【73分】(←穴埋め考慮)
2021年 解答時間は104分【83分】(←穴埋め考慮)
2020年 解答時間は97分【75分】(←穴埋め考慮)
2019年 解答時間は98分【76分】(←穴埋め考慮)
2018年 解答時間は101分【78分】(←穴埋め考慮)
2017年 解答時間は95分【69分】(←穴埋め考慮)
2016年 解答時間は89分【61分】(←穴埋め考慮)
2015年 解答時間は92分【63分】(←穴埋め考慮)
2.合格ライン~試験場では6割でまずまずか~
第1問の小問は全体のセットを考えると落とせない。8問以上は欲しい。
第2問の図形と式は後半の計算量が多い。「キ」「コ」はうまくやらないとコスパが悪いのでそれ以外で勝負したい。
第3問は微積分総合はキー問題。「カ」までは最低でも取りたいが、経験がないとキツイ。後半は計算力勝負。
第4問もキー問題。決して難しいわけではないが、今年は時間との兼ね合いで差がつきそう。
時間のかかりそうなものを捨てて、第4問を先に完答すると気持ち的にラクだったかもしれません。
3.各問の難易度
第1問(1)・・・【式と証明】恒等式、4次式の因数分解(A、5分【3分】、Lv.1)
4次式を因数分解する問題ですが、誘導に従ってa,bを出して2乗の差を作り出せばOK。「実数」の範囲で因数分解とありますが、2次式の解はともに虚数なので2次×2次でOK。
☆第1問(2)・・・【対数】対数方程式・不等式、最大・最小(AB、15分【9分】、Lv.1)
対数総合問題ですが、方程式、不等式、最小値を1つ1つ聞いてくるだけです。式も独立しています。
方程式と最小値は、まず底を合わせましょう。対数式は底の統一が最優先です。
(詳細は拙著シリーズ 数学II 指数関数・対数関数 p.24 参照)
方程式は足し算型なので1つにまとめます。
(詳細は拙著シリーズ 数学II 指数関数・対数関数 p.32 参照)
次の不等式は教科書レベル。不等号の向きには十分注意しましょう。
最後の最小値を求める式は、置き換え型。底を2に統一してlog(2)x=tとでも置きましょう。
(詳細は拙著シリーズ 数学II 指数関数・対数関数 p.32 参照)
第1問(3)・・・【確率+整数】2023と互いに素(AB、10分【6分】、Lv.1)
今年も年号問題出ました。2023までのカードを取り、7や17の倍数である確率を求める問題。
2023=7・17・17です。受験生はさすがに知識として持っているでしょう。2023が7の倍数なので、7で割り切れる確率はそのまま1/7。7と17の両方で割り切れる確率も1/7・17です。この辺は素早く解答したいです。
後半は意外とミスが起きる?片方で割り切れる確率なので、和事象からもう一回共通部分を引けばOK。
最後は「2023と互いに素」→「7でも17でも割り切れない」と言い換えれば、余事象計算と分かります。こちらも典型的な原則ですね。
(詳細は拙著シリーズ 数学A 集合と場合の数 p.3 参照)
なお、オイラー関数による裏ワザを使えば、最後は瞬殺出来ます。6/7×16/17です(拙著シリーズ 数学A 集合と場合の数 p.4,5を参照)。
こちらの動画でも説明しています。オイラー関数は、検算する上でも非常に有用なのでぜひ知っておきましょう。
※KATSUYAの解答時間は計6:17です。
第2問・・・【図形と方程式】2直線に接する円、接線、三角形の外接円など(B、35分【24分】、Lv.2)
図形と式の総合問題です。後半を中心に計算量が多く、数値の関係で分数計算も多いため、苦戦した受験生が大半だと思われます。
最初は、y軸にもy=-4/3xにも接する円を求めます。誘導に従い、中心からの距離が等しいとし、それが半径になると考えれば方程式を立てましょう。
(詳細は拙著シリーズ 数学II 図形と方程式 p.78 参照)
後半は、求めた円が内接円になるように、もう一本の接線を求めます。原則に従うなら、まず接点をおいて接線の式を作ります。
(詳細は拙著シリーズ 数学II 図形と方程式 p.38 参照)
点Aを通る直線をおいてd=rを使っても出来ます。接点の座標まで考えると先に接線をおいた方がいいですが、計算はまあまあキツイです。私はd=rで直線を出してから連立しました。
Bの座標は接線の式が出れば出ます。こちらはまあまあキレイです。面積は穴埋め数を10問にするためのおまけかと。Bの座標がわかるので、OAを底辺と見れば出せます。
最後の外接円の半径は結構キツイ。3辺の長さを出してcos→相互関係でsin→正弦定理が1つの方法ですが、長さをサクッと出せたかどうか。「カ」を出した時点で、8:15:17の比になる直角三角形が頭に浮かんでいれば3辺は比較的簡単に出ますが、それでも計算は繁雑。
直線l、直線ABの傾きなどをうまく利用すると、sinAOB、sinOABなどが簡単に出せます。そこに気づけるとかなりラク(私は検算で気づきました)。
※(後述)面積はおまけではなく、三角比の面積公式で表すことでsinAOBを出すためにあると考えるのが自然かもしれません。気づきにくいとは思いますが・・・
※KATSUYAの解答時間は16:16です。思ったより数値が繁雑でかなり不安だが、検算もしておそらく正しい。
☆第3問・・・【微積分総合】減衰曲線の面積、回転体の体積(B、30分【20分】、Lv.2)
今年は確率がなくなり、数IIIの微積分総合になりました。題材はいわゆる減衰曲線の面積や体積に関する問題。第4問も数IIIだったため、今年のセットはかなりきつめです。
(1)の最初は微分するだけ。指数×三角の積分は、誘導にある通りペアのg(x)を持ち出して求める方法がいいでしょう。部分積分を2回しても出せますが、こちらの方が計算ミスも起きないのでラク。
さくっと答えたいですね。a<b<c=dなら、3種類の数字を選んで、小さいほうからa,b,c(=d)とすればOK。
(2)は(1)の結果を利用して積分をする問題。S1はそのまま代入して積分。このタイプのSnについては、S1から等比数列になることを知っていれば、穴埋めなのでS1の何倍になるかを計算するだけです。パイだけスライドすれば次のS2になるので、e^-2πが公比です。無限級数は初項、公比が分かれば瞬殺。
ちゃんと積分の式を立てる場合は、平行移動による置換積分で指数を積分の外に出しましょう。
(2)は。上のようにかなり時間が膨れる問題です。
(3)は2乗したものの積分。さらに繁雑ですが、右辺を慎重に微分して、左辺のf(x)^2と比べましょう。積分するので、三角関数は半角の公式などで次数を下げて角度を上げておくことは原則です。
(3)の猛攻に耐えれば(4)は積分するだけです。(2)まででいったん飛ばすのが現実的かもしれませんね。
※KATSUYAの解答時間は13:05です。減衰曲線で穴埋めなら説明いらんのでラク。それでも計算は多く、回転体までやるのはキツイ。
☆第4問・・・【複素数平面+数列】複素数平面、漸化式、点列(B、30分、Lv.2)
今年の最後は微積分総合ではなく、複素数平面でした。第3問に引き続き数IIIのため、量的には結構キツイです。
題材は、漸化式によって複素数平面上の点を次々に作っていく「点列」問題です。題材も聞かれていることもパターンですが、聞きたいこと全部盛り込んだ感じのため、かなりのボリュームになっています。
(1)はすなおに求めるだけ。αは極形式にしてドモアブルを使いましょう。
(2)(3)ですが、漸化式が4型なので特性方程式の解αを使って、z(n)-αの値自体が簡単に出せますので、一気にどちらも出来ます。|z(n)-z(n-1)|、|z(n)-α|ともに等比数列だと分かります。
(4)の式は、三角形ABCの形状を求めるタイプでよく見る問題。(与式)の値を極形式にすれば2辺の比となす角が分かりますので、三角形の形状が決まります。直角二等辺三角形になりますので、(2)の数列の一般項を利用すれば面積も出せます。
KATSUYAの解答時間は12:21。漸化式も単純で聞いていることも1つ1つはたいしたことないけど、量は多いのでスラスラ手が動かないと時間を持ってかれそう。
4.対策~IIB・IIIから出やすいトレンドは継続中~
今年は数IIIが大問2問分あり、ちょっと重めでした。普段の出題範囲は、BIII+確率が主で、そこに数II(微積分以外)がそこそこある傾向です。難関大によくある、いわゆる「ビーサン」出題が本学にも表れています。BとIIIは差がつきやすい分野が多いですからね。
IIの分野も小問で結構出ますので、怠らないようにしましょう。チャート式(黄色でOK)に加え、同じぐらいのレベルの入試問題集(関関同立過去問など)をたくさん演習しておくと万全でしょう^^
拙著Principle Pieceシリーズであれば、レベル的には直接過去問に接続することも可能です。(問題量の確保は必要)
Ⅲは典型タイプが多いので、教科書だけでなく、黄色チャートの例題はマスターしつつ、有名なものは繰り返して結果(今年のグラフなどは超典型的です)もある程度頭に残しましょう^^(覚えることが優先ではありません。)
今年のように時間が厳しい年に備えて、パターン問題はさっと解法が思いつくぐらいたくさんの問題にあたって、計算練習もしておきましょう。同じ参考書は2周やったらそれは復習用に使い、メインは違うものに移った方がいいでしょう。
量をこなす演習:じっくり演習=8:2ぐらいでOKです。
以上です^^
■関連する拙著『Principle Pieceシリーズ』(リニューアル版!)■
数学A Chapter1~集合と場合の数~ (第1問(3))
数学A Chapter2~確率~ (第1問(3))
数学II Chapter1~式と証明~ (第1問(1))
数学II Chapter5~指数関数・対数関数~ (第1問(2))
数学II Chapter3~図形と方程式~ (第2問)
数学B・C Chapter1~数列~ (第4問)
数学B・C Chapter4~複素数平面~ (第4問)
数学III Chapter6~積分法(グラフ編)~ (第3問)
※2023年末時点で販売中のもののみ記載しています。最新販売情報はこちらからどうぞ^^
■他年度の入試数学■
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