神戸大学 理系数学 講評| 2024年大学入試数学

      2024/03/09

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●2024年度大学入試数学評価を書いていきます。今回は神戸大学(理系)です。

いつもご覧いただきまして、ありがとうございます。 KATSUYAです^^いよいよ、2次試験シーズンがやってきました。すでにお馴染みになってきたかもしれませんが、やっていきます。
2024年 大学入試数学の評価を書いていきます。

2024年大学入試シリーズ(国公立)。
神戸大学(理系)です。

問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。
また☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。



また、解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。
※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。

したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。


同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい、という目安にしてください。

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神戸大学(理系)
(試験時間120分、5問、記述式)

1.全体総評~難化した昨年よりはラクか~

難易度はほぼ変化なしか、微易化です。いつも通り誘導が適度に配置された標準的なセットです。今年は少し小問が少なめで、量が若干減った印象です。その分、意図がつかめないと詰まってしまうので差はつくかも。

数IIIの割合は昨年は5問中3問です。昨年は1問だけでしたが、今年ぐらいの割合が例年通りです。


試験時間120分に対し、標準回答時間は110分。

2023年:120分

2022年:98分

2021年:解いていません(解いたら更新します)

2020年:125分

2019年:115分

2018年:120分

2017年:145分

2016年:110分

2015年:150分

2014年:130分

2.合格ライン

第1問は丁寧に微分するだけ。漸化式も置き換え指定があるので、これは完答したい。
第2問も言われた通りコツコツ計算するだけ。計算量は多いですが確保したい。
第3問の確率はキー問題。(1)は取れる。(2)は意外と議論がメンドウかも。(3)は数え落とさずにいけるか。
第4問は数Ⅲ絡みの回転体の体積だが、(1)(2)は実は解き方次第では中学生でも解答可能なレベル。(3)も難しくはない。
第5問はキー問題。(1)はいいとして、(2)はキー問題。神戸大は過去にもこの関数出してます。

第1問、第2問、第4問を確実におさえて、残りをかじれば合格ラインだと思います。今年も約70%。医学部狙いなら4完。

3.各問の難易度

☆第1問【微分法の応用+数列】関数の最大値、漸化式の一般項(B,20分、Lv.2)

微分法と数列の融合問題です。1つ1つは基本的な手法や原則を用いるだけですが、うまく融合された問題です。

(1)は、微分して求めるだけ。

(2)は(1)と同様でいいと思います。これでa_n+1とa_nの関係式が出ます。このタイプは問題文で指定されている通り、対数で置き換えるパターンですね。

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 漸化式11型:対数をとって置き換える

(詳細は拙著シリーズ 数学B・C 数列 p.54 参照)

(3)は(2)の漸化式から一般項を出すだけ。最頻出の4型ですね。
※KATSUYAの解答時間は5:34です。適度な難易度の融合問題。神戸大はこういう問題作るの印象。

第2問【2次関数+図形と方程式】接する条件、重心の軌跡(B、25分、Lv.2)

2つの直線に放物線が接する条件と、三角形の重心の軌跡に関する問題こちらも適度に融合されていますが、言われたことを素直に式にし、カリカリ計算することさえ出来れば解ける問題。

(1)は微分使った利する方法もあるとは思いますが、直線がハッキリ与えられているので、重解条件D=0に帰着させるのがラクかと思います。

(2)は(1)でaだけの式になっているので、もう一回判別式D>0を解きます。a<-4と出ます。逆数を取れば基本的に不等号の向きは逆になりますが、その際にa<0も加わるので忘れないように。y=1/xはグラフが切れることが原因です。

(3)はCとl1、l2を連立して接点を求めます。(重解を持たなかったら間違えているのでやり直し) 頂点は平方完成しましょう。重心はx座標、y座標ともに1/aの1次式になります。(2)の意図もこれで分かりますね。

あとは、媒介変数1/aを消去すれば軌跡の方程式が出ますね。

 Principle Piece 

 媒介変数の軌跡では媒介変数を消去する

(詳細は拙著シリーズ 数学II 図形と方程式 p.52 参照)

※KATSUYAの解答時間は10:50です。こちらもちゃんと勉強していれば詰まることはない感じ。

第3問【確率】サイコロの目と確率(B、20分、Lv.1)

今年も第3問が確率。昨年よりはやりやすいとは思いますが、ちょっと答案にするのが難しい問題ですので、得点率としてはあまり変わらないかも。

(1)は1~6の最小公倍数の倍数であればOK。

(2)は1~6のうち、どれを仲間外れに出来るかで絞れます。たとえば、1の倍数ではないのに、2~6の倍数であることなんてないですよね。その要領で考えれば、仲間外れに出来るのは4,5だけです。

4以外の公倍数、5以外の公倍数をいくつか並べて、合わせて小さい順に3つ書けばOKです。

(3)は(1)(2)とはあんまり関係ないです。160=2^5・5であることに着目し、出るとしたら1、2,4,5だけであることを見抜きます。5は出ても1回までなので、5の出る回数で場合分けするとやりやすかったと思います。

※KATSUYAの解答時間は10:12です。(2)が若干記述だと答案に書きにくい分、ちょっとロス。

第4問【積分法(グラフ)】直方体の回転体の体積(B、25分、Lv.2)

直方体を様々な直線を軸にして回転させる問題です。垂直な平面で切って積分するという原則に従えば出来ますが、(1)は解き方次第では中学生でも解けます。回転体の問題としてはかなり簡単なので、これはさすがに取りたい。

(1)は数Ⅲでやるなら、回転軸であるAEやABに垂直な平面で切断したときの平面を考えます。いずれも断面積は一定なので、それが底面の円柱になるだけです。

もっと簡単にやるなら、X1はACGEをAEを軸に回転したもの、X2はAHGBをABを軸に回転したものと考えることも出来ます。これなら中1の立体図形の問題です。(長さを求めるときに三平方の定理を使いますが)

(2)は(3)の準備です。EFはx+y=1、z=1を満たすので、x=tを代入するだけです。ベクトルでおくまでもないですね。

(3)は断面の残りの辺との共有点を出します。これも簡単に出ます。回転の中心(t,0,0)から一番遠いところを半径に持つ円になります。ここさえ間違えなければ解けます。

※KATSUYAの解答時間は16:15です。回転体の問題としては超基本ですね。

☆第5問【積分法(数式、グラフ)】定積分の値、不等式を満たす領域の面積(BC、25分、Lv.2)

積分法からです。(1)はさすがに超典型的な置換積分ですが、(2)は差が付きます。設定はシンプルですがいい問題だと思います。有名なtanの逆三角関数の問題で、神戸大はこの関数結構好きな印象(2012年にも出題)。

(1)はさすがにいいでしょう(原則も省略します)。定積分が求まるにはxの部分がtan●の形で表されていないとムリです。

(2)は、この関数がtanの逆三角関数であるという知識がないとちょっと思いつきにくいかも。f(x)+f(y)≦f(1)というのは、角度の条件が書かれているようなものです。x=tanα、y=tanβとするなら、α+β≦π/4ってことです。

これをx、yの条件に直すには、この式全体にもう一回tanをつけます。すると左辺が加法定理で表され、tanαやtanβが出てくるので、x、yが現れて、無事に領域が書けます。

f(x)がtanの逆関数なので、tan(f(x))=xになります。f(x)の中からxやyを直接出すために、両辺にそのままtanをつけるってだけです。逆関数だと分かっている人はこの言い方が一番わかりやすいと思います。

境界は1次の分数関数なので、微分するまでもなく書いてOKでしょう。面積のための積分も簡単ですね。

※KATSUYAの解答時間は11:34です。この関数、前にも神戸大で見たような。そんときも、tanの逆関数って知ってると見通しよかった問題な気がする(もちろん知らなくても解ける)。→調査しました。2012年第3問でした。

4.対策

神戸大は非常に良問が多いです。過去問の演習で実力UPを図れます。超難関大を受験する人は、高2ぐらいか、あるいは高3の初期に演習してもいいでしょう。

出題分野は、数IIIの分野の割合が多く、5題中3~4題出ます。それ以外は少なめ。あとは数Bがどちらか、数Aもどちらかと言った印象。理系ですが、今年のように数IIの微積分が出ることもあります。

レベル的には入試標準問題レベルまででいいと思います。おそくとも高3の夏休み中には原則習得および入試基礎演習の段階を終わらせて、入試標準問題の演習量を確保しましょう。

なお、拙著『Principle Piece』シリーズであれば「原則習得」「入試基礎演習」の両方の段階を兼ねていますので、この後にもう入試標準演習の問題集に接続可能です^^

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