慶應大学 経済学部 | 2017年大学入試数学

      2017/06/05

●2017年度大学入試数学評価を書いていきます。今回は慶応大学(経済学部A方式)です。 

いつもご覧いただきまして、ありがとうございます。 KATSUYAです^^いよいよ、2次試験シーズンがやってきました。すでにお馴染みになってきたかもしれませんが、やっていきます。
2017年 大学入試数学の評価を書いていきます。

入試シーズン中はコメントの返信が大幅に遅れることがあります。ご了承ください。


2017年大学入試(私大)シリーズ。

慶応大学(経済学部A方式)です。




問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。
また☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。


また、解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。
※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。

したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。


同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい、という目安にしてください。





慶応大学(経済学部A方式)
(試験時間80分、6問、ハイブリッド型)

1.全体総評~昨年の難しさを踏襲で量的に厳しい~

2016年は難易度がリバウンドしましたが、2017年はこれを踏襲しています。年2014年や2015年のような甘さが消えました。計算量や問題数も相変わらずで、記述3問を含む6問という設定は、80分という制限時間にはあまりにもアンバランスで、試験時間内におえることはほぼ不可能でしょう。昨年のベクトルのような難問はないものの、全体的に理系的なひねりがあり、最後まで取りづらいセット。




試験時間80分に対し、
標準回答時間は160分【133分】(←穴埋め考慮)

まともにやれば、ほぼ倍かかるような試験です。80分では解ききれません。私も2年連続でオーバーしてしまいました。記述が3問もあり、厳しいです。


2016年:170分【147分】(←穴埋め考慮)

2015年:130分【103分】(←穴埋め考慮)

 

2.合格ライン

(全科目得点率では、60%強です)

第1問は題材的に苦手な人が多い。(1)は絶対。(2)と(3)は差がでるか。
第2問は題材は高度だが、取れるところと取れないところがはっきりしている。(4)までは行けるはず。(5)は捨て問。
第3問は確率。(3)まではそんなに難しくない。(4)は少し煩雑。
第4問は(1)(2)を確保。(3)はキー問題。弦が最大ならdが最小 に結びついたか。
第5問はしょぼいので、注意して取りたい。(4)はミスるかも。
第6問は時間があれば(1)で点数を稼ぎたい。(2)の面積は計算量が多い。残り時間との兼ね合い。(3)は気づかないと厳しいかも。


最低限抑えるとこをおさえて、6割弱あります。これでも80分になってしまいそうですが、残り時間で赤い部分がどれか取れれば6割を超えるでしょう。これで数学は合格圏内だと思います。



☆第1問・・・【図形と式】2直線に接する円(B、30分【18分】、Lv.2)

y軸、およびy=axの2直線に接する円に関する問題。aをいろいろ変えつつ、内容も変えてきます。うまく設定された問題です。

2直線に接する円については、こちらの原則があります。

 

Principle Piece II-43

 2直線に接する → 中心と2直線との距離を=でつなぐ

(拙著シリーズ(白) 数学II 図形と方程式 p.35-37)

 

本問では、片方がy軸であることから、距離がx座標になるとわかるので、「それがもう一つの直線と中心との距離と等しい」という式を立てれば、基本的にはOKです。

最初はy軸に接するので、半径はx座標の1です。あとは、中心とy=axとの距離=1 を立てれば出来ます。

 (2)は、半径が2であることから、中心は(2、b)または(ー2、b)です。これとy=2xとの距離が2になるようにすればいいですね。全部で4点ありますので、それを結んだ四角形です。タコ型になりますので、対角線をかけて2で割るのが一番早い。

 (3)は、傾きから角度が分かりやすい形をしています。y軸とのなす各は30°なので、角度を調査すれば C1P1:OP1=1:tan75°が分かりますので、OP1が出せます。また、図形的に OP1:OP2=C1の半径:C2の半径 であることも分かります。このように2円の共通接線とみなせるときは、相似を利用して出すと早いでしょう。なお、本学受験者ならtan75°ぐらいは覚えておきましょう。

 

※KATSUYAの解いた感想
2直線に接する円の問題。(1)は半径1なので、dとrで解決。(2)は最初戸惑う。円の中心を頂点とする四角形??円が4つあるということに気づく。メンドウそうだが、とりあえず中心のx座標が2、ー2で2個ずつ出す。思ったより複雑な計算。(3)は2円の共通接線。なら相似が使える。角度も15°系使えそう。うまくいろいろ聞いてきたな。解答時間10分。

第2問・・・【数列+関数】関数方程式、対称式、帰納法、シグマ(C、30分【22分】、Lv.3)

関数方程式と呼ばれる題材で、分野はイマイチよくわかりませんが、内容的には帰納法とシグマ計算なので数列でしょう。

(1)はいいでしょう。β=0を代入すると分かります。f(2α)はβ=αで分かります。

(2)(3)はx,1/x に関する式です。対称式っぽいですが、あまり早まると(3)は間違えます。気をつけましょう。(x+1/x)^2=4f(α)f(α) ということで、これを(1)で得た式に入れればOK。(3)は、右辺第1項が4f(2a)f(a)と出ますので、最初の関係式にα→2α、β→αとすればいいですね。

(4)はこれらの結果を受けて結果を予測、それを帰納法で示すというものです。ほとんど埋めるところありませんし、これではさすがにわかる人には丸分かり。やはり帰納法は穴埋めとしては不向きです。

(5)は打って変わって難問。難易度「C」をつけましたが、理由は(5)に尽きます。Snのままではラチがあかないので、f(α)をかけることで、最初の関係式を各項に用いようというものです。これと元の式を引くと、かなりごっそり消えます。

三角関数の和の計算にこのような手法を用いることがあります。そもそもこの関数方程式は、おそらく f(x)=cosxを念頭において作られているものです。(実際は値が1以上なので違います)。従って、和の計算は三角関数の和と似たような手法を使うはずということです。ただ、これはかなりハイレベルな勉強をしている人でないと難しいです。

分母に1-f(α)と入っていることで予想して欲しかったところですが、これは難しいですね。

 

※KATSUYAの解いた感想
関数方程式か。cosの積和の式っぽから、性質的にはcosってことやな。対称式についてはさくっと終了。2cos3αとかはチェビシェフとも関わりが深いし、大丈夫やろ。帰納法はちょっとわかりやすすぎ^^; 最後は、cosの和をだせって問題と同じやから、cosαかけて積和ってやるのと同じかな。解答の形をみて、元の式から引けばごっそり消えるとわかる。題材ムズイな^^; 解答時間16分。

 

☆第3問・・・【確率】反復試行、日本シリーズパターン、条件付き確率(BC、25分【18分】、Lv.2)

A,Bがマス目を1つずつ進んでいく問題です。先に5つ進んだほうが勝ちということで、プロ野球の日本シリーズパターンと言えます。

(1)はいいでしょう。9回目は、絶対Aがすすまないとダメです。8回目までで、反復試行の公式にあてはめましょう。

 

Principle Piece A-35

 日本Sパターン → 最終回手前までは反復試行

(拙著シリーズ(白) 数学A 確率 p.22)

(2)は2回ごとに、AB,BAの交互があります。最後の9回目はどっちが進んでもOK。(3)はまず2回連続でBが出ます。あとはBA,ABのどちらかです。

(4)最後の条件付き確率は比較的メンドウです。Aが先に上がる確率は。対称性から1/2です。これを分母とし、分子は、(3)の状況からAが逆転勝ちする確率を求める必要があります。数値が比較的煩雑なので、最後は難し目。

 Principle Piece A-39

 条件付き確率 → 「とき」の手前が分母 「とき」の前後が分子

(拙著シリーズ(白) 数学A 確率 p.32)

※KATSUYAの解いた感想
確率か。どれどれ。早い話が、日本シリーズパターンってことね。(1)は原則でさくっと。(2)は調査して気づいて計算。(3)も調査したほうが早い。(4)は、BBBBのときと、BBAB,BBBAのときで分けて計算。後者はまた反復試行使える。結構計算あるな。解答時間11分。

 

☆第4問・・・【空間ベクトル】直線と平面の交点、長さの最大・最小 球から切り取られる線分(B、25分、Lv.2)

記述式1発目は空間ベクトルです。(1)(2)まではかなり聞き方もストレートですが、(3)は計算量も多く少し難しいです。

(1)は、直線上の点なので1-t、tの係数設定をして成分で表せます。x座標が0になるようにすればOK。

(2)は直線上の点を再び「t」で表し、√(tの2次式) になるパターンです。ここまでは落とせません。

(3)は(2)を使うのでしょうが、まずそれに気づけるかどうか。、QRというのは、いわゆる切り取られる弦の長さですので、円のときの原則がいきてきます。

 Principle Piece II-49

 弦の長さは d と r と三平方

(拙著シリーズ(白) 数学II 図形と式 p.42-44)

しかし「r=1」と決まっていますから、弦を最大にするには、dを最小にする必要があります。従って、OC上の点S,と、QRの中点Mの距離SM(√2文字2変数で表せる)が最小になるようにすればOKですね。2文字2変数で係数も大きいですが、原則に従って慎重に計算しましょう。

 Principle Piece I-28

 2変数の2次関数は1文字ずつ平方完成

(拙著シリーズ(白) 数学I 2次関数 p.31)

※KATSUYAの解いた感想
(1)、(2)はパターン問題なのでさくっと終了。(3)は、QRが最大ってことは中心から下ろした垂線最小ってことね。(2)もつかえそうやけど、どうせもういっかい平方完成するんやろ。じゃあ2変数でやればいいかな。係数の大きさを見て、やっぱ(2)使えばよかったかな、と少し後悔。ロスして解答時間24分。

第5問・・・【複素数と方程式+三角関数+対数関数】実部、虚部の条件(AB、20分、Lv.1)

ここだけ異様に簡単なセットです。数学IIIで複素数平面を習っているとなおさら簡単。(1)は計算するだけです。z^2の実部、虚部は角度を2yに上げておいたほうが見栄えがいいですが、どうせ(2)で使うときにはまた展開します。

(2)は(1)を利用します。2倍角をばらして三角方程式を解きましょう。(3)もただの計算。こちらは合成になります。(4)もほとんど同じですが、「底aが0<a<1なので、logを外すときに向きが変わる」「真数が正」に気をつけましょう。

 

 

※KATSUYAの解いた感想
なんじゃこりゃ。複素数平面っぽく見せてるだけやな。実部、虚部の計算は文系ならまあいいとして、(2)、(3)はゆるい三角方程式。(4)は対数も絡める。いろいろ、無理矢理融合してきたな。これは良問とは言えないな。解答時間8分。

☆第6問・・・【積分法】絶対値付き定積分、面積、傾き(B、30分、Lv.2)

最後は標準的な定積分の問題。2年連続で定積分をネタに持ってきました。す絶対値付き定積分関数については、こちらの原則でさくっと点数を稼ぎに行きましょう。

Principle Piece II-115

 絶対値付き定積分関数 中身=0と両端の大小で場合分け

(拙著シリーズ(白) 数学II 積分 p.17-21)


絶対値の付いてる部分は |t| です。中身が0になるt=0なので、区間が0をまたぐかどうかで場合分けが必要です。また、前半に|x+1|があるので、x=ー1の前後でも場合わけが必要です。

(2)は(1)が出ればいけます。交点が汚いですが、計算するしかありません。文系の数学なのに、計算量が地獄的に多いですね^^;

(3)ですが、点Bは一番右側の曲線上にあるでしょう。あとは点Aが左側、真ん中の曲線にあるときで場合分けしましょう。a,bの2文字で式も2つ立ちますので、基本的には決まるはずです。ただし、真ん中の曲線と右側の曲線は中点に関して対称なので、この場合はa=ーbならばどこでも成り立つ、となります。

普通に考えれば有限個のはずのbに対して、範囲を聞いていることからも、それが予想できます。

※KATSUYAの解いた感想
経済は長い。理工より疲れるかも^^; やっと最後。おー原則おもいっきり使えるパターンでラクちん^^ (1)は素早く書いて終了。(2)は面積。交点汚いのか。最後まで計算が多い。(3)はとりあえず連立すればよさそうやけど・・・なんでbの「範囲」とか書いてある??範囲も何も決まるやろ。(2)で書いたグラフを眺めて、、、「ん?この点で対称なら、無限にあるのか。そういうことか!」となる。あとは上記のやり方で終了。解答時間17分。

 

4.対策~IIB中心に、計算力上げつつパターン問題を素早く解く練習を~

分野としてはIIB+確率、という感じ。確率は今年は出ていませんが、これらの分野の重点的な演習をしましょう。

図形問題は融合が多く、図形的な考察が途中で必要な問題も多いので、単なる数式処理で出来るものではなく、総合的な図形問題に触れておきましょう。青チャートできちんと演習を積んでおけば、大丈夫です。有名なパターン問題はそのまま自分のものにいしていきましょう。

レベル的には入試標準レベルの演習まで行い、過去問に接続すればいいと思います。

量をこなす演習:じっくり演習=8:2ぐらいですね。

以上です^^

 

 

 

■他年度の、本大学の入試数学■

>> 2010年度

>> 2015年度

>> 2016年度



■関連する拙著シリーズ■

★ 数学A 確率 (第3問)

★ 数学II 複素数と方程式 (第1問)

★ 数学II 三角関数 (第4問)

★ 数学II 図形と式 (第1問)

★ 数学II 指数関数・対数関数 (第4問)

★ 数学II 積分 (第6問)

★ 数学B ベクトル (第4問)

★ 数学B 数列 (第2問)

 - 2017年度大学入試数学 , , , , , , , , , ,