同志社大学 理工学部 | 2017年大学入試数学
2017/06/05
●2017年度大学入試数学評価を書いていきます。今回は同志社大学(理工学部)です。
いつもご覧いただきまして、ありがとうございます。 KATSUYAです^^いよいよ、2次試験シーズンがやってきました。すでにお馴染みになってきたかもしれませんが、やっていきます。
2017年 大学入試数学の評価を書いていきます。
2017年大学入試(私大)シリーズ。
同志社大学(理工学部)です。
問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。
また☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。
また、解答までの目標時間を、問題ごとに書きます。
※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの標準的な時間です。
したがって、目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越えることも、当然ありえます。
同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、ヒントや答えをみるといい、という目安にしてください。
同志社大学(理工学部)
(試験時間100分、4問、ハイブリッド型)
1.全体総評~計算量が増え、難化~
昨年は比較的穏やかな出題で時間的にも適量なセットでしたが、今年はリバウンドし、難化しました。と全問題に数学IIIが入っているのは相変わらずですが、確率の問題を除いて全ての問題に微積計算が入ります。問題自体の質も高く計算量も多いので、時間内に終了させるのはかなり難しいでしょう。良問ではありますが、100分という設定では「宝の出しぐされ」になる問題が出てしまうセットです。
試験時間120分に対し、
標準回答時間は142分【128分】(←穴埋め考慮)
2016年:112分【101分】(←穴埋め考慮)
2015年:130分【110分】(←穴埋め考慮)
2.合格ライン
第1問の10個の穴埋めは、最後以外は欲しい。最後ももちろん欲しいですけど・・・
第2問~第4問はどれもキー問題。適度に難しいです。
時間内にどの記述に手をつけるか。第2問は体積が求められないと半分以下、第4問は経験がないと(3)の途中止まりになりそうです。まだ考えやすいのは第3問か。第1問と第3問で2完+残りをかき集めて、よくて65%でしょう。60%ぐらいでも数学は十分そうです。
3.各問の難易度
第1問(1)・・・【微分法】高次導関数(AB、15分【8分】、Lv1)
第n次導関数をnの式で表すというものです。2回ほど微分すると推測ができますので、きちんと示すのであれば帰納法でいきます。答えだけなので、推測さえ正しければ点数には結びつきます。
(拙著シリーズ(白) 数学B 数列 p.50-57)
☆第1問(2)・・・【確率+数列+極限】確率と漸化式、点の移動、確率の極限(B、22分【15分】、Lv.2)
確率と漸化式の問題です。ルールは長く書かれていますが、文字も全て設定されていますし、求めるものも指定されています。遷移図をきちんと書けば問題ないタイプでしょう。
(拙著シリーズ(白) 数学A 確率 p.39-43)
条件的に対称なP1(n)とP2(n)については、連立漸化式として足したものと引いたものが等比数列なるということです。穴埋めで分かります。最後はP3(n)の漸化式です。P2(n)の式を出せば、階差型になりますので、シグマの形で一般項の式は出せます。極限なので、そのまま無限級数として求めればいいでしょう。
(拙著シリーズ(白) 数学B 数列 p.32)
※KATSUYAの解いた感想
(1)は微分し続けるだけ。2次までやってみて推測できたので、穴埋めを利用してそのまま書く。次の関数も先に合成すればさっきとほとんど変わらないかな。(2)確率と漸化式。文字はほとんど用意されてるから、原則を用いて与えられたとおりに出せば簡単かな。P3(n)は少し考える。階差型になることに気づき、終了。解答時間計14分(2+12)。
☆第2問・・・【空間ベクトル+微分法】正四面体、体積の最大値(B、25分、Lv.2)
同大学の全学部文系と同じ空間ベクトルからです。
本学はかなり空間ベクトルが好きなようです。最初はいいでしょう。CはO,A,Bの全てからの距離が等しく、かつそれが√2であるとすれば求められます。QはOB上にあるので、実数倍「t」を利用して座標をおき、PCとPQの内積0でOK。
(2)もそこまで難しくありません。(1)でだしたQのy、z座標(同じ)が0~1にあるようにすればいいですね。1-p>0なので、分母を払えばすぐに解けます。四面体の体積はまともに出すと少しつらいですが、Oを頂点としてO-ABCとの比で出せます。正四面体O-ABCは、1辺が1の立方体に埋め込まれていますので、体積は比較的簡単に出せます。これに気づかないとちょっと厳しいでしょう。
(3)は(2)の式を微分すればOK。求めるべきpの値の前後の符号を確かめれば増減表は不要です。
※KATSUYAの解いた感想
空間ベクトルか。今年、空間ベクトル出す大学多い気がするな。(1)はそこまで複雑ではないかな。(2)の体積はどうしよう。P,QはOA上、OB上にあるからOABCとの比がいいかな。OABCは埋め込み型なので簡単に出せるしな。これ気づかないと計算つらいな。(3)は微分してさくっと終了。解答時間16分。
☆第3問・・・【積分法の応用+図形と式】容器への水・鉄球入れ(B、35分、Lv.2)
放物線のy軸回転体を側面に持つ容器に水を入れる問題。さらに鉄球を入れて水かさがどう増していくかを見る問題で、創作問題と言えます。1つ1つはチャートにもあるようなパターン問題でそんなに難しくはありませんが、たくさん聞かれるので計算量はかなり多めです。
(1)はいいいでしょう。y軸回転体は、x=・・・ (あるいはx^2=・・・)の形にできるなら、直接yで積分すればOK。
(拙著シリーズ(白) 数学III 積分法の応用 p.40)
(2)はもちろん、中心を通る断面で考えます。球の中心、底面の中心を通った切断面は、放物線と円の問題に帰着できます。
(拙著シリーズ(白) 数学III 積分法の応用 p.40)
放物線と円が接するパターンです。放物線の式でx^2=・・・に出来ますので、そのまま円の式に代入すればOK。yが正の重解を持てばOKです。 なお、だした高さ「2」が半径より大きいことの確認を忘れずに。小さいと先に底についてしまいます。
(2)ができれば(3)、(4)は時間はかかりますが、答えられるでしょう。(3)は最初から水の高さが、7/2になり、球を入れたら最も高いところでこの高さなので、球は完全に水に浸かっています。(4)はどこまで浸かっているか明記されていますので、全体から球の浸かっている部分(回転体として積分)を引けばOKです。
※KATSUYAの解いた感想
水入れ問題か。問題数多いな。(1)はさくっと積分。(2)はただの放物線と円ね。(3)は、、まず鉄球が完全に水につかってるかどうかやな。もともと高さが7/2やから、球は完全に浸かっとるな。(4)今度は一部だけ浸かっているのね。再び回転体として積分。計算量多いな。(3)と(4)片方でいいのでは^^;解答時間23分。
☆第4問・・・【積分法+極限】定積分と不等式、定積分の極限(C、45分、Lv.3)
三角関数とf(x)を掛け合わせた関数の定積分に関する問題で、偶然にも先ほど私が解いた、2017年のKO理工にもほぼ同じネタの問題がありました。周期関数×f(x)の定積分は京大、東工大が一昔前によく出していました。
(1)は半角で次数下げて積分です。最初は和積でしょう。sin+sinなど、種類と係数が一致していれば和積です。
(拙著シリーズ(白) 数学III 積分法 p.14-16)
(2)は、比較的パターンの不等式です。f(xk)≦f(x)≦f(x_k+1) を利用します。両端がただの定数であることがポイントです。
(拙著シリーズ(白) 数学III 積分法 p.66-68)
(3)は(2)でkについてシグマをとります。左辺および右辺は区分求積で求められますが、「I」に合わせるために置換積分が必要で、少し複雑な区分求積です。面積図などである程度感覚的に結果を出してから説明したほうがいいかもしれません。
(4)は(3)を利用するのでしょうが、利用できるように式変形をする方法がなかなか難しいです。区間が半分までであること、及び4次式が入っていることなどから、「半角で角度を2倍にしつつ、4次式を2次式にする」ことでつじつまがあうという発想が必要です。
さらにf(x)が具体的に与えれたことで、「I」の計算も必要となり、(3)まででよかったのではないかと思うぐらい時間のかかる問題。
logの式ですから、こちらの部分積分です。本問は計算が複雑な式になっていますが、logの中からπを消したいのでしょう。
(拙著シリーズ(白) 数学III 積分法 p.9)
※KATSUYAの解いた感想
うわ、また積分。今年の理工はかなり計算が大変。ネタは、、、さっき解いたKO理工とそっくりやな^^; 関数がちょろっと違うだけ。(1)はさくっと積分。(2)はKO理工でやったばっかなので慣れてしまっており、手が止まらず終了。(3)は本学は記述やから時間かかるか。両側を区分求積で。区間が合うように置換するとちゃんとf(x)になったな。(4)は(3)を使うのだろうが、果て・・・?かなり考え、上記の流れで思い浮かび、計算して終了。f(x)はもう少し簡単なものでよかったのでは^^; 解答時間35分。結構ギリやわ。
4.対策~IIIの対策+計算力UPをしっかりと~
IIIの割合が非常に高いセットです。IIIの勉強はもちろんのこと、最初の穴埋めも簡単ではないので、典型パターンを繰り返し頭に叩き込んでおく必要があります。
IAIIB、IIIともに、高3の夏以降は入試標準レベルによる演習に入れるような体制を作る必要がありそうです。従って、それまでには青チャートや1対1対応などの演習を終えたいところです。今年は割と穏やかな方で、計算が地獄のときもありますので、計算練習はしっかりと。
量をこなす演習:じっくり演習=7:3ぐらいですね。
以上です^^
■他年度の、本大学の入試数学■
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■関連する拙著シリーズ■
★ 数学A 確率 (第1問(2))
★ 数学II 図形と式 (第3問)
★ 数学B 数列 (第1問(2))
★ 数学III 極限 (第1問(2)、第4問)
★ 数学III 微分法 (第1問(1))
★ 数学III 微分法の応用 (第2問)
★ 数学III 微分法の応用 (第2問)
★ 数学III 積分法 (第4問)
★ 数学III 積分法の応用 (第3問)
★ 計算0.9【IAIIB】 (計算練習帳です^^)