神戸大学 理系数学 講評| 2023年大学入試数学

      2024/03/06

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●2023年度大学入試数学評価を書いていきます。今回は神戸大学(理系)です。

いつもご覧いただきまして、ありがとうございます。 KATSUYAです^^いよいよ、2次試験シーズンがやってきました。すでにお馴染みになってきたかもしれませんが、やっていきます。
2023年 大学入試数学の評価を書いていきます。

2023年大学入試シリーズ(国公立)。
神戸大学(理系)です。

問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。
また☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。



また、解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。
※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。

したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。


同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい、という目安にしてください。

★お知らせ★

Twitter始めました こちらもよろしくお願いいたします^^

Principle Pieceシリーズの販売を再開しました^^ 原則習得のための参考書です。

YouTube開設しました。 個人的に紹介したい大学入試数学を中心に解法や発想を動画にしてみようと思います。





神戸大学(理系)
(試験時間120分、5問、記述式)

1.全体総評~計算量が少し増えてやや難化か~

難易度はやや難化です。昨年は時間内に終わらせることも可能なセットの印象でした。今年も小問に刻まれていることで方針に詰まってしまうような問題はありませんが、答案量が多い問題が後半に多く、量が増えた感じです。

数IIIが昨年は5問中4問ありましたが、今年は最後の1問だけでした。残りは数列、ベクトル、確率、領域と、難関大に典型的な出題分野ね。



試験時間120分に対し、標準回答時間は120分。

2022年:98分

2021年:解いていません(解いたら更新します)

2020年:125分

2019年:115分

2018年:120分

2017年:145分

2016年:110分

2015年:150分

2014年:130分

2.合格ライン

第1問は誘導丁寧なので分かりやすく、これはしっかり押さえたい。
第2問も典型的な題材。虚数解のときも忘れずにできたかがキーになりそう。
第3問の確率は(1)(2)は取れる。(3)は方針次第で数列との融合になり、キー問題。
第4問は四面体の体積で、ワークにもありそうなパターン問題。時間はそれなりにかかるが、押さえたい。
第5問は微積分総合で媒介変数系。時間次第だが、方針に詰まることはないかと。

第1問、第2問、第4問をおさえ、残り時間で片方を完答出来ればかなり有利です。今年は70%ぐらいでしょうか。医学部狙いなら4完欲しい感じかも。

3.各問の難易度

第1問【数列】2項間漸化式の一般項(B,20分、Lv.2)

数列の漸化式からで、前の項の値によって次の項との関係式が変わる問題です。誘導のおかげで仕組みも見えやすく、きちんと押さえたい問題です。

同年の九大理系に同じような問題が出ています。こちらはかなり難しめ。

(1)は、数式でもいいですが、グラフが最も明解かと思います。y=f(x)とy=xのグラフを書けば大小関係はほぼ明らかです。

(2)はnに関する証明なので帰納法ですね。

(3)は(2)により、初項a≦1のときと、a>1のときに分けることは想像がつくでしょう。前者は(2)によりずっと1以下であることが分かっているので、漸化式も固定されます。漸化式は4型なので等比型に帰着です。

a>1の場合は、(2)と同様にずっとa>1であることが予想されますので、それを同じように帰納法で証明し、それから同じように漸化式から一般項を求めましょう。丸投げ感はなく、適切に受験生に任せている感じがします。第1問としても適切ですね。
※KATSUYAの解答時間は7:37です。誘導のおかげで分かりやすい。九大理系の後にやったことで、めちゃ簡単に感じる^^;

 

第2問【複素数と方程式+図形と方程式】2次方程式の解条件、領域(B、20分、Lv.2)

2次方程式の解が特定の条件を満たすよな存在範囲を図示する問題です。こちらもワークにありそうなパターン問題ですが、(2)と(3)は実数解だけではないので注意。問題文的にも見落としにくいとは思いますが。

(1)は正の解と書いてあるので、これは実数です。(虚数に正、負などの概念はありません)異なる2つの正の解は超典型パターンで、D、軸、端点の符号を調べます。解と係数の関係でもOK。

 Principle Piece 

 解の存在範囲:2解とも範囲指定→D,軸、端点を調べる

(詳細は拙著シリーズ 数学I 2次関数 p.72 参照)

 Principle Piece 

 解の存在範囲の問題:判別式、解の和、解の積の符号を考える

(詳細は拙著シリーズ 数学II 複素数と方程式 p.19 参照)

(2)は、実数解の場合と虚数解の場合で分けます。実数解の場合は(1)と同じ考え方です。虚数解の場合はD<0の下で、解の和(実部の2倍)の範囲を調べればOKですね。

(3)は(2)とほぼ同じです。実数解と虚数解の場合に分けるだけです。

※KATSUYAの解答時間は10:31です。これはパターン。虚数解の場合も別に調べるところが+αなだけ。(2)(3)は片方でよかったような気が^^;

☆第3問【確率】カードの数字と確率(BC、30分、Lv.2)

カードの数字の和に関する問題で、こちらも頻出パターンですが、(3)は少し難易度高めです。

(1)(2)はほぼ共通です。和が●の倍数と言われたら、カード1枚1枚を●で割った余りでグループ分けしておきます。

 Principle Piece 

 目の和が●の倍数→●で割った余りで分類する

(詳細は拙著シリーズ 数学A 確率 p.14 参照)

今回は和が偶数なので、奇数グループ(1,3,5,…2n-1)と偶数グループに2,4,6,…2n)に分け、奇数と偶数が何枚ずつあればいいかを考えるということです。

(3)は少し難易度高め。2n+1以上になるので、大きいほうのカードはn+1である必要があります。大きい方がn+kのカードであるとして、小さい方としてOKなものが何枚あるかをkで表してシグマ計算をするという方法です。

数列的な考え方をしない方法もあります。余事象を取ると、2枚のカードの和が2n以下になる確率です。a+b≦2nとなる自然数の個数です。不等式1文字増やして等式にして、重複組み合わせで考えるんでしたね。

 Principle Piece 

 整数解の個数:不等式なら1文字増やして等式に

(詳細は拙著シリーズ 数学A 集合と場合の数 p.70 参照)

今回は自然数ですので、c≧1として、a+b+c=2n+1となる自然数解a,b,cの個数と対応します。

ただし、a<bでないといけません。重複組み合わせで出る組数は、入れ替えや等しいものも別で出ますので、それらの調整をします。まず等しいものは(1,1)~(n,n)のn通り。これを引いた残りは、a<bとa>bが同数ありますので÷2すればOKです。あとは全体から引きましょう。

全体を通してn絡みの確率の問題です。n=2,3などの小さい数値で検算を必ずしましょう。これで違えば、ミスには気づけます。

本問は解説動画があります。

※KATSUYAの解答時間は19:15です。(3)は私は数列的に解きました。

第4問【空間ベクトル】四面体の体積(AB、25分、Lv.2)

四面体の体積を求める問題。3辺の基本ベクトルの長さおよび内積3種がすべて問題文で与えられており、超基本的なパターン問題です。時間はかかりますが、これはきっちりおさえたいですね。

(1)は始点を合わせて差の形にして2乗するだけですね。

(2)は原則をそのまま適用します。平面に下ろした垂線は、平面上にあることをs、tの係数で表し、2つのベクトルとの内積ゼロで連立です。問題文で置いてくれていますし、少し丁寧すぎかと思われます。始点をOに合わせると1-s-t、s、tというお馴染みも係数が出ます。

(3)は△ABCを出すために、ABとACの長さおよび内積を出します。内積がゼロなので、直角三角形と気づけて面積はラクに出せます。あとは高さです。(2)のs、tを用いて、OHベクトルも2乗して出しましょう。

座標で表されていないタイプはまあまあメンドウですが、コツコツ計算するだけですね。

※KATSUYAの解答時間は16:15です。これは超パターン問題で計算力勝負。

☆第5問【微積分総合】媒介変数表示された曲線の面積(B、25分、Lv.2)

最後は微積分総合で、媒介変数表示された曲線を図示し、面積を求めます。曲線を図示するためのプロセスも小問で刻まれており、誘導は丁寧です。(3)も、求める部分はx座標の増減(行き来)のない部分なので、面積計算はそこまで繁雑にならないです。

(1)(2)で図示をします。媒介変数表示で図示をする場合は、x,yの変化表が必要です。そのために、まず(1)で聞かれているのように、x、yのtによる増減を調べるために、それぞれをtで微分しましょう。

(3)はCのx軸より下の部分です。下の部分が、tとしてどこからどこに対応するかをまず把握します。

媒介変数表示絡みの面積では、まず∫(-y)dxの形で書き、積分区間もxの範囲で書きます。下の部分は右から左に移動してきますが、そんなものは気にせず、xは下端から上端に増加するように書きます。そのうえで、y、dxそして区間を全てtに置換して積分計算をしましょう。

積分は三角関数の積分で、次数下げが最優先です。今回は半角や積和の公式で1次まで下げられますので、そこまで大変ではありません。

※KATSUYAの解答時間は16:12です。少し易しめの微積総合(媒介変数)タイプって感じ。練習にちょうどいいかな。

4.対策

神戸大は非常に良問が多いです。過去問の演習で実力UPを図れます。超難関大を受験する人は、高2ぐらいか、あるいは高3の初期に演習してもいいでしょう。

出題分野は、数IIIの分野の割合が多く、5題中3~4題出ます。それ以外は少なめ。あとは数Bがどちらか、数Aもどちらかと言った印象。理系ですが、今年のように数IIの微積分が出ることもあります。

レベル的には入試標準問題レベルまででいいと思います。おそくとも高3の夏休み中には原則習得および入試基礎演習の段階を終わらせて、入試標準問題の演習量を確保しましょう。

なお、拙著『Principle Piece』シリーズであれば「原則習得」「入試基礎演習」の両方の段階を兼ねていますので、この後にもう入試標準演習の問題集に接続可能です^^

 

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